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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 8月22日 鈴の音(2)

2021-08-22 18:33:32 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 8月22日 鈴の音(2)




 か細いけれど甲高く、やけに鼓膜を刺激する音だった。
火災報知機や家電のエラー音に似ていたが、それよりもずっと鈴に近い音だ。
なんとなく、お守りについている安っぽい小さな鈴を降り続けているのを想像した。
 はじめは、コピー機の調子が悪いのかなとそっと耳を近づけてみたが、そうではないようだった。
ではどこから、とキョロキョロするうちに、室内の隅にある扉が半分開いているのに気がついた。
 その扉の向こうは、物置のはずだ。
鈴のような音は、その扉の中から聞こえていた。
 印刷が終わり、コピー機は静かになった。
しかし、もう一つの音はまだなり続けている。
 静かな室内に響く甲高い音は、かなり異質で耳障りだった。
ふいに、背筋がぞくりとした。
なんの根拠もないのだが、何か悪いものが近づいてくるような、この鈴のような音は、そのことを警告しているような気がしたのだ。

「 あの、変な音してない?」

私は、何を気にする風でもなくパソコンを使っているAさんにそう声をかけた。

「 鈴みたいな音・・・。」

自分の変な想像を振り払うためでもあるし、Aさんがあまりに平然としているので、もしやこの音が聞こえているのは私だけなのかと、不安に思ったからでもあった。
 すると、Aさんはなんでもないことのように、

「 ああ・・・・。」

と、ちらりと物置の方を見た。

「 あの音、ちょくちょくこんな風になり出すんですよ。
なんの音なのかわかんないんですけど・・。」








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