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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道102

2008-08-21 18:33:08 | E,霧の狐道
 俺はアンパンマン自転車に跨って、山住神社から家へ向かった。
自転車の前カゴの底には、空になったスーパーの袋が一回結んだ状態で揺れている。
快適に自転車を走らせながら、俺はムフフフフと満足感に浸っていた。

“ これで、あのキツネから解放される・・・。”

自転車のペダルを踏む足も軽い。

“ 大ボスに会えなかったのは残念だったけど・・・。”

 俺はちょっと後ろを振り返った。
もう、山住神社の森からかなり離れている。

“ それにしても、結構、長い道のりだったよなァ~。”

俺は、お揚げ婆さんからヤンキーから山下先生までの流れを思い出していた。

 もと来た道を戻って、当摩川の橋を越えて、しばらく行ったところにある農道を右に曲がれば近道だ。
日は暮れ掛かっている。
しばらくで真っ暗になるだろう。
空は曇り始めて、雲がモコモコ動いていた。
 俺は、ガタガタ道を進みながら思った。

“ ホント、家が全然無いところだな・・・。”

辺りは、人通りがまったく無い。
自転車で道を走らせていても、来た時からずっと、誰とも擦れ違わなかった。
町からかなり離れているので、当然と言えば当然だ。
 ガタガタ道の両側には、木がポツンポツンと立っている。
俺は自転車を走らせながら右を見た。
木々の隙間から流れて行く景色には、荒地と畑が斑にあるように見える。
 放置してある荒地には、低い潅木や雑草が茂っている。
荒地と荒地の間には、小規模の畑がチラチラ見える。
畑には、何か作物が植えてあるようだ。
作物には実がなっていないので、何が植えてあるのか俺には分からない。
 木々が途切れた隙間に、一瞬、遠くが見通せた。
遠くの方の、山の手前の畑に軽トラックが止まっていた。
その近くで、頭に麦藁帽子を被った農家の夫婦が動いているのが見えた。
でも、それは直ぐに木々の陰に隠れた。
 俺は、暗くなる前に家に帰りたかったので、急いで自転車のペダルを回した。
蛇行しているガタガタ道を進むと、左前に当摩川の橋が見え隠れし始めた。

“ もう直ぐ橋だ。”

 荒地を通過して、左手に少し高くなった川の土手を見ながら走る。
川に沿って左にカーブしている道を、さらにスピードを上げる。



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