極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

阿古屋貝とフィッシャー博士の贈り物

2010年04月15日 | 時事書評

長しえに 添えぬが人の 恋なれど 吾がどーぱみん 止むを知らずか  
 

 Helen Fisher

【恋愛遺伝子の不思議】



脳内活動の観測が盛んだ。<唯脳論>が流行る
時代の背景に『デジタル革命』の技術手法が
あることに疑いを差し挟むものはいない。

Ringvinger.jpg 

1945年生まれ、米国ニューヨーク大学を卒業。
自然人類学を専攻し、コロラド大学で修士、
博士号を取得。ニューヨーク自然史博物館で
人類学部門の研究員を経て、現在はラトガー
ス大学で研究を続ける。2004年に上梓した
「Why We Love」(邦題は「人はなぜ恋に落ち
るのか?」、ソニーマガジンズ)が世界的な
ベストセラーになった。最近は、米マッチ・
ドットコムのチーフ・サイエンス・アドバイ
ザーも務めるヘレン・フィッシャー博士とき
ょうネットで知ることになる。



インターネットの登場は、恋愛における脳の
反応を変えたのか。博士の答えは「ノー」だ。
脳の機能が変わる速度は百年単位、千年単位
と遅く、ネットの影響はまだない。そもそも
脳は、5歳~8歳ごろまでに、無意識のうちに
自身の理想的な恋人のイメージを築き上げる。
異性に関して、好みの性格や態度、人相、体
つきなどをまとめた「愛の地図」が大脳生理
的に描かれるわけで、道端のすれ違いざまで
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サー
ビス
)での出会いでも、ひと目ぼれする相手
は変わらないと博士は考えると言う(「PC
online
」)。

Old Queens Rutgers.jpg

博士の理論では、人によって脳が多く分泌す
る化学物質は違い、種類によって性格を4タ
イプに分類できる。タイプごとに相性の良い
タイプも大まかに決まるという。そして「私
の見立てでは、ビル・ゲイツ氏やスティーブ・
ジョブズ氏は、テストストロンを多く分泌す
る「指導型」。テストストロンは薬指を長く
成長させる特性がある。彼らの薬指は人差し
指より長いのではないか」。ぜひ一度見てみ
たいと、第一線の人類学者は目を輝かせなが
ら語ったとある。




しかしながら、5歳~8歳ごろまでに、無意識
に理想的な恋人のイメージを築き上げる論拠
とか、脳の機能が変わる速度は百年単位、千
年単位という論拠も、はたまた、テストスト
ロン分泌が多いと「指導型」で薬指長いとい
う論拠もわたしは知らない。

Image

人間の脳内には4つの化学物質があり、その
中でもっとも多い物質がその人の性格を左右
する。ヘレン・フィッシャーは主要な脳内物
質を基に、4つの性格タイプを定義。脳内に
多く含む物質が(1)ドーパミンであれば、
エネルギッシュで創造性に富み、前向き。 目
新しいもの、リスクや楽しみを求め、知的好
奇心が強く、人の意見にあまり左右されなく
相性の良いタイプは冒険型であるという(わ
たしの性格はこれに最も近いが)。 
 
Helen Fisher presenting at TED




(2)次に、 脳内に多く含む物質がセロトニ
ンが多い場合、とても人気者で、家庭や家族
に深い愛着があり、落ち着きがあり、あまり
思い悩みまなくて、誠実でしっかりした性格
で大切なものを守ろうとする。相性の良いタ
イプ:建設型という。

Dopamine-3d-CPK.png

また、(3)エストロゲンが多いと、全体像
を考え、長期的な計画を立てたり全員の意見
をまとめることに優れ本質を見抜く力があり、
柔軟性があり、言語的感覚に優れ、社交的で
想像力と思いやり、面倒見がよく、相性の良
いタイプが指導型だという。



最後に、(4) 脳内に多く含む物質がテスト
ステロン型は、大胆で独創的、率直で発想が
豊かで、既成の概念にとらわれない。抽象的
な思考や短期的な計画を立てるのが得意で、
主張が強く、競争心があり。意志が強く有能
で、相性の良いタイプは交渉型だという。



フィッシャー理論によると、恋は18ヶ月から
3年しかもたない。ヒトの子は、3~4歳に
なるとつききりの親の世話がなくても生きて
いけるようになる。男と女のきずなは、子の
成長が一段落するまでの期間限定仕様で、狩
猟採集社会では、出産は4年ごとに起きる。
恋はこの間だけは保たれるように進化した可
能性がある。そしてまた次の相手を捜し、遺
伝的に多様な子孫を残したのかもしれないと
提起する。

Testosterone structure.png


いま新たな男女差が次々と見つかっている。
特に、脳は性ホルモンなどの影響で性差が生
まれていることが最近になってはっきりして
きたという。それは、同じことをしていても
両者が使っている脳の分野は異なっている。
脳が違うのは「男女それぞれで得意なことが
違う」という。その理由は、延命、種の保存
という防衛本能による。「ともに生き延びる
」ためである。長い、長い狩猟採集時代、ヒ
トの祖先はいつも飢えとの戦いのなかにあり
役割分担をして食糧を確保する生存戦略を採
ったためだという。



性染色体がXXなら女、XYなら男。1億7
千万年前に獲得したこの性システムのおかげ
で脈々と受け継いできた。ところが、このシ
ステムが揺らいでいる。じつは男をつくるY
染色体は滅びつつあり、「数百万年以内には
消滅する」という。なかには、来週になって
消えても不思議ではないとする意見もある。



「遺伝子できちんとオス・メスを決め、両者
がそろって初めて子孫をつくる」というのは、
私たちほ乳類が独自に獲得した方法。ほかの
生物はメスだけで子孫を残せる仕組みを持ち
ほ乳類独自のシステムが長くほ乳類の繁栄を
支えた一方、いよいよその寿命が尽きようと
しているのだという。さらに人間の場合、Y
染色体を運ぶ精子の劣化も著しい。これは生
物学的に一夫一婦制が長くなった影響だとい
う(NHKスペシャル「女と男~最新科学が読み
解く性
」)。なるほどと思う反面、急激な環
境変化に対する考察も欲しかったと思いつつ
本日はここまで。
                                            


【Intermission】

beck86 Bump of Chicken 「カルマ」

beck84 Bump of Chicken 「魔法の料理~君から君~」


White pearl necklace.jpg

【阿古屋貝の魅力】

アコヤガイ(学名、 Pinctada fucata martensii)は、ウ
グイスガイ目 ウグイスガイ科に分類される二
枚貝の一種。真珠養殖に利用される「真珠母
貝」の一つで、「真珠貝」という別名もよく
知られている。殻長10cmほど。貝殻は平たい
半円形で、中央部は厚いが縁は層状になって
おり、薄く剥がれる。貝殻の外側は緑黒色か
緑白色だが、内側は強い真珠光沢がある。太
平洋とインド洋の熱帯・亜熱帯の海に広く分
布し、日本でも房総半島以南に分布する。干
潮線帯から水深20mくらいまでの岩礁に生息し
青い光沢のある足糸を出して、岩石に自分の
体を固定して生活する。



愛媛県の宇和海、長崎県の大村湾、三重県の
英虞湾などで養殖されている。ほかにも、西
日本各地の透明度の高い内湾でアコヤガイを
利用した真珠養殖が行われている。貝殻の内
側に異物が混入すると異物に対し真珠層を巻
くので、真珠の養殖に使用されている。 真珠
の核は、別の貝の貝殻を真円状に加工したも
のを核としている。



貝柱は曲玉形をしており食用にされ、真珠を
取り出す際に別に採取する。食材としては串
焼き、天ぷら、茶碗蒸しなどに使用されるが、
古くは日干ししていたという。真珠は装飾、
食品、医薬品に利用させる貴重な魚介類だが
装飾と医薬開発に力を入れることにより、食
品用途も広がるという魅力を阿古屋貝はもっ
て海で輝いている。

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