北の旅人

旅行や、ちょっといい話などを。そして、時には言いたいことを、ひとこと。

「1956」-14歳の心象風景<29>

2009-09-09 10:39:42 | Weblog

<作文> 
                  ふぶき 
                         (O・T)

朝ごはんを食べていると風がふいてきたように思った。朝、父は戸外へ出て、「わぁ!今日は風が強いな」と云っていた。働きに行っている父は「今日、ふぶきになるんではないか」と心配しているようすである。

三学期が始まった日です。私も窓の所へ行って外を見たその時は、もはや雪も降ってきた。でも、それほどでもないので行く事にした。父は私の先頭に立って道をあけて歩いてくれた。

その後ろ姿を見ると、毎年私達のために夏・冬働いてくれた父!
後ろ姿は、なんとなく、めっきりやせ、年老いた父。道路まであけてくれた父は「気をつけて行くんだよ。学校がおわったら、すぐ帰るんだよ」と云って行った。

うんがわるく、急に風も強くなり雪もますます降ってきた。私は毎日そこを通るとき見る癖がある。毎日友達が来るのに、今日はその姿も見えない。だれも来なかった。

昨日は、あんなに良かった道も今日は風と雪で道がふさがっている。なんとなく一人なので淋しくなってきた。くつにバンドをして歩いたのに、雪が入ってなんとなく冷たくなった。

誰も歩いてなくスキーの跡ばかりであった。途中で、うしろをふりかえって見ると、どうであろう! 今、歩いてきたばかりの道が、もはやうずまっていた。立っていると風が冷たく顔に当り、顔がどんどんいたくなっていく。

誰か来るように思えて後ろ見ると、がっかりした。良く見ると木の根株ではないか。自然と自分でおかしくてたまらなかった。又、2、3歩、歩くと誰かが遠くから走ってくる。淋しかったなんぞふっとんで、かえった。

        ☆         ☆

私たちが通った学校は、山間の小さい街にあった。農家の子どもたちは、街の中心部から離れていて、確か5~6kmぐらい歩いて通っていたクラスメイトもいた。

晴れた日はいいが、雨や雪の時は、ほんとうに大変だったと思う。道の途中には、たまに家がポツンと点在している程度だった。まして、吹雪になれば、視界は100mもあればいいほうで、子どもにとっては心細く淋しいものだったことは想像に難くない。

今年6月、51年振りのクラス会で、この道を車で通ってみたが、ほとんどが離農していて、原野が広がっていた。