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ペーリン候補の独り立ち Playing for her own future

2008-10-27 | 米国・EU動向
2008-10 No.026

米国大統領選挙戦も終盤に入り、オバマ候補が世論調査では圧倒的にマケイン候補を引き離していて、このままの勢いが維持できれば勝利が間違いないところまで来ているというのが現状です。

TVのニュース報道で、選挙演説を聴いていても、マケイン候補は「負けないぞ」、「あきらめないぞ」というニュアンスが強く出ていて明らかに守勢ですし、未曾有の金融危機が実体経済を崩壊の方向におし出している事態に対して、米国民を納得させ、引っ張ることのできる政策を提示できていません。

さらに、敗色の見えた軍隊の中によく見られる、内部抗争が表面化してきています。ペーリン候補は当初のメディアへの露出規制を打ち破って好きなことを好きなところでいうという、共和党内部の反ペーリン派に言わせると「放言」に近いものとなっています。FTは、「ペーリンは党内も国論も二分(Palin splits nation and party)、緊張高まる」との見出しで報じています。

そして彼女が選挙費用を使って、デザイナーブランドのドレスを買った額がすでに、1,500万円を超えておりあまりの贅沢は目に余るとの非難ごうごうという状況になっています。マケイン氏はこれに対して、「彼女は貧しい家の出の人でつましい生活をしてきたのだ。このことは選挙戦での必要に迫られた結果に過ぎない(thrust into this)」とかばっています。彼女との意見の相違を質された同氏は、「わたしも彼女もはぐれ馬(maverick: 政党内の一匹狼的行動を取る人を指す)だから。しかしワシントンを変えようという根っこは同じ」と釈明しています。

共和党選挙参謀の作り上げた「人形の家」を飛び出したノラならぬペーリン女史は、ソックリさんと一緒にパロディーに出て「おバカ」を演じて大活躍中です。そして、若さとバカさだけで「おもちゃ」扱いをされることを断固拒否して、いまや「次期選挙で大統領を狙う」ペーリンとなった彼女に歯軋りをしている人が共和党に増えつつあります。