野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

佐潟を歩く

2016-10-29 20:40:41 | 探鳥

 新潟に泊まった翌日、新潟市近郊の砂丘湖佐潟を訪ねた。

佐潟は1996年にラムサール条約に登録された白鳥や雁の渡来する湖で、

同じ新潟県にある瓢湖ほど名が知られていないせいか観光客も少なく

ゆっくりと探鳥を楽しむことができる。また福島潟ほど広くはないので

より身近な距離で水鳥に親しむことができる。

 奥にある山は角田山、左奥には弥彦山がほんの少しだけ頂を見せている。

 

湖面に映る雲もゆっくりと動いている。

 

時刻は8時過ぎ、とうに大半の白鳥やヒシクイたちは餌場へと

飛び去っていってしまったようだ。

 残された白鳥(コハクチョウ)と左端にいるのはカンムℓリカイツブリ

 

一周1時間半の湖を右回りに一周してみることにした。すぐに自然生態園の看板が見えてきた。

 

 池には枯れた蓮が多い。蓮の向こうには白鳥の番が見える。

 

殆んどのカモたちは朝餉を終えた後なのか、身じろぎもせず湖上の点となっている。

 

空は晴れ渡り、秋の空気が何ともすがすがしい。しばらく歩くと野鳥観察小屋が見えた。

  ここで小半時観察、休憩をした。

 

 湖のほとりにたたずんでいるのはアオサギ

 

不意に頭上を白鳥の群れが鳴き交わしながら、飛んで行った。

 

 残されたカモたちはもう昼寝を始めているのだろうか、鳴きもせずじっとしている。

 

 手前にはマガモ、奥にはコガモやホシハジロなどが見える。

 

湖の周囲は畑でおおわれている。畑用の水は今ではモーター式のポンプで汲み上げられているようだが、

こんな懐かしい井戸ポンプも幾つかあった。

 

色づいたノブドウの実

 

湖を一周する道の脇ではセイタカアワダチソウが蔓延っていた。

 

 枯れ枝で休んでいるのは尾羽の形からトビのようだ。

ぐるりと回り対岸までやってきた。光の加減か湖の色が変わって見える。

 

 

樹上では小鳥たちがせわしげに鳴き、飛び交う。

これはエナガだが、シジュウカラやコゲラ、ヒヨドリたちも見られた。

 

 木柵に止まってこちらをうかがっていたバッタ

 

 

ほぼ一時間半ぐらいかけて湿地センターのある起点まで戻ってきた。小舟の上で休んでいるカモたち

 

ダイサギが悠々と湖上を飛んでいった。

 

 蓮の葉に隠れるように集まっているのはコサギの群れだ。この写真ではわかりにくいがゴイサギもいる。

 

  白鳥たちの飛び去った後の湖は閑散としている。昼近くなって動き回っているのはカイツブリとオオバンだけ。

 

 佐潟は最寄りの駅が越後線の越後赤塚駅なのだが、バスの便は一日3便のコミュニティバスのみ。

歩くと40分かかるので、交通の便が良い処ではない。が、その分観光客は少なく静かに鳥を観察できるのが良い。

今回来たのは三回目。今までは冬の初めに来たのだが、今回は季節を変えて来てみた。

 でも少し時期が早かったかもしれない。水鳥をはじめとして冬鳥全体がまだ少なく、また

葦が邪魔して観察できる場所が少ないのだ。また渡ってきた鳥たちの警戒心も強くなかなか岸に

寄ってはくれない。やはり12月に入ってから来た方が良かったようだ。

 

 帰路、広い田んぼの中の農道から見た雲。日本海側からは次々と雲がわいてきた。

 

 私を獲物と勘違いしたのか、遠くからやってきたノスリが頭上をしばらく旋回して

 当てが外れたように飛び去って行った。

 

 半日しかいられなかったがいい時間を過ごせた。駅について間もなく

新潟方面からの汽車がやって来たようだ。

 

この辺で。


雪国植物園の秋

2016-10-25 17:41:08 | 植物園

 10月下旬、新潟の雪国植物園を訪ねた。ここを訪ねるのは

今回で5回目。今までは春3回、夏一回と来たので、今回は季節を変えた

秋に来ることができた。

 僧坊を思わせる入り口の雰囲気が好きだ。

 

 見ごろの花の看板のある入り口すぐがミニ植物園のようになっている。

 

 サラシナショウマ

 

 

 アキノキリンソウ

 

 ホトトギス

 

 キバナアキギリ

 

 カントウヨメナ

 

この小さな花は枯れかかったアケボノソウの花

 

 季節は既に晩秋といった雰囲気、紅葉も結構進んでいる。

 

まだ色を残したオヤマボクチ

 

これは初めてであったクルマバハグマ

 

小沢の淵に一株だけノハナショウブが咲き残っていた。

 

アキアカネが止まっているのは花後のニッコウキスゲ

 

 この季節の主役は何と言ってもリンドウの花。

園内のいたるところで見ることができた。

 

 これはエゾリンドウ

 

 湿地に生えているのはオオニガナ

 

 

 

見どころは花だけでない。

ヤブコウジの赤い実は十両ともいわれる。一両のアリドオシの見も見られるというので

探してみたのだが、今回は出会えなかった。

 

コマユミの実

 

ガマズミの実

 

 ムサシアブミの実

 

この黒い実はヒオウギ

 

 

 園内では紅葉はまだ始まったばかり。葉も実も真っ赤に染めあがっている

この木は何というのだろう。

 

 

 

 

 鮮やかに紅葉している楓

 

 

 ノダケの花

 

これはシシウドの花だろうか

 

紅葉の始まった山を下ると目の前には広がるのは里山の風景。

 

 

 あと一時間ほどで閉園の時刻、来園者の姿は全く見えない。

 

ここで腰を下ろし、暫らく休んだ。時が歩みがゆっくりとしたものに変わる。そのまま想念を飛ばしているうちに

 私は何者でもなくなり、目の前の風景だけが静かに時を重ねていった。

 

いつまでも此処に居たいと思った。

 

この辺で。

 

 

 

 

 


生田緑地バラ苑

2016-10-22 12:00:13 | 散歩

 今年も秋バラを見ようと生田緑地バラ苑を訪ねた。

夏の長雨のせいだろうか、色合いはいいのだが花びらの縁が

茶色に枯れたり白化しているバラが多かったように思える。

 

この日は開園13日から)して3日目の日曜日で、人出は結構多かった。

このバラ苑は入場料はとらないが、善意による寄付は受け付けている。

その際は花の種がもらえる。

 

アルザス(仏46年)

 やはり花弁に傷みが多い

 

 ゴールデンウィングス(英53年)

 

 ドリス タイスターマン(英75年)

 

アルブレヒト デューラーローゼ(独02年)

 タンタウ社が作成した花弁のグラデーションがきれいなバラ

 

 プリンセス ド モナコ(仏81年)

 

 

 妻に遅れること22年、やっと夫君の名のついたバラも作られた。

 ジュビレ デュ プリンス ドゥ モナコ(仏03年)

 いわゆるロイヤルローズの一つで、このバラ苑にはロイヤルコーナーが設けられていて

日本を含む世界の王族にちなんだバラが集められている。

 

 レオナルドダビンチ(仏94年)

 

 

 チャールズダーウィン(英03年)

 有名人の名のついたバラはたくさんある。バラの名前は作成した人が付けるのが基本、

商売なので売れそうな名前を付けることが多いそうだ。

日本人の名(それに因んだ)のついたバラもたくさんある。一例をあげると樋口一葉、引田天功、黒柳徹子、

大地真央、假屋崎省吾(えーっ、顔とバラが合致しない)‥などなど。

 

 天津乙女(日本60年)

 美しい黄バラなのだが、花弁が傷んでいて残念だ。

 

 ニコール(独84年)

 

 

 

黒真珠(日本88年)

 京成バラ苑で作成されたもの

 

シスターエリザベス(英06年)

 

 リッチフィールドエンジェル(上と同じく英06年)

 

パットオースチン(英95年)

 

ダブルデライト(米77年)

 85年にはバラの殿堂入りをした名花

 

ヘルムットシュミット(独79年)

 

 ピース(仏45年)

 バラの中のバラともいわれるピースは76年にバラの殿堂入りを果たした。色形も優れているが

香も良い。

 

ウイミー(独82年)

 

チャールストン(仏63年)

 

 

 シューティングスター(仏72年)

 

ユーレカ(独03年)

 蛇足ながら付け加えると、ユーレカとはアルキメデスが自身の原理を発見したときに、

発したといわれているギリシア語の感嘆符

 

 マグレディースイエロー(英33年)

 今回では最古参のバラ

 

お終いはハナアブとのコラボ

客に尻を向けるとは失礼だぞ!

 

 ではこの辺で。


秋の薬用植物園

2016-10-19 17:53:42 | 散歩

 東大和市にある都立薬用植物園へ久しぶりに自転車で出かけた。

休日でもあり道が混んでいて、しかもその日は運動不足でもあったので

自転車にしたのだ。何回か自転車で行ったことがあるので30分も

かからないで着くと思っていたら、なんと45分もかかってしまった。

しかもたいそう疲れた。

 

 所要時間と距離が比例する(必ずしもしないのだが…)としたら、わたしにとって

世界は膨張拡大していることになる。山登りの時も同じことを感じる。

若い頃3時間で楽々登れた山に、今では疲労困憊4時間もかかってしまう。

でも必ずしも悪いことだけではない。その分途中の時間が以前よりも深く充実した

ものになっているようだ。これも老いの効用のひとつなのではと思う。

 

 小さいころ成長につれて世界が縮小されていったように、齢を重ねた今

私の周りでは世界がゆっくりと大きく、味わい深いものになっているのだ。

 

 さて今日はここまでで気力が尽きたので花、実のコメントは短めに済まそう。

シジミチョウの中ではよく見かけるヤマトシジミ。

同じくよく見かけるベニシジミより一回り小さい、がとても可愛い。

 

 最近は個人の庭先でも植えられているシュウメイギク(秋明菊)。菊と名のつくものの。キンポウゲのなかま。

別名には群生地の京都の地名からとった貴船菊、また花の様子から秋牡丹がある。

 純白の花弁に小さな虫がたくさん寄ってきている。美人の宿命か。

 

  アキチョウジは関東ではお目に架かれない花

 

 タデに似るがタデではない。昔染料につかわれたアイの花でタデ科ではある。

 

 大きなハチが採蜜しているのは秋の七草にもなっているフジバカマ

 

シモバシラの花。この株は少し赤みが入っている。

 

 訪ねた時一番多く、しかも見事に咲いていたのはホトトギスの花だった。

 

 白花

 

 虫の名前にもなっているオケラの花

 

 花後はこんな風

 

 奥多摩の低山でもよく見られるイヌショウマの花。一輪だけ咲きだしていた。

 

 ナンバンギセルはススキの根元に一株だけ咲き残っていた。

 

 

 この時期は花の少なくなった分、色づいた実も楽しむことができる。

マメガキ

 

濃いあずき色をしたハナヒョウタンボクの実

 

 ウオトリギの実。ウオトリギは日本には自生せず、台湾や中国原産。

 

 これも中国を産地とするカショウ(花椒)の実

 

 コムラサキシキブの実

 

 マムシグサの仲間ムサシアブミ。大きな実はこれから赤く熟し始める。

 (注意喚起)次から3枚目の写真にはカマキリが写っています。苦手な人はこの辺で離脱を。

 

 茣蓙に鎮座したカボチャ

 

閉園(4時)時間を知らせる放送があったので出口に向かっていたら、目の前を

バサバサッと大柄な虫が飛んだ。

 夏の盛りと違ってこの時期のカマキリにはなぜか哀愁が漂っている。

 この辺で。

 


筑波実験植物園

2016-10-16 20:06:32 | 植物園

 休日、久しぶりに高速に乗って遠出をした。私のところからは

筑波学園都市迄は外環を使って片道100km足らず、混み具合にもよるが

時間にしても一時間半ほど思ったより近い。

7時前に出たら早く着きすぎてしまった。近くの公園を散歩して開園9時を待った。

今回の訪問は3年ぶり、10分前にもかかわらず車は10数台もとめられていて

結構な賑わいで驚ろいた。尤もこの日(10月10日)は3連休のおわり、

またキノコ展の最終日にもあたっていたのでこれ位は当然かもしれない。

 入り口には10数人の行列ができている。

 

 園内は2つのゾーンに区分けされている。敷地面積は14ha。約東京ドーム3個分にあたる。

 

 前述したようにこの日はキノコ展の最終日。たくさんのキノコが集められている。

 

キノコは地味なものと思いきや、意外と子供の食いつきが良いようでびっくりした。

 

 食用と有毒とがラベルに書いてあるのだが見分けは本当に難しい。

 

  この棟の並びではキノコ展の第2会場もあってこちらでは主に

変態し、移動するキノコ変形菌の展示がされていた。

変形菌は昔は粘菌と呼ばれていて、南方熊楠の研究などが比較的有名。

初めはさっと通り過ぎるつもりが面白くて思わず引き込まれてしまった。 

 

 巨大な温室が4棟あって、この中には他では見られない珍しい植物が展示されている。

 

 オオバコの仲間、通称ブルーアイ

 

 

このもさもさした植物はサボテンの仲間でメキシコ原産の帝冠(ていかん)

 

 「生きている石」といわれる南アフリカに生育するリトプス

 

 熱帯資源植物温室に入る

 インドやマレー半島に生育するミフクラギはキョウチクトウのなかま

 

 マツバラン目の植物。根も葉もない古生代の生き残りの植物。

 

  沖縄八重山諸島原産のヤエヤマヤシ

 

マレーシア原産のセンナリバナナ。もし1000個なっているとしたら

一日一個で食べきるのに3年もかかってしまう。

 

熱帯雨林温室

ヒメアリアケカズラ

 

 ブラジル原産のツユクサ科の花 ブルージンジャー

 

ハワイ産のハイビスカス

 

水生植物園の温室

アフリカ原産のミズアオイのなかま

 

これはラベルが見当たらず?

 

温室を出た屋外は11区画に分けられている。

 宮崎県に自生するキバナノホトトギス

 

赤く熟したイイギリの実

 

池の上に架かっている橋はつくばね

 

 岩礫地性植物区に咲いていたのは白花のフジアザミ

 

低地性山地草原区にはツクシミカエリソウ。見たことのあるミカエリソウは

薄いレモンイエロー色だがこれはピンク色を帯びている。

 

 海岸性砂礫地帯区には枯れかけたハマゴウ

 

ハマトラノオ

 

 沖縄や台湾、中国などに分布するマツマラソウ。イワタバコのなかまで絶滅危惧1A類。

 

常緑広葉樹林帯区ではゴンズイの真っ赤な実が沢山実っていた。

 

アメリカ原産のミズカンナ

 

 世界の生態区をぐるっと一周して入り口近くの温帯資源植物区までやってきた。

ここでは食用とされる植物がたくさん植えられている。

 今では人間様には見向きもされず、もっぱら小鳥の餌にされているアワ

 

 シカクマメ

 

シカクマメの花

 

もっとたくさんの珍しい花を見ることができたのだが、書く気力が尽きたので

今日はこの辺で。

 

尚、筑波実験植物園は駐車料金は無料、入園料も大人310円と安い。

隣近所にあれば毎日でも出かけるのだが……。

更にリピーターズパス1030円(消費税3%時代の名残?)というものがあり、

購入すると1年間無料となり、それだけでなく上野の国立科学博物館や

白金にある自然教育園にも何度でも入れるという。何と太っ腹なことだろう。

 正真正銘この辺で。