連日の猛暑ですが、暦上は、
もう立秋となります。
昔だったら、赤トンボなんか飛んで
秋の風情が見え始める頃ですが、今はそんな
風情もタイミングが変わってきました。
でも、秋の気配は気づかないうちに少しづつ
忍び寄ってきているはずです。
こんな四季の微妙な変化にも似た
音感を醸し出してくれていると個人的に
感じいる音楽を紹介しましょう。
それは、モーツァルト作のピアノソナタ12番。
彼自身が今風に言えば、ドラマの脚本を書き、
演出も受け持っていると感じるくらい
変化に富んだソナタなのです。
無風の蒸し暑い夏の日が突然、秋風の吹く
日へと変貌を遂げるように。
それくらい変幻自在さを感じる面白い曲です。
小規模ですが、”風雲急を告げる”連弾の音を
楽しめると思います。
平穏が急にかき消され、何か問題が起こったような
変化。かと思えば、また暫く平静がよみがえり、
また変化の訪れ。第1から第2へ、そして最終楽章へと
ドキドキは止まりません。
まさに、モーツァルトらしい波乱の多い人生
に似た曲なんです。
おそらくこの曲を弾くピアニストの方は、表現し尽くす
のに、とても苦労されると思いますが、聴いている側は
実に飽きずに聞け、魂を揺さぶられると思います。
モーツァルトらしさが出ている、名曲であり
難曲だと思います。
ショパンやラフマニノフの難曲とは、また違う
趣きや曲想がふんだんにあるのが興味深いところです。