折り合い

2016-09-17 09:23:52 | 音楽
秋の初めが苦手だ。
少しひんやりしてきた空気の感じとか、日が落ちるのが早く
なったり、色んなことを失っていくような気持ちになる。
想像上の喪失感。これ、ネガティブの根源。

この時期は、なるべく心を動かされるような芸術作品に向き
合わないようにしている。
感化されすぎてしまうから。

しかし先日、うっかりして素敵な小説を読んでしまった。
そしたら何がなんだか、ものすごく切なく、やるせなくなって
しまい、アッチョンブリケ!って感じ。
自分の無力さについて繰り返し考える。
バイオリンだけでなく人生全般に及んで。

ループに嵌まるだけで答えなど出ないことはわかっている。
こういう時のための愛読書を開く。

ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス著 『自省録』。
ごく一部を私的に要約すると、
「努力しないなら潔く人生から去っていけ」
みたいな感じ。

弱さを押さえこんで、心のざわめきが過ぎ去るのを待つ。
しかし、ふと、この気持ちをバイオリンに乗せてみたらどう
だろうと考えた。
ヴィタリの曲調もちょうどそんなふうだしと。

気持ちを音に送り込むように弾いた。
やるせなくてもいいじゃない、人間だもの、みたく。
うん、なかなか良かった
音に何かしら感情が宿ったように感じたし、自分も少し
スッキリ。

それで、先日のレッスンでもそういうふうに弾いた。
いい音が出ている、と言ってもらえたのはそのせいかも
しれない。
そうだったらいいな。そう思っておこう。
ネガティブな感情も何かの役に立てばポジティブになるって
もんだ。

ちょっとした心の隙間ってある。
皆多かれ少なかれ、どこかで何かしら心の折り合いをつけて
生きているのではないかと考えてみたり。
いや、毎日常にハッピーな人もいるのかもしれないが。
あやかりたいものだ。

まとめると、早く秋が深まってしまうといいなという話。

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