「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・台場クヌギ

2010-11-20 | 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

「ぷらっとウオーク」                  情報プラットフォーム、No.192、9(2003)
{台場クヌギ}

菊炭 

  菊炭(きくずみ) 


  訪れてみたい場所がある。福知山線で川西池田駅で下車。5分歩いて、川西能勢口駅から能勢電鉄に乗り、終点の妙見口駅で降りる。妙見山ケーブルの下駅、上駅周辺が目的地である。日本の典型的な里山の景観が見られる。

京都に近く伝統の茶の湯と結びつく地の利を持ち、茶道文化に欠かせない美しい菊炭(きくずみ)という付加価値を付けている池田炭。だから今でも炭焼きが続けられ、里山も生き延びることが出来たのである。

 「大入道が突っ立って、両手を掲げたような奇妙な形の台場クヌギの存在である」、「地上部付近から伐採するのではなく、樹幹の1mから2m前後の高さの位置で伐採し、その切り口から萌芽枝を出させる方法である。10年経過すると、その側幹を切ることを繰り返す。主幹の部分は年々成長し、太くなっていく」とある。

この主幹の部分を台場(台公、だいこ)と呼んでいる。シカなどの食害を防ぐ方法でもあるし、下草刈りで誤って萌芽枝を切り取ることもないし、根張りが良いので再生産の周期も短い。

  「自然林の照葉樹林(コジイ林)、夏緑林(ブナ林)と里山(クヌギ林)を僅かな移動距離で見ることができる。炭焼き窯のすぐ横に生育している台場クヌギは池田炭の象徴である」とある。江戸時代からの歴史を持ち、生産の場として、持続的に管理していた典型的な例であろう。持続型社会、循環型社会の典型であるように思える。

  桟橋通りの街路樹が問題になった。高知の自然の一つであり、守るべき景観になって居るとも聞いた。しかし、看板が見えない、交通標識を見落としそうになった、落ち葉の掃除が大変だ、街路樹を切ってしまったなどなど、様々な報道がなされた。結局、散髪をして見通しが良くなった。台場クヌギはこのような格好だろうと想像している。

  追記すべきことがある。この里山では、植物・植生の多様性があり、カブトムシ、クワガタ、ギフチョウなど多様な昆虫の生息にも適している。小学1年生の孫を連れて行きたいと思っている。

    参考:「ふしぎの博物誌 動物・植物・地学の32話」河合雅雄編、中公新書1680(2003)

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

 高知県香美郡土佐山田町植718   Tel 0887-52-5154



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