極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

東京五輪運営費1.6兆円

2016年09月30日 | 時事書評

 

 

           あまりうらやましがってもしょうがない。
           たまにうらやましがっているくらいで
           いいんじゃないかと思います。


                 008 人生/吉本隆明「ほんとうの考え」


                                                       
                        Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar,2012 

 Sep. 29, 2016


【RE100倶楽部:省エネパワー半導体技術】

● 次世代パワー半導体「酸化ガリウム」

26日のブログで、産総研の単結晶酸化ガリウムの「世界最高性能の半導体系トンネル磁
気抵抗素子」を掲載た翌日、今度は、宝石のサファイアでおなじみのコランダム構造酸化
ガリウム
α-Ga2O3)のパワー半導体の作製に、FLOSFIA社、藤田静雄教授・金子健太郎
京都大学助教のグループが成功したとの記事が目に止まる。商用化では後者が先行する。
周知の通り、酸化ガリウムは、次世代のパワー半導体材料として開発が進むSiC(シリコ
ンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)よりも、(1)高耐圧で(2)低損失なパワーデ
バイスを(2)安価に作製できる可能性があるとして注目を浴びる材料。同グループが手
掛けるのは、「コランダム」と呼ばれる結晶構造を備えた「α型」。今回、α型酸化ガリ
ウムと同じコランダム構造を備えた酸化イリジウム(Ir2O3)で、p型層を実現。これによ
り酸化ガリウムを適用したパワーMOSFETの作製が可能になる。

 

詳細は上図を「ダブクリ」して参照願うとして、材料の製造方法の「ミスト化学気相成(
Chemical Vapor Deposition)方式」に注目。この技術は高知工科大学の研究開発に由来する
もので、下図のように、ミスト CVD 法 霧(ミスト)状にした原材料溶液と加熱部を用
いて、簡便、安価、安全に酸化物半導体薄膜が作製――原材料溶液は、有機金属やハロゲ
ン化物など、反応の源になる「溶質」と、溶質を溶解させて液体状にするために用いられ
る水や有機 溶媒(メタノール、エタノールなど)などの「溶媒」と構成。従来の成膜法
と違い、真空装置が不要で装置コストが大幅に低くなり、また真空引きが不要で段取り時
間を短縮できるため1回の成膜プロセス時間が短縮され、生産性を大きく向上させるこ
が可能――できるように改良される。



このように単結晶であれ、コランダム構造であれ酸化ガリウムを用いたパワートランジス
タが、さまざまな電力変換器への応用、例えば、ACアダプタなどの商用電源、ロボット
の駆動回路、ハイブリッド車や電気自動車などの自動車、エアコ ンや冷蔵庫などの
白物
家電、太陽電池のパワーコンディショナなど、さまざまな電力変換器(回路)への
応用が
きる。特に、コランダム構造のミスCVD方式では、これらの電力変換器を小型化し、コ
ストを低減ができ、(1)電力変換器の小型化は、機器の種類に依存するものの、数10
分の1に及び、コスト低減の効果は電力変換器全体の50%に及ぶ(FLOSFIA社 試算)
という。このよう、に酸化ガリウムを用いたパワーデバイスは、オン損失およびスイッチ
ング損失の両面で低損失に加え、小型・低コストもを実現できる特徴をもつ。

※ 参考特許:特開2016-157879 結晶性酸化物半導体膜、半導体装置 


【符号の説明】

1 成膜装置  2a キャリアガス源  2b キャリアガス(希釈)源  3a 流量調節弁  3b 流量調節
弁  4 ミスト発生源  4a 原料溶液  4b 原料微粒子  4c 排気ガス  5 容器 5a 水  6 超音
波振動子  6a 電極  6b 圧電体素子  6c 電極  6d 弾性体  6e 支持体  7 成膜室  8 ホ
ットプレート 9 供給管 10 基板 11 排気ファン 16 発振器 17 排気管

半導体物性評価装置

 

【折々の読書 齢は歳々にたかく、栖は折々にせばし】   

   Jun. 26, 2016

● 朝日新聞「迫る2025ショック取材班」

          
『日本で老いて死ぬということ』1
      


高齢者問題とは、障害者問題でもある――吉本隆明の言葉を借りとこのようになる。つま
り、超高
齢化社会は、超障害化社会となる。「長生不死」という欲望は、地球環境を破壊
しても宇宙に飛び
出そうするような果てしない欲望でもあり、現代では、"
強欲"と言わな
いまでも"平均的な日本人の欲望"になっているのかもしれない。その反面、自分一人のた
めに他者(家族を含め)に迷惑を掛けたくないという欲望と、どのように折り合いをつけ
て行けばいいのか?そんなことが、この本のタイトルをみて頭に浮んできた。



日本の成長を支えた大都市近郊の神奈川、埼玉、千葉などのベッドタウンで急激な高齢化
が進んでいる。高齢化率4割はもはや地方のことではない。団塊の世代が75歳以上にな
る2025年に向けて、医療や介護のかたちも大きく変わろうとしている。そういう地域
で今、何が起きているのか。医療や介護を上手に使うためにはどうしたらいいのか。3年
間にわたり、神奈川県を舞台に医療・介護の現場を取材してきたドキメントを参考に考え
てみたい。  





   [目次]
  
   はじめに
 

   第1部 日本で老いて死ぬということ

  第1章 生きがいの喪失と回復
  第2章 難しい「平穏な在宅死」
  第3章 口から食べたい
  

  第2部 介護の現実~在宅・施設それぞれのリアル

   第4章 三人介護
  第5章 遠距離介護
  第6章 ダブルケア
  第7章 虐待を防ぐ
  第8章 在宅でみる 
  第9章 訪問看護師の力
  第10章 特養で看取る


  第3部 老いは地域社会で見守れるか

  第11章 地域で暮らす
  第12章 コミュニティ再生
  最終章 未来へつなぐ

  おわりに



   はじめに

  みなさん、「2025年問題一という言葉をご存じでしょうか。約650万人いる
 「団塊の回代」(1947~49年生まれ)がすべて75歳以上になり、特に都市部で医
 療・介護の提供体制が迫いつかなくなる問題のことです。2020年の東京五輪・パ
 ラリンピックが終わると、もう5年後に遣る喫緊の課題なのです。
  厚生労働省が出した推計で、衝撃的な数字があります。今後死亡者数が急増し、2
 030年には約47万人が、いわば「死に場所難民」になる可能性がある、というの
 で
す。現在は死亡場所の75%が病院ですが、そのベッドが圧倒的に足りなくなるため
 で
す。

  あるベテラン在宅医は、そのときの状況をこう表現します。「高齢者の看取りのた
 め
に救急病院に長い列ができて、救急医療も破綻する」。自宅や介護施設での看取り
 を大
きく増やさなければ、その状況はあながち絵空事とは言えません。
  厚生労働省によると、全国の75歳以上の高齢者は、2025年までに2010年比
 で760万人増え、2179万人になります,75歳以Lの人口割今は11%から18
 %
に増えます。65歳以上の認知症高齢者は、全国で2010年の280万人から47
 0
万人に、独り暮らしの高齢世帯も、498万獣帯から701万世帯に一気に増えま
 
す。これまで高齢化の問題といえば、その「進展の速さ」の問題でしたが、これから
 
は「人数の多さ」の問題となります。
 

  その高齢者の増加分の約半数は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、愛知といった
 大都市部の6部府県に集中しています。
  例えば、人口912万人の神奈川県の場合でみてみると-。75歳以上の人口は、2
 010年に79万4000人だったのが、2025年までに69万人余も増えて148万
 5000人になるとみられています。2025年の神奈川では、実に6人に1人が7
 5歳以上になる計算です。介護してくれる家族のいない高齢者も増えていきます。神
 奈川では、65歳以上の独り暮らしの世帯は2010年には31万6000世帯だったの
 が、2025年には49万1000獣帯に増えます。65歳以上全体の約35%にあたりま
 す。夫婦のみの「老老世帯」をあわせると、68%にもなります。認知症の高齢者も2
 010年の17万3000人から、2025年には29万6000大に増える見込みです。
 65歳以上の8人にI人が認知症ということになります。

  こうした状況に対応するには、自宅を定期的に訪問し患者を診る「在宅医」や訪問
 看護師らを増やすと同時に、グループホームなど地域に密着した介護サービスを充実
 させていかないと立ちゆきません。厚生労働省も、これまでの「病院完結型一から「
 地域完結型]への転換を目指しています。病院で最期を迎えるのではなく、住み慣れ
 た地域で在宅医療や介護、生活支援などを一体的に提供し、いずれ最期を迎える仕組
 みを整えようとしています,ただ、その取り組みは地域によって、大きな差がありま
 す。行政や医師会などの「やる気」によって、大きく異なります。

  以上述べてきた「超高齢化」の問題に危機感をもった朝日新聞横浜総局では特別取
 材班を立ち上げ、2013年11月から神奈川版で「迫る2025ショック」という
 長明連載を始めました。終了までの2年半に書いた記事は、160本近くになりまし
 た。主に高齢者医療・介護の実態や、在宅医や訪問看護師、介護職員らが解決に取り
 組む姿などを、現場に密着して取材し、記事にしてきました。取材にご協カ罰いた方
 々は、100人を超えました。特に看取りの現場に密着させて頂いたり、その時の状
 況を詳しくお話し頂いたりした患者・家族の方々に、深く感謝いたします。連載記事
 には、読者の方からも多くの反響があり、関心の高さがうかがえました,

  本書は、この連載などを加筆・修正し、再構成したものです。第1部「日本で老い
 て死ぬということ」では、長くなる老後に伴い増えるうつや、生きがいの大切さ、「
 平穏な在宅死」を迎えることの難しさなどについて述べています。また、口から食べ
 られなくなったとき、「胃ろう」をつけるかどうか悩む家族たちの話も出てきます。

  第2部「介護の現実I在宅・施設それぞれのリアル」では、妻と両親を同時期に介
 護する男性の体験や、子育てと親の介護が重なる「ダブルケア」の現実などを、詳し
 く描写しています。同時に、在宅医や訪問看護師らが果たす様々な役割、特別養護老
 人ホームでの看取りの取り組みなどについても取り上げます。

  そして第3部「老いは地域社会で見守れるか」では、こうした厳しい現実を支える
 クリニックや自治体、地域のキーパーソンたちの動きをまとめました,

  全休として、日本社会で起きている老後の現実問題、2025年以降に起きてくる
 問題、それらに対する先進的な取り組みを、神奈川県での取材事例をケーススタディ
 -として、わかりやすく伝えるのが本河の目的です。
   2025年はすぐそこに追っています。コ死」は、だれにでも平等に訪れます。
 今から「備え」
を考えておく必要があります。本書が、少しでもそのヒントになれば
 幸いです。

  なお、原則として本文に出てくる方の年齢や肩書などは新聞掲載当時のものです。

           朝日新聞「迫る2025ショック取材班」キャップ 佐藤 陽 

                                                                この項つづく

 朝日新聞 朝刊 2016.09.30 

● 謎の東京五輪運営費1.6兆円

 2020年東京五輪・パラリンピックの開催費用などを検証する東京都の調査チームによ
る報告書が29日、小池百合子都知事に渡された。報告書は大会経費が3兆円を超す可能
性を指摘し、ボート・カヌー会場など恒久3施設の建設見直しに言及した。小池知事が調
査チームの提言を受け入れ、会場計画の変更を決断し
た場合は、大会組織委員会を通じて
各国際競技団体との再調整が必要となる(朝日新聞 2016.09.30)。


それによると、都政改革本部(本部長)小池知事)の調査チームを統括する上山信一・慶
応大教授によると、総費用の見積もりは12年ロンドン五輪の実績を参考にした。施設整
備費7640億円に加え、輸送やセキュリティーなどソフト面に最大で1兆6千億円かか
ると推計。「関係団体の予算管理の甘さや組織統治の欠如から推計される経費」を上乗せ
すると、「3兆円を超す可能性がある」と踏み込んだ。都がすでに整備を始めている海の
森水上競技湯(ボート・カヌー)、アクアティクスセンター(水泳)、有明アリーナ(バ
レーボール)の3施設については、大会後の活用方法などが十分に議論されていないこと
から、見直しを求めた。

この提言に対し、国内の各競技団体は「計画通りに完成するよう要望する」などの声明を
発表し、反発。組織委の森喜朗会長はIOC(国際オリンピック委員会)の理事会、総会
で決まったものをひっくり返すのは極めて難しい」と苦言を呈した。小池知事は早ければ
カ月をめどに方向性を定める方針だ。10月後半にトーマス・バッハIOC会長が来
する予定で、知事が事情を説明する可能性もある。小池知事はこの日、米ボストンやロー
マなどの大都市が24年夏季五輪の招致活動から撤退した事例をあげ、「五輪そのものの
持続可能性が危ぶまれている。その意味でも、我々の判断は重要
になる」と経費圧縮に意
欲を示した。調査チームの「3兆円超」の積算根拠にはあいまいな点も残るが、組織委が
チケット販売やスポンサーの協賛金などで見込む収入は5千億円程度にとどまる。それを
超えてかかる経費は、都や国が負担することになるという。 

● テロ対策、ソフト経費膨張?


さらに、立候補時点で7千億円強と見込まれていた総費用がなぜ、「3兆円超」に膨らむ
のか。組織委の中村英正・企画財務局長は29日の記者会見で、さまざまな制約について
説明。まず、会場の建築工事については、本体工事部分だけを概算し、周辺の整備、設計
などは計上していない。現在、491億円にまで膨らんだボート・カヌー会場が当初69
億円と見積もられたのはその一例だ。また、招致レースを戦う上でライバル都市より突出
した予算を見込むと市民から「無駄遣い」などの批判を浴びて支持率に影響しかねない。
だから低めに設定されるのが招致の際の「常識」だという。

最も膨らむ要素は、施設整備費以外のテロ対策公共交通輸送などの経費について、招致
時には細部まで検討していないためだ。都の調査チームは、施設整備などのハード費用を
約7700億円とし、輸送や警備などの「ソフト経費」をロンドン五輪から推計して、最
大1兆6千億円と見積もった。東京は過去最高の競技種目数となり参加者も増える。さら
にロンドン以上に人口が過密で競技会場のエリアが広く、輸送や警備が難しい。地震対策
や暑さ対策にも費用がかかるとみる。都の担当者は「ロンドンより経費が減る要素は見当
たらない」。

一方、大会組織委の森喜朗会長は「テロ対策などは国の権威の問題」と話し、五輪の経費
として算入すること自体に否定的な見解を示した。国や都、大会組織委は現在、実務者レ
ベルでソフト面の協議を進めているが、三者の役割分担や経費はまだ決まっていないとい
う。

この記事で驚くのは「テロ対策」「公共交通輸送」の勘定科目の金額の大きさ。人件費換
算として、1.6兆円÷2万円/人/日(8時間労働/日)
×1.5(管理費などの諸経費)
5,300万人(1年あたりの投入人員数換算で約15万人/年→五輪終了の4年間
約4万人が専任
で張り付く格好となる)、つまり、
日本の全人口の約半分の延べ5千3百
万人が投入される。勿論、ハードな勘定科目は含まれていないので、オーバーカウントさ
れることは考慮しなければならないが。さらにわからないのが「公共交通輸送」の勘定科
目対象がわからない(ゲストの送迎費?外国人用カイド関連費?交通遮断補償費?まで含
まれる?)。前回の東京五輪の警護費の何倍程度のテロ対策費なのか?わからないことば
かりだ。それにしても、物騒な世界を放置して五輪を行う意味が日本人に問われるような
膨大な金額のようである。それからもうひとつ、当初見積産額との乖離は、IOCからの
「財政圧迫回避要請」対策によ
る、過少見積提出しなけばならない背景圧力があったとも
聞く。それにしても想像を遙かに超える金額になる謎に興味が尽きず、これは面白い。

 

 

 

【ルームランニング記 Ⅴ】

こうみえても、朝は結構忙しく、洗面、神棚に拝礼、般若心経を唱え、朝食、ホームペー
ジ更新、腕立て伏せ、ストレッチ、ルームウォーキング(録画ビデオのチェック――英会
話、中国語、登山、トレッキングなど)、そして、調査研究などの作業に入るのがルーチ
ン。ところが、毎日はすべてこなせない。忘れる。それでも、腕立て伏せは欠かさないよ
うにしている。もともと、頸腕の持病をもちハードな回数はこなせないので寝起きに10
回程度繰り返すだけ。それでも、不思議なもので、気力がわいてくることに気がつく。肉
体改造などやるような柄でないが、最近までやっていた水泳が総合計時間で一番長い。今
度は本気だ?!

  ● 今夜の一枚

Earth Just Permanently Passed Climate Threshold

 

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