goo blog サービス終了のお知らせ 

日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

もうひとつの花園

2016-01-19 09:00:00 | (S)のブログ
昨今のラグビーブーム。今日は中学生による全国大会の紹介です。昨年12月29日~31日にかけて、第21回全国ジュニア・ラクビーフットボール大会(日本ラグビーフットボール協会主催)が大阪市花園ラグビー場とJ-GREEN堺で開催されました。毎年、全国高校大会(花園)と同時期に開催される、中学生たちによる全国大会。昨年上位成績を収めた16の選抜チームが出場しました。
 
他の強豪チームを退け、第21回大会を制したのは、兵庫県ラグビースクール選抜。この優勝チームで、朝鮮学校に通う3人の中学生たちが活躍していました。
同チームのキャプテンを務めた、背番号12番・BKの李承信選手(神戸朝鮮初中級学校・中3)、全試合にフル出場し優勝に貢献した、背番号3番・FWの朴祐亨選手(西播朝鮮初中級学校・中3)、背番号16番・FWの兪瑛士選手(神戸朝鮮初中級学校・中2)たちです。李承信選手は優秀選手にも選ばれました。

兵庫県ラグビースクール選抜は、昨年11月に行われた近畿大会で強豪・大阪代表に1トライ差で勝利し、全国ジュニア大会出場の切符を手にしました。1回戦で京都府中学校選抜に22-12(29日)、準決勝で長崎県選抜に38-31(30日)で勝ち、初めて決勝に進出。決勝では神奈川県スクール選抜に24-21(31日)で勝利し、見事初優勝を果たしました。
優勝チームで活躍した3選手が、いずれ朝鮮高校ラグビー部員として花園の舞台でプレーする姿を期待したいと思います。(S)

優勝し表彰を受けるキャプテン・李承信選手

※掲載記事
http://rugby-rp.com/news.asp?idx=109051&page=4&code_s=1002 (RUGBY REPUBLIC、2015年12月31日)



「その日を夢見て―在日朝鮮留学生の100年」

2016-01-08 09:00:00 | (S)のブログ
年末、取材で在日本朝鮮留学生同盟(留学同)結成70周年記念公演「その日を夢見て―在日朝鮮留学生の100年」に足を運びました。留学同は、日本の大学・短大・専門学校で学ぶ同胞学生たちによる団体です。タイトルにある「100年」という言葉にとても興味を惹かれました。

留学同は結成70年を迎えましたが、朝鮮留学生たちの歴史は植民地時代にさかのぼります。当時の留学生たちは「学友会」を結成するなどし、境遇を同じくする学生同士の交流をはかり、互いの民族意識を鼓舞し合っていたといいます。解放後の1945年9月14日、留学生たちは「在日本朝鮮学生同盟(朝学同)」を結成し、これが後に留学同の母体となりました。

公演では、各地の留学同メンバーらによる創作舞踊や演劇、歌などが披露され、植民地時代に日本に渡り、厳しい弾圧にも屈することなく祖国の解放を夢見た朝鮮留学生たちの闘いや葛藤が描かれていました。

その中で、「信じることが闘い」という言葉が出てきました。先が見えず希望を失いそうになっても、解放の日が訪れることを信じ続けようという意味です。今私たちが闘っている高校無料化問題の解決や、祖国統一の実現など、それに対する思いは強いのに時間が経つにつれて「やっぱり無理なのでは…」と弱気になってしまうことがあります。「信じ続けること」が難しくも大切なのだと考えさせられました。本当の闘う相手は、自分自身の心なのだと思います。

100年前の朝鮮留学生たちは、互いの存在と意思を確認し合いながら、いつ訪れるか分からない解放の日を信じたと思います。私たちも、闘っている友人がいることをそれぞれが力に変え、希望を捨てずに頑張らなくてはいけないと感じました。(S)

 

1年を振り返って

2015-12-24 09:00:00 | (S)のブログ
(S)の今年最後のブログになります。この1年間は、とても目まぐるしい1年でした。今年の初めはというと、卒論やサークルの定期公演の準備に追われながら、怒涛の大学生活を送っていました。これまでにないほど同級生たちと進路について相談し合った時期でもありました。
それが、気付けばすでに、入社して9ヵ月が過ぎようとしています。とても不思議な気分です。
 
この間、取材を通して日本の方や多くの同胞との出会いがありました。思いもよらない出来事を経験し、同胞社会の「狭さ」ではない「つながり」を肌で感じました。また、取材という機会がなかったらきっと会うことができなかった人たちや、聞くことができなかった話がたくさんあり、本当に貴重な経験をさせてもらっているとつくづく感じました。
そして何よりも、たくさんの方々の協力と支えによってイオが作られてきたことを知りました。
 
イオは来年、創刊20周年を迎えます。大切な節目の年にイオに携われる幸運に感謝しながら、頑張っていきたいと思います。(S)

映画祭に行きました

2015-12-16 09:00:00 | (S)のブログ
 毎年秋に東京で開催される映画祭・東京フィルメックスが11月21~29日、有楽町のいくつかの映画館で開催された。これまで映画祭に足を運んだことがなかったが、スタッフとして働いていた友人に誘われ、オープニングで上映された映画「ひそひそ星」(監督:園子温)を観に行った。

 映画祭開幕ということで、会場の雰囲気は日頃の映画館とは違いかなり賑やかで、海外からも人がたくさん訪れていた。前から3列目のど真ん中、報道陣の真後ろで映画を観るのもはじめてのことだった。

 「ひそひそ星」は、人工知能を持つロボットが8割・人間が2割となった、人間が絶滅危惧種と言われる時代が舞台のSF映画。主人公は、宇宙船に乗り込み星々を巡りながら人間の荷物を届ける宇宙配達人だ。モノクロで描かれ、一つひとつの音が繊細。震災の傷跡が残る福島で撮影が行われ、今も仮設住宅に住む現地の方も出演していた。主人公が人間と会う中で、思い出や感情などといった「人間味」を感じ取っていくようすが印象的だった。人間の儚さの中に人間しか持っていないものが描かれているように思えた。ロボット開発などが進み人間の生活がよりよくなっていく中で、人間らしさというものに改めて目を向けたいと感じた。

 開催中、他にもいくつか観たい作品があったが、時間が合わず断念。映画というと、どこの映画館でもやっている大衆受けする映画を観る機会が多いが、あまり知られていない良い映画が本当はたくさんある。今後「良い映画」をもっと探して観ていけたらと思う。(S)

手軽だからこそ

2015-12-08 09:00:00 | (S)のブログ
最近、Jリーグのブラジル人選手のツイッターに人種差別発言が投稿され、大きな問題となった。書き込んだのは高校生。準決勝試合をテレビ観戦していて、応援するクラブが負けたのが悔しくて投稿してしまったそうだ。このツイートは一瞬にして拡散された。ことが大きくなったのに驚き、学校に名乗り出たという。

何よりもその発言の内容に驚いてしまったが、同時にSNS利用でのモラルの低さも感じずにはいられなかった。報道を見ると、書かれた選手はツイッターに「本当に私や家族を傷つけました」と気持ちを明かしている。今回は自分だけれど、いつかは他の人がこういう目に遭うかもしれないとも。

悔しくて思わず投稿してしまった、では済まされない。その場の思いつきや感情で発信した言葉が人を傷つけたり、取り返しのつかない結果を招いたりすることもある。手軽に利用できる便利さはあるが、だからこそなおさら慎重でありたい。

イオ1月号にはSNSに関する特集が掲載される。SNSについて改めて考える機会になればと思う。(S)

少なくても、一人二役で

2015-11-30 09:00:00 | (S)のブログ


秋、冬は学芸会の季節です。
母校、東京朝鮮第2初級学校でも昨日学芸会が行われました。全校生の数は私が通っていた頃の半分以下にまで減りましたが、それを感じさせないくらい明るくて元気な学芸会でした。

歌って踊って楽器を叩いて、演劇が終わったらまた歌って…
相変わらず1人の出演率が高くてみんな忙しそうでしたが、一つひとつが「全力」!! その姿がなんとも健気で、また、子どもの吸収力の凄さを感じずにはいられませんでした。

毎年注目の的となるのは、ウリマルを習いたての初級部1年生と、6年間の成長が垣間見える初級部6年生のそれぞれの演劇です。今年の1年生は5人、6年生は3人。初級部時代を平均18人のクラスで過ごした私にとっても、一体どんな演劇なのか特に関心が行く演目です。

人数が少ないと、やはり1人が覚える台詞も膨大で、1年生はそれぞれソロでうたを歌うシーンもあります。それらをこなす様子は、「よく覚えたな~」と本当に感心してしまいます。
6年生はというと、3人のうち2人は、一人二役を演じていました。3人の孤児が主人公なのですが、そのうち2人はお化け役としても登場。背景のスクリーンや音声を上手く使いながら、とても工夫されていました。

以前、ある朝鮮学校の先生がこんなお話をされていました。「生徒数が減少しているということだけに頭を悩ませるのではなく、今いる子どもたちを輝かせることに全力を注がなければいけない」。

ウリハッキョの良さは、どんな言葉よりも、ウリハッキョに通う児童・生徒たちの姿が語ってくれていると、学芸会を見ながら改めて感じました。たとえ人数が少なくても一人ひとりが一生懸命学んでいることを忘れず、そのことをもっとたくさんの人に知ってもらえるよう自分自身もたくさんアピールしていきたいです。(S)








イオ12月号完成!

2015-11-18 09:00:00 | (S)のブログ

イオ12月号が完成しました!

今年最後の表紙を飾ってくれたのは、今年、帝京大学を卒業しラグビー・トップリーグの強豪パナソニックワイルドナイツに加入した権裕人選手です。
大阪朝高ラグビー部時代には、2、3年時に全国大会でベスト4、3年時の全国選抜大会で準優勝に貢献し、日本全国の同胞たちを沸かせてくれました。ケガとの戦いを乗り越え再出発した権選手。今後の活躍に注目です。

特集は「アートをひらく人々」。
祖国解放後の在日朝鮮人美術史をひもときつつ、さまざまな分野で活動し自らの表現を追求する同胞美術家を20~40代を中心に取り上げ、作品とともに紹介しています。現代アート、陶芸、朝鮮民画などジャンルも幅広く、素材や技法も多様です。
また、今年44回目を迎える在日朝鮮学生美術展も取り上げました。朝鮮学校の美術教育と児童・生徒たちの作品は時代とともに変容しつつあります。そんな中、学美はさまざまな人々をつなげ、新たな実践を生み出す場として発展を遂げています。

特別企画「PyongYang Beauty Navi(平壌ビューティーナビ)」では、国産化粧品の種類も増え、基礎化粧品の品質も上がっているという平壌での、女性たちの美意識、美容事情に迫ります。
平壌の化粧品を使って実践もしてみました。その使い心地とは…?!

その他に、創部40年目で全国大会出場を手にした東京朝高ラグビー部の快挙、マイナンバー制度について、北南離散家族・親せき面会事業、群馬初中55周年記念「ムジゲフェスタ」など内容盛りだくさんです!

今月も是非ご愛読ください!(S)

つながり

2015-11-11 09:00:00 | (S)のブログ
先月の出張で、山口朝鮮初中級学校を訪れる機会がありました。今から50年近く前、私のハラボジがこの学校(当時「下関初中」)に勤めていて、私のオモニも通っていたので、いろいろな意味で感慨深かいものがありました。当時の学校の記録にハラボジの筆跡や若い頃の写真が残っていました。今年90歳のハラボジは現在千葉に住んでいますが、とても寡黙で昔の話はあまりしません。私が生まれる前の遥か昔の痕跡を発見したようで不思議な気分でした。記録だけでなく、当時のハラボジを知る方たちに会えたことも嬉しかったです。帰国した私の伯父の担任だった方にもお会いできました。
 
取材の後、是非行ってみたいところがありました。学校の近くにある「商会」というチョゴリ店です。当時ハルモニがそこで働いていたと聞いたからです。さすがにハルモニを知る人はいないだろうと思いましたが、勇気を出して行ってみました。すると、驚くことにハルモニをよく知る方がそこにいらっしゃいました…! ハルモニの話をするととても懐かしそうに当時のいろいろな話をしてくれました。思い切って足を運んでよかったなと思いました。1日ずれていたら休館日だったそうです。運もつくづくいいなと思いました。

下関にはもちろん初めて行きましたが、こういう方々に会えて、同胞社会ならではの繋がりを改めて実感しました。ハラボジハルモニに出張で下関に行くと言うととても喜んでいたので、早く報告しに行きたいと思います。(S)

 (商会の方にいただきました)

広島無償化裁判第9回口頭弁論―差別という点が明確に

2015-11-02 09:00:00 | (S)のブログ
 広島無償化裁判第9回口頭弁論が10月28日、広島地方裁判所第302号法廷で開かれ、朝鮮学校保護者や関係者、日本市民、朝鮮学校高校生らが法廷に駆けつけた。

 広島での無償化裁判では、広島朝鮮学園と110人の広島朝鮮初中高級学校生徒・卒業生たちが原告となり、「高校無償化」法に基づく指定の義務付けと、元・現生徒たちの学習権を侵害し精神的苦痛を強いたことに対する慰謝料を求めている。

 今回の口頭弁論では、原告側が第9・10準備書面を提出した。

 第9準備書面ではまず、原告代理人の平田かおり弁護士が、行政処分取消訴訟における主張立証責任について陳述。「法令に基づく学校の運営を適正に行わなければならない」と定めている規程13条に適合すると認めるに至らなかったという被告(国)の主張について、その主張立証責任が被告側にあると主張した。
 原告である朝鮮学園は、高校無償化制度への申請を行うにあたり、必要な定型的書類はすべて提出したが、その後、文部科学大臣が規程13条を絡め、「不当な支配」がないかを確認するための新たな書類提出を求めた。本来定められていた定型的資料ではなく、追加で文部科学大臣が要求した資料と関連して不指定処分が下されたのであるから、規程13条該当性に関する主張立証責任は当然被告側にある。審査のために必要な資料をすべて保持しているにも関わらず、内容の審議も確認できていない報道等を指摘したうえで「確証が得られない」などと述べるのは、立証責任を果たしたとは言えないと指摘した。

 また本書面では、大阪のとある私立学校で5億円の不正流用があったが就学支援金が支給されているようだと指摘。一方で原告朝鮮学園に対しては、運営が適正に行われていないという具体的裏づけが確認できなかったにも関わらず、無償化の対象から外されていることから、これが明らかな差別だと被告側を一蹴した。

 第10準備書面では、前回被告が提出した第6準備書面に対し反論。一橋大学の田中宏名誉教授による同等性判断に関する鑑定意見書が証拠として引用された。田中鑑定書では「日本の教育」と「外国の教育」との間で、「同等性」や「相当性」を判断する場合に問題とされるのは、日本と同じ「12年の課程」を修了しているかどうかだけで、学校運営の適正に関する同等性判断は含まれていないとしている。
 また、仮に規程13条(適正な学校運営)が適法なものだったとしても、そこで問題とされるのは「財務諸表の作成」「理事会等の開催実績」「所轄庁による処分(直近5年間)」であり、朝鮮学園が適合するに至らなかったという判断は不合理であるとしている。
 足立修一弁護団長は口頭で「『朝鮮学園は怪しいから調べる』としているだけでは立証できていない。具体的にどこがどのように怪しいのかを示さないと反論のしようがない。『悪魔の証明』を強いられている」と力を込めた。

 


 裁判終了後に報告会がもたれた。足立弁護士は、今回の口頭弁論で、運営の適正が認められている日本学校で不正流用があったが支援金が打ち切られていないことを原告が証拠として提出したことで、規程13条を理由に国が原告朝鮮学園を不指定処分としたことが差別だという点がかなり明確になったと話した。

 広島朝鮮初中高級学校に通う高校2年生の女子生徒は、法廷で闘うことはできないが、当事者である私たちが、学校を守っていくことから逃げず、よそ見せず、将来の自分たちを見据えて、学校の中で勉学や部活動に励んでいきたいと話した。

 同校オモニ会の朴陽子会長は、9月12日に開かれた全国オモニ大会を契機に、オモニ会で制作した高校無償化裁判を応援する横断幕について説明した。「在日朝鮮人は生まれた時から差別と闘うという環境に育ってきたが、今回の横断幕を作るにあたって、『暗い』『辛い』というイメージを払拭して全体的に明るく作ろうと一致した」。横断幕には「すべての子供たちに『高校無償化』の適用を! 好きじゃけん朝鮮学校」と書かれ、必ず勝利しようという思いを込めて、雨の後に出る虹が描かれている。「子どもたちに、正しいことを頑張ったら勝利できるということを経験として与えてあげたい」と話し、今後、法廷にたくさんの人が足を運ぶことで裁判を盛り上げて行こうと呼びかけた。

 次回の第10回口頭弁論は、2月3日13時半から開かれる。
 そこでは今回提出された準備書面に対する被告側の反論がなされる。また、原告側は、合計94人による陳述書・検証申出書・尋問申出書を裁判所に提出する予定だ。(S)

アジア図書館

2015-10-23 09:00:00 | (S)のブログ


イオ11月号では朝鮮・韓国関連の本が多く揃っている図書館を紹介しています。私が今回、取材で足を運んだ図書館の中にアジア図書館があります。
 
1981年に市民によって設立されました。中央の細い通路を軸に、左右に韓国・朝鮮、中国、・インド・南アジアなど、国と地域別のブースが設けられ、床から天井まで360度、本がぎっしり。本の香りと古風な雰囲気が漂っていて、一般の公立の図書館にない味があります。
 
音楽会、海外交流、文化交流イベントの開催や、語学スクールの運営などもしていて、本が並べられているだけではない、図書館の枠を超えた場所となっています。

創立から34年間、同館の発展に尽力を注いできた事務局長の坂口勝春さんのお話しが印象的でした。「人と人とが出会い心が通えば、他国を植民地支配したり戦争するなんてことはできない。ここは人・文化・本が出会う場所。アジアに対する偏見をなくし、建前ではない本当の信頼関係を築くための『入り口』です」。

11月号のイオには沢山の図書館が紹介されているので、ぜひ図書館めぐりの参考にしてください。(S)

☆ピョンアリを募集しています☆

2015-10-15 09:00:00 | (S)のブログ


イオが長年連載している、「ピョンアリ」というコーナーがあります。「ピョンアリ」は朝鮮語で「ひよこ」のことで、この連載では0~満3歳の同胞オリニ(子ども)たちを紹介しています。
個性豊かで愛くるしいピョンアリたちの表情や名前の由来から、アボジ、オモニの思いも伝わってきます。
郵便かメールで送っていただいたものを載せていますが、時々「応募形式だということを知らなかった」という方もいらっしゃったので、今日はこの場を借りて「ピョンアリ」たちを募集したいと思います!

△対象
0~満3歳

△必要な内容
①子どものカラー写真
②子どもの生年月日と名前
③両親の名前と年齢
④住所
⑤電話番号
⑥子どもの名前の由来
※3歳以上のきょうだいと一緒に写した写真でも構いません。その場合は、きょうだいのお名前も記載してください。

【郵便】〒116-0014 東京都荒川区東日暮里2-26-1 「イオ」編集部写真係
【E-mail】io@io-web.net(件名に「ピョンアリ掲載希望」とご記入ください)

どしどしご応募ください!
かわいいピョンアリたち、楽しみに待っています!!(S)

テコンドーの思い出

2015-10-08 09:00:00 | (S)のブログ
先日、テコンドー日本代表の姜昇利選手の取材で、姜選手が開いているテコンドー道場を訪れた。10人ほどの子どもたちが練習に励んでいて、1番幼い子で4歳。誰よりも真剣に動作を真似る姿があまりにも可愛くて微笑ましかった。

そういえば、自分も小学校の頃、学校で行われていたテコンドー教室に1年ほど通っていた。大分記憶も薄れたが、そこそこ頑張っていたのは覚えている。毎日家でも柔軟体操を欠かさず行い、そのおかげか、自分では今でも体はやわらかいほうだと思っている。

学校の夜会では、毎年子どもたちがステージに出てテコンドーを披露していた。そこで初めて板割りに挑戦させられた。記憶が正しければ、練習では一度もやったことがなかったように思うが、友だちが次々と成功させていくのを見て、根拠のない自信が沸いてきた。

一番自信があったネリョチャギで挑んだが、3回トライするも見事に失敗。子どもながらにかなりのショックを受けたのを覚えている。それがやめるきっかけになってしまったかは分からないが…。

姜選手は稽古後に、「どれだけ力を上手く発揮できるかが大事。子どもでも、それが上手い子は力強い動作ができる」と話していた。力任せに板を割ろうとしていたことを思い出し、なるほど~と納得した。(S)

出張先での思いがけない出会い

2015-09-28 09:00:00 | (S)のブログ
今、初出張で関西に来ています。
朝鮮関連の図書を多く置いている図書館を訪ねたり、民族教育に携わってきた1世のハラボジ、ハルモニに話しを伺ったり、またイオを毎月愛読してくださっている日本の方にもお会いできたり、本当にたくさんの方とお会いました。

私の父が大阪出身というのもあって、人との意外なつながりを発見することも少なくなく、おなじみの「同胞社会は狭いね~」という会話を何度かしましたが、中でも1つ、特別な出会いがありました。著者インタビューの企画で取材をさせていただいた、大阪市立大学教授の伊地知紀子さんです。

伊地知さんが今年5月に社会評論社から「消されたマッコリ。」を出版され、そのインタビューに伺ったのですが、それともうひとつ、伊地知さんが研究されている済州島の生活史についてもお話を聞いてみたいと考えていました。私の祖父が済州島出身で「4.3事件」も経験されていてとても興味があったからです。

私の本籍が済州島だと話すと、済州島の地図を広げて熱心に探してくれ、伊地知さんが済州島に住んでいたとき現地で撮った写真も見せてくれました。話しているうちに、伊地知さんが聞き取りを行った「4.3事件」経験者たちの中に私の祖父も含まれていることが分かり、本当にびっくりしました。私以上に伊地知さんが驚かれていましたが(笑)。

伊地知さんは「家族の方は絶対に読んだほうがいい」と言って記録のデータをくださいました。以前祖父から聞いたことのあるものもあれば、初めて知るものもありました。いくら想像してもしきれない、耳を疑うような内容です。何よりも、これまで簡略的に、大体のイメージでしか知らなかった当時の体験談が活字になっていることに感激でした。貴重な資料を残してくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。次に祖父に会ったときに、もっと話を聞いてみようと思うきっかけにもなりました。(S)

安世鴻さんの写真展に行って

2015-09-17 09:00:00 | (S)のブログ





9月4~13日に神楽坂セッションハウスで開催された、安世鴻さんの写真展「重重 消せない痕跡 アジアの日本軍性奴隷被害女性たち」に行ってきた。2014年に安さんが新たに撮影した、フィリピン、インドネシア、東ティモール、中国、韓国の約60人の日本軍性奴隷被害者たちの写真を展示した写真展だ。
 
これまでの安さんの写真展と大きく異なるのは、写真が全てカラーという点。「現在の問題」ということを伝えるため、過去を連想させる白黒ではなくカラー写真を選んだという。写真には、被害女性たちのあらゆる表情と皮膚感、しわ1本1本が鮮明に写し出されていた。また、被害女性たちを囲む生活環境も捉えられている。「顔、身体、生活環境すべてに痛みが残っているはず。昔から使ってくすんでいく被害女性たちの身の回りの物たちと、しわが刻み込まれていくかのじょらの姿をひとつの作品にした」と説明した。
 
これまで安さんは「日本軍『慰安婦』」という言葉を使って写真展を開いてきたが、加害者側の視点から付けられたこの言葉を「性奴隷被害者」に改めた。「どう表記するかについて以前から迷っていたが、取材を重ねる過程で確信した」と話す。
 
聞き取り調査を行った被害者たちの範囲も広まった。「韓日の問題にくくってしまうと解決は難しい。アジアの問題として捉えたい」との思いで、これまで可視化されてこなかったアジア各国の被害者たちにスポットをあてた。さらに、作品たちは国別ではなく、「生(Living)」「被(Surviving)」「抱(Suffering)」「解と残(Releasing & Leaving)」とテーマごとに集められていた。国家間で政治的に語られるだけでは汲み取れない、「被害者」自身の姿を浮き彫りにしていた。
 
安さんは「戦争が起きれば、また同じことが繰り返される。歴史を記憶することで抵抗していかなくてはいけない。被害者たちの証言は未来へのメッセージだ」と、今回の写真展に込めた思いを語っていた。
 
開催中に2回、ゲストを招いてのトークショーが行われ、作品についてはもちろん、「表現の自由」などについても議論が交わされた。2012年の新宿ニコンサロン元日本軍「慰安婦」写真展中止事件。安さんは「『写真に写る人』と『撮影する人』、そして『写真を見る人』は、直線ではなく三角の関係にあり疎通し合っていると考えている。この繋がりを権力や企業が切ってしまうと、自分だけでなく、三角関係にある全ての人が被害を負うことになる」と話した。安さんは事件後に「表現の自由」への侵害と闘うために提訴。3年に渡る裁判の判決が今年10月に出る予定だ。
 
「表現」は、受け取る側がいて初めて成り立ち、価値が生まれる。一部の人たちだけではなくすべての人に、こういった問題に対しての責任があるということを考えさせられる展示会だった。安さんが今回出会った被害者たちの中の8人が、その後に亡くなられたという。関心を持ち、被害者たちを記憶していくことが、私たち一人ひとりにできることであり、決して小さくない大切なことだ感じた。(S)

Mayの新作「メラニズム・サラマンダー」

2015-09-03 09:00:00 | (S)のブログ


先日、劇団「May」の新作「メラニズム・サラマンダー」を観てきた。過去、東京・新宿のタイニイアリスで上映をしてきたが、今年4月に閉館。今回、激団リジョロと提携しながら、10周年を迎える東京・阿佐ヶ谷のシアターシャインで初めて作品を上映した。

作品はMayのこれまでのものとは一味違うSF作品だ。舞台は「部屋」というたった一つの空間。登場人物から次々に飛び出す言葉が複雑に絡み合い、人間の根本に迫る内容だった。

紛争を逃れ、とある部屋に身を寄せた人々は、外の様子を伺いながら様々な会話を行き交わせる。中には在日朝鮮人もおり、アイデンティティを巡った葛藤も描かれる。物語が急展開するきっかけは、犯人不明の殺人事件だ。人が人を疑い始め、そこには「根拠」というものも必要とされない。

一つの大きな焦点となるのが主人公「ぼく」。2人の「ぼく」は、互いに同じ人物を見て自分の「父さん」だと言うが、「父さん」の記憶はそれぞれに正反対に刻まれている。途中、こんな台詞がある。「一本道だけに導かれて隣を並行する世界を認めない。…すべてはひとつの空間なんだ」。

本作品を手掛けた金哲義さんはこう話す。「習ってきたこと、経験したこと、信じてきたことが、時に正反対だったりする。歴史も同じ。『やっぱりそうだった』と思う時もあれば予想とまったく違ったものを突きつけられる時もある。2人の『ぼく』は、異なる現実が同時に存在していることを体現している」。

正義を主張する思想同士の戦い、見るに耐えない数々のぶつかり合い。実際に社会で起こっている現実と重なり、自分と違うものに対し想像力を働かせられない人間の弱さを、作品は繰り返し訴えているように思えた。

台詞が多く難解なイメージも受けるが、あえて疑問を抱かせることで観客を引き付けていた。(S)