極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

抗ノネナールとグリーンフェライト

2012年12月19日 | WE商品開発

 

 

 

【加齢臭をどう防ぐ?】

口臭対策にということで、(1)朝夕の歯磨き、うがい励行(2)チューインガムで唾液分泌促進(3)緑
茶を飲む(4)水泳、サウナ、スクワット、ローイングの励行の4を目標に実践してきたが、その結果(1)
〇(2)△(3)〇(4)×という結果で効果はまずまずから変わらずという惨たる結果だ。原因は?忘れ
てしまうのだ。ひとことで忙しい(心を亡くす)ということなのだがこれは言い訳だね。さて、サントリー
が「抗ノネナール・ポリフェノール・コンプレックス」を開発したということだ。サントリーの知財による
と、例えばn-ヘキサナールは大豆特有の青豆臭の原因物質の一つであり、ノネナールは加齢臭の原因物質
での脂肪族アルデヒドだという。脂肪族アルデヒドであるアセトアルデヒドは、低濃度ではフルーツ様の香
気を有し、果実及びフルーツジュース、野菜、乳製品、パン等の食品に天然に含まれている。また、茶やソ
フトドリンク、ビール、ワイン、蒸留酒等の飲料にも天然に含まれるが、場合によっては食品の香味阻害し
食品として用いられる加工大豆粉末素材等では、ヘキサナールと並んで青臭み、生臭さの原因となる。

NDA


つぎが問題だ。酒類のアセトアルデヒドは、二日酔いの成分で飲酒によって体内に取り込まれたアルコール
は、アルコールデヒドロゲナーゼによってアセトアルデヒドに酸化され、アルデヒドデヒドロゲナーゼによ
り酢酸となり、最終的には二酸化炭素と水に分解されて体外へと放出されるものの、黄色人種の半分は活性
の低いアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを持つため、飲酒により体内に一過的に蓄積したアセトアルデヒ
ドのため、頭痛や吐き気などの二日酔いの症状を示す人の割合が欧米人と比べて高い。過剰なアセトアルデ
ヒドは、血中に分泌されるとともに呼気によって放出され、唾液中にも蓄積して口臭の原因となるというか
ら「お酒は控えめ」という誓いも考え直さないといけない。また、唾液や食品中のアセトアルデヒドを事後
的に除去するには、L-システイン(含硫アミノ酸)や大麦青汁などが考えられ、L-システインや青汁中
のフラボノイドがアセトアルデヒドに付加し不活性化する方法だが、L-システインや青汁中のフラボノイ
ドとアセトアルデヒドの複合体形成反応は可逆反応であり、アセトアルデヒドが再生する可能性がある。加
えてL-システインや青汁自体特異な味とにおいがするので実用的でない。
Vanillin

さらに、動物や植物の単離アルデヒド分解酵素の添加は、一般に基質特異性が低く、有害な脂肪族アルデヒ
ドと有用な芳香族アルデヒドを共に分解する欠点をもつ。また、既知の多くのアルデヒド分解酵素は補酵素
であるNADを必要とし、コスト面からはNAD非要求性のアルデヒド分解酵素が好ましいという。従って、
前述した項目にい5つ目の目標がいるが、目標は休肝日→1週間1日厳守としよう。これなら行けるだろう。
以上のようなことを踏まえ、サントリーは
Pseudomonas属菌またはPantoea属菌で脂肪族アルデヒド分解能も
ち、バニリンには分解しない微生物で。pH3.0以上4.0以下の条件下で脂肪族アルデヒド分解能を有した微
生物は胃内や酸性の飲食品中でもアセトアルデヒド分解活性を示す微生物の抽出培養に成功する。

 

特開2010-057482 脂肪族アルデヒド分解微生物

 

以上の新規考案と今回の商品とは直接関係なく、数種の植物ポリフェノール・コンプレックスからなるもの
だということがわかった。年齢とともに発生する体臭、加齢臭。その特有の気になるニオイの原因は40歳を
過ぎた頃から増え始めるのが「ノネナール」。皮脂に含まれるヘキサデセン酸が皮膚常在菌によって分解さ
れると、ノネナールがつくり出される。ニオイ物質ノネナールは、男女ともに40歳を過ぎた頃から多くなり、
年齢とともに増加傾向にある(上図)。サントリーは長年研究を積み重ねてきたウーロン茶と甜茶のポリフ
ェノールに加えて、さらに他のポリフェノールを組み合わせてきたという。その結果、試行錯誤を繰り返し
ながら、数え切れないほどの組み合わせを検証し「ウーロン茶 ・甜茶 ・柿渋 ・緑茶」4種のポリフェノ
ールの組み合わせが最適といことがわかり、「抗ノネナールPC」と名付けその成分を配合した石鹸を開発
したという。斯くして、これはトライすべきか。当然、サスペンディングですね。

    2-Nonenal

 

 【グリーンフェライト太陽電池って?】

現在の科学技術の進展スピードは眼の見えないところで増々加速しているようだ。プルトニウムは自然界で
は存在しない人工物質のように、iPs細胞しかり、量子ドットやスピンのエレクトロニクスなどでは人工
的な物質が発明されてきている。岡山大学の池田直らのグループは従来とは全くことなる、電子が主役のイ
オンではない電子が主役の新しい誘電体機構を発見。現在、光の吸収率が従来のシリコン製の100倍以上の
太陽電池を、大学院自然科学研究科の池田直教授のチームが「グリーンフェライト(GF)」と名付けた酸化鉄
化合物を使って開発し話題となった。RFe2O4は、2組の鉄の三角格子の層(W-layer)と、希土類の層が重
なってできている。三角格子面が2枚重なっているというところがポイントだ。この結晶中では、鉄はFe2+
とFe3+の2種類の電荷で存在し、Fe2+の隣にはFe3+、Fe3+の隣にはFe2+と並ぶと安定なのだが、格子が三角
なのでどうしても安定しない。フラストレーションが溜まった状態となる。330K(57℃)~500K(227℃)
ではフラストレーションが溜まったままだが、330K以下にすると、2枚の三角格子がお互いに影響しあい、
電子が面から面に移動して、片方の面はFe2+、もう片方の面はFe3+が多くなる。すると、2枚の面の間で電
気双極子が生じる。このままでは電気双極子の向きはバラバラで物質全体としては電気的に中性だが、外か
ら電場をかけると、電気双極子の向きがそろって強誘電体にへ変化する。さらに、スピンの向きも、同じよ
うな現象が起こり、230K(-43℃)以下で磁場をかけるとスピンの向きがそろう。つまり、230K以下では電荷
もスピンも秩序だった状態になる。このように複数の秩序だった性質を持つものを、マルチフェロイック物
質といい、マルチフェロイック物質は、電場をかけて磁化が応答したり、磁場をかけて電荷が応答したりす
る可能性がある。

1)今までの誘電体で困難だった超微細粒子でも誘電性がある。
2)電子の秩序化にあわせ磁性と誘電性が関連した特性を持つ。
3)電子相関を調整すると、ナローギャップ半導体となる
4)光吸収が大きく、光電導がある
5)電流により、電子秩序が一時的に壊れ非線形電導を示す。
6)非線形電導特性は異方性がある。

これは、RFe2O4は、2組の鉄の三角格子の層(W-layer)と、希土類の層が重なってできていて、"三角格子
面が2枚重なっている"というところが肝となる。

 

例えば、これら特性のうち、3)4)から安価・安全・安定な太陽電池を、5)6)から電流制御素子(ト
ランジスター)の原理素子がつくれる。どの素子も、著しく安価で、消費電力が驚異的に少ない、といった
特徴を持つ。特に何両個もの電子の『自己組織化』」により、グリーンフェライト内には電荷の秩序構造が
生じている。外部から光一の刺激を与えることで電子の規則的な配列が崩れ、電子が自由に動き回ることに
なる。この物質は可視光に加えて赤外光にも反応するため、雨の日はもちろん、熱線を使うことで夜間の発
電が可能になるかもしれない。また、酸化鉄が主成分であるため非常に安価であり、コストも大幅に低減で
きる。グリーンフェライトの光吸収率は既存のシリコン製太陽I池素材の100~千倍。粉末状で、簡単に薄

膜にすることができるので、建物の外壁や屋根に塗れば、高いエネルギー変換効率と発電面積の拡大で、多
くの電カを取り出すことが可能で、研究には地元のベネッセ社が注目し、研究資金の支援も決まった。イッ
トリウムという安価な一原料を使い、1平方センチメートルあたり数百円という安価で高高性能な太陽電池
を作りたい数年後の実用化を視野に研究を進めている。 


また、同大学内では、RFe2O4 の合成には、厳密な雰囲気制御と熱処理が必要とされ、これまで、その薄膜
合成に成功した例はほとんどない。唯一、真空蒸着法の一種であるPLD 法で作製に成功した報告があるだけ
だがコスト高(量産不向き)のためそれを克服する、低コストで大面積な酸化物薄膜の作製が実現可能な液
相コート法をに適応し、原料溶液の調製や熱処理条件を最適化することで、世界で初めてRFe2O4 の薄膜化
に成功している。

中間型量子ドット太陽電池にターゲットを絞ったもののこういう革新的な発明情報が入るとそれなりの時間
を割かなければならないは調査研究ステップでは宿命的な作業だ。いずれの発明も、基礎と応用研究の途上
にあり量子ドットの方が先行し応用段階に近い。とはいえ、エッチングプロセスの塩化鉄溶液で遷移系重金
属の取り扱いは慣れたもので、その面から興味を惹かれる事案である。また、この作業の過程で、規則格子
上でありながら相互作用が競合し、フラストレーションが生じている時、どのようにして秩序化が起こるの
か、どのような秩序状態が生じるのか、またスピンが1/2 の場合にはさらに量子効果が加わりどのような新
しい現象が現れるのかという-フラストレート磁性体の研究を垣間見た。そこでは、フラストレーションで
秩序化を抑制することで、量子スピンがそもそも持っている量子ゆらぎが顕著に表れる新しい量子現象を見
つけるという逆の発想や無機物系磁性体のみならず、分子構造設計が比較的容易な有機系物質にも物質探索
を広める議論と研究が行われていることを知る。やる気と根気と後はセレンディピティ(serendipity)が噛み
合えば、次々とノーベル賞クラスの飛躍を生み出していけるだろうと、安直な楽観主義の中で疲れ果てた脳
を浮かべている。若き研究者、技術者達に幸あれ!

コメント
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