読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

中国、エジプトの騒乱と無縁では有り得ず

2011-02-24 10:46:42 | 新聞
エジプトでの騒乱を受け、同国の強権政治が批判されている一方で、中国共産党の権力維持はこのまま安泰でいられる理由について、様々なメディアで識者が説明を試みている。ホスニ・ムバラク氏統治のもとで、必然的にエジプト経済は低迷し、強欲なエリート層は国民所得の不均等な配分を掴み取った。その一方で中国は機会と繁栄を国民に配分している。

 両国をさっと比較してみれば、現実はもっと複雑だ。エジプトの経済成長率は中国の半分ほどだが、不景気ではなく、ここ数十年の改革が結実している。エジプトの1人当たり国内総生産(GDP)は約5900ドル(約48万円)で、平均的なエジプト人は中国人よりも暮らし向きがよい。中国の1人当たりGDPはエジプトの3分の2程度。中国の所得格差はエジプトより拡大している。



 最も関連する経済指標はエジプトの失業率と高インフレ率だ。エジプト経済は、若年層のほか、増加している人口に見合う雇用を創出するほど成長はしていない。一方、公式のインフレ率は過去2年間10%以上で推移し、食品価格はそれ以上の上昇率を示している。強権政治に対する不満のレベルは満ち引きがある。しかし、中国で1980年代の後半にあったように人々は高インフレで生活水準が影響を受ければ、大衆行動を取る。

 その意味で中国の安定しているとされる状況は見直しが必要だ。成長ペースは減速しており、経済は依然として、非熟練労働者を雇用している輸出企業に依存。大卒者の失業も大きな問題として再浮上している。改めて大手国有企業が優遇されているため、共産党のエリート層が恩恵を受ける一方で、起業する機会は低下している。

 エコノミストのダイアナ・チョイレバ氏が先週、本紙に寄稿したように中国のインフレ率は実際には二桁に近づいてる。中国は国内騒乱とは無縁と考えるべきではない。