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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 6月8日 喫茶店(1)

2019-06-08 10:18:36 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 6月8日 喫茶店(1)



 そこは、雰囲気の良いジャズが流れる喫茶店だった。
中に入るとコーヒーのかぐわしい香りが漂い、音楽は耳に心地よい。
何時間でも居座れるような空間で、実際店内にはいつも、長居の常連客の姿があった。
 現在切り盛りしている店主は二代目で、初代は戦後の混乱期、小さな定食屋からこの店を始めたそうだ。
そして晩年、念願だったジャズ喫茶へ趣旨変更したらしい。
 この店のカウンターの一番奥の席には、いつでも予約席のプレートが置かれている。
しかし、実際に誰かが座っていることはない。
 その席は、先代店主の戦友専用のものらしい。
先代店主は戦時中、出征先で戦友たちと夢を語らった。
そして、いつか自分が大好きなコーヒーとジャズの店を開くから、その時はお前たち必ず来いよと約束したそうだ。
 先代店主はなんとか生きて帰ることができたが、戦地で命を散らした者も大勢いた。
そんな戦友たちとの約束を守るため、先代店主は彼ら専用の席を作り、他の誰も座らないよう予約席のプレートを置いたのだという。







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