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満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『奇術師』

2007-06-21 01:28:15 | 

皆様ごきげんよう。日曜の夜明けというか月曜の早朝、amazonマーケットプレイスでオーダーしたCDが未だにやって来ない黒猫でございますよ。マーケットプレイスって初めて利用するんですが、こんなに遅いもんなの?「月曜発送予定です。発送したらまたメールします」というのが来たきり、そんなメールも来ないんですが。どうなってんだ。

それは置いといて。

今日は先日観た映画『プレステージ』の原作となった小説、『奇術師』のレビューです。

 ふたりの天才マジシャン、アルフレッド・ボーデンとルパート・エンジャの確執を描く、という点は映画と同じでしたが、始まりと終わりがふたりの子孫の話(現代の話)であるという点が大きな違いかな。

 新聞記者のアンドルーは、とある人物からの招聘に応じ、北イングランドを訪れた。記事にできそうな情報の提供を匂わされた上での行動だったが、いざ行ってみると、彼を呼び寄せた女性は「あなたを知っている」と言う。
 アンドルーは養子で、現在の両親に引き取られる前の幼い頃の記憶がおぼろなのだが、彼女はその記憶がおぼろげな頃に会ったことがあるのだと言う。そして彼が戸籍上は他に兄弟がいないはずなのに、双子の兄弟の存在を常に心のどこかで感じていることを話すと、「そのことは我々の祖先に関係がある」と答え、ともに奇術師だったという彼の曽祖父・アフルレッド・ボーデンと、彼女の曽祖父ルパート・エンジャの手記を彼に手渡す。
 ふたりの奇術師は互いに激しいライバル心を燃やし、互いの舞台を妨害しあう関係だったが、あるときちょっとした妨害が重大な事故を引き起こしてしまい・・・?

 というようなお話。

 現代のパートが入ってくることもあり、映画とだいぶ違いましたが、その他映画では「アンジャー」だったのが原作では「エンジャ」でした。スペルは多分同じなんでしょうけど。

 ふたりの奇術師の手記のうち、ボーデンの手記は、のちに手に入れたエンジャが「意図的に書き直した」部分があるそうで、どこまでが本当なのかわからず、ますます読者を疑心暗鬼にさせます。エンジャの手記だって最後のほうはカオスです。どちらをどの程度信じていいのやら全然わかりません。もしかしたら双方嘘をついてるかもしれないし。

 ふたりとも、舞台で奇術を見せられるなら何を犠牲にしても構わないようなところがあり、実際双方すごいことをしています。それもう奇術じゃないよねみたいな。そのせいでますます手記の記述が錯綜し、どこまで信じていいのやらという感じ。ですがこれ、手記という形態ならではの読ませ方ですね。こんな風にミスリードを誘う手法は映像だと難しいでしょう。映画は映画でまた、別の方法で色々観客を欺いていましたが。
 
 そしてラスト、手記を読み終えた現代サイドの主人公(?)アンドルーの、自分に双子の兄弟がいると思えてならなかった理由が判明するんですが、このへんのくだりはむしろホラーではと思いました。怖いです最後。しかも勝手に伊藤潤二(ホラー漫画家。代表作『富江』)の絵柄で想像していまい、ますます怖くなりました・・・。ひ~、怖いよ~。
 
 小説と映画、それぞれ騙しのテクニックものとして、別物として両方楽しめると思います。結構色々相違点があるので、どちらかの熱心な信奉者である場合は別ですが、騙し方の違いを比べてみるのも一興では。

 ちなみに映画のほう、限定商品として荒木飛呂彦(『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ作者)のイラスト入りのステッカーが配られたそうですね!(荒木飛呂彦が以前漫画でニコラ・テスラを取り上げたことがあるから?)ちょっと欲しい・・・これはジョジョマニアも詰めかけたに違いないッ!(笑)