日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

月刊イオ10月号といこいマダンのランチ

2013-09-18 09:00:00 | (K)のブログ


 月刊イオの10月号が完成しました。

 特集は、「明日のための同胞福祉」。同胞社会で福祉への取り組みが本格的に始まり十数年が経ちます。この間、各地に同胞生活綜合センターが作られ、同胞福祉連絡会やムジゲ会、民間のNPOなどが組織されてきました。特集では、積み上げてきたこの間の活動(場作り、人材育成、行政との協働)、見えてきた課題などを、各地の取り組みや福祉に携わる人々を紹介しながら考え、明日のために求められる同胞福祉の明らかにしようとしました。

 特別企画は、「月刊イオの電子書籍化」。月刊イオは1996年7月の創刊以来、政治、経済、文化、歴史、同胞生活などほぼすべてのジャンルの記事を、様々な形式で掲載してきました。蓄積された情報は膨大で貴重なものだと言えます。それらの情報をイオの誌面上だけでなく、イオを電子出版化することでより有効に利用したいと、特別企画ではイオの電子化について考え読者の皆さんに提案しています。この特別企画を第一歩として、今後、イオの電子化に本格的に取り組み実現させていきたいと考えています。電子書籍の専門家のインタビューも掲載しています。

 その他の記事では、関東大震災90周年に際して関東各地で行われた行事の紹介や、朝鮮学校を差別する日本政府に対して出された国連勧告についての記事、朝鮮学校に対する理解を深めるためのパンフレット「ウリハッキョ」の紹介などが掲載されています。また、元日本軍「慰安婦」で沖縄に住んでいたペ・ポンギさんについての短期連載「沖縄のなかの朝鮮人」もスタートします。
 10月号も充実した内容となっています。ぜひご愛読ください。


 今回わたしは、特集の取材のために愛知県の「NPO法人 コリアンネットあいち」を訪ねました。コリアンネットあいちは、同胞たちのために高齢者支援や障がい者自立支援、子育て支援、社会教育、国際交流など多角的に事業を展開しています。そのなかで、高齢者のためのデイサービスセンターである「いこいマダン」(名古屋市北区)を訪問して写真を撮らせていただきました。ほとんどの利用者が同胞高齢者ですが、私が訪ねた時は日本人の利用者も一人おられました。姉妹3人で利用している方もおり週に1度、いこいマダンで会うのが何よりの楽しみということでした。また、スタッフのみなさんが誠心誠意、利用者の方に接し働いている姿が印象的でした。

 利用者の方たちは、健康チェックや入浴、お遊びなど1日を楽しく過ごしていたのですが、楽しみにしていることのひとつが食事(ランチ)でした。わたしも2日間、ハルモニたちと一緒にご馳走になりましたが、同胞高齢者の口に合うメニューで本当に美味しかった。「ランチの美味しいマダン」をアピールポイントの一つとしているとのことで、十分にうなずける大満足のランチでした。


 どれだけ美味しいのかと言うと、そのランチメニューのレシピが本になるほど美味しいんです。「ハンメの食卓―日本でつくるコリアン家庭料理―」(NPO法人 コリアンネットあいち編著、ゆいぽおと発行、1500円+税)。10月下旬に発売予定です。写真のチラシに書かれている文章の一部を紹介します。
 「「ハンメ」は、朝鮮半島慶尚道地方の方言「ハルメ」(おばあちゃん)が、さらになまった「在日語」です。私たちのまわりには多くの在日コリアンが住んでいます。日本の植民地時代に渡って来た1世のほとんどが高齢となり、多くの人が、二つに引き裂かれてしまった故郷に帰ることなく他界しました。
 1世の同胞たちに少しでも安らぐ場所を提供したいという2世の思いから誕生したデイサービスセンターで、毎日提供している昼ごはんのレシピをまとめました。日本の食材を使い、在日ならではの知恵をいかし、「韓流」とはちがった、古くから家庭に伝わる料理が中心です。」


 発売されれば、月刊イオの書評欄でも紹介したいと思います。日刊イオの読者のみなさんもぜひお買い求めください。コリアンネットあいちではまた、「1世のハンメたちが教えてくれたこと」という1世のハルモニたちの生活史などをまとめた本も出版する予定だということです。(k)


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