■暗い街灯の下で(第43話) 発表1970年7月
評価 ★★★★
依頼人 なし
ターゲット ジェフ・カーナビー
報酬 なし
今回弾丸発射数 2 / 通算弾丸発射数 233
今回殺害人数 1/ 通算殺害人数 214
今回まぐわい回数 0/ 通算まぐわい回数 28
<ストーリー>
「仕事」でロンドンを訪れたゴルゴ。届くはずの小包が到着せず、ゴルゴ愛用の銃が第三者の手に・・・
<この一言>
どうも・・・
<解説>
仕事でロンドンを訪れたゴルゴにハプニング発生!アーマライトを分解し機械部品のサンプルとして送った小包がホテルに届かず、「スカル・アンド・クロスボーンズ」なる集団の手に渡ってしまう。この集団のリーダー「ジェフ・カーナビー」は、アーマライトを手に次々と少女ばかりを射殺する。ロンドン警視庁はMI6と協力、線条痕より銃器をゴルゴのアーマライトと特定する。ロンドン警視庁はゴルゴへの疑いを深めるが、ゴルゴをよく知るMI6ヒューム部長はゴルゴの仕業でないと断言する。ヒューム部長は 第3巻-3『メランコリー・夏』、 第3巻-5『ベイルートVIA』、 第6巻ー3『17人の渇き』 に続き4回目の登場で、ゴルゴとは腐れ縁と言えよう。ヒューム部長はゴルゴを「あらゆる階層の大物を抹殺する仕事をうけおう冷徹なプロ」と評している。
ゴルゴは、ジェフ・カーナビーを仕留め、カーナビーの死体の側に愛銃「アーマライトM16」を残して立ち去る。アクシデントでゴルゴの仕事が阻害されるという極めて希なケースが描かれている本作は、小作品でありながらも大きな意味がある。
また、ゴルゴに関するプロフィールもMI6の資料により明らかになっており、「眼:褐色、髪:黒」ということが判明している。この資料は 第7巻-2『Dr.V.ワルター』 事件に関するレポートで、本作により『Dr.V.ワルター』事件は1970年1月8日に発生したことが明らかになった。『Dr.V.ワルター』事件はKGBとCIAがからむ案件でMI6は関与していない。MI6が『Dr.V.ワルター』事件をファイル化していることから、冷戦下の諜報活動がいかに活発だったかが窺われ、「史料」としても非常に価値の高い作品となっている。
ズキューン
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本作はゴルゴの愛銃が喪失するという、レアケースばかり話題になりますが、私は真の見所は別にあると考えています。
まず印象的なのは、ヒューム卿との信頼関係とゴルゴのビジネス感が描かれている点。「ゴルゴならばこんな行いはしない!」と断言するヒューム卿と、カーナビー殺害後、M16を現場に残すゴルゴの関係には、二人の間にあるビジネスパートナーとしての関係以上の信頼関係とプロフェッショナル精神を感じられて美しい。
そして私が個人的に感じるポイントとして、カーナビーを殺した銃弾は、ゴルゴ史上初の「救済の弾丸」になっているかもしれない、という点です。
ドラッグに溺れ、屈折したマザーコンプレックスから連続少女狙撃におよぶカーナビー。彼の「悲しみの負の連鎖」を断ち切ったゴルゴの弾丸は、後の作品に見られる「狙撃によってターゲット(依頼人)の過去のトラウマを終わらせる」という展開の萌芽とも言えるのではないでしょうか?
そんなの深読みし過ぎ!と言われそうですが…本作は「ゴルゴの愛銃喪失」という部分だけしか語られないのはもったいない気もするのもまた事実ではないでしょうか…。
深い読みですね。
>ビジネスパートナーとしての関係以上の信頼関係とプロフェッショナル精神
美しいです。ゴルゴ史上、最もゴルゴと精神敵に深く結びついていたのはヒュームでしょうね。
>「救済の弾丸」
>過去のトラウマを終わらせる
新たな問題提起、ありがとうございます。これは深い。ゴルゴの弾丸に仕留められた人物は、一様に大きな問題を抱えている。ゴルゴの弾丸がそれらを解決するのですが、ストーリーによっては『救済の弾丸』となる・・・。依頼人が自分自身の狙撃を依頼するストーリーは、パトリック三平さんがおっしゃるように救済の側面がありますね。