皆様おはようございます。今日も暑そうですね、黒猫でございます。
DVDまつりレンタル編の最後として
『第9地区』を観終えました。
いやあ面白かった!!なんで公開時に映画館で観なかったのか!わたしの馬鹿馬鹿。
ある日突然南アフリカ・ヨハネスブルク上空に巨大な宇宙船が出現した。何の接触もしてこない宇宙船に対し人類が強行突入してみると、そこには弱りきった膨大な数のエイリアンがいた。
人類はMNUという対エイリアン対策組織を作り、ヨハネスブルク内にエイリアンを収容する「第9地区」という地域を作った。
そして20年。180万人にまで増加したエイリアンと人間との対立は増す一方。窃盗、強奪、殺人などのエイリアンたちの所業に耐えられなくなった人間たちは、エイリアンの立ち退きを要求し、ヨハネスブルクから離れた郊外にエイリアン居住区を移すことになり、その実行をMNUに委託する。
MNUで実行作戦の責任者に選ばれたヴィカス(シャルト・コプリー)は、立ち退き同意書にエイリアンのサインを求めるため第9地区を訪れた際、エイリアンの一人が作っていた筒状の装置を押収し、中の液体を浴びてしまう。
その後の行動中に左腕を負傷したヴィカスは少しずつ体調に変調を来たし、帰宅後に開かれた昇進祝いパーティの席で倒れる。
病院に運ばれたヴィカスの腕の包帯を医者が取り去ると、ヴィカスの左手はエイリアンのものに変化していた。
診察した医者はヴィカスのDNAは現在エイリアンと人間の中間にあると診断し、エイリアンのDNAを持つ者しか使えない武器をヴィカスが扱えることを確認する。上層部はヴィカスを殺して身体を研究することを決める。
命の危険を感じたヴィカスは病院から逃亡するが、危険な病気に感染した人物として指名手配され、やむを得ず第9地区に逃げ込むが・・・?
というような話。
てっきりエイリアンと人間の対立の話だと思っていたらそうじゃなかった。
南アフリカの体制を風刺している話でもありますね。
完全に人間の側にいた主人公ヴィカスが、徐々に身体が変化し、同胞に追われる中でアイデンティティが揺らぐ過程が見所です。
エイリアンたちは何らかのアクシデントにより宇宙船を動かせる者が死に絶え、いわば不時着したようなもので、地球に来てから20年が経過した今は民間人?のエイリアンとその子孫達がスラム暮らしを余儀なくされています。自由を制限され、貧しく不自由な暮らしを送る中で、人間性(人間じゃないけど)が失われ、かなり柄が悪くなっているエイリアンたちの隔離された暮らしはそのまま南アフリカの問題を風刺しているようにみえます。
ヴィカスは第9地区に逃げてからクリストファー・ジョーンズというエイリアンとある種の協力体制を築きますが、お互いの利害が一致したからに過ぎず、裏切りもあります。
しかしこのクリストファー・ジョーンズの子ども、リトルCJが可愛いったらもう。
エイリアンは地球人に賎称として「エビ」と呼ばれていて、まあ割とグロめな容貌をしているんですが、見てると慣れてくるというかなんというか、クリストファー・ジョーンズとリトルCJにはちゃんと人間味がありました。
民衆レベルではエイリアンは(帰れるものなら)さっさと故郷へ帰れというのが世論で、エイリアン側だってできるものなら帰りたいでしょうが、ヨハネスブルク上空に浮かんでいる母船に行ける手段がまずなかった。それを20年かけて燃料を集め、母船へ戻る計画を立てていたのがクリストファー・ジョーンズとその友達だったんですが、友達のほうはMNUが第9地区に立ち入った際に殺され、大事な燃料?の入った筒はヴィカスに押収されてしまいます。
その後自分が助かるためにはその筒が必要なことがわかり、ヴィカスとクリストファー・ジョーンズは協力してMNUのラボに踏み込むわけですが、このへんが手に汗握りました。もう人類全部敵状態の中でどう状況を打開していくのかと。
エイリアンたちが去ることはお互いの望むところなんだから、おそらくちゃんと話し合いの場を持つことができていればそこそこ平和裏に地球からの退去が実現したんじゃないかと思うんですが、地球人側はもう完全にエイリアンを見下しているのでそんな余地もなく争いになってしまいました。エイリアン側に指導者的な人もいなかったし、MNUはエイリアンしか扱えないテクノロジーだけは欲しがってたしなぁ。
また、エイリアン対MNUという図式だけでなく、そこに第9地区に根城を持つナイジェリア人ギャング組織も割り込んでくるんですが、この組織のリーダーはエイリアンの血肉を食べればそのパワーを自分の内側に取り込むことばでき、自分もエイリアンの武器が扱えるようになると本気で信じていて、ヴィカスのようになりたくて彼を狙います。
ちょ、21世紀!今21世紀だから!と突っ込みたくなりますが、処女と性交するとエイズが治るとかいう類の科学的根拠のないデマが今でも横行しているのを風刺しているんでしょうか。
ラストはネタバレになるので伏せますが、なんとも切ない感じでした。
果たして約束は守られるのか。
もしも万が一本当にこういうことが起きたら、人間はこの映画のような対応しかできないのでしょうか。それだとそれが人間の本質みたいで嫌だなあ。
エルトゥールル号遭難事件のような例も過去にあるわけだし、やってできないことじゃないと信じたいものです。
グロ・流血シーンが多いですが、それに抵抗のない方は是非観ることをおすすめします。