極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

季節は異常気象と戦③

2024年08月09日 | マネー行動学

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。


季語と短歌:8月10日】
  
          立秋や巨大地震に核軍拡 


【今日の短歌研究】

                          団地周辺
                      志垣澄幸(日向通信)

   施設どか子らに引きどられゆきし団地のなかに空家増えゆく
    雨粒が三つほど額に落ちしかなただそれだけの雨が過ぎたり
       街並みが変はりて道ぞひに出でてきし見覚えのある樟の老木

         鰯雲置き去りにして夕空は昏れてゆきたりバス待ちをれば
 被らすにすみし戦時のへルメット 自転車 チャリ に乗らんといまし被りぬ

※台湾台北州台北市生まれ。母の故郷宮崎県西都市妻に移住。宮崎大
学教育学部卒業後、教職に就く。県内の公立中高校に勤務。宮崎第一
高等学校校長。20代で個人誌「丸木舟」を創刊、1968年「原型」に入
会し、斎藤史に師事。1976年に発起人として、伊藤一彦や浜田康敬ら
と現代短歌南の会を結成。現代歌人協会会員。吉川宏志は宮崎大宮高
校時代の教え子、2022年、『鳥語降る』で第37回詩歌文学館賞を受賞]。


わたしの経済論:「交換価値至上主義」とは③
1332夜 『グローバル資本主義の危機』 ジョージ・ソロス を踏まえ

産業革命の拡張と産業資本の集中がおこった十九世紀の時代から資本
主義もグローバルであったろうに、それが近年急激に「暴走する市場
原理主義」や「マッド・マネー資本主義」に向っていったのか。十九
世紀後半から二十世紀前半に広がった資本主義にもそういう傾向があ
ったのではと思う(松岡氏)。これについてソロスは、かつては次の
ようなストッパーが利いていたと考えた。①帝国主義列強が鎬をけ
ずりあい、資本の国際移動が制限された。②金という単一の国際通貨
が君臨していた。③金融界にも企業間にも、ある種の信条、倫理観が
共有されていたが、この“幸福”な時代が続かなかったのは。ストッ
パーが壊れたから。壊れたのは第一次世界大戦のとき。ヨーロッパ列
強が戦争にあけくれ、軍事が資本を完全に制圧した。そこに③の「信
条の腐敗」も加わり、壊れたストッパーを修繕できなかった。
った。それがそのまま一九二九年の世界恐慌に及び、さらに第二次大
戦の終戦直後まで続く。
 ソロスが、世界恐慌の激震が走った一九三〇年、ハンガリーのブダ
ペストに生まれ。すでにヨーロッパは歪みきっていた。ドイツは戦争
賠償金とマルクの暴落に喘ぎ、ヒトラーが登場。ソロス十四歳のとき、
ナチスによるハンガリー侵攻がおこるおこった。この年ハンガリーで
は六万人のユダヤ人が死ぬ(ヨーロッパ全体で四〇万人)。ちょうど
このとき、壊れきったストッパーを繕うために、大西洋の海の向こう
でひそかに組み上げられたスキームが出現。一九四四年七月にニュー
ハンプシャー州ブレトン・ウッズ会議で、新たな設立の組み立てが決
議されたIMF(国際通貨基金)と世界銀行による「ブレトン・ウッ
ズ体制」。ブレトン・ウッズ体制は、大恐慌後のブロック経済によっ
て世界の貿易をたてなおすとともに、国際通貨システムの秩序の回復
をはかるべく為替レートを安定させ、貿易障害となっていた経常取引
による為替規制を取り払う役目を担う。戦前までの「保護・差別・双
務主義」は「自由・無差別・多角主義」に移行。

 IMFは、加盟国の国際収支上の不均衡(つまり外貨準備不足)の

補填する融資より、当初はめざましいバランス装置として機能したが、
この体制は、いまだ固定相場制のもとでのドルと金の価値を強固に結
びつけるものだったのだ。金一オンス=三五米ドルの、“金=ドル本
位制”なのである。このアメリカ中心の“金=ドル本位制”が機能し
ているあいだは、国際経済がアメリカの独走とソ連の抑制を是とする
かぎりはそれでもよかったが、ドルの実質価値が低下していくと、お
かしくなる。また、ベトナム戦争の戦費拡大によってアメリカの財政
収支が悪化すると、ドルの信認は下がりはじめた。これに歯止めをか
けようとした「ニクソン・ショック」(ドル・ショック)である。一
九七一年八月、ニクソンはフリードマンの進言を受けてドルと金との
交換を停止た。かくて世界の主要国はいっせいに
「変動相場制」に移
動した。ブレトン・ウッズ体制は崩れた。ところが直後に二度にわた
っての「オイル・ショック」(石油危機)がおきたため、非産油諸国
の経済状況が急激に悪化。IMFはそのまま融資機関としての役割を
ずるずると拡大させ、八〇年代にはラテンアメリカ諸国の債務危機に
出動、九〇年代には一二三二夜の『反米大陸』(集英社新書)でもふ
れた構造調整融資の名目のもと、アメリカの南米コントロールのため
の介入などが巧妙にも執行されていき、国の資本収支危機が露呈し、
リフレクシビティを発揮することなく、そこにファリビリティ(誤謬
性)を認める視点をもつ者も少ないまま、金融工学的乗り越えに軌道
転換していく。

ソロスはそうしなかった。ソロスはファリビリティを含ませた投資計
画により、事態を乗り越えた。その計画にはIMFや世銀の失敗は織
りこみずみだった。ソロスは新スキームを提案してセーフティネット
づくりに資金供を申し出たことが(一九九二年の)。IMFも世銀も
見向きもしなかった。彼はは独自の財団を設けたり、トービン税に代
わる課税制度を提案。トービン税はノーベル経済学賞のジェームズ・
トービンが案出した国際通貨取引への課税だが、ソロス税は金融取引
への課税案である。たちまち金融界が反対し、ソロスは孤立した。堪
忍袋の緒が切れたソロスが最後に袋の中から持ち出したのは、IMF
がSDR(特別引き出し権)を配分して、富める国が自国に配分され
たSDRを国際協力のために“贈与”するというスキームだった。革
新的なアイディアを加えた。SDRが利付き資産であることに着目し、
そこから国際援助資金を金融市場とはべつに創出するというものだ。

 詳細は省くけれど、このSDR贈与スキームには、①贈与メニュー

の設定委員会とドナーの贈り先とを切り離す、②贈与適確プログラム
は保健・教育・デジタルデバイド・司法改革などに絞る、③貧困対策
は除外する、④こうした社会投資のための取引所を創設する、⑤以上
の組み合わせのためのマッチングにはマイクロクレジットを使う、と
いったかなり斬新な提案が含まれていた。松岡氏がこの提案を知った
とき、贈与こそはモースやポランニーが未来に積み残した唯一の「経
済を社会に埋めこむための可能性」であったのである。

※ ソロス氏は社会主義を求めているわけではない。ただ、従来の資
本主義のままでは、格差がより拡大し、若い人たちが失望し、国の根
幹となってきた資本主義、さらには民主主義までも危うくなる。そう
警鐘を鳴らしているのだ。via.NHK 2019.11.26
                           この項了                      



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季節は異常気象と戦争 ④

2024年08月09日 | ネオコンバ-テック

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦
国時代の軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと
)と兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。


※「わたしの経済論:「交換価値至上主義」とは④」は今回はおやす
み。残件課題の量が多いので

❏ ナノフッ素樹脂 超純水 東京大学

Ultrafast water permeation through nanochannels with a densely fluorous inte-
rior surface.
DOI番号:10.1126/science.abd0966
【要約】
アクアポリンにおける超高速の水透過は、疎水性の内部表面によって
促進されます。ポリテトラフルオロエチレンは高密度のフッ素表面を
持ち、強力な撥水性をもたらす。私たちは、内径が 0.9 ~ 1.9 ナノ
メートルの一連のフッ素オリゴアミドナノリングを報告する。これら
のナノリングは、リン脂質二重膜内で超分子重合を起こし、フッ素ナ
ノチャネルを形成します。このナノチャネルの内壁は、フッ素原子で
高密度に覆われています。最小直径のナノチャネルは、アクアポリン
やカーボンナノチューブよりも 2 桁大きい水透過フラックスを示しま
す。提案されたナノチャネルは、静電的に負のフッ素内部表面によっ
て提供される強力な静電バリアによって、塩化物イオン (Cl–) の透過
性が無視できるほど小さくなる。したがって、このナノチャネルは、
脱塩にほぼ完璧な塩反射率を示すことが期待される。

天然タンパク質に勝る水のろ過性能
Yuexiao Shen著•
科学•
2022年5月13日
フッ素系ポリマーのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、密集した
炭素-フッ素(C-F)結合が水をはじく、独特の超疎水性表面を提供(1
)。それでも、個々のC-F結合は極性であり、極性能基と静電的に相互
作用して水素結合(H結合)を形成できる(2)この注目すべき双方向
特性(極性疎水性(3)として知られている)は、すべての元素の中で
最大の電気陰性度と2番目に小さい原子サイズを含むフッ素の特性に起
因する可能性がある。フッ素系表面と水の相互作用は広く調査された
(4)。ラマン分光法に基づく最近の報告では、フッ素系化合物の近く
の水のクラスターが壊れて多くのヒドロキシダングリングボンドが生
成されるが、炭化水素類似体ではダングリングボンドが大幅に少なく
なることが示されています(5、6)。この観察結果は、PTFE のよう
な超疎水性内部表面を持つナノチャネルが、非クラスター水分子より
も拡散が遅いと思われる水クラスターの形成を抑制できることを示し

ている。
超分子重合を経て異なる内径を持つナノチャネル (FmNCns) を生成す
る一連のフッ素オリゴアミドナノリング (FmNRns) を開発した (図 1
A)。FmNRns と FmNCns を設計するために、C–F 結合の極性と疎水性の
性質を利用した。C–F 結合は極性が非常に高いものの、原子的に分極
するのが難しいため (3)、FmNRns のC–F 結合は隣接する極性アミド基
と静電的に相互作用して H 結合を形成できる (2)。この特徴により
、マクロ環状骨格が硬くなり、C–F 結合が内側を向く。 FmNRns が炭
化水素媒体中で超分子重合して疎溶媒的にフッ素系ナノチャネル (Fm
NCns) を形成できる場合 (図 1B)、その内部表面はフッ素原子で密に
覆われ、水クラスターを破壊することができます (5、6)。



図 1. 一連のフッ素系ナノリングと膜貫通フッ素系ナノチャネルの形
成。(A) 一連のフッ素系ナノリングの分子構造: F12NR4、F15NR5、F18
NR6、および F12NR6。ナノリングの内径は、ナノチャネルを通る水
浸透の MD シミュレーションによって得られた半径方向の水密度に基
づいて計算された (図 S37)。壁の位置は、水密度が最大値の 1% にな
る点として定義された。(B) 超分子重合された FmNRn が小胞リン脂質
二重膜に埋め込まれたフッ素系ナノチャネル (FmNCn) に重合された模
式図。(C) 親水性および疎水性ナノチャネル内の水クラスターの流れの
模式図。 (D) 直径1.76 nmの仮想レナード・ジョーンズ(LJ)チャネル
内の水分子のダングリングボンド分布。LJチャネルの疎水性はスケー
リング係数(10)によって制御された。(E)異なる疎水性レベルでの
LJチャネル内の水分子の流量。
【関連技術情報】
・水を超高速で通すにもかかわらず塩を通さないフッ素ナノチューブ
 を開発 —次世代超高効率水処理膜の実現に向けて— 2022.05.13
・プレスリリース本文:PDFファイル                                             Science: https://www.science.org/doi/10.1126/science.abd0966                                                               この項つづく

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