GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」

2008年05月20日 | Weblog
 米ソ冷戦終結の真の立役者とも評されるテキサス選出の下院議員をモデルに描いた実録政治コメディだが、内容は決してコメディと言い難い。シリアスなのだ。チャーリー・ウィルソンというお気楽議員が、ソ連に侵攻されたアフガニスタンを守るためにたった一人立ち上がるストーリーはまるでアニメ的。しかし実話に基づくストーリーと聞かされ驚愕した。時は冷戦時代、アメリカが表立ってアフガン支援が出来ない状況だった。それは第三次世界大戦勃発を意味したからだ。

 チャールズ・ウィルソン議員(トム・ハンクス)はCIA職員ガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)と共にだんだんとアフガン支援を本格化していく。ウサマ・ビン・ラディンの名は映画では当然出てこないが、裏でCIAが彼にテロ行為を訓練し、武器・金を支援したのである。女大富豪ジョアン(ジュリア・ロバーツ)は陰で大きな影響を与えていく。コミカルなタッチで描きながらストーリーは決して笑えない。

『かつてサウジの裕福な家に育ったウサマ・ビン・ラディンが、自費で民兵を集め、聖戦としてアフガンに出兵しイスラム世界で名を馳せた。クェートに侵攻したイラクを討ちに行きたいと彼が言い出したとき、今度は王家は、承諾しなかった。武力の乏しい王家と油田地帯を確保しておきたい米軍の思惑が一致して湾岸戦争が勃発した。しかし、異教徒の力を借りたとしてイスラム世界は徐々にサウジを非難していった。それは堕落したキリスト教世界との明確な決別を意味する。そんな流れにおいてウサマ・ビン・ラディンは英雄として過激なイスラム教徒達に支持され、まつりあげられていった。キリスト教異民族や王家に悪意を抱く過激な人々にとって彼は、まさに<ロビンフッド>のような存在となったのだ。』

 前回の映画「大いなる陰謀」も同様だが、米国共和党の主たる戦略(?)である戦争への批判が明確に打ち出されている。ベトナムと同様に泥沼化しているイラク戦略に民主党は待ったをかけているのだ。混迷していた民主党候補選びもオバマ議員で決着する様相を呈してきたが、大統領選の時期に、この映画公開は決して偶然ではない。

 映画の最後、実際のチャーリー・ウィルソンの言葉がエンドクレジッドの最初に流れる。
「俺は最後にしくじった」

 決してこれは共和党だけの責任ではない。この映画は米国の国家戦略そのものをもう一度考え直す、時が来ていることを明確にしていると思えてならない。

 世界に最もいい影響を与えている国が日本だという報告がある。国際情勢に最も肯定的な影響を与えている国の1つは日本-。世界の多くの人々がこのような考えを持っていることが、英BBC放送が2007年8月6日公表した国際世論調査の結果で明らかになった。

『調査は27カ国の2万8000人が対象。列挙された12カ国について「世界に与える影響が肯定的か否定的か」を問うたところ、肯定的という回答の割合が最も高かったのが日本とカナダで、それぞれ54%。これに欧州連合(EU)53%、フランス50%、英国45%などが続いた。日本については、25カ国で「肯定的影響」との意見が「否定的」を上回り、中でもインドネシアでは8割以上が日本を評価。ただ、中国と韓国では「否定的」とした人がいずれも約6割を占めた。』

 日本を肯定的評価しているのは、平和憲法はもとに実戦への不参加、道路やダム・橋を作り、井戸を掘り水路作りライフラインを整備し、学校を作り病院を作ってきた事への評価だと私は理解している。米国のリーダーシップの概念を改めて考え直さねばならない。

 大切なことは人と同じではないか。
 自立と自律だとと思う。
 民主国家としての自立・自律ではないだろうか。

 キングダムことサウジアラビア王国のように金で堕落させるのでは決してないはずだ。米国の石油を中心とした巨大コングロマリット企業との癒着こそ、最も早急に正さなければならない問題だと思う。

 このように考えると今まで石油を中心とした巨大コングロマリット企業への大々的なテロ行為が一度もないことが不思議に思えてくる。テロ資金の元は(MTV映画「ザ・グリット」「シリアナ」「キングダム」をじっくり見ていただければよく分かる)、石油の利権を自由にできないサウジの王位継承権下位の王子達、その仲間の大富豪達(彼らが今、マンハッタンのアパートメントやマンションを10億、20億で買い漁っていて、ニューヨークは不動産バブルとのこと。50m25,000万円。ここにはサムプライズ問題の影響などまったくない)というだけでは内容にも思える。

 かつて古代ローマ帝国が1200年もの長きに渡って地中海世界の全域を支配したのは、各地の他民族の宗教を否定せず、道路や水路を作りライフラインを整備したことが大きな要因とされている。しかし、古代ローマ国家の初期から中期にかけての連続的な戦争による農村の疲弊と、戦争勝利・領土拡張に伴う大規模な奴隷の流入は、自作農の没落を招いた。この自作農(自立した農民)の没落は、軍隊の無能力化、及び有害化を招き、これがローマの存続にとって、最も致命的で死命を制する病根になったとされている。

アメリカ帝国の没落は、決して古代ローマ帝国とは同じではないがどこか似通っているように思えてならない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。