極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギー革命ど真ん中 Ⅲ-Ⅰ

2017年10月15日 | 環境工学システム論

    

                                 
                    梁恵王篇 「仁とは何か」  /  孟子 
  
                                     

       ※ 暴君は主君ではない:宣王が孟子にたずねた。「湯王は桀王を追放し、武王
         は紂王を討伐したというが、本当であろうか」「そう伝えられております」
         「臣下でありながら、主君を殺していいものだろうか」「仁をそこなうこと
         を賊といい、義をそこなうことを残といいます。残であり賊であるような男、
         これはすでに主君ではなく、なみの人間にすぎません。なみの人間である紂
         を詠殺したという話は聞いたたことがありますが、主君を殺したという話は、
         いっこう聞き及びません」

         〈湯王〉 夏王朝に仕えていたが、桀王の暴政に反対してこれを打倒し、殷
              王朝を
開いた。
         〈武王〉 殷王朝に仕えていたが、紂王の暴政を打倒し、周王朝を開いた。
              この二人はともに儒家
の理想とする古代の聖王。

         【解説】 有名な湯武放伐論で、これが中国「革命」思想に根拠を与えるこ
         とになった。天子としての義務を果たさず、天下の人民に見放されたものは、
         もはや天子ではない。天命が革(あらだ)まったのだ。わが国で、『孟子』
         が「人臣たらん者の読むべき書にあらず」と危険思想あつかいされ、また
         「孟子の書を積んでくる船は途中で必ず遭難する」という言い伝えがあった
         というのも、この革兪思想がわが国の国体に合致せぬと考えられたために起
         こったものであろう。  
 

    No.85

● エネルギー革命ど真ん中 Ⅲ-Ⅰ


前回のバイオマスシリーズでの掲載洩れを補足しておく。

【バイオマス発電篇:最新特許事例】


❏ 特開2017-169505 植物廃材料分解用菌叢、植物廃材料分解方法及び発酵植物性オイル

 

バイオマスなどの植物廃材料を分解して発酵植物性オイルをつくる技術、植物廃材料分解用菌叢、植物廃
材料分解方法。

【概要】

木材の残材、切り屑、籾殻、サトウキビやテンサイの絞りかすなどの植物廃材料は、多くが焼却処分され、
一部がバイオマスとして再利用されているが、植物廃材料のバイオマスの再利用は、2種以上の木質分解
性菌を用いる木質分の分解方法が提供されていたが、植物廃材料は堅牢な高分子繊維のセルロース質を多
く含み、従来の木質分解性菌による分解方法では、分解(発酵)時間を要し、効率的に植物廃材料を分解
できない。このように、より短時間で植物廃材料を分解(発酵)可能な植物廃材料分解用菌叢と植物廃材
料分解方法の提供にあって、植物廃材料分解用菌叢が、木質分解性菌のクロノスタキス属と真性細菌のロ
ドコッカス属を使用する。クロノスタキス属が植物廃材料に含まれるセルロース質を分解することができ
るものであり、クロノスタキス属とロドコッカスとが菌叢(コンソーシア)を形成することによりセルロ
ース質を短時間で分解(発酵)することができるものとなる(下図/表参照)。

 

❏  特開2017-178810  メタノール合成システム  東京瓦斯株式会社

【概要】

メタノールは、これまで繊維、医薬品などの化学原料として用いられており、また、メタノール燃料電池、
バイオディーゼルなどに利用開発が行われ、今後も高い需要が見込まれている。現在工業的に行われてい
るメタノール製造方法は、天然ガス、液化石油ガスなど主成分として炭化水素を含むものを原料とした水
蒸気改質法により水素を製造し、その水素を用いてメタノールを合成する方法が主流。

まず、原料となる天然ガス及び液化石油ガス中には、主成分である炭化水素以外に窒素、二酸化炭素、塩
素分、硫黄分などが含まれているため、例えば、脱硫器に供給して硫黄分を除去する、あるいは、その他
分離手段を用いて他の不純物を除去して原料を精製する。不純物を除去した炭化水素にスチーム(水蒸気)
を加え、高温/触媒存在下で反応させて水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を取り出す。この過程は、吸熱
反応で外部から熱を供給――例えば、炭化水素の水蒸気改質は、700℃~800℃程度の高温条件下で
行う。

  C2n+2+nHO⇔nCO+(2n+1)H
  CO+HO⇔CO+H
  CO+3H⇔CH+H

合成ガスである水素、一酸化炭素及び二酸化炭素が圧縮され、触媒存在下で反応させてメタノールを合成
させる。またメタノールから水、高級アルコールなどの不純物を蒸留して除去し、一定濃度以上の高純度
のメタノールを得る。以上のような水蒸気改質を経由し、天然ガス、液化石油ガスなどの化石燃料からメ
タノールを製造する方法が普及しているが、製造工程にて二酸化炭素が排出されるという問題がある。そ
こで下図のように、二酸化炭素の排出が抑制されたメタノール合成システムの提供にあっては、再生可能
エネルギーを利用して発電する発電装置と、この発電装置での発電により生じた電力と再生可能エネルギ
ーに由来する熱エネルギーを供給、高温で水蒸気を電気分解して水素を生成する水蒸気電解装置と発電装
置での発電により生じた電力と再生可能エネルギーに由来する熱エネルギーが供給され、高温で二酸化炭
素を電気分解して一酸化炭素を生成する二酸化炭素電解装置とこの水蒸気電解装置にて生成された水素と
二酸化炭素電解装置で生成された一酸化炭素が供給され、メタノール合成を行うメタノール合成装置とを
備えるメタノール合成システムとする。


【符号の説明】

1  発電装置 2 水蒸気電解装置 3  工場 4 分離膜(分離手段) 5 二酸化炭素電解装置 6  
メタノール合成装置 10  メタノール合成システム

❏ 特開2017-184722  生成物阻害耐性および基質阻害耐性を有するβ-グルコシダーゼ
           それをコードする遺伝子  
国立研究開発法人産業技術総合研究所


【概要】

植物由来バイオマスはセルロースや、キシランやキシログルカンなどのヘミセルロースから成り、その効

率的利用は循環型社会の実現に重要である。 現在、植物由来バイオマスを単糖やオリゴ糖に分解する反
応(糖化)は、微生物が生産する糖質分解酵素を用いた酵素糖化により行われているが、一般に❶セルロ
ースは、セルラーゼを合成できる微生物(細菌、真菌、粘菌、原生動物、昆虫等)で分解され、❷セルラ
ーゼは、セルロースのβ-1,4-グルカン又はβ-D-グルコシド結合を加水分解して、セロオリゴ糖、
セロビオース及び/又はβ-D-グルコースを生成する酵素の総称であり、その作用形式により3つの型
に大別されている。すなわち、①エンドグルカナーゼ(EG;EC3.2.1.4)、②エキソグルカナーゼ(セロ
ビオハイドロラーゼ;CBH;EC3.2.1.91)、③及びβ-グルコシダーゼ(β-D-グルコシドグルハイドラー
ゼ;BG;EC3.2.1.21)である。エンドグルカナーゼは、主としてセルロース繊維の非結晶部分に作用して
セルロース糖鎖の内部を切断する(非特許文献3)。また、エキソグルカナーゼは、結晶性セルロースに
作用してセルロース糖鎖の末端を分解し、セロビオースを産生する(非特許文献4)。一方、β-グルコシ
ダーゼは、エンドグルカナーゼ及び/又はエキソグルカナーゼの作用によって生じたセロビオース及び/
またはセロオリゴ糖等から最終産物であるβ-D-グルコースを遊離させる働きをもつ。したがって、
ルロースの糖化には、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ及びβ-グルコシダーゼの3つの酵素の
存在とそれらの効率的な活性組み合わせにより、それらの酵素の活性が効率的に発揮されることが必要
されるが、

一方で、バイオマスの酵素糖化に関わる多くの酵素はその酵素反応の生成物や高濃度の基質によって酵素
反応が阻害される(生成物阻害と基質阻害)――エンドグルカナーゼやセロビオハイドロラーゼはその生
成物であるセロビオースにより阻害される――が知られている。その一方、β-グルコシダーゼは、この
のように、植物由来バイオマスを糖化する際に、エンドグルカナーゼやセロビオハイドロラーゼにより生
産されたセロビオースなどのセロオリゴ糖をグルコースに分解する重要な酵素であるが、その生成物であ
るグルコースによって劇的に阻害され(生成物阻害)、また、基質であるセロビオースが高濃度で存在す
る際も活性が低下する(基質阻害)ことが知られている。したがって、植物由来バイオマスの酵素糖化を
効率的におこなうためには、生成物阻害や基質阻害に耐性を持つ高機能なβ-グルコシダーゼが不可欠
なる。

以上理由から 高濃度の基質および/または生成物の存在下においても酵素活性を保持できる酵素、生成
物阻害耐性と基質阻害耐性のβ-グルコシダーゼの提供にあたっては。土壌由来メタゲノムライブラリー
からのスクリーニングによって得られたβ-グルコシダーゼであって、5mM以上のセロビオース存在下ま
たは50mM以上の高濃度のグルコースの存在下におけるβ-グルコシダーゼ活性およびフコシダーゼ活
性が、セロビオース非存在下もしくはグルコースの非存在下の夫々ににおけるβ-グルコシダーゼ活性お
よびフコシダーゼ活性と比較して100%を超えた相対活性をもつβ-グルコシダーゼが不可欠となる(
詳細、下図ダブクリ参照)。



【図1】MeBglD2の至適pH」の試験結果を示すグラフ
【図2】MeBglD2の至適温度」の試験結果を示すグラフ

❏ 特開2017-183249  燃料電池システム  本田技研工業株式会社


【概要】

従来、燃料ガスとして、改質ガスを使用する燃料電池システムがある。この改質ガスは、炭化水素を原燃
料に下記式(1)で示される水蒸気改質反応で得られるものや、下記式(2)で示される部分酸化反応で
得られるものが挙げられる。

    -CH-  +  HO    →  CO  +  2H    ・・・式(1)
    -CH-  +  1/2O  →  CO  +  H     ・・・式(2)

このような燃料電池システムにおいては、水蒸気改質反応よりも反応速度が速い部分酸化反応を使用する
改質ガス供給装置を備えるもののほうがガ
  ところが、比較的改質ガスに多く含まれるCO(一酸化炭素)
は、下記式(3)が示すように、炭素(C)を析出する。

    2CO⇔CO+C    ・・・式(3)

析出した炭素は、燃料電池スタック内でコーキング(炭素析出付着)生じる。そこで、改質ガスを供給す
る燃料電池スタック内での炭素析出を防止する燃料電池システムを提供することにある。ス処理効率に優
れる点で、燃料電池システムの小型化を図ることができる。そこで、下図のように、改質ガスを供給する
燃料電池スタック内での炭素析出を防止する燃料電池システムの提供にあっては。燃料電池システム10
Aが、炭化水素を含む原燃料を部分酸化して一酸化炭素と水素とを生成する部分酸化改質器22と、一酸
化炭素と水蒸気とをシフト反応させて二酸化炭素と水素とを生成するシフト反応器23と、この部分酸化
改質器22とシフト反応器23の少なくともいずれかで生成される水素と、酸化剤ガスとの電気化学的反
応により発電する燃料電池スタック20と、この燃料電池スタック20の排ガスに含まれる水蒸気をシフ
ト反応器23に供給する排ガス還流配管P6とで構成する。



※ その他関連特許事例

・特開2017-141451  バイオマスの加工方法 キシレコ インコーポレイテッド 2017年08月17日
・特開2017-136067  バイオマスの処理 ザイレコ,インコーポレイテッド 2017年08月10日
・特開2017-136016  エタノールの製造方法 新日鉄住金エンジニアリング株式会社 他 2017年08月10日 


  
上写真は、アスファルト-グラフェンナノリボンとリチウム正極(左)、同正極でリチウムを含まない(
右)の走査型電子顕微鏡画像を表示(
DOI: 10.1021/acsnano.7b05874 )。

【蓄電池篇:超高速充電アスファルト-リチウム金属電池

10月2日、ライス大学らの研究グループは、アスファルトナノリボン陽極がより効率的で、樹状突起に
抵抗性であることを見出す。市販のリチウムイオン電池よりも10~20倍速い大容量のリチウム金属電
池の秘密かもしれない。500回以上の充放電サイクル後に優れた安定性を示したアスファルト製の多孔
質炭素を含むアノードを開発。1平方センチメートル当たり20ミリアンペアの高電流密度は、高出力密
度を必要とする急速充放電装置で使用可能。この材料をで開発、市販のリチウムイオン電池よりも20倍
も高速に充電できる大容量のリチウム電池の開発に成功する。これらの電池の膨大な容量で、従来の蓄電
池の充電時間が2時間以上要していたが、この研究成果では5分でゼロ充ら完全充電できるとのこと。


Title:Ultrafast Charging High Capacity Asphalt–Lithium Metal Batteries, DOI: 10.1021/acsnano.7b05874, Publicati-
on Date (Web): September 27, 2017, Copyright © 2017 American Chemical Society

今回、アスファルトを導電性グラフェンナノリボンとの複合材料を電気化学的にリチウム金属で堆積被覆。
実験では、陽極と硫化炭素陰極を組み合わせて試作。この電池は、1ポンド当たり1,322ワットの高出
力密度と1キログラムあたり943ワット時間の高エネルギー密度を示す。また、実験のアスファルト由
来炭素では、
炭素はリチウムデンドライト――苔状沈着物が蓄電池のの電解質に侵入し伸長し、樹枝状結
晶生成を引き起こし、陽極と陰極を短絡させ、バッテリーの故障や発火・爆発させる危険性がある――を
抑制する効果も確認している。また、リチウム金属の理論的限界の漸近するが、新しいアスファルト由来
の炭素は単位面積当たりのリチウム金属をより多く吸収し、それは故、シンプルにで廉価となる。

 ● 今夜の寸評:後出しジャンケンとウインチェスタ家の呪い

倫理は(科学技術の)後からやってくるとは吉本隆明の言葉だが、大国である米国(あるいはロシアが)
が核兵器を廃絶(※その工程表を明示)と明言し核兵器はなくなるとも言明しているとおり、大国が「
後出しジャンケン」を止めればすむことである。それができないのは”哀しき移民銃社会”の呪縛が精
神に深くまっわりついているからだ。アメリカは広いから警察に通報してもすぐにやってこないからと
のコメントを耳にするが、日本の僻地でも同じことだが「銃規制」すればラスベガスのような事件は日
本でも起きない。これはアプリオルで自明である。

    

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エネルギー革命ど真ん中 Ⅲ | トップ | イエローストーンの地熱発電 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

環境工学システム論」カテゴリの最新記事