極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

沸騰大変動時代(四十二)

2024年05月25日 | 政策論

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国
時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編のこと)
と兜(かぶと)を合体させて生まれたキラクタ「ひこにゃん」。

【わたしの経済論②:為替と円安】

  空気や水じゃあるまいに、貨幣は言語のようになくならないし、
  市場はパンが溢れて、サーカスのように賑やかだ。
  世界が資本主義に浸っているままだなんて!
  けれども為替が何か作ったか? 銀行が何の役に立っている?
  ファウスト博士は誑かされたのだ。
   勝ち組がいばるのも、経済学がリクツ言うのもシャラクせい。


                 『松岡正剛 資本主義問題


           
歴史との対話: お金の隆盛,ニーアル・ファーガソン
対談ホストのハリー・クライスラーは、ハーバード大学の歴史家ナイ
ル・ファーガソンを迎え、彼の新著『The Ascent of Money: A Financial 
History of the World』についてのディスカッションを行う。ファーガソ
ン氏は、生物科学から得た洞察をもとに、保険、銀行、債券市場に焦
点を当てた金融の台頭と進化について説明する。

第1章 マネーの力
マネーとは一体なんなのか。なぜマネーは自分自身を増やすのか。な
ぜ銀行や債券や保険がマネーの代行をするのか。ゲーテはファウスト
博士に託して、金の魔術的本質を暴き、ジンメルは貨幣の無性格性が
人間の欲望を駆り立てることを見抜いた。人間とマネーの悪魔的関係
は、断ち切れるのか。


  

第3章 海を渡りつつ、悪例になるな

なんかようわからんよになった(「表現の自由が担保されている社会
とは到底思えないことが行われているのでは?」)。とはいえ、LD
(ラスト・ディケイド)を貫徹する。
さて、今回は基本的なことを確認して持論展開の意味を確認したい。


❏ 為替行為とはなにか
さて、為替(かわせ、Money order)は、為替手形や小切手、郵便為
替、振込など、現金以外の方法によって、貨幣を決済する方法の総
であるという。遠隔地への送金手段として、現金を直接送付する
場合のリスク回避のために用いられる。特に輸出入をする際に用いら
れ➲遠隔地への送金手段として、現金を直接送付する場合のリスク
回避のために用いられる。特に輸出入をする際に用いられる。
為替は、内国為替外国為替の2種類に区別される。
内国為替とは、金融機関が、国内の遠隔地で行われる債権・債務の決
済を、現金の移送を行わずに決済する方法である。
外国為替とは、通貨を異にする国際間の貸借関係を、現金を直接輸送
することなく、為替手形や送金小切手などの信用手段によって決済す
る方法である。 
為替は、本来商取引に伴う貨幣運搬のリスクと流通経費の発生が生じ
る事があるため手形等で取引をするものである。この関係の発生の仕
組みを代金受け取り(あるいは相殺する)権利の売買と看做すか、一
定期日に返済を行うことを前提とする一種の利子(為替の売買の際に
発生する差益が利息であるとする)を伴う信用貸付であるのかが中世
以来ずっと議論されてきた。利息を伴った貸付を禁じる一方で為替の
運用で資金の安定供給を得ていた教皇庁の立場の影響を受けているヨ
ーロッパ大陸では前者を支持する意見が強く、宗教改革や重商主義で
これらの国々と競ってきたイギリスでは後者の意見が強い。この論争
はマルクス経済学の影響で日本にも伝えられ、戦後のマルクス経済学
者間でも論争が行われた。

歴史的経緯
古代バビロニアや古代エジプト、8世紀のイスラム帝国にも為替手形
は存在したという説もあるが、今日の為替の仕組みに直接繋がる可能
性は低く、たとえ実在するとしても起源とするのには不適切だとする
のが一般的である。例えば古代エジプトでは、穀物を倉庫に預けた「
預かり証」が有価証券として流通するシステムが存在したが、これは
古代ローマの支配により貨幣の流通が一般的になったがために断絶し
てしまい、現在の為替とは直接繋がらない。また中国大陸でも唐代に
預かり手形として交子が生まれるが、やがて兌換紙幣、そして不換紙
幣へと変遷し、為替というよりは紙幣の起源に連な
ものであるとさ
れる。中世の為替取引には今日の鋳貨同士による両替に相当する小口
為替(petty exchange)とそこから派生した証券を仲介とする証書為
(exchange by bills)が存在した。今日の為替取引の原型は後者
にあたる。13世紀の北イタリアの都市で両替に伴う貨幣運搬の危険性
を避けるために公証人を間に立てて支払いを取り決めた公正証書を作
成させたのが始まりとされる。

さらに、この仕組みを促進させたのは当時の教会と大商人たちで。前
者は教皇が十分の一税を徴収するために行われたもので、各キリスト
教国で徴収事務を扱った両替商がその税収を原資としてローマやイタ
リア各地にある教皇庁御用の両替商や大商人の為に物資を販売し、そ
の売掛金の代金受け取りを約束した公正証書を教皇庁に送り、教皇庁
が御用商人から売掛金を回収することで税収相当の金銭を得ていた。
後者はシャンパーニュの大市などの大市を確定日として振り出された
手形を商品購入希望者が買い、大市当日に手形を提示することで代金
を支払っていた。やがて後者は15世紀ごろに従来の持参人支払いの公
正証書から現在の為替手形の形式に変わっていく。

                                               
   この項つづく
----------------------------
さて。引き続き高橋洋一先生の持論をひもとこう。

第3章 海を渡りつつ、悪例になるな
中国の闇に隠された本当の失業率
のちのちのしわ寄せが大きく、最も関に隠れた部分で見えにくい
のが失業率だ。中国の場合、国家が資金を出さなければ、企業の資金
繰りが破綻して倒産する。そうして失業が起こるが、中国には失業率
の正確なデータがないから、その部分が闇に隠れてしまうのだ。
第4章で詳しく解説するが、失業のメカニズムについては「フィリッ

プス関係(曲線)」で説明がつく。
これは縦軸に失業率、横軸に物価上昇率(インフレ率)をとった曲線

だ。銀行をつぶさないよう国がお金を供給するとインフレになるが、
そのときは失業率が下がる。
おそらくインフレ率のほうが一般国民には見えやすいから、中国政府

としてはあまりお金を供給せず、インフレ率を抑えようとするだろう。
すると失業率は上がってしまうのだが、中国の統計ではそれがどうな
るのか全く予測がつかない。

どのようにしわ寄せがくるのかはわかりにくいが、少なくとも一般国

民が犠牲になり、若年層が就職できないという事態になるだろう。
フィリップス関係(曲線)はどの国でもだいたい当てはまるから、ど

んなに統計をごまかしたところで抗えない。
失業統計について、中国政府は「最近整理した」といっているが、調

べてみるととても統計と呼べる代物ではない。制度としては数年前に
欧米と似たものにしたが、それをもってしても検証に値する統計では
ない。少しサンプル調査したものと変わらないレベルだ。
なぜ失業率の正確なデータをとる必要があるかといえば、これも経済

原則だが、経済成長率との関係に「オークンの法則」というものがあ
るからだ。
これは簡単にいうと、完全失業率の前年との差が大きくなるほど経済

成長率は下がり、その差が小さくなるほど経済成長率は上がるという
逆相関の関係を示す法則だ。そのオークンの法則をもとに失業率のデ
ータをちゃんととっていれば、それで経済成長率を計算することがで
きる。


図 日本の完全失業率と実質国内総生産成長率の推移

だが、中国の場合、GDPは秘中の秘で外には出さないようにしてい
る。だから失業率もあえて整理していないのだろう。
経済成長率につながるデータは、だいたい隠されているとしか思えな
い。習近平体制になってそれをずっと続けているから、成長率につい
ての議論はできないし、筆者にも実態は正直なところ、わからない。
それでも輸入から推計するに、成長率は世間でいわれているほど伸び
ておらず、実際はもっと低いはずだ。
どんな独裁国家であっても経済の原理原則からは逃れられない。


1万ドルの水準を超えられない「中所得国の罠」
コロナ福の前、中国人は日本で爆買いしていたから、富裕層が多いと

いうイメージもあるだろう。しかし、いま中国は「中所得国の罠」に
ぶち当たろうとしており、バブル経済がいつまで続くか不透明な状況
だ。中所得国の罠とは開発経済学による概念だが、それについて解説
していこう。
どの国も、国民一人当たりGDPはだいたい1万ドルくらいまではい
く。中国は19年の時点で約1万ドルだった。 だが、1万ドルに達す
ると、なかなかそこから上にはいけず、天井にぶち当たる。それが罠
といわれるゆえんだ。この法則に当てはまる国は非常に多い。
なぜそうなるのか。その水準を超えるに当たって、社会的な構造改革

をしないとうまくいかないからだ。産油国でもない限り、民主主義体
制でないと一人当たりGDPは1万ドルを超えない

   
                         この項つづく

❏ ASMLとTSMCは中国の台湾侵攻に備え
  半導体製造装置に「リモートで無効化する機能」を搭載?!


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