野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

裏磐梯の紅葉を歩く⑤-檜原湖探勝路

2015-10-31 06:19:09 | 旅行

 檜原湖は裏磐梯で最大の湖。1888年の噴火で檜原村が水没し、500人以上の死者が出たという。

全長30km余り、今でも湖水の変動により、鳥居や墓石など集落の遺跡が出ることがあるそうだ。

スタートはレンゲ沼から

 

一周して姫沼へ

 

コマユミの真っ赤な実

 

名の知れぬ小さい沼が多い

 

 

 中瀬沼の展望台

 

水面は落ち葉で覆われている。

 

引き返す形で桧原湖畔へ

 

 湖の中の小島も紅葉している。

 

湖畔にはたくさんの沼が散在している。

 

ウバユリ

 

自らの重みに倒れたマムシグサ

 

葉の上で休むアキアカネ

 

 

吊り橋

 

橋から眺めた檜原湖

 

 

湖の中にもたくさん小島が浮かんでいる。

 

 

 

 

 

 キャンプ場を過ぎ、歩き始めて3時間弱、長峯船付が見えてきた。

 

30分ほど舗装道路を歩いてバス停へ

 

 錦秋の中を行く静かな散策を楽しめた。


裏磐梯の紅葉を歩く④-朽葉幽玄

2015-10-26 09:05:34 | 旅行

 最近裏磐梯ではこの辺りが写真愛好家の人気のスポットなのだという。

 早朝の曲沢沼。右中ほどにホシハジロの番がいるのだが……。

 

 水面には今朝散ったばかりの枯葉が浮かんでいる。

 

 僅かに聞こえるのは、吹き過ぐ風がカサカサと枯葉をならしていく音。

 

磐梯吾妻レイクラインの涼風峠で見かけた、まだ若い孤猿

 

 秋元湖に流れ込んでいる中津川の渓谷を訪ねた。

 

 派手な色彩の楓は少なく、落ち着いた紅葉を楽しめるのがいい。

 

 傾斜のある山道を降りていくと10分ほどで渓谷に辿り着く。

 

 対岸にも遊歩道が設けてあって、その道は西吾妻山への登山口姥明神に通じている。

 

 引き返す途中、 磐梯山は濃いガスの中に包まれてしまった。

 

この辺で。


裏磐梯の紅葉を歩く③ー銅沼から五色沼へ

2015-10-24 20:06:50 | ハイキング

 

 (紅葉した山肌が美しかった銅沼)

 

 猫魔ヶ岳から八方台へは猫魔ヶ岳やまびこ探勝路を下って一時間弱。着いたのはお昼頃。

駐車場には磐梯山登山者の車がびっしりととめられていた。

 

 このあたり標高は1200m付近。紅葉はやや終わりかけ(10月20日の時点)で、

 季節はもうすぐ冬を迎える晩秋といったところ。

 

緩やかな登りが続く、すれ違う登り終えた登山者も多い。

 

30分で中の湯跡。かつて磐梯山登山者のための温泉旅館があった所だが、

世紀が変わる以前に廃業したという。が今でも周辺には硫黄臭が強く立ち込め、

ぶくぶくと熱湯が湧出していて、青みがかった乳白色の露天風呂となっている。

 

 

 かつての温泉宿は今では廃墟となっている。

 

 この先、道は二つに分かれ、右が弘法清水から磐梯山へ登る登山路。

今回は紅葉が目的なので登らず、左折して裏磐梯スキー場方面へ下山する。

 

 下山中に仰ぎ見た磐梯山

 

 紅葉したカラマツとススキ

 

 登山道に2本の折れ曲がった木が立ちはだかっていた。

 

 

 銅(あか)沼まで降りてきた。この辺は旧噴火口だったところ。一人先客がいて、

眼前に広がる景色の素晴らしさを少ない言葉で分かち合った。

弱った足腰に鞭打って何とかここまで登ったきたのだという。

 

 沼に露出した岩は鉄分を含んでいて赤い

 

 水面は鏡面のように収まり、山並みを映している。

 

 陽射しが噴火口の際に生えるヨシ原にあたって煌めいている。この景色をできるだけ長く見ていたく、

沼の畔で昼食をとることにした。

 

  さらに少し下ったところにあった名もない沼

 

 スキー場まで降りてきた。この辺の標高が紅葉の真っ最中だったようだ。

 

西吾妻山方面

 

スキー場のスロープ、左下に見えるのは小野川湖。

 

銅沼から一時間かかって裏磐梯登山口へたどり着いた。ここまで行程は7時間ほど。足は疲れているが

まだ陽は高いので、五色沼を歩いてから宿に帰ることにした。

 

 さすがに五色沼まで来ると歩く人が多い。都会並みの喧騒が嫌で思わず早足になってしまった。

青沼

 

瑠璃沼

 

弁天沼

 

 

 途中で色の変わるミドロ沼

 

赤沼は今日は赤くなかった

 

 たわわに実ったアケビ

 

お終いは毘沙門沼

 

 剣ヶ峰の宿までの帰り道、下校中の小学生たちが元気よく挨拶してくれた。

何かとてもほのぼのとして素直に嬉しく、「いい人生を歩めよ」と心の中でエールを送った。

この晩は郡山に住む友が泊まりに来てくれ、夜が更けるまで酒を飲み、至福の一日を締めくくった。


紅葉の裏磐梯を歩く②-雄国沼から猫魔ヶ岳へ

2015-10-22 20:17:11 | 登山

 翌朝は、始発のバスの時間に合わせて7時半と比較的遅めの朝食。

8時過ぎに宿を出て乗客が一人のバスに乗り十数分、

雄国沼登山入り口のバス停で降りて登り始める。

 

 目も眩むような錦秋の中、緩やかに登っていく。何とも贅沢な至福の時だ。この登山路は雄国沼探勝路と名付けられ、

雄国沼までは標高差200mあまりのハイキングコースだ。

 

 目の前に様々な色の紅葉が立ち現れ、私の身と心を染め上げていく。

 

 

 

 厳しい北国の冬が作り上げた穴の開いた老木、それでも倒れることなく生きている。

 

 標高1100mを超えた辺りから落葉した木々が目立ってきた。山道がふかふかしていてまるで絨毯の上を歩いているようだ。

 

 坂は急になだらかになり、湿った道の上に木道が敷かれている。靴音を潜ませてゆっくりと歩く。

 

 雲はどこへ行ったのか、青空が見えてきた。

 

 

 葉をすっかり落としたサワフタギの青い実や、

 

黄色い薄皮がはじけて朱色の種を出したツルウメモドキが迎えてくれる。

 

 藪の中には ヤマブドウも顔をのぞかせている。少し頂いたがはっとするぐらい酸っぱかった。

 

雄国沼の休憩舎が見えてきた。左側に見えるなだらかな頂きは雄国山(1271m)だ。

 

 この時期観光客は一人としていない

 

 万華鏡のような紅葉の色彩のトンネルを抜けた後の、このすっきりとした風景がとても心地よい

 

 微風の吹きすぎる土手に沿って歩く

 

出迎えてくれるのはいまだ色を保っていたアザミと

 

 葉は枯れても花はまだしっかりとした野菊の仲間。

 

 

 

 

 笹の葉の間から顔を見せたセンボンヤリ

 

  頭上にはナナカマドの真っ赤な実

 

 白化したヤマウルシの実があちらこちらにぶら下がっている。

 

 足元にはシラタマノキの白い実

 

沼の北の端まで来た。沼の水はここから雄子沢川となって檜原湖にそそぐ。

 

 

沼を離れ再び登りが始まる。木々はむき出しの枝を見せてすっかり冬の様相だ。

 

 

ユキザサの真紅の実が山道を飾っている

 

ツルリンドウの花がまだ咲き残っていた。

 

沼から1時間、標高200mほど登ったところで猫石が見えてきた。

 

猫石から見た雄国沼

 

 猫石から少し下って登り返したところが、化け猫伝説の言い伝えが残された猫魔ヶ岳(1403m)。

 

 北東の西吾妻山は雲にかすんでいて望めない。

 

 残念ながら東にそびえる磐梯山も頂を雲に隠したままだった。

 

 今日はこの辺で。次回は八方台から銅(あか)沼をとおって五色沼への路。


裏磐梯の紅葉を歩く① ー曾原湖周辺

2015-10-21 14:00:53 | 旅行

 二泊三日の予定で裏磐梯を訪ねてきた。新宿)から猪苗代まではJR高速バス、

これが往復7000円と安い。高速代だけでも片道7000円弱かかることを考えると破格の値段だ。

ただ、そこから先のバス代が高い。30分ぐらいしか乗らないのに800円もかかってしまう。

まあそれも地域振興へのささやかな寄与と考えると納得はできる。

 

 10時10分新宿新南口発→猪苗代駅14時24分到着、15時路線バスに乗り換えて

裏磐梯曾原(そはら)湖前には15時40分頃に着いた。

バスを降りるとそこにはもう紅葉たけなわの世界が広がっている。

 

落ちかかる陽を浴びて世界が輝き始める。僅か一時間ほどではあるが、

大自然の織り成すショーの始まりだ。

 

湖畔のオヤマリンドウ

 

 一つ残された橙色のコマユミの実が儚げだ。

 

 林の中のツタウルシはすでに盛りを過ぎたようだ。

 

鏡面のように静まり返った水面。

 

 

 

やがて秋の陽は紅葉した山の斜面に、もう一段茜の色を重ねていく

 

 重ねられた色は炎色反応を起こしたように煌めき、錦の色を放つ。

 

 時は止まったままだ。

 

そうとは知れないほどの微かな風が水面を揺らし、漣を立て緩やかに時の歯車を回す。

 

 

水面には山並みの紅葉が、本物と紛うほど精細に映し込まれている。

 

 

 見入っていると二つの像の硲に 異世界への扉が開かれていく。

 

 

燃え盛る紅葉に気を取られ、水面に浮かぶ水鳥には気が付かなかった。

 

番の白鳥は今年渡ってきたものなのだろうか

 

 

 

 

 

 

 小一時間は過ぎただろうか。寒さを覚え始めた時、雲間から一瞬秋陽が顔をのぞかせた。

 

 

輝きはほんの束の間、やがて少しずつ光と色とそして熱を失っていく

 

そして闇の中にゆっくりと溶けていく。

まだ明るさを残した空に磐梯山が浮かび上る。

 

冷たい風に肩をすぼませながら人気のない道を宿まで戻った。

 この日は宿で宇宙の起源と終焉についての本を読んで寝た。