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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 11月28日 チエ(2)

2016-11-28 19:28:42 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 11月28日 チエ(2)




 休みの日だったか、まだ明るい時で仏間もいやに明るかった。
昨晩、下げ忘れた御神酒を下げに仏間に入ると、チエが定位置にいない。
 チエは、いつも置いてある棚から畳へ落ちていた。
そして、手首が外れていた。
正直、俺に何かするために這い出して動かしたのかと思った。
 びびって走って家族のいる居間にいると、婆さんがいて、怒られるかもとは思ったが、本気で怖かったので婆さんに報告した。
 俺の尋常じゃない様子に婆さんも心配になったのか、一緒に居間にきてくれた。
そしたらチエは、今度はちゃんと定位置にいた。
手首もついている。
 俺が嘘を吐いた感じになってしまったが、弁明している時に親父がきて、

「 あ、悪い。
それ俺が落とした。
トイレ行ってから直したんだよ。」

“ 犯人親父かよ!”

勘違いして半泣きになっている俺を親父が爆笑して、婆さんも今度は俺を慰めて、事なきを得た。
 でも、その晩、婆さんが寝たあと、親父が俺の部屋にきた。

「 昼間のあの人形な、戻したのは俺だ。
だけど、落としてはいない。
お前、本当に嘘は吐いていないか?」

 親父の話によると、俺が大きな音を立てながら仏間を出てくるのを見て、どうしたのかと仏間を覗いたらチエが落ちてたのを発見した。
見つかるとまずいから、そっと直したという話だった。
 ただ、おかしかったのは、手首なんて取れてないと親父が言ったことだ。
どうやって落ちて、どうやって手首がくっついたのか。
 それで、俺は怖くなって、御神酒上げる係をサボるようになった。
御神酒持って出て、客間で2.3分待って、それから居間へ戻る。
多分、半年くらい御神酒を上げてなかった。
その頃、妹が死んだ。
小学校に入って間も無くだった。











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