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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月16日 人形と森

2016-04-16 19:47:19 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 4月16日 人形と森



 これは七つ下の弟がやっとまともな話ができるようになった幼い頃のことです。
当時、母と弟が寝る部屋には、亡くなった祖母の作った日本人形が男女一体ずつ飾ってありました。
 ある日、母、病気で学校を休んでた俺、弟の三人でお昼のオカルト番組、“あなたの知らない世界”を見ておりました。
そのあらすじは、

『 娘がゴミ捨て場で人形を拾ってきたところ、家族に反対され、元のゴミ捨て場に戻しに行きました。
しかし、いつのまにか、人形が家に戻ってきていました。
気味悪くなった娘は、さらに遠いところに人形を捨てに行きました。
その後、一家の主人が行方不明になり、死体で発見されました。
その遺留品には、なんとその人形が含まれておりました。』

というものでした。
 退屈だった俺はその再現フィルムを見ながら、

「 うちにもあんな人形あるよね~。」

なんて弟を怖がらせようとからかってました。
 するとまだ三歳にも満たない弟が、ケロリとした顔で、

「 うちの女の子の方のお人形も、夜になったらたまに首だけこっち向けて見てる。」

と主張するのです。
 まだそんな冗談を言えるような年齢ではない、と思われるので、さっきの再現フィルムと現実がごっちゃになっちゃったのかな、と思って聞いていましたが、

「 こんど人形が動いてるところを見たら教えるように。」

と指令しておきました。
 そんなことも忘れた頃、弟が、

「 人形が動いたよ。」

と言い出しました。
 詳しく話を聞いてみると、夜に母と並んで寝ていたところ、足元の方の壁の真中辺りに例のお人形がガラスケースから出て来て、自分を誘うように立っていたそうです。
そして、そのお人形の立つ壁の背景には、なぜか森が広がっていたそうです。
 弟によると、

「 とっても楽しそうな気がしたので、行こうかと思ったけど、夜はちゃんと寝てないとママに怒られそうなので、ついて行くのをやめた。」

とのことでした。
 人形の後ろに森なんてのは、幼い弟の作り話としては出来過ぎなのがちょっと怖かったんですが、今の弟はそんなことはすっかり忘れてしまっています。
果たして弟は、兄を怖がらせるために怪談を創作するほど賢いウソつき二歳児だったのでしょうか。
そのお人形は、まだ実家にあります。











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