ティーガーデン

大好きな紅茶を飲みながら、日々の生活で
咲いた花々(さまざまな素敵)をご紹介していきます。

蛇にピアス(DVD)

2010年08月27日 22時54分36秒 | Movie・Book・TV
あまりに衝撃的だったので、感想を書くのはやめておこうと思ったけど、時間の経過と共に、書けそうな気がしてきたので、書いてみます。

原作をまだ読んでいないので、DVDだけで感じたことです。

始まって間もなく、渋谷駅周辺が映し出されました。
暗くて、ビルに映し出される看板や掲示板には、『身体改造』を連想させるような、不気味な画像等が、無音で表現されます。

最初から、そこまでやるのか・・・と言う、予想以上の過激さゆえ、最初は気持ち悪くなりました。
デイジーパパも観ましたが、子供には存在すら知らせない方が良いので、いない間にパパッと観て、返しに行きました。(苦笑)

しかし、観終わってから思うことは、不気味で異様な印象だけではなく、芸術性も感じる、不思議な仕上がりの作品だったと言うこと。

終わり方は、何だか「そこで終わるの・・・?」と言う場面で終わるので、観終わってから、色んな事、頭めぐらせます。そこで出る結論は、個人個人の見方で、行く通りもの、解釈がありそうです。

映画初主演の吉高さんの評価は、賛否両論ですが、大胆さと生に対して希薄な生き方のルイを、見事に演じきっていて、私としては、名を上げた作品になったのでは・・・と思います。
あのような役柄を、当時未成年だった女優さんが演じきること自体、非常に難しいと思うのに、ごく自然体で、ルイになりきっていて、多くの人に、心地良いインパクトを与えたような気がします。


渋谷を徘徊して日々を過ごす、19歳のルイは、生きることに希薄で、現実世界を嫌い、闇の世界を刹那的に生きている感じ。
超えてはならない一線を平気で超えてしまう。
強い刺激と、本能のままの快楽にだけ、生きている実感を感じているような日々。
生に対して希薄ゆえ、死に対する考え方も淡々としていて、生に対しても死に対しても、まるで人事のような感覚。

クラブで知り合ったアマは、スプリット・タンと背中に龍の刺青。
アマの影響で、スプリット・タンを目指し始めるルイ。
いとも簡単に同棲を始める2人。
スプリット・タンは、舌ピアスの穴を徐々に大きく広げて行き、最終的に2つに割ってしまう方法。それをアマの兄貴分のような、彫り師のシバさんにゆだねる。さらに龍と麒麟の刺青もシバさんにゆだねるが、3人のゆがんだ愛の展開が始まる。

アマの死によって、アマの事を何も知らずに一緒に暮らしていた自分に気づく。
そして淡々と生きてきたルイだったが、このことで、心に深い傷を負う。
しかし、この心の痛みがきっかけで、アマへの永遠の愛を誓い、龍と麒麟の刺青に目を入れ完成させ、生きて行く気力をみなぎらせる。

スプリット・タンについては、途中段階で留まり、舌に大きな穴がぽっかり開いているのを見て”私は何がしたかったのか”と自問する。

アマの死をめぐり、一緒に暮らし始めたシバさんへの疑惑もわくものの、”大丈夫”と自分に言い聞かせ、そのくらしに順応させようとする。
あんなにアマの死のショックが大きかったのに、立ち直るのも早く、やはり淡々としている。

ほんの短時間のストーリーの中には、理解しがたい非日常的な出来事が起きているのに、どれも瞬間瞬間は、動揺が見て取れるが、どの出来事に対しても心身共に、順応が早く、淡々としている。

理解しがたい精神世界。
その後もそこから抜け出すこともなく、刺激と快楽を求めてさ迷いながら淡々と生きて行くのかと、考えさせられる問題作のような感じがしました。
刹那的な刺激や快楽の繰り返しの先に、いったいどんな未来が待っているんだろう。

主たる登場人物のルイ、アマ、シバに関して、どんな生い立ちであるとか、それまでの生き様だとか、全く知らされない展開なだけに、深みは感じられず、刹那的な生き方の印象が余計強く感じられたような・・・。


原作にかなり忠実らしいが、原作を読むと、もっと深みのある何かを感じられるのか、内容はともかくとして、文章の表現力や技法等の点が気になるので、又機会があったら、読んでみたいなと思います~
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする