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グリーンスパン判断ミス認める Wise after the event

2008-10-24 | グローバル経済
2008-10 No.023

米国の下院の公聴会で前FRB議長グリーンスパン氏が証言を行い、そこで”Were you wrong"と問われて、"Partially"と答えました。

先般、金融界の責任者たちが公聴会でみずからの責任を認めなかったのですが、(2008-10 No.015参照)、昨日米国のみならず世界の金融政策の大御所・マエストロとして18年間にわたり君臨したグリーンスパン氏は自らの考え方に欠陥(a flaw in his thinking)があったことを認めたのです。

同氏は「金融界の経営者が、自らの組織の利益を守るためには、当然株主の利益も守ることもできるはずとの前提に立ってしまったこと」が判断ミスの根底にあるとしました。

そして「金融界はこの20年間誤った陶酔状態にあって、証券価格形成に過ちがあった。」と総括した上で「銀行などが貸し出しの相手先の審査を十分行うものだと思い込んだのは間違いであった」と認めました。

さらに「この認識は自分の40年の経験からすれば正しいはずだった。しかしわたし自身の知的巨大構造物(the whole intellectual edifice)は昨年の夏に瓦解した」と述懐しました。しかしグリーンスパン氏は、「問題のデリバティブCDSの規制を自分があえて行わなかったのは、議会側の意向を受けてのものだった」と釈明をしました。

二日間にわたる厳しいやり取りの続いた公聴会の議長を務めた下院のワックスマン委員長は、「ワシントンに充満している市場至上主義(the market knows always the best)がすべての元凶だ」と指弾し、前後して証言したSECのコックス議長に対して、「あなたの言っているのは後知恵の賢しらだ」(being wise after the event)と非難しました。

この言葉は、ふたりの最高責任者のみならずすべてのひとに向けられるべき言葉だと響きますがいかがでしょうか