吉嶺史晴のブログ

リコーダー奏者吉嶺史晴のブログです。演奏活動ならびに鹿児島市で音楽教室を運営しています。

必ずしも「音楽的」ではない時間にどれほど居続けられるのかどうか

2024-06-06 | 音楽教室


音楽教室を運営し始めてから24年目となります。

コンクールにも参加したこともありました。

中には国際コンクールに上位入賞するような生徒さんも在籍しました。今は皆それぞれの場所で活躍しています。

あらためていろいろなこと、思い起こしています。
是非は置いておいて、生徒さんが国際コンクールに参加となると審査員にアピールする曲目を選ばなくてはいけませんでした。

譜読みの段階では到底、無理かと思われそうな楽譜をこちらが提示するのですが、その際、す~~っとそれを受け入れてそのまま練習に入ってゆく、そんな風景を思い出します。

20世紀の作品の場合だと楽譜の読み方それ自体わからないことも多いので、こちらが手取り足取り、教えてあげる必要こそありましたが、家で取り組む際は必ずしも「音楽的」とは言えない音が沢山あったのではないかと想像します。

楽譜そのものが読めないし、読めたとしても難しくて思い通りのテンポで吹くことは到底かなわず、メトロノームのテンポが半分あるいは半分以下の超スローテンポでやらなければいけない箇所も多くなります。
これは現代的な曲でもバロックの曲でも同じです。

多分、ひとりの練習の際はもしかしたら、かなり億劫なところを乗り越えてやって来たのではないか、と今では想像します。

良い奏者の条件、沢山あるのですが、そのひとつは練習の際にどれだけ「非音楽的」な時間を向き合うことが出来るかどうか、ということです。
その人がその人自身をどれだけ信じられるのか、と言う点が問われるところです。

練習の際は、同じ箇所をゆっくりやってみたり、リズムを変えてみたり、強弱やアーティキュレーションを変えるくらいの変化はつきますが、実際の楽曲の表現とはつながりのない、抽象的な音の連続をつなげる練習、になることに変わりありません。

これは西洋音楽に奏者として、携わる場合に是非は置いて、避けられません。

あまりにも楽曲自身の表現とかけ離れてしまうので、つまらないのです。音と音をただつなげる、なんてそんなことは作曲者の表現意図とは関係なく、奏者が自分の技術的な都合を優先させて、自分の都合で練習してるだけです。

ある程度の規模を超える曲になると、必ず難しい箇所があります。その箇所を克服するためにはそこだけ、取り出して技術的な練習を別に行う必要があります。
往々にして機械的な無味乾燥なものとなります。
いわゆる「メカニック」な練習というものです。

感受性の強い奏者ほど、苦しい練習となりかねないやり方です。

でも、そこを通過しないと絶対にそういう曲は吹けるようになりません、コツは自分自身で自分の感受性のスイッチをオフにすることくらいしかありません。

かつての生徒諸君、今は各地で活躍しています。
そんな道を通って来ました。

今日は鹿児島地方、一日、雨模様でした。なんだか昔のこと、思い出されました。

今日は聴き合い会

2024-04-06 | 音楽教室


今日は聴き合い会です。
教室の生徒さん同士で演奏者とお客さんの役割になりながら互いの演奏を聴き合う会です。

バロックの曲や、現代の作品など幅広いレパートリーに渡っています。
県外から参加される方もあり、充実した会になりそうです。


写真は教室の様子です。
15帖ほどの広さです。

木をふんだんに使ってあり、響きも良いです。

今日の会では新しい生徒さんもお客さんの役で参加してくださることになりました。
私もピアノ伴奏と、チェンバロによる通奏低音で演奏に参加します。

次回の発表会は11月です。
生徒さん方は鋭意練習中です。

鹿児島市で古楽器体験会(12月23日、24日)

2023-12-11 | 音楽教室

鹿児島市の吉嶺音楽教室にて古楽器(チェンバロ、リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ)の体験会を開催します。

期日:2023年12月23日(土曜日)、24日(日曜日)
時間:13時~17時
対象:チェンバロ、リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバに興味があって実際の楽器に触ってみたい方
一枠:30分 参加費無料(御希望の方にはワンポイントレッスンさせていただきます)

この機会に普段、なかなか触れることの出来ない古楽器の音色であなたのイメージを膨らませてみませんか。


チェンバロは1段のイタリアンです。弦をはじいて音を出す楽器です。
普段はA=415Hzに調律してあります。



こちらはヴィオラ・ダ・ガンバ(6弦)です。
フレットが付いているので弦楽器初心者の方でも音程が取りやすいです。

お問合せ 吉嶺音楽教室 nangokurecords@goo.jp



教室の発表会

2023-11-19 | 音楽教室
教室の発表会、無事に楽しく終了しました。
生徒さん方はよく頑張りました。
会場のお客様方にも喜んでいたきました。

協力くださった皆さま、有難うございました!

毎回、私の教室の発表会を聴きに来てくださる方もいらっしゃるのですがその方から、今回は特に優れた内容だったとの評価をいただき嬉しい限りです。

リクエストのコーナーでは2曲候補に挙がっていたのはC.Ph.E.バッハの無伴奏ソナタ、または廣瀬量平のメディテーションでした。
結局、リクエストがあったのはメディテーションでした。

1975年に作曲されたいわゆる「前衛音楽」です。
このようなものを鹿児島で演奏しても果たして受け入れてもらえるだろうかと心配していましたが杞憂でした。

大変、良い反応をいただくことが出来ました。

他には生徒さんと私との二重奏も数曲あったのですが、いずれも今日、本番の舞台で私が今までやったことのないような微細なタイミングの変化などを仕掛けても皆さんはそれにしっかり反応することが出来、嬉しい驚きの瞬間が沢山ありました。

ただ楽譜に書いてあるものをいつもと同じように音にしても、それは音自体が生きた音になりません。
即興的なアドリブを加えるとか、そのようなやり方でなく、ちょっとしたタイミングや音色の違い、それらも大きな違いとなります。

それらに本番の舞台でどのように互いに反応しあうことが出来るのか、否か、これが二重奏の表現力に大きく影響します。
これは単に「指が速く動く」とか、そのような表層的なことを遥かに超えたもっと大きな、奏者として、表現者としての構えそのものを決める在り方です。

構えがどっしり決まると、細かく反応しても、姿勢が崩れて滅茶苦茶にはなりませんが、最初の構えがひょろひょろしていると(楽譜の音をとにかく音にするだけで満足するような在り方に代表される)、いざ楽譜にないことが起きた場合、あるいは楽譜に書いてある音はそのままであっても、リハーサルと違うことが起きた場合、「リハーサルの時と、違うことやった~~~~~」というようなおかしな文句を言わなくてはいけない羽目になります。

御来場の方々には楽しいひと時を過ごしてもらうことが第一ですが、表現する側の者としての基本的な方向は大事です。

厄介なのは基本的な方向が根本的に違っていたとしても、表面的にはとりあえず「上手な演奏」として聴かせることは可能ということです。

表現の現場には多くの落とし穴があります。、
私自身も、まだ発展途上の身ということで自戒の意も込めながら、本当に良い演奏とはということを追求したいです。

リコーダーの基本的な技術は様々な段階があり、それぞれの段階に応じて、「これが出来ればこの段階としては合格点」ということはありますが、表現者としてどのようにあるべきか、ということについてはその理想形、あるいは最終到達目標地点はそれぞれの奏者によって違うので、それは指導者が一方的に決められるものではありません。

それぞれの生徒さんが、それぞれの希望に応じてなるべく遠い射程距離を狙えるようなそんな構えを習得して欲しいと思っています。

こちらは今日の発表会の演奏曲目のひとつです。

吉嶺史晴作曲「ふるさとねんころろん」。

この曲を演奏して下さった生徒さんは、この曲に歌詞をつけて歌い、そしてピアノだけになる間奏部分で日本舞踊風の振付所作をつけ、そしてリコーダーを演奏してくれました。
これはもう、通常のリコーダー奏者としての枠組みの在り方を完全に超えています。

教室の生徒さんのなかからこのような表現を行う方が育って来ていることも大きな収穫のひとつです。


2023年11月19日吉嶺音楽教室リコーダー発表会

2023-11-17 | 音楽教室

2023年11月19日吉嶺音楽教室リコーダー発表会

吉嶺音楽教室でリコーダーを学んでいる皆さんが日頃の練習の成果を発表します。
私も伴奏で出演します。
テレマンの二重奏、「村の休日」組曲では生徒さんと一緒に私は2番のパートを演奏します。
是非どうぞ!

2023年11月19日(日曜日)13時30分開演 
入場無料
於:シティエラホール 鹿児島市住吉町7-18


曲目:
中西 覚 2本のアルトリコーダーのための「村の休日」組曲
吉嶺史晴 「ふるさとねんころろん」
G.Ph.テレマン 二重奏ソナタ ヘ長調
G.ジェイコブ アルトリコーダーとピアノのための変奏曲
J.S.バッハ アルトリコーダーと鍵盤楽器のためのソナタBWV1020
M.マレ 2本のリコーダーと通奏低音のためのシャコンヌ 他
N.フルトン「スコットランド組曲」
H.U.シュテープス ソナタ変ホ長調  他 (曲目には変更のある場合があります)


お問合せ 吉嶺音楽教室099-229-4452 メールnangokurecords@goo.jp

※駐車場はありません。
お近くのコインパーキングをご利用ください。

日頃の練習の成果を発表するのか、その場でどれほど変化できるのか挑戦するのか

2023-11-13 | 音楽教室
日頃の練習の成果を発表するのか、その場でどれほど変化できるのか挑戦するのか、という構えの違いは演奏空間の在り方に大きな差を及ぼします。

愛好家の方々の発表会では通常は前者のパターンですが、聴き手にとってはその場でしか聴くことの出来ないものを聴くことが出来る、ということがやはり大きな喜びとなります。
つまり練習の成果をその通りにその場で行うという在り方は必ずしも求められないのが実際の演奏の場です。

西洋の古典的な音楽の様式で書かれた音楽の場合は、楽譜に書いてある音符そのものを大きくその場で変化させるということは割合としては少ないですが、実際の音楽は強弱やテンポ、アーティキュレーションなど様々な要素から成り立っており、それらは演奏者の体調やお客さんの層、会場の響き、その時使う楽器の状態など様々な要因によって変化するのが当然と言えます。

私の経験上、聴き手はそれらの要素の変化、とくに演奏者が即興的にそれらを表現している場合、敏感に察知します。
そのことがより一層、演奏自体の魅力にもつながります。

生徒の皆さんにとっては日頃の練習の成果がしっかり出来ればそれで充分とも言えますが、プロ、アマチュアを問わず、良い演奏にはやはり共通するものがあり、それは「その場でどれだけ変化することができるのか」ということであります。

もう少し、幅を広くとって考えてみます。
演奏の前に演奏者自身が短く楽曲解説などのコメントする場合、このような際にはもちろんあらかじめ準備をしていても良いのですが、お客さんにはいろいろなことが即座に伝わってしまうのでは。

準備したものをあらかじめ覚えてしまってそれをその場で言うというのもひとつの在り方ではあります。その場で即座に変化する、ということから程遠いかもしれないのですが。

しかしあらかじめ覚えたことを言う時の声の調子や、話す速さなどは、その場の空気に応じてやはり変化するべき。

その場に応じて、即座に変化すること、これ、音楽それ自体だけではなく、音楽の周辺に関する事柄にも応用できる方法と言えるのでは。

練習の際に、出来ることはなるべく準備しておくこと。
その上で本番では自分自身も共演者も想像もつかなかったような変化が出来れば最高です。

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変化するべき時に変化する。

わかりやすい例で言うならば、初見練習の時に落ちてしまった時。
そんな時にどういう行動をすべきなのか。

あるいはまた本番の際に、共演者が「好みじゃない」音を出した時、あるいはまたあきらかに「間違ったタイミング」で音を出した時。

これらは普通は避けるべきことと考えられ勝ちですが、これらの状況を普段の固定化された自分から、そうでない自分へ変化すべききっかけとして前向きにとらえることも出来そうです。

多分、変化するべき時に変化する、というのは「生きる」ということと密接につながっています。それは音楽とか、演奏とかそのような事柄を越えたもっと大きな働きです。

シュテープス ソナタ変ホ長調 、ジェイコブ「変奏曲」

2023-11-13 | 音楽教室
H.U.STAEPS Sonata E flat major for recorder and piano

今月19日(日曜日)に鹿児島市シティエラホールにて開催される吉嶺音楽教室リコーダー発表会での演奏予定曲目です。
全部で4つの楽章から出来ている曲ですが、第3、第4楽章を演奏します。


Gordon JACOB variations for treble recorder and piano

こちらはG.ジェイコブの「変奏曲」です。

いずれも20世紀のリコーダーレパートリーの中で重要な位置を占める作品です。
吉嶺音楽教室ではルネサンス、バロックのオリジナル作品に加えて近・現代の作品、編曲作品も学ぶことが出来ます。


発表会を控えた最後のレッスン終わりました

2023-11-11 | 音楽教室

2023年11月19日に鹿児島市シティエラホールで開催される吉嶺音楽教室の発表会前、最後のレッスンが終わりました。
参加される皆さんの仕上がり具合も順調です。

私は生徒さん方の伴奏に加えて、当日の司会進行も担当する予定です。

会の進行状況をみながら私も無伴奏でリコーダー演奏してみたいと思います。

*中世ヨーロッパの舞曲
*ヴィルジリアーノ、バッサーノによるリチェルカーレ
*J.ファンエイク 「イギリスのナイチンゲール」、「ダフネ」、「バタリ」、「エコーファンタジア」、「ラクリメ」、
「美しきアマリリ」
*G.Ph.テレマン 12の幻想曲
*J.M.オトテール プレリュードの技法より
*J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲1番、2番、3番、4番 、ヴァイオリンパルティータ第2番より「シャコンヌ」BWV1004
*C.Ph.E.バッハ 無伴奏フルートのためのソナタ
*G.F.ヘンデル 「私を泣かせてください」
*ヘーベルレ ソナタブリランテ
*J.P.ビーズマン 5つのスロヴェニア風舞曲
*廣瀬量平 「メディテーション」「讃歌」
*篠原真 「フラグメンテ」
*藤原豊 ラベンダーブルーポストリュード
*久保 禎  無伴奏リコーダーのための「南風」
*吉嶺史晴 「ムダイ」、バスリコーダーのためのソロI、「桜」(独奏)、テナーリコーダーのための音楽、阿修羅(2019).「アメージンググレース」による変奏曲、「ララバイ」、日本古謡「さくら、さくら」

これらは私の無伴奏リコーダー演奏の主なレパートリーです。
このなかから当日、会場で選んでもらったものを演奏したいと思います。

11月19日13時30分開演、鹿児島市シティエラホール
です。是非どうぞ。

かくれんぼう・木曽節

2023-11-10 | 音楽教室
かくれんぼう・木曽節

明日は教室で発表会前の仕上げのレッスンです。
演奏曲目はそれぞれの生徒さんのソロに加えて、アンサンブルもあります。

日本の童謡や民謡などを素材としたアンサンブル曲も演奏予定です。
こちらはもともと三重奏ですが、一番低い声部にグレートバスリコーダーなどを加えて低い方向に厚みを加えた状態で演奏すると大変効果的です。

今月19日、鹿児島市のシティエラホールにて13時30分開演・入場無料です。
是非どうぞ!





「ふるさとねんころろん」(リコーダー、ピアノ)作曲・演奏:吉嶺史晴

2023-09-09 | 音楽教室
「ふるさとねんころろん」(リコーダー、ピアノ)作曲・演奏:吉嶺史晴

レッスンではルネサンスやバロックの曲をやることが多いですが、変化を持たせるために現代的な作品も取り入れています。
この曲はいわゆる現代的な奏法を使う箇所はありませんが、伝統的な機能和声で書いたので親しみやすいものになっています。

社会人の方のレッスンの場合には、聴音や初見視唱などのソルフェージュ訓練だけを集中してやるのは難しいので、リコーダーの初見演奏を取り入れています。

今日のレッスンではこの曲を初見の教材として取り入れてみたのですが、生徒さんに気にいってもらうことが出来て、引き続き練習することになりました。
自分で書いた曲だと、通常のレッスンでの内容に加えて、作曲者としてのイメージを直接伝えることが出来るのでその点は生徒さんにとっても興味深いものでは、と思います。

11月には鹿児島市のシティエラホールで教室の発表会を予定しています。
生徒のみなさん、鋭意練習中です。