極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

沸騰大変動時代(四十五)

2024年05月27日 | 政策論

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)
と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。

【わたしの経済論⑤:為替と円安】





第3章 海を渡りつつ、悪例になるな
国際金融のトリレンマ」に見る中国のジレンマ
14年、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)を設立した。中国 

の目的は、AIIB経由で資金を発展途上国に供給して、安い資金調
達で経済成長させることで、南アジアからアフリカの東海岸までに通
じる海上ルートを押さえるという「帯一路政策」にある



がって、発展途上国はADBを通じて、低金利の融資などを受けて、
そのお金を自国の開発に回すことができるのだ。
しかし、中国は資本取引を規制しているからそうはならない。これは

共産主義ならどの国も同じだ。中国がバックのAIIBは、かなり割
高の資金調達になる。
そういうメカニズムがあるから、筆者は当時の安倍首相に「中国は日

本にもAIIBに参加してほしいと必ず要望してくる」と伝えていた。
米国は無理にしても、日本さえ巻き込んで参加させれば、資金調達が
最も低コストになる可能性が出てくるからだ。
そのため、さらに筆者は「AIIBは人民元で貸し出すから、それを

してしまうと日本としては敵に塩を送るような結果になる。だから絶
対に出資に加わってはダメだ」とも伝えた。そうしたら、安倍首相は「
民間は関与するけど政府は関与しない」というぎりぎりのところで踏
みとどまった。
結果的に米国も参加せず、ヨーロッパではイタリアが少し参加したが、

メジャーな出資国ではないし、あの程度では調達コストは全く低くな
らない。
AIIBは中国の割高なコストで資金調達して途上国に貸し出すから、

どうしても高金利になってしまう。高金利でお金を借りた途上国は、
にっちもさっちもいかなくなって変
122

そのため、さらに筆者は「AIIBは人民元で貸し出すから、それを
してしまうと日本としては敵に塩を送るような結果になる。だから絶
がって、発展途上国はADBを通じて、低金利の融資などを受けて、

そのお金を自国の開発に回すことができるのだ。
しかし、中国は資本取引を規制しているからそうはならない。これは

共産主義ならどの国も同じだ。中国がバックのAIIBは、かなり割
高の資金調達になる。
そういうメカニズムがあるから、筆者は当時の安倍首相に「中国は日

本にもAIIBに参加してほしいと必ず要望してくる」と伝えていた.
米国は無理にしても、日本さえ巻き込んで参加させれば、資金調達
最も低コストになる可能性が出てくるからだ。
そのため、さらに筆者は「AIIBは人民元で貸し出すから、それを

してしまうと日本としては敵に塩を送るような結果になる。だから絶
対に出資に加わってはダメだ」とも伝えた。そうしたら、安倍首相は「
民間は関与するけど政府は関与しない」というぎりぎりのところで踏
みとどまった。
結果的に米国も参加せず、ヨーロッパではイタリアが少し参加したが

メジャーな出資国ではないし、あの程度では調達コストは全く低く
らない。
AIIBは中国の割高なコストで資金調達して途上国に貸し出すから、

どうしても高金利になってしまう。高金利でお金を借りた途上国は、
にっちもさっちもいかなくなって変
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つまり短期的にみると、日本円よりも人民元のほうがより使われやす

くなっていた。そういうミクロの話なのだが、では国際通貨で人民元
が日本円の地位を追い抜いたかというと、それは全く違う。
国際決済シェアが逆転したのは、近年で数回のことだし、長期的に人

民元が日本円よりも使われ続けるとも思えない。むしろ、人民元は貿 
易量が多い割にあまり使われていない通貨ともいる。世界中が人民元
を当てにしていないことの表れだし、取引でへ夕に人民元を渡されて
も、受けとったほうは困ってしまうというのが<
昔はユーロがなく、日本円が強いときには一時ポンドを抜いたことも

あったが、ユーロができて圧倒的に強くなったことで全く敵わった。
EUの域内は国際貿易となり、すべてユーロで決済されているから、
圧倒的にユーロが有利だ。というより、EUはユーロしか使わない。
アジアでの決済でユーロを使うことはまずないから、ユーロを上回れ
るのはドルしかない。言い換えれば、ドル以外は国際通貨ではなく、
ローカルカレンシー(流動性がほとんどなく他国の通貨と自由に交換
できない通貨)ということだ。
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先日の共産党大会でも、この政策は順調に進んでいると主張していた。
この背景については「国際金融のトリレンマ」というもので説明でき
る。「自由な資本移動」「固定相場制」「独立した金融政策」は、ど
の国も三つともすべてほしいものだが、国際金融政策においてこれら
は同時に実現できない。それが国際金融のトリレンマだ。普通の国な
ら、だいたい自由な資本移動と独立した金融政策を獲得している。自
由な資本移動をすると資本取引が盛んになり、その上で独自の金融政
策をすれば為替も動くため、固定相規制にはならない。だから三つ同
時には実現できない。
だが、自由な資本移動と独立した金融政策の二つがあれば、いつでも
一番安い資本を人手して国内雇用を確保することができる。そのため、
普通の国ならその二つを確保することに重点を置く。
では中国はどうなっているのか。これは国際金融のトリレンマだけで
はなく、共産主義という国家体制も関係してくる。
自由な資本移動は先進国、民主主義国家ではだいたいなされているが、
これは端的にいうと国内企業や国土への投資を認めるということだ。
そういう国家では企業や土地の売買が自由にできるようになる。
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だからドルでの決済を止めたら、大変なことになる。米国の最後の手
段はそれで、何らかの制裁措置をするときに「ドルでの取引を止める」
というのが二番強い。ドル取引を止められたら、ほとんどの企業がア
ウトになる。
中国は「人民元を基軸通貨にしたい」という野望はあるだろうが、基
軸通貨というのはいろんな要因で決まってくる。
それにほとんどの国は、デジタル人民元みたいなかたちで、財布の中
身をすべてのぞくような国の通貨では取引したがらないだろう。
ちなみに国際決済シェアが上がっても、特段のメリットはない。シェ
アの上下は貿易量や為替の結果にしかすぎないからだ。
こういうことで「中国がすごくなった」と古くのは日経新聞のオハコ
だが、そういう論調に惑わされてはいけない。
米国の輸出規制で中国は最先端半導体が作れない 22年12月、半導体
の輸出規制を敷く米国に対して、中国がWTOに提訴したという報道
がなされた。
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だからドルでの決済を止めたら、大変なことになる。米国の最後の手
段はそれで、何らかの制裁措置をするときに「ドルでの取引を止める
」というのが二番強い。ドル取引を止められたら、ほとんどの企業が
アウトになる。
中国は「人民元を基軸通貨にしたい」という野望はあるだろうが、基
軸通貨というのはいろんな要因で決まってくる。
それにほとんどの国は、デジタル人民元みたいなかたちで、財布の中
身をすべてのぞくような国の通貨では取引したがらないだろう。
ちなみに国際決済シェアが上がっても、特段のメリットはない。シェ
アの上下は貿易量や為替の結果にしかすぎないからだ。
こういうことで「中国がすごくなった」と古くのは日経新聞のオハコ
だが、そういう論調に惑わされてはいけない。
米国の輸出規制で中国は最先端半導体が作れない
22年12月、半導体の輸出規制を敷く米国に対して、中国がWTOに提
訴したという報道がなされた。
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【脚注】
1.帯一路政策(Belt and Road Initiative):
 
  中華人民共和国(以下、中国)が2017年から推進し続けている、中国
 と中央アジア・中東・ヨーロッパ・アフリカにかけての広域経済圏の
 構想・計画・宣伝などの総称。 習近平総書記が2013年9月7日、カザフ 
スタンのナザルバエフ大学における演説で「シルクロード経済ベルト 
」構築を提案したことに始まり、翌2014年11月10日に中国北京市で開   
催されたアジア太平洋経   協力(APEC)首脳会議で習総書記が提唱した。
中国からユーラシア大 陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の「シル
クロード経済ベルト」( 一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、南ア
ジア、アラビア半島、ア フリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロ
ード」(一路)の二つ の地域で、インフラストラクチャー整備、貿易促
進、資金の往来を促 進する計画。(via WikipadiA)  


  
    



    
    

    
    

    
    


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