GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

第1回 「坂の上の雲」

2009年11月30日 | Weblog
大好きな司馬遼太郎原作の「坂の上の雲」
彼の作品にはいつも熱い志が存在する。
今では志という言葉がまるで死語のように感じるのは私だけだろうか。
この作品は『竜馬がゆく』と同時期(東京で自活を始めた大学時代)に読んだ作品ですが、
最後のページにこんな記述があったのを今でも覚えている。

「男の一生とは、若いときに何をしようとしたか、そして年老いて何をしたかだ」

文章はきっと違っていますが、内容的にはこれで合っていると思う。

『竜馬がゆく』も『坂の上の雲』も20歳前後の若者たちに読んで欲しい作品だ。
大学に入ったばかりの時期に読んだ私は、
(私自身は、これから何をしようとしているのか)
それを捜すために、この4年間を懸けようと決心したものでした。
あれから40年近くが過ぎました。
自分自身が残してきた結果は、しっかりと自身で受け止めています。
そして、数字として私の脳裏に刻み込まれています。(今までの日記に記述済み)
<数字は客観的です> (これを覚えていてください) 
誰もに有無や是非を云わせぬ力を持っているからです。


さて、物語は維新後の薩長の藩閥政治に反発する若者たちが、
自由民権を謳いながら胸を熱くして、東京に向かうところで第1話が終わる。

貧しい役人の長男として育った聡明な秋山真之。
弟を寺にやるなと父に談判し、貧しい家を支えながら
中学にも行かず、風呂屋の釜炊きのバイトにせいを出している。
大阪で師範学校へ無料で入学できる話を聞きつけ、父親も承諾する。

真之の信条は、人間は身分に関係なく学ぶべきで、
何のためかといえば、個々人の独立のためであり、
それが国家の独立の基礎にもなると説いた福沢諭吉の『学問のすすめ』だった。
ここには「教育の目的は自立にあり」と記されていた。

1872年に発刊された『学問のすすめ』は、1877年の西南の役以降、
ベストセラーとなって自由民権運動の聖書とも云うべき書になったようでだ。

幕藩体制や身分制度に反発した士族の武力による革命が明治維新だった。
しかし、その後の藩閥政治は、士族にとってなんら変わらないものだった。
そんな士族達の大反乱が西南の役(戦争)。
そこでも身分の低い士族は敗れ去り、彼らの怒りは自由民権運動へと走らせた。
(■「士族」という身分表示は、第二次世界大戦後1947年(昭和22年)の
   民法改正による家制度廃止まで戸籍に記載されていた)

真之は『学問のすすめ』に従って、大阪で師範学校に進み、陸軍士官学校へ入学、
そして陸軍の騎兵隊将校への道を選んでいく。
幼なじみの正岡子規が先に東京へ旅だったことに嫉妬しながら、
自由民権運動に熱を上げていた弟の秋山好古に、上京せよと兄から手紙が送付されてくる。

幼なじみではありながら貧富の差に堪え、親が、兄が弟を想う熱い肉親の絆。
彼らには坂本龍馬が土佐藩を脱藩したときの、姉の想いや熱い志がありました。
(このあたりの展開は正しく司馬遼太郎タッチ、いいですね)

龍馬が暗殺されたのは1867年の12月10日ですから、
その5年後に発刊された『学問のすすめ』は読んでいませんが、
秋山兄弟と子規と同様に共通した熱い志がありました。
それはきっと学ぶことによってのみ生まれる<自立心>が根底にあったように思えてなりません。
『学問のすすめ』はそれを文章によって裏付けしてくれたのです。

東京で再会した3人が、これからどのようにして自らの熱い志を明確にしていくのか、
考えただけでもワクワクします。
想像を超えた体験や溢れるような知識との出会い、様々な人たちとの出会いを通して、
3人が3様のトライ&エラー繰り返し、そして成長していく姿が目に浮かぶようです。

坂の上の雲とは志を意味しています。
雲の向こうに存在する確かなものを手にする自立の物語、
今後の展開に大いに期待したいと思います。

「11/29 見所満載の日曜日」

2009年11月30日 | Weblog
昨日のテレビ放映は、希にみる見所満載の日曜日でした。

1)女子ゴルフの最終戦、しかも賞金王の可能性が最終日まで3人も。
2)男子ゴルフの最終戦の一つ前、遼君が勝てば賞金王決定!
3)内藤対亀田、因縁のボクシングタイトルマッチ、負けたら引退!
4)「坂の上の雲」初回

21時過ぎ自宅に帰って、まず食事。
内藤対亀田の試合は録画中。
食事しながら女子ゴルフを観賞開始。

14番いきなりさくらのラフからチップインバーディー!
思わず箸を落としそうになる。
続いて15番2打目が、あわやイーグルと思えるような超スーパーショット。
今度は口の中から食べていたものが飛び出しそうになる。
(もしかしたらさくらの逆転賞金王?)そんな思いが脳裏をよぎる。
最終組の飯島が長いバーディーパットが入らず、さくらの逆転賞金王が決定した。

宮里藍の出現から女子ゴルフは一変したと云って過言ではない。
同年代の若い連中達がまるで一夜の如く出現し、群雄割拠の時代に突入した。
5年間も賞金王を続けた不動やベテラン福島らの影は一瞬にして遠ざかされた感がある。
来年も宮里、横峰、諸見里が間違いなく女子ゴルフ界を牽引していくだろう。

さて、次は男子ゴルフの遼君。
-4という素晴らしいゴルフを見せたが、最終日の主役は小田孔明だった。
なんとボギーなしの7バーディー、4日間で21アンダーでの初の連続優勝を果たした。
いぶし銀のような丸山茂樹のゴルフも印象に残った。(今後の活躍に期待)
最終戦まで男子の賞金王争いが持ち越され、来週が大変楽しみになった。


さて次はボクシング。
内藤対亀田の因縁の戦い。一言で云えば、
「国民的英雄となった内藤に、倒さなければならないプレッシャーが焦りとなって表れ、
 反対に若い亀田は弟の試合やこれまでの内藤の試合を徹底的に研究し尽くし、
 冷静に自分の距離を守ったアウトボクシングに徹した試合だった」


2回、接近戦に持ち込む以外の勝機がない内藤は、打ち込みながら亀田に接近。
打ち込んだ後、ノーガードになった右ストレートが顔面に炸裂。
一気に鼻血が吹き出した。(私はあの時、鼻の骨が砕けたと思っている)

亀田の戦略だったアウトボクシングのカウンター攻撃は、
相手の入ってくる力を利用した作戦だ。
タイミングがすべてなだけに手数が少なくなる恐れや、
挑戦者としての戦いぶりに不満の声がでる危険性を孕んでいた。

しかし、若い亀田はあくまでその戦略を貫いた。
(このあたりに彼の飛躍的成長が伺える)

内藤は打ち合うボクシングこそ、観客が喜ぶ試合と見定めていたが、
亀田は冷静にポイントを稼ぐ勝ちに行くボクシングに徹した。
この違いが勝敗を分けた。

もし両者の戦略が逆だったら。
また、内藤も自分の距離を保つアウトボクシングに徹していたら
結果は違ったものになったでしょう。
しかし、実際は内藤はあくまで自分のボクシングスタイルを貫いた。
(このような展開に、<勝負のドラマ>に胸を熱くしてしまう)

常に「負けたら引退」を表明していた内藤の今後の去就が心配だが、
妻は現役続行を願っているという。
気のいいやさしい内藤選手、どのような決断になるのか、わかるような気がする。

                       (下に続く)