大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道224

2009-05-11 20:35:14 | E,霧の狐道
 川風に由紀ちゃんの髪が流されてサラサラと顔に掛かっている。
俺は満たされた気分でハンバーガーの残りを頬張る。

“ う~ん、いい雰囲気だなァ。”

そして、しばらく歩いていると足音が後ろから近付いて来た。

“ あれっ、何だ?”

なんだか、複数の足音だ。
俺は“誰かな?”って思って振り向く。

“ うわっ!”

 俺たちの後ろに、腕を組んだ狸小路と女の子とお揚げ婆さんとが出現。
みんな、ニコニコ顔。
ガマ太郎とキツネが、その前でピョンピョン跳ねている。
黒い影は空中に浮かんでへらへらと踊っている。

“ ゲッ、なんて展開だ!”

俺と由紀ちゃんは、ハンバーガーを放り出して土手を必死で逃げる。
二人で手を繋いで逃げる。
いろいろな種類の足音が追いかけて来る。
 俺たちは走って逃げる。
息を切らして逃げる。
逃げる、逃げる、逃げる。
俺たちはハアハア言いながら土手を逃げる。

“ もう、ダメだ、走れない・・・。”

足音は、さらに近付いて来る。

“ ヒタヒタヒタヒタ・・。”

狸小路と女の子とお揚げ婆さんが、スクラムを組んで直ぐ後ろにいる気配がする。

“ ああ、もうダメだ・・・。”

ガマ太郎の顔のアップがイメージされる。

「 ゲロ、ゲーロ!!」
「 うわっ!」



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