出るってことは…

家を出るってことは
こんなことだったんだ

だから　家内は涙を流したんだ

私ら夫婦は　若い頃
あまり県外には出られなかった

私は　就職で東京に１年だけ
他は　阿蘇や県都に４０年近く住んできた

家内は　家の都合などで
出たかった九州の県外にも出られず
本当は　一度だけでも出たかった県外だが
ずっと　この街に住み続ける…

娘達には　そんな思いはさせまいと
それぞれの希望の地に行かせた

長女は　都心部
次女は　福岡
それぞれ　ある意味中心部に住み
生活を楽しんでいるらしい

次女を送る時
家内は　覚悟をしていた

でも　次女を県外に出して
しばらく経って　家内は
車内で　急に声を出して泣きだした

やはり　娘達を次々に出すのは
切なく　寂しかったと…

家を出るって　いいや
家から　子等を出すって
こんなことだったんだ

だから　昔も　今も
親は　ためらうのだろう

可愛い子には　旅させろ　
というけれど　
その必要性は認めても
子等と離れる寂しさを予感して
子を手放すことを躊躇するのだろう

PS　2007．11．27　草稿