世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

「時価会計」の終焉? Accounting Rules May Change.

2008-10-04 | グローバル経済
2008-10 No.004

ブッシュ大統領が最初議会に公的資金注入による70兆円超の銀行救済案を提示したときは、骨子は行政裁量権のほとんど政府が握るものでありメモはたった3ページのものであったとのことです。それが下院採決に掛けられたときは100ページ超になり、今回上院での可決を経て下院に戻されたものときは450ページを超えたものとなっていました。

昨日下院で可決し大統領の署名を得て立法化した内容はすでに詳報されていますが、公的資金支出に当たっての議会側の監視と介入権が強化されていることもさることながら、当初法案に反対していた両党議員の懐柔のために種々の条件や共和党の支持基盤に配慮した利権条項が追加されたことは、米国の議会制度の特徴を顕著に示しています。

政党支持基盤や地元選挙民への配慮のために議員が「がんばって獲得する」経済的利得は”pork barrel”と呼ばれます。今回も法案のページ数が増えたのもこの”pork”の処理のためであったことに他なりませんが、この「豚肉」の中でも今後極めて重要なインパクトを持つと思われるのが、金融界の強力なロビー活動によって追加された「金融商品の時価評価基準の見直し」条項です。

連結会計・時価会計・減損会計は金融界のみならず一般企業の経営透明性の確保のために米国会計基準や、国際会計基準が唱導してきたものであり、これをもはや金科玉条としないということであればグローバル基準の道のりを大きく変更するものとなります。

またFTは、この立法化にともなう米国財務会計審議会FASBの動きに合わせて国際会計基準審議会IASABがただちにマッチングの対処を開始することを発表したと報じています。今回の危機の大きな原因となった時価主義による金融資産の評価損をこれ以上防止するために、金融資産評価は各銀行の自己評価に委ねる方向ということであるとのことです。ゲームのルール(The Rules of the Game)を試合の途中で変えようということに他なりません。危機対応優先というドサクサに紛れてたいした議論にならなかったのですがこれから先どんなことになるのでしょうか?