極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

時代は太陽道を渡る17

2015年10月17日 | デジタル革命渦論

 

 

 

   決定的な権力が正統性を欠くとき社会は社会として機能しない。 

                  ピーター・ドラッカー『産業人の未来』

  

 
※ 大和住銀投信投資顧問 エコノミストコラム

● 軽減税率導入は誰のため

麻生財務相は14日、札幌市内の会合で、飲食料品などの消費税率を低く抑える軽減税率について、
「財務省は、本当は反対だ。面倒くさいとみんな言っている。社会保障に回る金がそれだけ減る」と
述べた。軽減税率に欠かせないとされるインボイス(税額票)の導入には、中小・零細企業が反対し
ていることから、「公明党さん、それ(企業の説得)はそっちでやってくれるんでしょうね。俺たち
に押しつけないでくださいよ、としつこく言っている」とも語った。公明党は早くから軽減税率導入
を求め、与党の議論をリードしてきた。安倍首相は、消費増税と同時に軽減税率を導入する方針だ。
担当閣僚の麻生氏はこの政府方針に関与しておらず、「発言は首相官邸主導への不満の表れ」(政府
筋)との見方があるというが、翌々日、自民党の税制調査会は、宮沢前経済産業相が、税調会長に就
任して初めての会合を開き、安倍首相が導入を検討するよう指示した軽減税率について、議論を再開
したという(読売新聞 2015.10.14/2015.10.16)。

上/下図の「大和住銀投信投資顧問 エコノミストコラム」(チーフエコノミスト 柿沼 点 第60号 
「軽減税率の導入」は誰のためか)によれば、(例1)お米では同じ品目中の高級品問題があり、
(例2)酒税の例を見ても奢侈性と税率は無関係であることを検証している。また、1月の税制改正
大綱で「消費税率10%(15年10月)での軽減税率導入を目指す」とし、与党は協議を開始した
が、軽減税率の候補となる食料等の品目について所得階層別データを用いた変動係数(標準偏差÷平
均)を試算すると外食や果物が高く、光熱関連や麺類が低いという、所得層別の消費分布の違いも確
認されている。



これらをふまえても、低所得層に配慮した軽減税率導入すれば、所得によらず消費水準の差が小さい
光熱関連や穀類(特に麺類)の優先順位が高く、外食等の品目は後回しになり、線引きには恣意性に
依存する
ほか、各業界のロビー活動(新聞社など)も当然に予想される。欧州では歴史的な経緯もあ
って食料品等への軽減税率が適用され、日本の推進論者は導入は不可避とみているが、欧州でも(1)
税収減や、(2)業界のロビー活動に係るコスト、多発する訴訟問題などから、軽減税率には否定的
な意見も多い―――もっとも、労働集約的なサービス(清掃、介護、家事サービス等)は、雇用促進、
税逃れ回避という別の観点から軽減税率を適用するという考え方もある―――と否定的な分析となっ
ている。


※出典:「公私混同して軽減税率にこだわる新聞は、財政再建を語る資格なし」森信
    茂樹中央大教授 ビジネスオンライン(2015.10.02)

このような流れからみると財務省案の方に分があるようにみえるが、今回の安部政権の動きは、参議
院選挙
の公明党(組織票8百万票)との選挙協力を見すえてのギリギリの決断っだったと推測される。
この背景には、デフレ脱却に失敗したアベノミス?による消費増税の後遺症と、中国の不安定要因が
重なりあり、今の景気状況判断すると、GDPギャップから少なくとも10兆円以上の景気対策が必
要であとする
批判――経済対策として、①デフレの解消が先、②財政再建の必要性が乏しいこと、③
欧州危機時にやることでないこと、第2に税理論として ④不公平の是正が先、⑤歳入庁の創設が先
⑥消費税の社会保障目的税化の誤り、⑦消費税は地方税とすべきこと、第3に政治姿勢として、⑧無
駄の削減・行革が先、⑨資産売却・埋蔵金が先、⑩マニフェスト違反がある(高橋洋一の俗論を撃つ
「消費税還付の議論の前に、消費再増税を撤回せよ」ダイヤモンドオンライン 2015.09.11 )――は
正解であろう。因みに、わたし(たち)は、⑥⑦⑧に注目。大胆な税制改革の最優度を重視する。下
図に、社会保障費を担保する所得税(個人+法人)の是正、特に個人所得の最高税率の引き上げで、
反対する富裕層の反発が予想されるが、それも含めた税制改革は重要と考える。そう考えていくと、
そもそも、誰のための議論なのかを問い直す必要があった。

 
出典:財務省

● TPPは誰のため

環太平洋経済連携協定(TPP)は交渉に参加する12ヵ国で「大筋合意」した。ハワイでの閣僚会
議が失敗し、漂流するかに見えた交渉を着地させたのはアメリカの譲歩である。無理難題を押し付け
て座礁させるより、譲ってまとめるのが得策と考えた。片棒を担がされたのが日本だ。国民の関心を
経済に向けたい安倍首相はオバマ大統領に従った。その結果、最終局面で踏ん張ることなくベタ降り
となった。日米とも国内政局を優先、その結末が「大筋合意」である(「弱肉強食のTPPで日本は
どれだけ失ったのか?」山田厚史[デモクラTV代表 ダイヤモンドオンライン 2015.10.15)。

それによると、TPPに参加すれば日本のGDPは3.2兆円(0.66%)増加する、と試算してい
た(13年4月)で、すべての関税が即時撤廃されることを前提に弾いた数字で、輸出が2.6兆円
増えることになっていたが、5千億円の増収が期待された米国の自動車関税は米国に押し切られ撤廃
は25年後になり、即効性があるのは現地生産する日本車への部品の関税がなくなるくらいで、日本
のお得意の自動車や家電などは生産拠点が海外に移り、輸出で稼ぐ時代ではなくなっている。工業品
の関税が下がっても大きな経済的効果は期待できないと指摘。が、過渡期ルール構築時の国際貿易の
経済効果予測ほど当てにならない。まして、米・牛肉など政府補助支援を受け農産物の輸出などのを
"自由"な貿易品として扱って良いものだろうか、誰のための"自由貿易"か?巨大資本のためのものか、
そもそも、腐ったよ
うな自動車――これは言い過ぎだが―――を売り込むための"自由貿易"なのか、
韓国経済をズタズタにした欧米流コーポレート・ガバナンスの輸出なのか。あるいは、日米半導体不
平等条約締結を"自由貿易"というのか定かでない。

これに対して、前出のTPP合コン論提唱の高橋洋一は脳天気なほど楽観的な数字を下図の「貿易自
由化の経済学」をベースに、「10年くらいの調整期間後を現在と比べると、輸出者、消費者のメリ
ットとしてGDPが6兆円増加し、国内生産者のデメリットとしてGDPが3兆円減少し、それが毎
年続く。政府試算の「概ね10年間で実質GDP3兆円増」とは、「概ね10年後に今よりGDPが
差し引きで3兆円増加し、それが続く」というもので、「10年間累積で3兆円」ではない」と試算
してみせる。が、――「自由貿易の神話」にはまり、根拠なき楽観論が漂う。国境をまたぐ経済活動
で多国籍企業の利益と国民への恩恵は一致しない。アベノミクスは誰のためにあるのか。そして犠牲
者は誰か。やがてTPPがすべてをあぶり出すだろう――と、山田厚史は結んでいるが、わたし(た
ち)は同意である。



そして、読者に対し「日本はTPPで、全体として国益を守れたと思う?」とこの企画は問うている
が、内閣官房のホームページに「TPP交渉参加国との交換文書一覧」(下記参照)が掲載されてい
るが、ナショナリスト経済評論家?三橋貴明は、これこそ問題――いくら法律違反だ!憲法違反だと
言っても、TPPは国際条約。国際条約は憲法の上に立つ取り決め。国民主権侵害だと訴え国会で騒
いでも、外国人投資家の意向が強く反映
できるという状態――だと警鐘を鳴らす。これは傾聴に値す
る。

☆ TPP交渉参加国との交換文書一覧(※全て関係国と調整中)

案件:特産酒類(Distinctive Products)(日本一米国)
概要;我か国と米国の関心酒類(我が国:地理的表示である日本酒、焼酎等、米国:
バーボン・ウィスキー等)について、日米それぞれの関係法令に従って製造されたも
の以外は双方の国内において販売禁止とすることに向けた手続の検討を開始するこ
とを約束する文書。

案件;特産酒類(Distinctive Products)(日本一カナダ)
概要;日加両国内の地理的表示である自国産酒類について、その保護の事実を認識
る文書。


案件:米国における蒸留酒の容器容量規制の改正(日本一米国)

概要:米国財務雀が、日本の酒類業界からの嘆願書を受領次第、蒸留酒の容器容量規
制改正案を公表し、パブリックコメントを経て、これを実現させるための手続に着手
することを約束する文書。

案件:コメの米国向け国別枠の運用(日本一米国)

概要;米国向けのコメの国別枠における売買同時契約方式(SBS)の運用について約
する文書。


案件:コメの豪州向け国別枠の運用(日本一豪州)

概要;豪州向けのコメの国別枠における売買同時契約方式(SBS)の運用について約
束する文書。

案件;ホエイの数量セーフガードの運用(本一米国)

概要:ホエイ(たんぱく含有量25%以上45%未満)の数量セーフガード発動の運用の
細則を定める文書。

案件:
丸太輸出管理制度(日本一カナダ)
概要:カナダから日本へ輸出される丸太の輸出管理制度の運用について約束する文書

案件;電子支払サービス(ベトナムー他の全参加国)
概要;金融サービス章附属書が規定する電子支払サービスに関して、国境を越えて電
子支払サービスを提供するサービス提供者に対し、当該電子支払サービスかベトナム
中央銀行か免許を与える国営の中継機関を経由して行われるよう求めるベトナムの
利を留保するもの。

案件:ビジネス関係者の一時的な入国章における約束表に関する米国との紛争解決の
扱い(日本一米国)
概要:米国は、ビジネス関係者の一時的な入国章の約京表を米提出であり、最恵国待
遇にて米国を含むTPP締約国に対しビジネス関係者の各区分について約束してい
る日本との間に不均衡が生じるため、日本が約束した内容に関し協定の紛争解決手続
に訴えないことを約束する文書。

案件:地理的表示(日本一チリ・ベルーそれぞれの書簡交換を予定)
概要:日・チリ経済連携協定、日・ペルー経済連携協定における日本とチリ、ペルー
の地理的表示に関するそれぞれの規定・約束の再確認に関して、日本のチリ、ペルー
の間でそれぞれ交換する二国間の書簡

案件:著作権保護期間(日本一豪)
概要:著作権保護期間についてのサンフランシスコ平和条約上の日本の義務に関する
二国間の書簡

案件:医薬品及び医療機器に関する手続の透明性・公正性に関する附属書(本一米国)
概要:本附属書の実施に関する確認及び附属書の協議についての確認についての文書。

案件:生物の多様性及び伝統的な知識(我が国とペルーとの間で作成)
概要:遺伝資源に関連する伝統的な知識の取得の機会及び当該伝統的な知識の利用か
ら生じ得る利益の衡平な配分については、利用者と提供者との間の相互に合意する条
件を反映した契約を通じて適切に対処することができることを認める旨の共通の理
を確認する文書。

案件:自動車の非関税措置(日本一米国)
概要:自動車貿易に関する並行交渉の妥結を確認するとともに、日米両国について
TPP協定が発効する時までに日本がとる自動車関連の非関税措置等を記す文書。

案件:自動車の基準(日本一米国)

概要日米自動車付表に基づき日本が特定した一定の要件を満たす米国基準に関して、
日本政府の認識を具体的に伝達する文書。


案件:輸入白動車特別取扱制度(PHP)の運用等旧本一米国)

概要:日米白動車付表において、①PHPの下での輸入者の負担を増やさないこと、②
PHP車を財政上の奨励措置から除外しない形で適用すること等を定めていることに関
し、①雀エネ法との関係、②財政上の奨励措置との関係等について日米両政府間で
見解を確認する文書。

案件:自動車流通(日本一米国)

概要:公正取引委員会が自動車流通について現状調査を行うことを米側へ伝達する
書。


案件:保険等の非関税措置に関する並行交渉(日本一米国)

概要:2013年4月に日米間で交換した「日米間の協議結果の確認に関する書簡」に
い、保険、透明性、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、急送
便及
び衛生植物検疫の分野における非関税措置に取り組むこととされたことに関
し、日米
両政府の認識等について記す文書。

[各分野の概要]

○保険
両国政府は、①日本郵政の販売網へのアクセス、②かんぽ生命に対する規制上の監
及び取扱い、③かんぽ生命の透明性等に関してとる措置等につき認識の一致をみ
た。

○透明性

両国政府は、審議会等の運営等及び公衆による意見提出の手続に関してとる措置に
き認識の一致をみた。


○投資
両国政府は、コーポレート・ガバナンスについて、社外取締役に関する日本の会社
改正等の内容を確認し、買収防衛策について日本政府が意見等を受け付けること
とし
たほか、規制改革について外国投資家等からの意見等を求め、これらを規制改
革会議
に付託することとした


○知的財産権
両国政府は、TPP協定の関連規定の円滑かつ効果的な実施のために必要な措置をとる
こと、日本政府が著作権の私的使用のための複製の例外に関する検討を再開すること、
及び両国政府が著作権等の知的財産権の保護の強化に向け取組の継続の重要性
を認識
することとした。


○規格・基準
両国政府は、日米間の物品の貿易を円滑化するため、強制規格、任意規格及び適合
評価手続に関する作業部会を設置することとした。


○政府調達
両国政府は、①入札談合及び②入札過程の改善に関してとる措置につき認識の一致
みた。

 

【時代は太陽道を渡る17】

● ドローン+クラウドで、太陽光発電設備の自動監視

田淵電機は、IT・エレクトロニクス総合展示会「CEATEC JAPAN 2015」(15年10月7~10日
東京ビッグサイト)に出展。ドローンを使った太陽光パネルの遠隔監視システムなど手印字した。太
陽光発電用パワーエレクトロニクス事業ブランド「EneTelus(エネテラス)」製品群を出展。今後、
太陽光発電関連で需要が伸びそうな、設備保全や遠隔監視に関連するソリューションをアピール。今
回の出展で、注目を集めたのが、ドローン(無人飛行機)による太陽光パネルの遠隔監視システム。
同システ
ムは、赤外線カメラを搭載したドローンにより太陽光パネルを撮影しパネルの温度情報を収
集し、通信ゲート
ウェイを通じてデータを送信。田淵電機が展開する遠隔監視システムEneTelusクラウ
ド」で蓄積したデータを組み合わせて分析することで、ソーラーパネルやシステムに発生した異常を
自動で検
出し、ユーザーへの連絡が可能となる。

 

ポイントは、ドローンの離着陸と飛行ルートについて、プログラムにより自動制御することが可能な
った他、ワイヤレス給電技術を使い、ドローンが充電台に帰還すると自動でバッテリーを充電できる
ようにした。これにより、ドローンによる監視作業を全く人手を介さずに行えるようになる。ところ
で、強風や豪雨になればこれを回避するウエザー情報通信クラウドとの交信システムはどうなんだろ
う。それにしても、太陽光発電はもっとスマートに、もっと高性能に、もっと、ダウンスペーシング
し続けるだろう。これは面白い。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする