「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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シベリアン・ハスキー

2010-11-24 | 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

「ぷらっとウオーク」                      情報プラットフォーム、No.219、12(2005)
{シベリアン・ハスキー}

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

 高知県香美郡土佐山田町植718   Tel 0887-52-5154

 

鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 目次 

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  夏の終わり頃から我が家に犬が居る。名前は「はな」。彼はポールに繋がれて、日陰で昼寝ばかりしている。来た人にもほとんど吠えない。体重は30キロを超えて堂々としており、人間に換算すれば傘寿(80才)を超える13才の高齢犬である。

でも極めて元気である。起床の気配を感じ取ると、帰宅する車の音を聞き分けると、散歩や食事の催促の遠吠えをする。朝、そして夕方の1時間ほどの一日2回の散歩が私たちの日課になっている。


  戦前・戦後の混乱期に大勢の子供を育てた母は「生き物は子供だけで沢山、犬や猫を飼うなどもってのほか」が口癖だった。だから、子供の時から犬や猫に触れる機会は全くなかった。本物の犬はとても恐ろしい存在だった。

 夏に差し掛かる頃から、家内は仕事を終えて、「はな」を散歩させるために、実家に行くことが多くなっていた。歳を重ねてきた彼女の父母にとって、一日二度のこの犬の散歩が難儀に成りつつあったのである。

私の「はな」との付合いの始まりである。リードの端を怖々と持っていた。始めの頃、右や左への方向転換や急停止・急発進など、予期しない彼の動作に対処できなかった。

私の「待て」、「よし」、「お座り」、「後ろ」などの命令に従うように、家内が仕向けてくれた。やがて、「はな」を我が家に連れてくることになった。私が犬に慣れてきたこと、「はな」が懐(なつ)いてくれたことが理由である。


  暑い夏のさなか、「はな」の家作りが始まった。「はな」の家は、玄関口を横から見通せるような、ダイニング・ルームの様子が感じ取れるような敷地の奥まったところに決まった。

当初の心配ごと、環境の変化に馴染むだろうか、ご近所に迷惑を掛けないだろうか、訪問者を驚かすことはないだろうか、お互いの生活が近すぎないだろうかなどは結果として思い過ごしであった。

問題はこちら側かも知れない。「『はな』はどうしてる」と気に掛かる。「狛犬さん『あ』のポーズ」、「いま、スフィンクスだよ」、「もう、涅槃に入っている」などが「はな」の様子を報告するときの定型文になっている。でも、部屋から直接に食べ物は与えないと決めている。実直にけじめを知っている彼を尊重するためである。


  短い秋を過ぎてもう冬になった今、朝晩ともに懐中電灯を持ち、リフレクターを付けての散歩になっている。冬場になって、そりを引くための作業犬らしさが際だって来るようだ。

スタコラサッサ、ホイサッサのような快速歩行が得意である。「待ってよ、『はなくん』。地球の匂い探査はしなくていいの。データの足りない部分ができるよ」と問いかける。でも一旦、クン、クンと探査が始まれば「おれは地球表面の全てを調べ尽くすのだ」と云わんばかりに頑として動かなくなる。


  十数年前の少女漫画「動物のお医者さん」がハスキー犬を有名にしたことを始めて知った。また、「はなくん」の性格はハスキー犬の特徴そのものであることも知った。

そして、そのブームのさなかに、当時高校生だった明日香のところに「はな」は貰われてきたのである。昨年、彼女は結婚して、祖父母の家を離れているが、休日には夫婦で散歩の手伝いに来てくれている。来年は戌年である。「はな」はとても可愛い。



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