世界の動きを英語で追う

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MUFG経営陣は「A kid in the candy store」か?

2008-10-11 | 世界から見た日本
2008-10 No.11

本日のFTの一面に欧米の対日観をうかがう意味で見逃せない記事が出ています。その見出しは「格下げ警告と株式売却再交渉のうわさがモルガン・スタンレーの株価直撃」です。

そして記事本文では、昨日の朝Moody'sが「同社の格付けの見直しに入った」と発表したことに加えて、「モルガンスタンレー株の20%を一株あたり25.25ドル、総計90億ドルで買収するとした三菱UFJ銀行が条件交渉を、やり直すらしい」といううわさが市場に流れ、株価は36%下げて7.95ドルになり、時価総額が一時86億ドルになったことを報じています。

この株価暴落により、三菱UFJは株数の増量を求めるのではないか、他の証券会社が介入するのではないかとの観測が強まると同時に、モーガン・スタンレー側の幹部も、他のグループも動き出していることを示唆したとのことです。

そしてMUFJによるモルガン・スタンレー株の買収は「日本で手厳しい批判の対象となっている」と報じるとともに、「経営陣はキャンディーストアにいる子どものようだ。浮かれまくって景気後退が目前に迫っていることをお忘れのようだ」という行員の一人のコメントを紹介しています。(注:a kid in a candy storeは英語の成句で、お菓子屋に入った子どものように、われを忘れてう浮かれることを指します)

株価の下落と、それに続いて起こる資金調達コストの上昇、それが引き起こす更なる株価の下落、この連鎖こそMoody’s の「格付けの下げは正しいと主張する」根拠を与えてしまうのだと記事は言います。

ちなみにモルガン・スタンレーのレバレッジは相当削減されてきましたが、それでもまだ20:1の高率であり、借入金残高は2000億ドル(20兆円)のレベルにとどまっています。

先般、モルガン・スタンレーは銀行持ち株会社へと会社の形態を変更して、FEDからの緊急融資を受けられるようにしたばかりですが、流動性の確保には市場の信頼感が頼りで、一方その「信頼感」などは一夜にして吹き飛んでしまいかねないと論評しています。

モーガン・スタンレーのジョン・マックCEOが狼狽して「救世主」(white knight)を囚人環視の中で探しまくっていたあの姿では、到底「信頼」を得ることはできないなとの、市場関係者の声を報じています。