なんじゃもんじゃ物語 2-11 ヤマタイ国発電所食堂2
なんじゃもんじゃ物語116
ベンケーが言いました。
「 それでは、宴たけなわではございますが、ここで、ナミノカ族のお祝いの踊りをご披露するでござる。」
ベンケーが、テーブルを四つくっ付けステージを作りました。
そして、ステージに飛び乗り、懐から馬の尻尾の毛を束ねて作った悪霊祓いの棒と手術用のメスを取り出し、踊り始めました。
「 ウンナカマァ、サーホイカタナァ、ウンサナタァ♪
ドスッ、ドスッ!」
ベンケーは、踊りの最中に足を二回踏み鳴らしました。
「 ベンケー、どすっ、どすっ、てのは、何か意味がありまんのか?」
「 これは、大地の精霊を呼び出しているのでござる。
ほらっ、出て来た!」
ベンケーの踊っているテーブルの下の床から黒い煙が立ち上がりました。
“ ぼわあ~。”
煙は、テーブルの下に溜まっていきました。
そして、床とテーブルの間で徐々に黒い煙の上の方が固まって行き、上半身はアラビアンナイトに出てくるような魔人の形になりました。
「 呼ばれて、飛び出す、じゃじゃじゃじゃ~ん♪」
“ ガツン!”
「 いでででで。
誰でごじゃるか、こんな所にテーブルを並べたのは?
頭を打ってしまったでごじゃる。」
魔人は、テーブルの下から這い出して来ました。
テーブルの下の床の一点から黒い煙のようなものが立ち昇り、魔人の上半身に繋がっていました。
なんじゃもんじゃ物語117
魔人は、テーブルを忌々しげに見ながら言いました。
「 テーブルが良く見えなかったでごじゃる。
テーブルの上で、上半身を実態化した方がよかったでごじゃるな。
どうも、下半身の煙の部分が引っ張られて気持ちが悪いでごじゃる。
ところで、わしを呼んだのは、誰でおじゃるか?」
「 それがしでござる。」
「 おや、ベンケーでおじゃるか。
久しぶりでごじゃるな。」
「 月の精霊とは、どうなったでござるか?」
「 いや、口説いてはおるのじゃが、なかなか言うことを聞いてくれぬでごじゃるよ。」
「 折角だから、呼んでくるでごじゃるよ。」
“ ぼわあ~。
しゅる、しゅる、しゅる。”
魔人は、床に吸い込まれて行きました。
エッチソンが、ベンケーに聞きました。
「 なんでっか、あれは?」
「 大地の精霊でござる。
海賊船は海の上だから呼び出せないでござる。
ここは、地面の上だから出てきたでござる。
海岸沿いを、村から村へ奇病を治しに走っていた頃からの知り合いでござるよ。」
「 中近東のほうでっか?」
「 そうでござる。」
その時、床から煙が二つ立ち昇りました。
“ ぼわあ~。”
“ ぼわあ~。”
なんじゃもんじゃ物語118
煙は、徐々に固まって行きアラビアンナイトのカップルが現れました。
「 もう、早く来い、早く来いって何なのよ!
今、お昼寝をしていたのに!」
「 ベンケー、ベンケーでごじゃるよ!」
「 えっ、ベンケー。
あらっ、久しぶり。
長い間、顔を見てなかったけど何してたのよ?」
「 海賊でござる。」
「 えっ、海賊屋さんになったの?」
「 そうでござる。」
「 へぇ~、どう見ても侍に見えるわ。」
「 事情があって、変装してるでござる。」
「 ふぅ~ん。
あっ、そうだ!」
月の精霊は、大地の精霊を振り返って言いました。
「 ねえ、ねえ、あなた呼び出されたの2000回目じゃなかった?」
「 あっ、そうでごじゃった。
大当たりい~。」
“ カラン、カラン、カラン。”
大地の精霊は、懐から鐘を取り出し鳴らしながら、ベンケーに言いました。
「 ベンケーに8000回目呼び出し記念が当たったでごじゃるよ。」
「 何でござるか?」
「 大地の精霊は、2000回目ごとに懸賞を付けているでごじゃる。」
「 月の精霊は、3000回目ごとよ。」
「 それでは、大地の精霊が三つの願いを叶えるでごじゃるよ。
ただし、永遠に願いを聞いてくれなんて願いは駄目でごじゃる。」
なんじゃもんじゃ物語119
「 それじゃ、お頭の願いを聞いてくれでござる。
今日は、お頭の誕生祝いに大地の精霊を呼んだのでござる。」
「 えっと、お頭は誰でごじゃるか?」
子分たちは、一斉にお頭ブラックを見ました。
「 えっ、どうした?」
「 お頭、話を聞いてないあるね。」
お頭ブラックは、口の周りの髭にケーキの生クリームをベタベタ付けて口をモグモグさせて言いました。
「 話を聞いてなかった。
わしに説明してくれ。」
「 呼び出し8000回目記念の懸賞で、三つの願いが叶うでごじゃるよ。」
「 えっ、もう一回言ってくれ。」
「 呼び出し8000回目記念の懸賞で、三つの願いが叶うでごじゃるよ。」
「 そうか、三つの願いが叶うのか、何にしようかな・・・・・。」
「 もう、二つ使ったから、あと一つでおじゃる。」
「 えっ、確か三つと言ってなかったか?」
「 “わしに説明してくれ”、で一回。
“もう一回言ってくれ”、で一回使ったでおじゃる。」
「 ええ、そんなぁ~。
ずっこいよぉ~。
でも、願ったから仕方が無いかなぁ。」
「 お頭、お頭、迂闊に喋ったら、また一回に数えられまっせ!」
「 ああ、これは注意しなければいけないぞ。」
お頭ブラックは、生クリームの付いた口を閉じて三つ目の願いを考え始めました。
なんじゃもんじゃ物語120
その時、床から煙がもう一つ立ち昇りました。
“ ぼわあ~。”
そして、徐々に黒い煙の上の方が固まって行き、もう一人魔人が現れました。
「 こらっ、大地の精霊!
月の精霊を、勝手に連れて行ってはいけないであります。
抜け駆けは駄目であります。」
「 あっ、雲の精霊でおじゃるか。
抜け駆けではないでごじゃるよ。
ベンケーに呼ばれたでごじゃる。」
「 何、ベンケーとな・・・。
おお、これは、これは、ベンケーでありますな。
もう、10年も会ってないであります。
なつかしいであります。」
「 お久しぶりでござる。」
エッチソンが、話をしているベンケーと精霊たちに言いました。
「 そんな所で立ち話をしてないで、一緒にこっちの誕生会に来なはれな。」
「 そうでござる。
お頭が考え込んでいるから、願いが決まるまで、あっちのテーブルで昔の話でもするでござる。」
「 それが、いいわ。
みんな、座りましょ。」
「 はいはい、月の精霊はん、何がよろしおすか?」
「 そうね、ワインを貰おうかしら。」
エッチソンは月の精霊のワイングラスにワインを注ぎました。
「 いただきます。
あら、これ美味しいわ。
シャトーペトリュスかしら?」
「 なかなか、いけるくちでんな。
さあ、どんどん、行きまひょ!」
海賊たちのテーブルに、精霊たちも加わって、賑やかな誕生会が始まりました。
なんじゃもんじゃ物語121
“ ゴトゴトゴト、ゴトゴトゴト。”
「 ん?
何か、音がしているでござる。」
悪霊払いの棒を持ったベンケーが、首を傾げながら、騒がしい海賊たちの会話が流れる中、耳を澄ませました。
月の精霊と大地の精霊が、ベンケーを見ながら言いました。
「 あらっ、どうしたの?」
「 どうしたで、おじゃるか?」
「 何か、音が聞こえたでござる。」
「 気のせいよ、音なんて聞こえないわ。
それより、この前の・・・・。
あっ!
電気が、消えた。」
その時、食堂の電気が一斉に消えて辺りが真っ暗になりました。
たまちゃんと小僧が、電気のスイッチに走り、パチパチやっても電気は点きません。
「 停電かなぁ?」
「 発電所が停電って、何か変な気がするな。
仕方が無いから、さっきのロウソクに火を点けるか。」
たまちゃんが、ロウソクに火を点けみんなの顔が暗闇の中に浮かび上がりました。
エッチソンが、お頭ブラックに言いました。
「 お頭、願いは何にしまんねん?」
「 う~ん、新しいカラオケセット・・・・。」
大地の精霊が身を乗り出して、お頭ブラックに言いました。
「 えっ、新しいカラオケセットが欲しいのか?」
「 いや、まだ、願って無いからな。
後、一つしかないからな。
慎重に検討しなきゃ。」
「 ゆっくり考えて良いでごじゃるよ。
考えている間、ベンケーと昔話が出来るでごじゃる。
なあ、ベンケー・・・・・。
あれっ、どうした?
難しい顔をして・・・・。」
なんじゃもんじゃ物語122
ベンケーが、大きな声でみんなに言いました。
「 ちょっと、静かに!!」
みんな、一斉に黙ってベンケーの顔を見ました。
お頭ブラックが、聞きました。
「 どうした、ベンケー?」
「 来てしまったでござる・・・・・。」
「 何が、来てしまったのだ?」
「 あれを見るでござる。」
ベンケーは、食堂の入り口に悪霊払いの棒を向けました。
食堂の扉のガラスには人影が揺らめいていました。
お頭ブラックが、ベンケーに言いました。
「 警備員が、眼を覚ましたのかな?」
「 いや、もっと性質の悪い奴でござる。」
食堂の扉がゆっくり開きました。
そして、お面を着けた四つの人影が揺らめきながら入ってきました。
人影は、半裸で腰蓑を着け、右手に槍、左手に盾を持っています。
四人とも、体半分ほどある長いお面を頭からすっぽり被っています。
お面の色は、それぞれ赤、白、黄、黒色です。
「 うるうるうる。」
「 うるうるうる。」
「 うるうるうる。」
「 うるうるうる。」
精霊たちは、驚いて一斉に叫びました。
「 どうして、こいつらがここにやって来たんだ!」
海賊たちは、キョトンとして入って来た人影を見ていました。
なんじゃもんじゃ物語123
お頭ブラックが、ベンケーに聞きました。
「 あの、うるうる言ってる奴は何なんだ?」
「 悪霊でござる。」
「 悪霊って、悪い奴らだろ。」
「 そうでござる。」
「 何で、やって来たんだ?」
「 発電所に侵入するとき、塀の所でミンブカ村の悪霊祓いの歌と踊りを途中で止めたでござる。
途中で止めたので、こいつらは、呼ばれたと勘違いして来てしまったでござる。」
「 あの、うるうるってのは、何て言ってるんだ?」
「 呼んでくれて、感謝、感謝、と言っているでござる。」
「 それじゃ、一緒に誕生祝に参加ってことか。」
「 いや、追い払った方が良いでござるよ。」
「 せっかく来たんだから・・・・・。」
「 あの槍でツンツンされると、とんでもない事がおきるでござる。」
「 何が起きるというのだ?」
「 赤い奴は、熱が出る。
白い奴は、骨が折れる。
黄色い奴は、精神が異常になる。
黒い奴は、体が腐るのでござる。」
「 えっ、それはまずい!」
「 それに、隙を見せたら噛み付かれるでござる。」
「 噛み付かれたら、どうなるんだ?」
「 あいつらの仲間になってしまうでござる。
それも、噛み付かれた奴の色になるでござる。」
「 ゾンビみたいなものかな?」
「 そうでござる。
永久に彷徨うでござるよ。」
悪霊たちは、ゆらゆら揺れながらゆっくりとこちらに向かって歩いて来ます。
なんじゃもんじゃ物語124
エッチソンが悪霊を身ながら、ベンケーに言いました。
「 あんなにゆっくりじゃ、たいしたことおまへんがな。
しばいたりまひょか。」
「 いや、今、エネルギーを溜めているでござるよ。
ミンブカ村の悪霊祓いの歌と踊りを止めてから、まだ時間はそう経っていないでござる。
地球の裏側から、ここまではるばるやって来たでござるよ。」
「 それは、すごいスピードでんがな。」
「 あと数分で充電完了でござる。」
「 逃げても追い付かれまんがな。
どうします、お頭?」
「 ふっ、ふっ、ふっ。」
「 お頭、笑っている場合じゃありまへんがな。」
「 大丈夫だ、わしには考えがある。」
悪霊たちに一番近い席に座っているチンギスチンが言いました。
「 お頭、だんだん近寄って来たあるよ。
早く、何とかして欲しいあるよ。」
お頭ブラックは、立ち上がって大地の精霊に言いました。
「 最後の願いを言うぞ。
悪霊を追い払ってくれ!」
「 うーん、困ったでごじゃる。」
「 こらっ、何でも願いを聞くって言ったじゃないか!」
「 でも、あいつらは苦手でごじゃる。
他の願いにして欲しいでごじゃるよ。」
「 そんなに手強いのか?」
「 あいつらは、絶対、死なないでござるよ。」
「 じゃ、どうやってやっつけるのだ。」
「 槍を払い落とせば、武器を無くして逃げて行くでごじゃる。」
「 じゃ、そうしてくれ。」
「 4色は、無理でごじゃる。
1色で精一杯でごじゃる。」
なんじゃもんじゃ物語125
月の精霊が言いました。
「 まあ、仕方が無いわね。
手伝ってあげるわ。
わたしと雲の精霊とベンケーで1色づつね。」
「 えっ、僕もやるのでありますか?」
「 あれ、雲の精霊はイヤだって言うの?」
「 いや、そう言う訳では、・・・・。」
「 もう、一生、お話してあげないから。」
「 やります、やります、であります。」
「 それじゃ、集まって。
誰がどの色の相手をするか決めましょう。
海賊さんたちは、危ないから、壁の方に下がってね。」
海賊たちは、壁際に避難しました。
月の精霊が悪霊たちに言いました。
「 お前たちの相手は、私たちがするわ。」
悪霊たちは、嬉しそうに体を揺すって言いました。
「 うるうるうる。」(我等のアイドル、月の精霊ちゃんだ。)
「 うるうるうる。」(何時見ても可愛いなぁ。)
「 うるうるうる。」(今度こそ、仲間にしようよ。)
「 うるうるうる。」(そうだ、そうだ、仲間にしよう。)
大地の精霊が言いました。
「 はい、悪霊たち、そこで止まって待つでごじゃる。
今、誰がどの色の相手をするかアミダくじで決めているでごじゃる。」
なんじゃもんじゃ物語126
月の精霊は、アミダくじを作りました。
「 誰から引くでごじゃるか?」
「 そうね、じゃんけんをして決めましょう。」
「 そうするでござる。」
「 じゃんけん、弱いでありますが、まあ、いいであります。」
四色の悪霊たちは、その様子を見ながら叫びました。
「 うるうるうる。」(くじで勝手に決めるなんて、黒ちゃんは許さない!)
「 うるうるうる。」(白ちゃんは、大地の精霊の相手なんてしたくない!)
「 うるうるうる。」(赤ちゃんは、雲の精霊は嫌いだ!)
「 うるうるうる。」(黄色ちゃんは、ベンケーの悪霊祓いの棒は苦手だ!)
そして、四色の悪霊は、口を揃えて言いました。
「 うるうるうる。」(月の精霊の相手は、僕だ!)
悪霊たちは、立ち止まって、お互いの顔を見ました。
「 うるうるうる。」(黒ちゃんが、月の精霊の相手だよ!)
「 うるうるうる。」(ダメダメ、白ちゃんが、月の精霊の相手だ!)
「 うるうるうる。」(ずるい、ずるい、赤ちゃんだ!)
「 うるうるうる。」(うるさい、黄色ちゃんが、相手だ!)
悪霊たちは、体を揺すって言い合いを始めました。
悪霊たちの声が大きくなり始めました。
「 うるうるうる。」(黒ちゃんが、月の精霊の相手をすると言っただろう!)
「 うるうるうる。」(ダメダメ、黒ちゃん、前回、月の精霊の相手をしたじゃん!)
「 うるうるうる。」(そうだ、そうだ、今回は、赤ちゃんだ!)
「 うるうるうる。」(うるさい、黄色ちゃんが、相手だよ!)
「 うるうるうる。」(ええい、うるさい、黒ちゃんに逆らうな!)
“ポカッ!”
黒ちゃんが、黄色ちゃんの頭を槍の柄で叩きました。
「 うるうるうる。」(何をするんだ、黒ちゃん。)
「 うるうるうる。」(黙れ、月の精霊は僕が相手をする!)
“ポカッ!”
黄色ちゃんが、黒ちゃんの頭を槍の柄で叩き返しました。
黒ちゃんは、盾で防御した拍子に盾の端が白ちゃんと赤ちゃんに当たりました。
「 うるうるうる。」(痛いじゃないか、黒ちゃん、このぉ~。)
「 うるうるうる。」(やったなぁ、お前!)
悪霊たちは、槍の柄で喧嘩を始めました。
“ポカッ、ポカッ!”
“ポカッ、ポカッ、ポカッ!”
“ポカッ、ポカッ、ポカッ、ポカッ!”
なんじゃもんじゃ物語127
一方、精霊たちはくじ引きの順番を決めていました。
大地の精霊が言いました。
「 それじゃあ、じゃんけんをするでごじゃる。
最初は、ぐぅ~・・・・。」
「 うわぁ~、勝った、勝った!」
「 雲の精霊、ずるいでごじゃる。
最初は、ぐぅ~、で、ぱぁ~を出すなんて!」
「 そうよ、最初は、ぐぅ~は掛け声よ。」
「 卑怯でござる。」
「 でも、勝ちたいであります。
これは、駆け引きであります。」
「 ダメダメ。
最初は、ぐぅ~では、みんなぐぅ~を出すのよ。
そこで、ぱぁ~を出したらダメ。」
「 う~ん、仕方が無いであります。
じゃあ、やり直すであります。」
「 それじゃ、次は、掛け声のパターンを変えるでごじゃる。
“じゃんけん、ころころ、コロンビア!”で行くでごじゃるよ。」
「 みんな、それぞれ、作戦を考えているでござるな。
それでは、拙者は、最初にチョキを出すでござるよ。」
「 何よ、それ。」
「 駆け引きでござる。」
「 本当に、チョキを出すの?」
「 出すかどうかは、教えないでござる。」
「 心理作戦でありますな。
チョキを出すと言っておいて、みんながぐぅ~を出すので、ベンケーは、ぱぁ~を出して勝とうと言うのでありますな。
そうは、いかないでありますよ。」
「 じゃあ、わたしは、ぐぅ~は、出さないことにするわ。」
「 ぱぁ~とチョキのどちらかでごじゃるな。
それじゃ、チョキを出せば、少なくとも負けないでごじゃるな。」
「 でも、騙して、ぐぅ~を出すかも知れないわよ。」
「 だんだん、複雑になってきたでごじゃるな。」
「 それでは、僕は、作戦変更であります。
統計作戦で行くであります。」
「 何よ、それ。」
「 ぐぅ~、チョキ、ぱぁ~の内、どれが出やすいか実験した統計を知っているであります。」
「 それで、何が出やすいの?」
「 教えないであります。」
なんじゃもんじゃ物語128
海賊たちは、ロウソクの灯りの中で、暗い食堂の壁際にかたまって事の成り行きを窺っておりました。
そして、精霊たちと悪霊たちの様子を見ていたエッチソンが、お頭ブラックに小声で言いました。
「 お頭、2グループとも、何か揉めている様でおますな。
揉めている間に、ウランをいただきに行きまひょ。」
「 そうだな、今だったら、そ~っと食堂を抜け出しても気が付かないな。
よし、行くぞ。」
海賊たちは、壁に沿って順々に、そ~っと食堂から抜け出して行きました。
通路に出ると、ここも食堂と同じように天井の灯りは消えていました。
でも、通路の壁の下の方に等間隔に付いている非常用の明かりが足下を照らしています。
床に反射した光が薄暗く通路を浮かび上がらせていました。
お頭ブラックが子分たちを見て、小さな声で言いました。
「 みんな、いるか?」
チンギスチンが小声で、お頭ブラックに答えました。
「 お頭、ベンケーがまだあるよ。」
「 ベンケーは、今、手が離せないから、帰りに声を掛けよう。
それじゃ、静かに、かつ、気合を入れて、本業に復帰する。
行くぞっ!」
子分たちは声を揃えて、小さな声で答えました。
「 お~っ!」
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