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日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

提訴から6年、愛知無償化裁判控訴審第2回口頭弁論

2019-01-29 10:06:31 | (全)のブログ


 愛知無償化裁判控訴審第2回口頭弁論が1月28日、名古屋高等裁判所1号法廷で行われ、愛知朝鮮中高級学校高級部2年の生徒、同胞、支援者ら116人が88の傍聴席を求めて列をなした。

 法廷では原告側の裵明玉弁護士が要旨陳述(準備書面5、証拠申出書に対する意見書に対する原告側の意見、訴訟進行に対する意見書)を行った。

 国側は、原告側の2018年5月8日付の控訴状に対する答弁書(昨年11月に提出)において、朝鮮学校を不指定とした国側の処分理由の3点(①規定ハの削除、②愛知朝鮮高校の2012年度の教員数が、規程6条に定める必要教員数に満たないこと、③愛知中高が規程13条に適合すると認めるに至らなかった)の論理的関係性について、理由①と②および③は論理的に両立せず、そのどちらが処分の理由として成り立つのかは、時間的先後関係によると認めたが、本件不指定処分の効力発生日については、規定ハ削除の前日である2013年2月19日とみる余地もあるとしている。

 この点について裵弁護士は、朝高の不指定処分の決裁文書には、「施行日は官報の掲載日に合わせるため平成25年(2013年)2月20日とした」と明記されていることから、文科省の内部的意思は2月20日付けで不指定処分を行うというものであり、2月19日には処分は成立さえしていないことは明らかであると主張した。

 また、行政処分の成立と効力発生に関する過去の最高裁判例を挙げ、本件不指定処分の通知文書が愛知朝鮮学園に到達した2月21日以降に不指定処分の効力が生じたとみるべきだとしながら、不指定処分の効力が発生した2月21日以降は、2月20日の省令改正により省令ハは存在しないものとなっており、その効力発生時点において理由②及び③は本件不指定処分の理由たり得ないと指摘。したがって、不指定処分の理由は、理由①の規定ハ削除のみとなり、不指定処分の違法性審査では、省令ハの削除の違法性のみが審査される必要があり、これに反する原審判決が取り消されるべきだと主張した。

 最後に、本訴訟の進行について意見をのべた裵弁護士は、「本件不指定処分の3つの不指定理由の関係性という論点は、被控訴人も認めているとおり、当審において新たに争点化されたもので、被控訴人の主張に不明確な部分も多く、控訴人らは、被控訴人の釈明に対する回答を待って、その内容によっては更なる反論を行う必要がある」としながら、「原審判決では、控訴人が十分主張立証する機会を得られず、原審では結審期日まで審理の対象とされていなかった朝鮮高校の教育内容が省令ハに基づく審査においてどのように扱われるか、私立外国人学校の教育内容を根拠として教育基本法16条1項違反を認定できるのはどのような場合かという論点について、控訴人に不利な解釈がなされ、不意打ち的な敗訴判決が下された。重要な争点について、十分な主張立証の機会が控訴人に与えられないまま結審することになれば、審理不尽となることは避けらない」とし、裁判所に形式的な進行ではなく、現在予定されている期日に加えてさらに口頭弁論期日を設けること、証人尋問の実施の要否について柔軟かつ真摯に検討し、当事者の主張立証の機会の保障を求めた。

 口頭弁論の後、名古屋市内で報告集会が行われ、生徒、同胞、支援者らをはじめとする100人を超える人々が参加した。

 報告集会では内河惠一弁護団長があいさつをのべた後、裵弁護士が控訴審について説明を行い、質疑応答の時間も設けられた。



 裵明玉弁護士は「朝鮮学校の子どもたちを応援して平等に扱うべきであり、それが良い日本社会だという声を広げ、裁判官に示すことが大切だ」と支援を呼びかけた。

 また、愛知県立大の山本かほり教授は「私たち日本社会は、植民地支配責任、植民地主義の克服として朝鮮学校の民族教育権をどう支えていくのかをこれから問うていかなければならない」と発言した。





 愛知中高高級部2年生の生徒は報告集会で、「地裁判決では不当な判決が下されましたが、くじけずに生徒たちが主体となって、街頭宣伝やビラ配りなどの活動を行ってきました。無償化裁判をより多くの人たちに広めていきたい。学校では裁判の内容を学習し、自分たちに何ができるかたくさん討論していきたい。先輩たちの意志を受け継いで、勝利の日まで諦めず頑張りましょう」と力強く呼びかけた。



 第3回口頭弁論は4月26日(金)、15時から名古屋高等裁判所1号法廷で行われる。(全)

イオ2019年2月号が完成!

2019-01-18 09:50:42 | (全)のブログ

 イオ2019年2月号が完成しました!

 特集は「高校生と考える在日コリアンの歴史」です。
 本特集では、在日コリアンが日本に暮らすことになった「歴史」がかき消されようとしている今、ふんばる高校生たちの目線で、私たち在日コリアンの存在についてともに考えます。
 イオ初代編集長・金昌宣さんによるエッセイ「高校生の君たちへ。 すべてを飲み込み、結びつけ、そして超えてゆけ」や「Q&A イチから学ぶ在日コリアン」「現役朝高生が考えるモヤモヤ」、大阪の公立高校で教員を勤める李未来さんのエッセイ「ルーツは取り戻すもの 日本の学校で、在日朝鮮人教員として」を紹介しています。大人からのエールに加え、高校生たちの声に耳を傾けました。

 ソウル単独取材第2弾も。ルポ「坡州で境界を眺める 分断の地、時代の境界に立って」や「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」との座談会「朝鮮学校支援の輪、南でもっと広げよう」「“忘れない”-ハルモニたちが導く道へ 『戦争と女性人権博物館』を訪ねて」など、本誌編集部員が現地でさまざまな個人、団体をたずねて取材した内容をまとめています。

 2月号の単独記事では、「花園」に4年ぶり10度目の出場を果たした大阪朝高ラグビー部の全国大会のたたかいに迫りました。

 18年11月28日、最高裁判所は大阪府と市の補助金不支給の処分の取り消しを求めた大阪朝鮮学園側の上告を退ける決定を下しました。これを受け12月26日に同学園、弁護団、支援団体は司法記者クラブで記者会見を開き、最高裁の決定は「差別を助長するものだ」との声明を発表しました。記事では記者会見のようすや声明内容、同裁判の解説を掲載しています。

 ほかにも蔡一恵さんのエッセイ「東北へ足を運びながら…」や「勧告受け入れ、人権状況の改善を 集会『12.15 私たちの声を国連へ』」など盛りだくさんの内容となっています。

 1月号からスタートした新連載も引き続きご注目、ご愛読ください。

月刊イオは以下の定期購読フォームにてどなたでも注文することができます。
 http://www.io-web.net/subscribe/

 1冊からのご注文も承っています。定期購読ではなく1号のみの注文の場合は、「その他伝達事項」の欄にその旨と希望号数を記入して下さい。(全)

大阪朝高ラグビー部、2回戦敗退も魅せた!執念のトライ

2018-12-30 18:42:10 | (全)のブログ

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第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会第2回戦が12月30日、東大阪市花園ラグビー場第1グラウンドで行われた。
 12月28日の大会1回戦で日川高校を破った大阪朝鮮高級学校ラグビー部はこの日、報徳学園高校(兵庫県代表)と対戦。ノーシードの大阪朝高とシード校の報徳学園との近畿勢対決は注目の一戦となった。


 大阪朝高の前日(29日)練習には同校ラグビー部のOBたちも駆けつけ、28日の日川戦の課題を修正しながら、報徳戦の対策を練っていた。権晶秀監督は報徳戦について「先制パンチ。開始の5~10分は敵陣でプレイして、先制トライを取りスタジアムの雰囲気を変えたい」と話していた。

 試合は権監督の展望どおり、大阪朝高が「先制パンチ」を仕掛ける。9分に大阪朝高は右中間のスクラムから9番の李錦寿選手(1年、スクラムハーフ)から12番の李承信選手(主将、左センター)へとつなぎ、李選手がそのままトライ。大阪朝高は5-0と先制に成功した。


 相手の反則からの先制トライに流れが大阪朝高に傾くかと思われたが、同11分、報徳学園はバックスが素早いパス回しを展開しトライを決め、同点に追いつく。ゴールキックも成功し、大阪朝高は5-7とすぐさま逆転を許してしまう。



 報徳のグラウンドを広く使ったプレーにディフェンスが徐々に崩れていった大阪朝高は、立て続けにトライを許し、5-29とスコアは大きく引き離される。
 前半終了間際、大阪朝高は持ち味のモールからそのまま押し込み、2番の金樹一選手(2番、フッカー)がトライを決める。10-29で前半を折り返した。





 後半も先制トライを決めたい大阪朝高だったが、報徳学園のバックスを軸とした攻撃を前に、後半4、10分とトライを献上。スコアは10-43に。
 しかし、大阪朝高の選手たちは最後まで試合を諦めなかった。同22、26分に3番の崔暢賢選手(3年、プロップ)、李選手がトライを決め試合にくらいつく。




試合終了間際、大阪朝高はゴール前5mの左ラインアウトからモールを組み、そのまま押し込み執念のトライを決める。李選手がキックを決め、試合終了を告げるノーサイドの笛が鳴り響いた。最終スコアは29-50。大阪朝高は2回戦で「花園」の舞台から姿を消すこととなった。


(写真:盧琴順・朝鮮新報)

 試合終了後、報道陣に囲まれるなか権監督は「先制トライも決め、試合の入りは良かったが、報徳にスペースのあるところでプレーを展開させられて対応できなかった。自分たちの強みをより多く発揮できるチームが試合に勝利することができる。その部分では報徳が一枚上だった」としながら、「点差が開いても、選手たちは意地を見せ力を出し切ったと思う。3年生の選手たちには良くやったと伝えたい」と悔しさを滲ませた。

 李承信主将は「前半序盤に攻められる時間が続いたが、ディフェンスが頑張ったおかげでトライを決めることができた。先手を打つことができてよかった」と先制トライを振り返りながらも、「試合展開で報徳が上手だった。力不足を実感しました。2回戦敗退で過去の偉大な先輩たちには及ばなかったけど、『花園』の舞台で3年生と一緒にラグビーをすることができたのは大きな財産となった。後輩たちはこの貴重な経験を糧にしてほしい」と話した。また試合中、同胞の声援が後押しになったとしながら「もっと上に行って、同胞たちに試合をみせてあげたかった」と悔しさを滲ませた。

 4年ぶり10度目の「花園」出場を果たした大阪朝高ラグビー部。惜しくも2回戦敗退となったが、新たな大阪朝高ラグビー部の「伝統」を築きあげたと取材をしながら実感した。選手、スタッフの皆さん本当にお疲れ様でした。(全)
 ※新年2019年のブログ「日刊イオ」は、1月7日(月)からとなります。1年間、ご愛読をありがとうございました。

大阪朝高ラグビー部、「花園」初戦突破

2018-12-28 15:22:31 | (全)のブログ




 第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会第一回戦が12月28日、東大阪市花園ラグビー場第3グラウンドで行われた。11月の大阪府予選決勝で同志社香里を破り、4年ぶり10度目の「花園」出場を決めた大阪朝鮮高級学校は、一回戦で山梨県代表の日川高校と対戦した。日川高校は「花園」に11大会連続で出場している強豪校だ。

 選手たちにとっては初めての「花園」。未経験の舞台に加えて、大会の初戦に選手たちからは緊張感が漂っていた。しかし試合前のアップで選手、スタッフたちは、お互いに声を掛け合いながらモチベーションを高めていた。



 午前10時、試合開始を告げるレフリーの笛が鳴り響いた。先手を打ったのは相手の日川高校。前半3分、日川高校はハーフライン中央ラックから左へつなぎ左中間にトライを決める。府予選決勝では先制トライを決めた大阪朝高だったが、開始早々失点を許した。

 大阪朝高は立ち上がりからミスが目立ち、勢いに乗ることができない。しかし大阪朝高は、同7分に右ラインアウトから、「伝家の宝刀」のモールで押し込み、2番の金樹一選手(3年、フッカー)がトライを決める。続いて12番の李承信選手(主将、左センター)も着実にゴールキックを決め、同点に追いつく。







 拮抗した試合展開が続く前半だったが、均衡を破ったのは大阪朝高だった。同19分に、敵陣でラインアウトのこぼれ球を拾った5番の尹礼温選手(2年、右ロック)が左中間にトライ。李選手のゴールキックも決まり、14-7とリードする。同30分には、相手の反則から得たペナルティーゴールを李選手が決め、大阪朝高は前半を17-7で折り返した。


大阪朝高の応援席。声援は選手を後押しした。

 両校とも拮抗した前半だったが、後半序盤も一進一退の攻防が続く。前半は反則が目立った大阪朝高だったが、後半は徐々に修正してきた様子だった。後半が動いたのは、後半12分。日川高校が、ゴール前左中間ラックから巧みなパス回しで右へ展開。最後にボールを受け取った選手がそのままトライを決めた。相手のゴールキックも決まり、スコアは17-14と相手が追い上げる。前半同様、後半も先制トライを許した大阪朝高だったが、動揺することなく、試合を進める。





 同18分、ゴール前右中間のスクラムから12番の李選手へボールをつなぐと、李選手は巧みなステップで次々と選手を交わし、トライを決める。ゴールキックは失敗するも、圧巻のトライに会場はどよめいた。



 さらに李選手は同21分に、観客を脱帽させるトライを決める。30m左中間で相手タックルによりこぼれたボールを10番の金純海選手(3年、スタンドオフ)が拾い、12番の李選手へパスをつなぐ。パスを受け取った李選手はステップで相手を翻弄。さらに相手の一瞬の隙を突き、中央突破で駆け抜ける。タックルも交わし余裕のトライを決めた。ゴールキックも決まりスコアは29-14と日川高校を突き放す。このスコアが動くことはなく、試合終了を告げるノーサイドの笛が鳴り響いた。



 試合終了後、大阪朝高の権晶秀監督は「厳しい試合だった。チャンスは作れたが、取りきれなかった部分も多かったので、この点を克服すればさらにレベルアップが期待できる。キャプテン(李承信選手)だけでなく、皆の持ち味を最大限に活かすことができればさらに良い試合ができる」と話した。
 李承信主将は「大会一回戦ということもあり、いつもとは違う雰囲気のなかチーム全体が緊張していた部分があった。前半は特にうまくコミュニケーションをとることができず、相手のペースが続いたと思う」としながら、後半の二つのトライについては「自信につながるトライだった」と振り返った。二回戦の意気込みについて聞くと、「この試合で一人ひとり、チーム全体がまた一つ成長できたと思う。失うものはなにもないので、『チャレンジャー』という気持ちで出し惜しみすることなく全力で臨みたい」と話した。

 大阪朝高は12月30日(日)の13時15分から、ベスト16をかけBシードの報徳学園高校(兵庫県代表)と花園第一グラウンドで対戦する。(全)

「差別に加担、差別を助長」―大阪補助金裁判、最高裁決定を受け、学園側が記者会見

2018-12-28 10:19:58 | (全)のブログ



 学校法人「大阪朝鮮学園」が2012年9月に大阪府と大阪市を相手取り、府、市内の朝鮮学校に対する補助金を不支給とした処分の取り消しと交付の義務付けを求めた裁判(以下、大阪補助金裁判)で、最高裁が11月28日付けで朝鮮学園側の上告を退ける決定を下したことを受け、同学園は12月26日、大阪市内で記者会見を開き、子どもたちの学ぶ権利を保障し、補助金交付の再開を含む適切な措置をとることを求める声明を発表した。

 会見には、丹羽雅雄・弁護団長、大阪朝鮮学園の玄英昭理事長、「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」の藤永壯共同代表(大阪産業大学教授)、大阪オモニ連絡会の金亜紀さんが参加した。

 2010年3月、当時の橋下徹大阪府知事は学園に対し、「特定の政治団体と一線を画すこと」「特定の政治指導者の肖像画を外すこと」など朝鮮学校の自主性を踏みにじる不当な「4要件」を補助金交付の条件として提示した。その後、学園側が対応し、教室の肖像画をはずさなかった高級学校以外には10年度の補助金が交付されたが、12年3月、府は一部メディアが取りあげた朝鮮学校生徒たちの平壌「迎春公演」出演を口実に挙げて11年度分の補助金不支給を決定。これにならうかのように市も不支給の決定を下した。

 これを受け、12年9月に、同学園は府と市を相手取り提訴。17年1月26日に一審判決が下された。同判決で大阪地裁は、補助金の不交付は教育基本法や私立学校法に違反しているという原告の主張に対して、それらの判断は行政が持つ「裁量の範囲内」と認め、不交付の処分に違法性はないとし、原告全面敗訴の不当判決を言い渡した。

 原告側は17年2月に控訴したが、18年3月20日、高裁は原告側の控訴を棄却した。二審判決は、行政の広範な裁量権を認める一審(地裁)判決以上に行政に追随するものとなった。

 高裁判決を受けて学園側は今年の5月に上告理由書、上告受理理由書を提出したが、11月28日、最高裁第2小法廷は上告を棄却し原告敗訴が確定した。

 記者会見では、大阪朝鮮学園、弁護団、大阪府オモニ連絡会、「連絡会・大阪」の4者がそれぞれの抗議声明を発表した。



 同学園の玄理事長は、「最高裁の決定は、地裁及び高裁の『不当判決』を追認したものであり、許しがたいものである」と指摘。日本政府、司法、行政は、在日朝鮮人や朝鮮学校の歴史的経緯を認識し、民族差別を是正することを強く求めた。

●弁護団声明、「マイノリティの教育権が本質、裁判所は向き合わなかった」



丹羽弁護団長は弁護団声明を発表(巻末に全文)。「本件裁判の本質は、子どもたちへの教育への権利、特に歴史的経緯の結果が今につながって存在している民族的マイノリティの子どもたちの教育への権利の制度的保障であって、教育への権利の尊重・保護と充足に必須である母国語教育の制度的保障の後退が問われている裁判だった。一審、二審とも裁判所は最も重要な本質とまったく向き合おうとしなかった」と厳しく批判した。

 さらに、本裁判の審理に問題点について、「本件を判断する基本的枠組みを、補助金は『贈与』契約であるとの民法上の性質論に矮小化し、本件補助金を含む私学助成が、教育基本法、私立学校法、私立学校振興助成法を根拠とし、学校活動を支える実質的制度的保障の具体化であるとの認識を十分に持たないまま、行政庁が支給要件自体を変更したことの是非を問題とせず、その『要件』該当性の事後的判断をもって足れりとする短絡的な判断を行ったもので、出発点において根本的に誤っている」と指摘。

 この裁判の事実経過において最も重要な本質が、地方自治体の首長とその政治勢力に直接影響された案件であり、変更された「要件」自体も不合理で矛盾に満ちたものであったにも関わらず、「争点への真っ当な洞察を避け」、「『行政救済』を意図した」として、司法府の姿勢は、「差別に加担、差別を助長し、被害者をさらに傷つけるもの」だと不当性について厳しく指弾した。

「これは朝鮮学校の問題だけでなく、日本の教育の在りかたを考える社会的な問題だ。共生社会にむけて日本社会が教育の枠組みをどう作っていくのか、民族的マイノリティの子どもたちのアイデンティティをどう育むのかが問われている」(丹羽団長)



 オモニ連絡会は抗議声明で、「公正公平な判断により行政の過ちを正すべき司法が、最後まで行政の差別的措置から子どもたちを救済しなかったことに、強い憤りと深い悲しみを禁じえない」としながら、司法は朝鮮学校に通う子どもたちの姿を直視せず、大阪補助金裁判の一連の判決・決定は、国際的な人権感覚からも大きくかけ離れたものだと非難した。

 また、国連の各種人権条約委員会から日本政府や地方自治体による朝鮮学校差別の是正を求める勧告が出され、国際的な非難の声が高まるなか、来年1月に行われる「国連子どもの権利委員会」の日本審査に合わせて、朝鮮学校に子を通わせる母親(オモニ)たちの代表団を派遣し、大阪からも代表が参加することについて言及した。



「連絡会・大阪」の声明を発表した藤永壮共同代表は、日本政府および地方公共団体による助成制度からの朝鮮学校排除は一層拡大していると非難した。

 藤永代表は、

 ▼16年3月に文科省が地方自治体に朝鮮学校への補助金交付見直しを求める「3.29通知」を送付、
 ▼16年度より幼児教育無償化を進めている大阪市が朝鮮幼稚班を各種学校という理由で対象から除外、
 ▼19年10月に幼児教育・保育の無償化を予定している日本政府も同様の理由で朝鮮幼稚班を対象外とする方針にある、といった実例を挙げ、大阪府下および全国の地方公共団体の補助金の交付再開、高校無償化裁判における最高裁での再逆転勝訴に向けてたたかい抜く決意を表明した。

 集会では、大阪の朝鮮学校関係者、保護者、支援者が一体となって不当な行政・司法に抗議し、補助金再交付や高校無償化制度適用にむけ、改めて運動を進めていく決意を表明する予定だ。(全)

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 弁護団の声明全文は以下のとおり。

 弁護団声明

 2018年11月28日、学校法人大阪朝鮮学園が大阪府及び大阪市を相手方として行った、学校法人に対する補助金の打ち切りを違法とすることを求めた裁判について、最高裁判所は、大阪朝鮮学園の上告を棄却、上告受理申立を不受理とする決定を行ったが、この決定を含む、一、二審を含めた司法府の姿勢に対し、断固抗議をせざるを得ない。

 本件裁判の本質は、子どもたちの教育への権利、特に歴史的経緯の結果が今につながって存在している民族的マイノリティの子どもたちの教育への権利の制度的保障であって、教育への権利の尊重・保護と充足に必須である母国語教育の制度的保障の後退が問われている裁判ということであった。しかるに、一審二審とも、裁判所は、この事柄の最も重要な本質と全く向き合おうとしなかった。
その結果、本件を判断する基本的枠組みを、補助金は「贈与」契約であるとの民法上の性質論に矮小化し、本件補助金を含む私学助成が、教育基本法、私立学校法、私立学校振興助成法を根拠とし、学校活動を支える実質的制度的保障の具体化であるとの認識を十分に持たないまま、行政庁が支給要件自体を変更したことの是非を問題とせずその「要件」該当性の事後的判断をもって足れりとする短絡的な判断を行ったものであり、出発点において根本的に誤っている。

 加えて、国際人権法、すなわち、社会権規約、自由権規約の差別の禁止に関する条項、人種差別撤廃条約、児童の権利条約の各定め、及びそれら各条約委員会による度重なる勧告がなされている事実を、意図的に無視あるいは曲解し、国際人権基準に耐える判断との視点も全く放棄されている。

 その上で、本件固有の事実経過において最も重要な本質が、地方自治体の首長とその政治勢力に直接影響された政治案件であったこと、変更された「要件」自体も不合理で矛盾に満ちたものであったこと、「要件」変更が補助金申請の後に事後的になされた手続的瑕疵の大きいものであったことといった、本来重要である争点への真っ当な洞察を避けた、「行政救済」を意図したと言わざるを得ない判示内容であった。

 このような判決の内容、また司法府の姿勢は、差別に加担、あるいは差別を助長し、被害者をさらに傷付けるものであることには思いを致していないものであり、極めて不当である。

 また、裁判所は学校現場を訪れもせず、最高裁に至っては誰の声すら聞かずに決定を行ったもので、官僚司法そのものであると言わざるを得ない。

 今回の最高裁決定は、そのような地方自治体の首長及びその政治勢力の判断を結論として追認したものにすぎず、本質及び重要な争点について判断をしていない、それらの判断を避けたもので、事例判決にすぎない、また、後年の歴史による検証に到底耐えうるものではないものである。今回の最高裁判所の判断によって、本件に関する事柄の本質は何ら変わるものではないことを宣言するとともに、大阪府・大阪市が子どもたちの教育への権利について改めてきちんと認識し、補助金交付の再開を含む適切な措置をとるように、強く要請するものである。

2018年12月20日
大阪府・大阪市の補助金不交付処分等取消請求事件弁護団


アツイJリーグのストーブリーグ

2018-12-21 09:59:06 | (全)のブログ


 12月3日のブログで、金明輝監督率いるサガン鳥栖がサッカー・J1残留を決めたことやJ2に昇格したFC琉球についてお知らせしたが、この間Jリーグで新た動きがあった。


 まず、サガン鳥栖について。
 佐賀新聞は、来季同クラブの新監督に、スペイン1部リーグのバルセロナなどで活躍したルイス・カレーラス氏が内定したことを報じた。ルイス氏との交渉は最終段階で、近く正式合意に達する見通しだという。
 金監督の今後の情報はまだ確認できておらず、引き続きJクラブでコーチやスタッフを務めると思われる。


 続いて、FC琉球について。
  同クラブをJ3優勝へ導き、J2昇格を果たした金鍾成監督が退任し、FC琉球と同じく来季からJ2に昇格する、鹿児島ユナイテッドの監督として指揮することが分かった。
 来季、両チームはJ2でぶつかり合うことになる。3年間指揮を執った古巣との対戦。非常に楽しみだ。


 そして、FC琉球の主将であり、絶対的守護神・朴一圭選手(28、東京朝高、朝鮮大学校卒)がJ1チームの横浜F・マリノスに完全移籍することが決まり、来季からJ1でプレーすることになる。
 横浜F・マリノスはリーグ戦でも失点数が多く、守備陣の強化が課題となっている。J3からJ1へとステップアップした朴選手の活躍が期待される。


 このように、在日同胞選手・監督が在籍するJリーグで大きな動きがあった。
 監督の就・退任、選手の移籍や引退など、ストーブリーグにこそスポーツ観戦の醍醐味があると言っても過言ではない(サッカー、野球などプロリーグを含めて)。

 
 私事ではあるが、来季はぜひFC琉球の金成純選手(23、愛知朝高、朝鮮大学校卒)に活躍してもらいたい。金選手とは中高と一緒にプレーしたチームメイト。とにかくサッカーが上手だった。今季は746分の出場にとどまったが、来季は躍進してくれることを願っている。(全)

愛知無償化裁判、控訴審始まる

2018-12-13 10:12:15 | (全)のブログ
 高校無償化制度から不当に排除されたことにより、生徒たちの学習権、平等権、人格権が侵害されたとして、愛知朝鮮中高級学校の高級部生徒・卒業生らが2013年1月24日に起こした国家賠償請求裁判(愛知無償化裁判)。
 今年4月27日、名古屋地方裁判所で原告全面敗訴の判決が下された同裁判の控訴審第1回口頭弁論が12月12日、名古屋高等裁判所1号法廷で行われた。
 裁判所には愛知朝鮮中高級学校の高級部3年生の生徒、同胞、支援者ら133人が85の傍聴席を求めて列をなした。
 
 法廷では、原告側を代表し卒業生が意見陳述を行った。

 原告の卒業生は、地裁判決で裁判所が、民族教育を受ける権利や学ぶ権利を侵害していないと述べたことについて、生徒たちが勉強や部活を通じて学力や人間力を育むべき学校生活の時間を削り、差別是正を求める街頭宣伝を行っている現状を裁判所は直視しておらず、地裁判決は裁判所を信じて頑張る後輩たちの姿を否定したものだとのべた。

 また、朝鮮総聯からの「不当な支配」があると認定し、このことを理由に朝鮮高校からの無償化排除を正当化した同判決には、朝鮮は「危険な軍事国家」であり朝鮮を祖国とする朝鮮総聯も日本を脅かすような反社会的な団体だという価値観が根底にあるのではないかと指摘した。
 最後に原告は、裁判所が愛知朝鮮高校と生徒たちと真摯に向き合い、正義と良心に従った判決を下すことを求めた。

 続いて、原告側の裵明玉弁護士が要旨陳述(控訴理由書、準備書面1、準備書面2)を行った。裵弁護士は朝鮮学校を不指定とした国側の処分理由の3点(①省令ハの削除、②愛知朝鮮高校の2012年度の教員数が規程6条の必要教員数に満たないこと、③愛知中高が規程13条に適合すると認めるに至らなかった)を挙げながら、②、③は省令ハに基づく指定の基準を定めた下位法令であり、省令ハの削除とともにその存立の基礎を失うので、省令ハの削除と規程6条および、同13条に関する処分理由は、論理的に両立しえないと指摘。省令ハの削除は高校無償化法による委任の範囲を逸脱する違法な措置だと同地裁判決の不当性鋭く指摘した。
 
 控訴人側は、本件省令ハの削除は朝鮮高校に対する差別感情を助長させる効果を有するものであるため、認めることはできないとして、「省令ハによる人格権侵害」を否定した原判決に対して、高校無償化除外と関連して日本各地で行われ、拡散された大量の在日朝鮮人・朝鮮学校に関するインターネット上のヘイトスピーチを一覧にして控訴理由書の別紙として添付した。
 裵弁護士はネット上のヘイトスピーチの一部を例に挙げながら、これらが控訴人らに対する差別感情を助長させることは明らかであり、省令ハの削除は、社会差別を助長させ、朝鮮人である原告らの人格的利益を侵害する効果を有するものだと指摘した。

 また、裵弁護士は名古屋大学・石井拓児准教授(教育法学・行政学研究者)の意見書を引用しながら、愛知朝高が教育基本法16条1項の禁ずる「不当な支配」を総聯から受けているなどの疑念があるとして、裁判所が教育内容にまで言及した原判決の判断は、16条1項の解釈を誤り、客観的な事実に反するものだとのべた。

 今回、原告側は高校無償化法及び省令ハの趣旨や目的を担当者として熟知していた前川喜平・元文部科学事務次官の証人採用を求めた証拠申出書を裁判所に提出した。

 口頭弁論の後、18時から名古屋朝鮮初級学校で報告集会が行われ、生徒、同胞、支援者らをはじめとする100人を超える人々が参加した。

 報告集会では内河惠一弁護団長があいさつをのべた後、裵弁護士が控訴審について説明を行い、質疑応答の時間も設けられた。





 愛知朝高の高級部3年生の全生徒らはこの日、報告集会にも参加。集会では高3生徒による合唱も披露され、多くの参加者を勇気付けていた。



 第2回口頭弁論は2019年1月28日(月)15時から行われる。(全)

金明輝監督率いるサガン鳥栖、J1残留決定!

2018-12-03 10:11:29 | (全)のブログ
 朝鮮学校卒業生として初めてのJ1クラブの監督に就任した、金明輝監督(伊丹初級、尼崎初中卒業)。金監督については朝鮮新報の連載、「〈蹴球七日~同胞サッカー選手の足跡 18〉」でも紹介されているので是非、読んでいただきたい。
http://chosonsinbo.com/jp/2018/11/syuukyuunanoka-sagantosu/

 金監督就任後、鳥栖はアウェーでベガルタ仙台に勝利を挙げるなど、3勝1分の成績。急浮上で降格圏から抜け出した。。J1では、鳥栖を含む5チームが勝ち点41で並び、残留争いは最後まで熾烈を極めていた。迎えた、12月1日の最終節。引き分け以上で残留が決定する鳥栖は、鹿島アントラーズと対戦。0-0で引き分け、J1残留を決め、得失点差でジュビロ磐田がJ2とのプレーオフに回ることになった。

 サガン鳥栖のホーム、佐賀県では号外が出され、JR佐賀駅などで貼り出されたという。地元サポーターは残留が決まり、一安心に違いない。

 サガン鳥栖といえば、元スペイン代表FWのフェルナンド・トーレスが所属している。昨今、J1には元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキ、元バルセロナ所属のアンドレス・イニエスタなど海外リーグで活躍した選手らが集うリーグとなっている。また、スペイン代表最多得点者のダビド・ビジャのヴィッセル神戸への加入が決まり、巷を騒がせている。

 盛り上がりをみせるJリーグ。11月3日には金鍾成監督率いるFC琉球のJ2昇格が決まっている。Jリーグでは選手のみならず、コーチ・監督として在日同胞が活躍する場が広がっている。今後もJリーグの在日同胞選手、監督から目が離せない。(全)

全国屈指のフォワード擁する大阪朝高、38 - 12で勝利

2018-11-20 10:21:03 | (全)のブログ


 昨日のブログで(k)さんが大阪朝鮮高級学校の全国大会出場について書かれていたが、今日のブログでは決勝を現地で取材したので試合の戦況と写真を中心に報告しようと思う。

 第98回全国高等学校ラグビーフットボール大会の大阪府予選、第2地区決勝で大阪朝高は同志社香里高校と対戦した。

 試合前日、大阪朝高の権晶秀監督は「香里はディフェンスが上手なチーム。高い位置で相手を止めたい」と話していた。

 午後12時30分。決勝のホイッスルが会場に鳴り響いた。前半開始早々、試合が動く。朝高はゴール前で中央ラックから5番の尹礼温選手(右ロック)が右へ持ち出し、中央にトライを決めた。朝高のキャプテン・李承信選手(12番、左センター)が着実にゴールを決め、7-0と先制した。

 先制トライを決めたものの、大阪朝高は勢いに乗ることができず自陣で苦しい時間帯が続く。粘り強いディフェンスをみせ、無失点で乗り切った大阪朝高は、同27分、左からの素早いパス回しで14番の宋元泰選手(右ウィング)につなぎそのままトライを決めた。前半を12-0で折り返した。








 後半でも朝高は幸先の良いスタートを切る。同2分、22メートルライン付近でラックからモールを作り直しそのまま押し込んでトライを決めた(トライを決めたのは2番の金樹一選手・フッカー)。12番の李キャプテンも着実にゴールをきめ、19-0とリード。
 しかし同5分、朝高のパスを相手がインターセプトしそのままトライを決める。大阪朝高はこの試合初めてのトライを許したが、試合の流れを相手に譲ることなく、同8分にモールからトライを決め、突き放す。





 勢いが止まらない朝高は、同17分に22mライン中央ラックから左へつなぎ、モールを作る。そのまま押し込んでゴールポスト左にトライを決めた。
 同24分にトライを返すが、後半終了間際にも朝高が5m左ラインアウトからモールを作り、押し込んでトライを決める。李選手がゴールを決めるとともにノーサイド。大阪朝高が4年ぶり、10度目の冬の花園での全国大会出場を決めた。

 試合を終え、李キャプテンは「全国大会出場を決めることができて一安心です」と笑みを見せながらも、「いつもと違う緊張感のなかで、試合内容も良くなかった。まだまだ胸を張って大阪府の代表とはいえない。冬の花園まで大阪府代表として成長して、応援してくれる全国の同胞たちに恩返ししたいと」抱負をのべた。

 冬の花園に大阪朝高が帰ってきた。今年のチームのスローガンは「復活」。選手たちは「全国ベスト8以上が目標」と口を揃えていう。冬の花園まで1ヵ月と少し。ここで、李キャプテンの印象に残った言葉を紹介してブログを締めたい。

「いつもチャレンジャーという気持ちで」(李承信キャプテン)(全)



東京朝高、西が丘で散る。サッカー選手権予選で都ベスト4

2018-11-13 09:57:01 | (全)のブログ

 11月11日、第97回全国高校サッカー選手権東京都予選のBブロック準決勝が国立西が丘サッカー場で行われた。10月28日の準々決勝で修徳高校を2-1で破った東京朝鮮中高級学校は、この日、帝京高校と対戦した。東京朝高は夏のインターハイ予選で帝京を4-3で退けている。
 西が丘の地で実現した「十条ダービー」。「朝高魂」VS「帝京魂」を一目見ようと、スタンドは大観衆で埋め尽くされた。


東京朝高イレブン

 
 13時45分、試合開始を告げるホイッスルがピッチに鳴り響いた。試合開始早々、帝京は素早いパスワークを展開し、FWの20番、MFの10番を軸に連続的な攻撃を仕掛ける。相手のコーナーキック、フリーキックが続くなか、朝高も粘り強いディフェンスをみせ、ロングシュートにも体を張って止めた。



 試合が動いたのは同20分。修徳戦で先制点を決めた、5番の朴俊範選手(3年、DF)が左サイドに抜け出し、左サイド深くからセンタリングを蹴りあげる。このクロスに6番の金燦明選手(3年、FW)が右足でしっかり合わせ、試合の均衡を破る得点を決めた。
 金選手はこのゴールについて「普段からこのパターン(朴選手がセンタリングを上げ、金選手が合わせる)を練習してきた。練習の成果をこの舞台で発揮できて嬉しかった」と振り返った。


ゴールにつながったセンタリングを上げる朴選手

 朝高は得点後も気を緩めることなく、帝京のテクニカルなパス回しにブロックを敷き、組織的なディフェンスで対応した。また、相手の決定機の場面でもシュートコースを防ぎ、攻撃をしのいだ。



 帝京の時間帯が続く前半終盤。観客席から《불타라 불타라 조고!》(燃えろ燃えろ朝高!)と鳴り響く声援が朝高選手たちを後押しする。そして前半終了のホイッスルが鳴り、1点リードで朝高は前半を折り返した。

 決勝進出まで残り40分。試合の行方を決める後半のホイッスルが鳴った。後半開始から朝高は積極的に攻撃を仕掛ける。前半同様、FWの金選手がポストプレーで起点となり体を張る。そして両サイドを広く使った攻撃で相手ゴールを脅かした。

 朝高が連続的に攻撃をしかけるなか、待望の追加点が生まれた。同6分、左サイドからセンタリングを上げるも、相手がクリアする。いったんは相手がこぼれ球を拾うが、すぐさま朝高選手が体を入れ、奪い返す。奪い返したボールを9番の李昌紀選手(3年、MF)がペナルティエリア外からロングシュート。放たれたシュートはゴールネットに突き刺さり、後半開始早々の追加点に会場のボルテージは最高潮に達した。


2点目を入れ、抱き合うイレブン


会場のボルテージは最高潮に


 2点を失い、後がない帝京は猛攻撃に出る。同10分、帝京左サイドからのセンタリングに相手が合わすが、朝高の守護神・姜ブラマ選手(3年、GK)がスーパーセーブを魅せた。
 ディフェンスでハードワークをみせる朝高だったが、同13分と18分に立て続けに失点。スコアは同点に。勢いづいた帝京の攻撃に必死にくらいついた朝高だったが、同33分に勝ち越しを許した。



積極的にロングシュートを狙う、10番の洪悧鎭選手


 応援団の声援を後押しに朝高は果敢に攻めるも、ゴールを決めることができない。すると朝高は後半アディショナルタイムに、痛恨の失点。無念に空を見上げた選手たちとともに、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。試合終了の笛が鳴るまで試合を諦めず、ボールを追った選手たちに会場からは惜しみない拍手が浴びせられた。




 試合を終え、東京朝高サッカー部キャプテン・文炯晶選手(3年、DF)は、「3年連続で負けているこの舞台で勝って全国大会に出場し、歴史を変えようという思いで臨んだ試合だった。チームはどんな状況でも最後まで諦めず、くらいつくことができたと思う。後輩たちはこの悔しさを糧にしてほしい。後輩たちが必ず全国大会出場を成し遂げると信じている」と悔しさをにじませた。





 結果は2-4の逆転負け。ベスト4の壁を越えることができなかったが、最後の1秒まで諦めることなくピッチを駆け巡り、ボールを追う東京朝高の選手たちの姿は、多くの観客の心を動かした。
 選手権予選は敗れたものの、東京朝高サッカー部にはリーグ戦・T2が残っている。この悔しさをバネに、T1昇格へ向け、突き進んでほしい。(全)

東京朝高サッカー部、11日に準決勝「十条ダービー」へ

2018-11-08 10:17:49 | (全)のブログ
 東京朝鮮中高級学校サッカー部が冬の選手権予選を勝ち進んでいる。



 10月28日、第97回全国高校サッカー選手権東京都予選のBブロック準々決勝が実践学園高尾グラウンドで行われた。夏のインターハイ予選準決勝で関東第一高校と激闘を繰り広げた、東京朝高はこの日、修徳高校と対戦した。

 東京朝高サッカー部の姜宗鎭監督は、アップを終えた選手たちに「お互いを信じ、今まで蓄積してきた力をすべて発揮してこい。運動量、アイデア、大胆性、攻守の切り替えだ」と選手らの士気を高めていた。

 試合開始のホイッスルと同時に試合は動く。東京朝高は、早いプレスから左サイドの高い位置でボールを奪う。奪ったボールを持った5番の朴俊範選手(3年、DF)が左サイドから素早いドリブルで相手DFを一気に4人抜き、振り放ったシュートはゴールネットに突き刺さった。朴選手は、このゴールに「立ち上がりからガンガン攻めようと思っていた」と振り返った。
 幸先良いスタートを切った朝高。修徳は素早いサイド攻撃、ロングスロー、コーナーキックを持ち味に朝高のゴールを脅かすも、DF陣の分厚い守り、姜ブラマ選手(3年、GK)がスーパーセーブを魅せる。互いも譲らない攻防で前半終了のホイッスル。1-0で試合を折り返した。

 後半が始まるも試合のスコアはなかなか動かない。均衡を破ったのは東京朝高。後半25分にゴール前の絶好の位置でフリーキックを奪った東京朝高。攻守でハードワークをみせた10番の洪悧鎭選手(3年、MF)が蹴ったフリーキックはネットを揺らした。その芸術的なフリーキックに会場は大歓声に包まれた。待望の2点目が入った東京朝高だったが、同29分に失点し1点を返される。そして、後半終了のホイッスルが鳴り、1点のリードを守りきった東京朝高が、西が丘で行われる準決勝へと駒を進めた。


夏のインターハイでは、あと一歩のところで全国出場に届かなかった東京朝高。夢の全国大会出場まで残り2つ。11日の準決勝の相手は帝京高校だ。朝高はインターハイ予選でも帝京と対戦し、4-3と勝利を収めている。一度勝利している強豪校とはいえ、油断は禁物だ。選手たちには同胞の期待を胸に、「朝高魂」全面に押し出してほしい。(全)

準決勝は、11日の13時から西が丘サッカー競技場で行われる。入場料は一般1000円、高校生以下500円。

※入場案内、注意事項
 1試合目の応援団が退場する時間と、朝高応援団が入場する時間が重なり、混雑を避けるため以下の入場をお守りください。
 ○入場までバックスタンド側の駐車場で待機
 ○Cゲートからスタンド入場(メインスタンドの方から)
 ○Cゲート入場にバックスタンド応戦席に移動 

LINE@「北区トンポネット」開設!

2018-10-23 10:00:00 | (全)のブログ
現在、私は北区に住まいがあるため、総聯東京都北支部に所属しております。

この度、その北支部がLINE@「北区トンポネット」を開設しました!
LINEで北区トンポ(同胞)のお得な最新情報―イベント・セミナー案内、冠婚葬祭、各団体の活動情報、ウリハッキョニュースなどが配信されます。
イメージとしましては、LINEによくある公式アカウントです。

LINEの「友だち追加」から「@tql4299l」を「ID検索」して追加を押していただくと登録完了です!
もしくは下のQRコードからも追加することができます。



東京第3初級学校新校舎建設に関する情報も配信されています。この機会にぜひご登録ください!(全)

総聯北支部 公式 Facebookページです。https://www.facebook.com/chongryon.tokyo.kita/

新しい出会いに感謝

2018-10-15 10:02:48 | (全)のブログ

 先日イオのOB、中学時代にサッカーを指導してくれた先生とYさんとご飯を食べに行きました。

 Yさんとは初対面だったのですが、会話のなかでYさんが姉と同級生ということが発覚しました。さらに、この日集まったメンバーはみな同じ大学、同じ学部を卒業しています。イオについて、中学校時代の思い出、学部についてなど、話の尽きない食事会でした。

 11月号の編集後記にも少し書きましたが、社会人になり、学生時代に比べ、新しい出会いが増えました。新たな出会いが増えるなかで驚くのは、みな、どこかでつながっているということ。

 知人の親友やきょうだいの友達であったり(今回の食事会の様に)、出身校、部活、学部が同じなど・・・。縁というものを不思議に思う今日この頃です。

 取材では新しい出会いがほとんどです。取材先で必ずすることと言えば、名刺交換。入社当初はネットで「名刺交換 方法」「名刺交換 失礼」などよく検索しました。

 一つのモノを買うのにすごく悩んでしまう私は、名刺入れもなかなか買うことができないでいました(先方には失礼なことですが)。そんな私に編集部の(愛)さんが名刺入れをプレゼントしてくれたことも。

 まだまだ駆け出しですが、名刺が徐々に増えると嬉しくなります。こんなにも新しい出会いがあったのか、また新たなつながりが増えたと。
 同時に、一回きりの出会いで終わるのではなく、つながりをさらに発展させることも今後の記者生活で大切なことだとも実感します。

 冒頭の食事会の話に戻ります。
 お店はカラオケがついていたので、最後は音痴な自分の歌で締めた楽しい食事会でした。(全)

未明に緊急地震速報が

2018-10-04 10:09:06 | (全)のブログ

昨夜未明、関東地域を対象に緊急地震速報が流れましたね。

気象庁発表では、千葉東方沖でマグニチュード6.7の地震が発生したとのことです。
最大震度4と、深刻な被害が生じた地震ではありませんでしたが、突然の緊急速報にびっくりしました。

「チリンチリンチリンチリン、緊急地震速報です強い揺れに警戒してください」

しかし、何度聞いても緊急地震速報のアラーム音に慣れることができません。言葉では表すことができない不安感や恐怖感でいっぱいになります。

さて、このアラーム音ですが、開発するにあたって「雑音の中でも聞こえる音」「老人でも子どもでも気づける音」という条件があったといいます。
緊張感を持った和音を使用しいているアラーム音ですが、制作者は福祉工学の研究者である伊福部達さん。上記の条件をもとに制作する際に、伊福部さんが参考にしたのが伊福部さんの叔父である伊福部昭さんが作曲した「シンフォニア・タプカーラ」。

叔父の伊福部昭さんは「ゴジラ」のテーマ曲を作った方で、伊福部さんは小さい頃からこの曲を聴いていて、ゴジラと地震がリンクするイメージがあったそうです。

さまざまな試行錯誤のもと、出来上がったのが緊張したリズムの、緊急地震速報ということです。
今年、日本列島では地震、台風と自然災害が頻発していますが、日ごろからの準備と心構えが大切だと実感しました。(全)

いざ、函館へ

2018-09-26 10:00:00 | (全)のブログ
現在、函館出張中です。
都外での取材は群馬、神奈川と赴きましたが泊り込みでの出張は今回が初めて。

初めて赴く地にワクワクしながらも、現場での取材に緊張もしております。
昨日は無事、取材を終えることができました。

今朝早起きして、函館を代表するグルメスポット「函館朝市」に足を運びました。
イカやカニ、メロンなどの生鮮品からイカ塩辛や干物といった加工品まで、北海道の食材が揃っています。

豊富な品揃えはもちろんのこと、驚いたのが人情味あふれる店頭販売。
「お兄さん、どこから来たの?」
「こっち来て、味見してみな」と腕を引っ張られることも。

東京では素通り、無視が鉄則な声かけも、函館朝市では足を止めて話しを聞きたくなります。

「写真撮っても大丈夫ですか」と聞いても嫌な顔一つ見せずに「じゃんじゃん撮っちゃって」と気さくに応じてくれました。

朝も早かったため、市場は少し閑散としていましたが、鮮魚にメロンと品揃えは豊富でした。










しかし、9月6日に北海道地方を襲った大地震の影響は今もなお残っています。
地震以降、観光客は激減し、朝市も以前のにぎわいを取り戻せていないと店頭のお兄さんが話してくれました。

さて、今日も取材です。
気を引き締めてたくさんのことを吸収し、誌面を通じて読者のみなさんに伝えたいと思います。(全)