現在台風17号が九州北部に最接近中。福岡は風が強く吹いてます。皆さんもお気をつけて。
今回の決勝進出予想は10組中6組的中しました。まあまあの的中率ではないでしょうか。
個別の感想は以下の通り。
まずはファーストステージから。
うるとらブギーズ・・・ショーを開催する催眠術師と、図らずもそれを妨害してしまう、人と同じことをしゃべる男。最初何が起きているのか理解できず、観客の頭を「?」にさせておいて、状況が分かった時点で「そういうことか」という笑いが起きるしかけ。
特にこの設定をうまく生かしていると感じたのが、通常なら省略されてしまう第三者のセリフも、同じことをしゃべってしまうせいですべて聞き取れてしまうところ。
「観客がカシモトさんで遊びだす」ところが一番ウケてたんで、会場の外の声にも反応してしまうとか、BGMも口にしてしまうなどの展開があったらもっとよかったかもしれません。あと、マネしてしまうのは声だけのはずなのに、感情まで同期しているのはいいのかな、と思いました。言葉は怒っているのに見た目は怒っていないほうが面白くなるはずですしね。
ネルソンズ・・・「にちようチャップリン」なんかだと、和田まんじゅうの個性的なキャラを軸に展開するネタをオハコとしているトリオという印象なのですが、今回はキャラではなく、設定重視のネタで勝負をかけてきましたね。3人をバランスよく活かす、という点では成功していましたが、笑いの爆発力は弱めになってしまいました。やっぱり和田を立てたほうがよかったのでは。
ネタ全体からしたら付け足しにすぎない「本当はバスケがしたかった」が一番面白かったのもなんだかなあ、ですしね。
空気階段・・・「おかしなキャラのタクシー運転手」と「ドッペルゲンガーのようにそっくりな乗客」という2つの要素を含むコント。この2つの要素が、お互いを打ち消しあっているように感じました。前半は運転手がボケだったのに、そっくりな乗客のパートに入ったとたんツッコミに切り替わっちゃったので、そこがブレてるな、と。どちらかひとつの要素だけで一本のネタにしといたほうがよかった気がします。さもなくば、「そっくりな乗客」ってちょっと不気味だから、その不気味さを運転手のキャラの狂気が飲み込むみたいな、もうひとひねりあるネタであれば、2つの要素を両方活かしきれたんじゃないでしょうか。
しかし「もぐら」って芸名、見た目とよく合ってるよね。
ビスケットブラザーズ・・・記憶をなくした男女が何度も運命的な出会いをはたす、って『君の名は。』のオマージュかな。セリフをテンポよく交互にしゃべる、っていうのはたしかに気持ちいいんだけど、面白さとはちょっと違うんじゃないでしょうか。クセの強いキャラ2人のしゃべりだけで最後まで行ったほうがよかった気がします。
ジャルジャル・・・独特の周波数のせいで近寄れば日本語、離れると英語に聞こえる、という設定のオリジナリティーと、それをやりきる技術力はさすが。ただそれだと、笑いのポイントが「離れると何言ってるのかわからなくなる」というシンプルなものになってしまうので、大きな笑いに結びつくことはなかったかな、という感想。もうひと展開、ふた展開ほしかった。
どぶろっく・・・正直、どぶろっくが上がってくるとは思ってもみませんでした。準決勝に残っているというだけで「?」でしたので。
だいぶ前に「爆笑オンエアバトル」でどぶろっくの普通のコント観たことあるんですけど、はっきり言ってすげえつまんなかったんですよね。それもあって、「エッチな歌ネタだけの人たち」という印象をぬぐえずにいたのです。
で、どんなネタをやるのかと思ったら、得意の下ネタをたくみに取り込んだ「ミュージカル風コント」。やっぱね、歌がうまいですよ。気持ちよくネタの世界に引きずり込まれるし、くだらないと言えばあまりにくだらなすぎる「イチモツ」も受け入れやすくなる。
お笑いって、大きく分けると「知的なにおいのするネタ」と「ただひたすらくだらないネタ」の2種があって、どぶろっくのこのネタは後者なんだけど(もちろんどぶろっくが知的ではない、ということではない。知性がないとこんな歌ネタは作れない。あくまで、知的であることを見せないネタだということ)、この突き抜けたバカバカしさでしっかり笑いを取ってくるというのは、オハコの下ネタを絶妙な形でコントに昇華させている、ということ。ここにたどり着くまでに様々な試行錯誤あったんでしょうね。おみそれしました。
あと、歌に隠れて見落とされてるかもしれないけど、江口のダンスもかなりキレがあって、ネタの完成度を高めていますね。
かが屋・・・加賀の間の取り方がうまい。レジを離れて「蛍の光」のスイッチ入れてから、また戻ってくるスピードが絶妙。待ちぼうけを食わされて呆然とする賀屋の表情も、ただそれだけで面白い。ただ、ほとんど同じ状況を反復しているばかりだったので、低めの笑いをずっと保つ形になってしまいました。最後のオチが来たとき、「え、ここで終わり?」という肩透かし感があったので、もっと話を展開させてほしかったです。
かが屋はネタいっぱいあるんだから、もっといいヤツ持ってこれたんじゃないかなあ。
GAG・・・一昨年と去年の評価は明らかに低い。GAGの評価は不当だ、と僕は思っていて、だから今年こそ見返したれ!という思いで見守ってました。
ネタの時間をたっぷりとるために、やや複雑な設定を冒頭で速やかに、しかも自然な形で説明してしまう手際はお見事。でも彼女のブスいじりを嫌がるというのはシンプルすぎたか。
さりげなく「市役所じゃ考えられへん」という毒を吐いたところが一番よかったです。
ゾフィー・・・腹話術師の謝罪記者会見という設定。人形の操りぐあいがうまい。ちょっと不気味な人形なので、あつかいを間違えると笑いじゃなくて恐怖になりかねないんだけど、動かし方のさじ加減で笑えるラインを保ち、恐怖の側に転落しないようにたくみにコントロールできていました。動きの速さや間の取り方が絶妙で、相当練習してきたんだろうな、と思いました。人形が、「無言で動くだけの段階」と「しゃべりを邪魔する段階」と「退屈そうにする段階」と「啖呵を切る段階」に分かれており、緩急があってよかったです。個人的にはもっと高得点でもよかったと思います。
わらふぢなるお・・・前半の笑いがスタンダードすぎて、ずっと「弱い、弱い・・・」と思いながら観てました。後半にインストラクターが無茶なダイブをし始めて、ようやく笑いの沸点が高まってきましたが、前半の遅れを取り戻すには至らず終了。「お前らもっとできるだろ!」と思いました。
続きましてファイナルステージ。
ジャルジャル・・・友達だと嘘をつく泥棒と、それを信じて旧友と思い込む男がずれた会話をする、という設定。笑いのタイプとしてはシンプルなので、当然このまま終わらずにひとひねりふたひねり入れてくるものと期待してました。でも「部屋が空っぽになる」という、必然性のないひねりのあと、さらに展開するのではなく、それがオチになってしまったのが残念。
福徳の骨折がはやくよくなりますように。
うるとらブギーズ・・・おしゃべりに夢中になってしまって、肝心な場面を見逃す、というのは笑いとしてはベタ。なので、その初期設定からどう出ていくか、に注目していたのですが、どこにも出ていかずに終わってしまって残念。
どぶろっく・・・今回どぶろっくは「2重の賭け」に出ました。ひとつは、ヘタしたら一切ウケることなく、「引かれておしまい」になるかもしれないド直球の下ネタを持ってきたということ。もうひとつは、「イチモツ」一本で押し通したということ。
そして、見事に両方の賭けに勝って、優勝をつかみ取りました。
なんとなくですけど、彼らからは、「自分たちの最大の武器は下ネタなんだ」という、ちょっぴり自虐まじりのプライドと、「これからもずっとこの方向性でやっていくんだ」という、芸人としての覚悟を感じ取りました。
個人的にはまったくのノーマークからの優勝。イチモツネタで優勝したことは、間違いなく「キングオブコントの歴史の汚点」になるでしょうが、でもそんなの関係ねぇ!本当におめでとう。
いやー、まさか今、どぶろっくがくるとはねぇ・・・。けっこうみんな予想外だったんじゃないでしょうか。エッチな歌ネタでブレイクした後、小康状態に入って、なんとなくもう再浮上することはない、って思われてた感がありますよね。少なくとも僕はそうでした。「このままでは終われない」って思いながら実直にネタ作りを続けていたんでしょうね。脱帽です。
ただ、今回はニューフェイスや、まだ売れていない組が爪痕残した様子はなかったので、そこが残念。総合的な感想は、「西村はいらない」。
それにしても「キングオブ昆布」の行方が気になる。
今回の決勝進出予想は10組中6組的中しました。まあまあの的中率ではないでしょうか。
個別の感想は以下の通り。
まずはファーストステージから。
うるとらブギーズ・・・ショーを開催する催眠術師と、図らずもそれを妨害してしまう、人と同じことをしゃべる男。最初何が起きているのか理解できず、観客の頭を「?」にさせておいて、状況が分かった時点で「そういうことか」という笑いが起きるしかけ。
特にこの設定をうまく生かしていると感じたのが、通常なら省略されてしまう第三者のセリフも、同じことをしゃべってしまうせいですべて聞き取れてしまうところ。
「観客がカシモトさんで遊びだす」ところが一番ウケてたんで、会場の外の声にも反応してしまうとか、BGMも口にしてしまうなどの展開があったらもっとよかったかもしれません。あと、マネしてしまうのは声だけのはずなのに、感情まで同期しているのはいいのかな、と思いました。言葉は怒っているのに見た目は怒っていないほうが面白くなるはずですしね。
ネルソンズ・・・「にちようチャップリン」なんかだと、和田まんじゅうの個性的なキャラを軸に展開するネタをオハコとしているトリオという印象なのですが、今回はキャラではなく、設定重視のネタで勝負をかけてきましたね。3人をバランスよく活かす、という点では成功していましたが、笑いの爆発力は弱めになってしまいました。やっぱり和田を立てたほうがよかったのでは。
ネタ全体からしたら付け足しにすぎない「本当はバスケがしたかった」が一番面白かったのもなんだかなあ、ですしね。
空気階段・・・「おかしなキャラのタクシー運転手」と「ドッペルゲンガーのようにそっくりな乗客」という2つの要素を含むコント。この2つの要素が、お互いを打ち消しあっているように感じました。前半は運転手がボケだったのに、そっくりな乗客のパートに入ったとたんツッコミに切り替わっちゃったので、そこがブレてるな、と。どちらかひとつの要素だけで一本のネタにしといたほうがよかった気がします。さもなくば、「そっくりな乗客」ってちょっと不気味だから、その不気味さを運転手のキャラの狂気が飲み込むみたいな、もうひとひねりあるネタであれば、2つの要素を両方活かしきれたんじゃないでしょうか。
しかし「もぐら」って芸名、見た目とよく合ってるよね。
ビスケットブラザーズ・・・記憶をなくした男女が何度も運命的な出会いをはたす、って『君の名は。』のオマージュかな。セリフをテンポよく交互にしゃべる、っていうのはたしかに気持ちいいんだけど、面白さとはちょっと違うんじゃないでしょうか。クセの強いキャラ2人のしゃべりだけで最後まで行ったほうがよかった気がします。
ジャルジャル・・・独特の周波数のせいで近寄れば日本語、離れると英語に聞こえる、という設定のオリジナリティーと、それをやりきる技術力はさすが。ただそれだと、笑いのポイントが「離れると何言ってるのかわからなくなる」というシンプルなものになってしまうので、大きな笑いに結びつくことはなかったかな、という感想。もうひと展開、ふた展開ほしかった。
どぶろっく・・・正直、どぶろっくが上がってくるとは思ってもみませんでした。準決勝に残っているというだけで「?」でしたので。
だいぶ前に「爆笑オンエアバトル」でどぶろっくの普通のコント観たことあるんですけど、はっきり言ってすげえつまんなかったんですよね。それもあって、「エッチな歌ネタだけの人たち」という印象をぬぐえずにいたのです。
で、どんなネタをやるのかと思ったら、得意の下ネタをたくみに取り込んだ「ミュージカル風コント」。やっぱね、歌がうまいですよ。気持ちよくネタの世界に引きずり込まれるし、くだらないと言えばあまりにくだらなすぎる「イチモツ」も受け入れやすくなる。
お笑いって、大きく分けると「知的なにおいのするネタ」と「ただひたすらくだらないネタ」の2種があって、どぶろっくのこのネタは後者なんだけど(もちろんどぶろっくが知的ではない、ということではない。知性がないとこんな歌ネタは作れない。あくまで、知的であることを見せないネタだということ)、この突き抜けたバカバカしさでしっかり笑いを取ってくるというのは、オハコの下ネタを絶妙な形でコントに昇華させている、ということ。ここにたどり着くまでに様々な試行錯誤あったんでしょうね。おみそれしました。
あと、歌に隠れて見落とされてるかもしれないけど、江口のダンスもかなりキレがあって、ネタの完成度を高めていますね。
かが屋・・・加賀の間の取り方がうまい。レジを離れて「蛍の光」のスイッチ入れてから、また戻ってくるスピードが絶妙。待ちぼうけを食わされて呆然とする賀屋の表情も、ただそれだけで面白い。ただ、ほとんど同じ状況を反復しているばかりだったので、低めの笑いをずっと保つ形になってしまいました。最後のオチが来たとき、「え、ここで終わり?」という肩透かし感があったので、もっと話を展開させてほしかったです。
かが屋はネタいっぱいあるんだから、もっといいヤツ持ってこれたんじゃないかなあ。
GAG・・・一昨年と去年の評価は明らかに低い。GAGの評価は不当だ、と僕は思っていて、だから今年こそ見返したれ!という思いで見守ってました。
ネタの時間をたっぷりとるために、やや複雑な設定を冒頭で速やかに、しかも自然な形で説明してしまう手際はお見事。でも彼女のブスいじりを嫌がるというのはシンプルすぎたか。
さりげなく「市役所じゃ考えられへん」という毒を吐いたところが一番よかったです。
ゾフィー・・・腹話術師の謝罪記者会見という設定。人形の操りぐあいがうまい。ちょっと不気味な人形なので、あつかいを間違えると笑いじゃなくて恐怖になりかねないんだけど、動かし方のさじ加減で笑えるラインを保ち、恐怖の側に転落しないようにたくみにコントロールできていました。動きの速さや間の取り方が絶妙で、相当練習してきたんだろうな、と思いました。人形が、「無言で動くだけの段階」と「しゃべりを邪魔する段階」と「退屈そうにする段階」と「啖呵を切る段階」に分かれており、緩急があってよかったです。個人的にはもっと高得点でもよかったと思います。
わらふぢなるお・・・前半の笑いがスタンダードすぎて、ずっと「弱い、弱い・・・」と思いながら観てました。後半にインストラクターが無茶なダイブをし始めて、ようやく笑いの沸点が高まってきましたが、前半の遅れを取り戻すには至らず終了。「お前らもっとできるだろ!」と思いました。
続きましてファイナルステージ。
ジャルジャル・・・友達だと嘘をつく泥棒と、それを信じて旧友と思い込む男がずれた会話をする、という設定。笑いのタイプとしてはシンプルなので、当然このまま終わらずにひとひねりふたひねり入れてくるものと期待してました。でも「部屋が空っぽになる」という、必然性のないひねりのあと、さらに展開するのではなく、それがオチになってしまったのが残念。
福徳の骨折がはやくよくなりますように。
うるとらブギーズ・・・おしゃべりに夢中になってしまって、肝心な場面を見逃す、というのは笑いとしてはベタ。なので、その初期設定からどう出ていくか、に注目していたのですが、どこにも出ていかずに終わってしまって残念。
どぶろっく・・・今回どぶろっくは「2重の賭け」に出ました。ひとつは、ヘタしたら一切ウケることなく、「引かれておしまい」になるかもしれないド直球の下ネタを持ってきたということ。もうひとつは、「イチモツ」一本で押し通したということ。
そして、見事に両方の賭けに勝って、優勝をつかみ取りました。
なんとなくですけど、彼らからは、「自分たちの最大の武器は下ネタなんだ」という、ちょっぴり自虐まじりのプライドと、「これからもずっとこの方向性でやっていくんだ」という、芸人としての覚悟を感じ取りました。
個人的にはまったくのノーマークからの優勝。イチモツネタで優勝したことは、間違いなく「キングオブコントの歴史の汚点」になるでしょうが、でもそんなの関係ねぇ!本当におめでとう。
いやー、まさか今、どぶろっくがくるとはねぇ・・・。けっこうみんな予想外だったんじゃないでしょうか。エッチな歌ネタでブレイクした後、小康状態に入って、なんとなくもう再浮上することはない、って思われてた感がありますよね。少なくとも僕はそうでした。「このままでは終われない」って思いながら実直にネタ作りを続けていたんでしょうね。脱帽です。
ただ、今回はニューフェイスや、まだ売れていない組が爪痕残した様子はなかったので、そこが残念。総合的な感想は、「西村はいらない」。
それにしても「キングオブ昆布」の行方が気になる。