日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

特別授業とインドカレー

2012-09-22 09:00:00 | (淑)のブログ
 昨日、杉並区にある東京朝鮮第九初級学校で「阿佐ヶ谷朝鮮学校サランの会」(以下、サランの会)が、子どもたちのために特別授業を行い、給食を作ってくれました。
 サランの会による特別授業は、過去に数回、高学年のみを対象などにして行われてきましたが、すべてのクラスで授業をしたのは今回が初めての試みです。日本人の先生たちが授業をしてくれるということで、子どもたちもこの日を心待ちにしていたようです。

 1、2年生は、長谷川和男さんによる「むかしあそび」。


 授業テーマのとおり、コマとけん玉を使ってむかしながらの遊びを楽しみました。ちなみに使用したコマは、学校のすぐ傍にある杉並区立第一小学校から借りてきたものだそう。私が在学していた頃は子供どうしケンカばかりでしたが(苦笑)、現在は学校同士の交流も盛んだそうです。
 授業の最後には、長谷川さんがアコースティックギターで長渕剛の「とんぼ」を熱唱するひとコマも。「うぉ~うぉ~うぉうぉうぉうぉ」と歌いだした長谷川さんに、あっけにとられる子もいたり、顔中大笑いの子もいたりで、とにかく盛り上がりました。子どもたち、けん玉やコマよりも長渕の方が強烈だったんじゃないかな(笑)。

 4、5年生は浅川謙司さんによる「いろんなでんち」。アルミやティッシュなどを用いて、備長炭の電池をつくってみる、という授業です。


 6年生は内田孝人さんによる「宮沢賢治」の授業。


 授業のあとはお待ちかねの給食です。メニューはインドカレーとフルーツヨーグルト。全校児童が多目的広場に集まって、サランの会のメンバーらと一緒に昼食を楽しみました。チキンを一晩ヨーグルトにつけたという本格的なインドカレーは人気で、子どもたち、たくさんおかわりしていました。


 サランの会では今年度、第九学校への支援強化を掲げて、杉並区から支給される補助金の増額要請、同校の施設・設備の充実のための活動、学校行事への参加と協力などに取り組んでいます。私も年に数回は同校を訪れますが、ここ数年、行事などでサランの会のメンバーを見ることも珍しくなくなりました。
 サランの会では今後も、通常の授業に役立ち、かつ子どもたちが楽しめる授業を、年に1、2回のペースで行っていきたいとしています。
 ある若手の教員は、「入学式や運動会、行事の度にサポートしてくれる。本当にありがたい。その名のとおり、サランの会にはいつもたくさんのサランをもらっている」と話していました。
 サランの会のメンバーは、大阪府と市が朝鮮学校への補助金を停止している問題で今月20日、大阪朝鮮学園が府と市に補助金の交付を求め大阪地裁に提訴した件について「本当に情けなく恥ずかしい」と話しながら、「『無償化』問題や補助金不支給の問題に日本人として向き合うということは、日本社会に不正を訴えていくことでもあるけど、ここに通っている子どもたちのことを考えて行動するってことなのかなと思う」と話していました。話の最中に、3年生の女の子がやってきて、そのメンバーにお礼の手紙を渡していました。恥ずかしそうな女の子と、うれしそうなメンバーの顔がなんともほほえましかったです。
 1日を通して、サランの会のメンバーのひたむきな姿と、子どもたちの屈託ない笑顔を見ながら、朝鮮学校には、日本社会と朝鮮学校、ひいては在日同胞社会の新しい関係を拓いていける底力があると感じました。(淑)