野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

至仏山から鳩待峠へ下る

2016-07-24 07:44:46 | 登山

 苦労して登った頂上だが、人がいっぱいで休むところが狭い。時刻はまだ9時半。

 さほど疲れてもいないので、そのまま下ることにした。

 

 頂上付近では、尾瀬ヶ原で枯れてしまっていたハクサンシャクナゲがまだ見られる。

 

 大きな岩陰にキバナノコマノツメの群生があった。正確にはジョウエツキバナノコマノツメと

言うらしく葉がやや厚く、毛が少ないのが見分けのポイントだそうだ。尤も私には

ルーペを持って比べて見ないとわからないレベルの違いはあまり興味がない。

 

 

 光を浴びたタカネシュロソウがきれいだ。

 

 

 ホソバヒナウスユキソウ、ここまで登ってきた甲斐を感じさせてくれる気品ある花だ。

 

 

タカネバラ

 

 これもタカネの名が付くタカネシオガマ

 

 ホソバツメクサは別名コバノツメクサ。タカネツメクサの仲間だが、これも私には見分けがつかない。

 

 

小至仏を過ぎるとオヤマ沢田代まではお花畑が連続する楽しい下りだ。

 日本アルプスでもよく見かけるハクサンイチゲとシナノキンバイ

 

 

 

 至仏山と谷川岳に特産するオゼソウはユリ科の花

 

亜高山帯の湿地に生えるイワイチョウは葉が銀杏に似ることから名づけられた。

 

 ウラジロヨウラクとミヤマダイモンジソウもお花畑の常連の花だ。

 

 

タンポポに似ているが高山に咲くので何故か品を感じてしまうウサギギク

 

 やや薹が立ったハクサンチドリ

 

ハクサンフウロ

 

 見ていると思わず時間を忘れてしまう高山植物たち。登ってそこに到達した者だけが

味わえる至福の時間だ。

 

そうこうしているうちにオヤマ沢田代までやってきた。

 

 この辺ではまだワタスゲが綿帽子を風に揺らせていた。

 

 

笠が岳、湯の小屋温泉への分岐を過ぎると針葉樹林帯の中をひたすら下っていく。

この日はとても暑かったので木陰の中の下山がありがたい。

登山道わきにはギンリョウソウやマイヅルソウが見られる。

 

 

 

 

ヤマブキショウマ

 

これはあとで図鑑で調べたのだが、オオバツツジのようだ。

 

 オニシモツケ、マタタビの花と見ているうちにあっという間に鳩待峠までたどり着いた。

 

 

 

 

 たどり着いた鳩待峠は昼過ぎたばかりか何時もより人が少く、また新しい駐車場が200mほど下に

設けられたせいもありがらんとしていた。帰路高速バスで立ち寄った赤城SAは茹だるような炎熱地獄だった。

 

この辺で。


尾瀬至仏山に登る

2016-07-21 08:59:11 | 登山

 <前回からの続き>

見晴から歩いて1時間半、至仏山の登山口山の鼻に着いたのは7時過ぎ。

たくさんの登山者でざめいている中、とりあえず軽い朝食をとった。

 7時半、水を補給し一方通行の登山路を登り始める。

 

暫くは薄暗い森の中の急登が続く。

ウスユキソウ

 

アカミノイヌツゲ

 

 森林限界を過ぎると一気に見晴が広がる。

まだ薄い朝もやに覆われた尾瀬ヶ原が眼下に見えてきた。

 

 一際艶やかなクルマユリ

 

高度が上がるととともに尾瀬ヶ原もくっきりと見えだした。

 

コメツツジとチチブドウダンツツジ

 

 

 

随分と登ってきた。この辺りで標高も2000mを越えた。

 

蕾をほころばし始めたシブツアサツキ

 

ミヤマダイモンジソウ

 

 蛇紋岩の急登が連続する。汗が止まらず息も切れる、胸突き八丁一番つらいところだ。

 

 辛さを忘れさせてくれるのが高山の花たち。ホソバコゴメグサ

 

 

 この花も会いたかった花の一つだ、タカネシュロソウ

 

蛇紋岩の隙間にはホソバヒナウスユキソウ。ここ至仏山と谷川岳でしか見られない花だ。

 

 

 尾瀬ヶ原の向こうには燧ケ岳

 

この辺りは高天原といわれ、高山植物のお花畑となっている。

 

イブキジャコウソウ

 

タカネナデシコ

 

 これも高嶺の名が付くタカネシオガマ

 

 

蛇紋岩特有の高山植物の一つジョウシュウアズマギク。ホソバヒナウスユキソウと同じく至仏山と

谷川岳特産の花だ。

 

笹薮の下に群生するタテヤマリンドウ

 

久しぶりに出会えたムシトリスミレ。ねばねばした根生葉で小さな虫をとらえる。

その粘液は同時に消化液ともなっていて、滋養の不足を補っている。

 

 喘ぎながら登ること2時間半、登山者でいっぱいの至仏山頂上に何とか辿り着いた。

 この辺で。

 


尾瀬に泊まる3

2016-07-19 06:21:57 | トレッキング

 山小屋の朝は早い。周囲のざわめきもあり4時ごろにはもう目が覚めてしまう。

だんだんと明るくなってきた。窓の外ではイワツバメが飛び交っている。

 

 5時過ぎ、昨日作ってもらったお弁当をザックに入れて尾瀬ヶ原を歩き始める。

この時間歩いている人はほとんどいない、世界が自分だけのものになったようで気分が良い。

 

 振り返ると燧ケ岳

 

 西側の朝靄は山と草原をの境目のように白い帯を作っている。

 

 前方には至仏山が昇ったばかりの夏日を浴びている。

 

東側に見えるのは皿伏山だろうか

 

 拠水林を越える

 

 朝靄が山から尾瀬ヶ原に流れ込んでいる。残念ながらいまだ出会ったことがないのだが、

時にはこれが虹のように弧を描いて見えることがあるのだという。

 

朝露をまとったレースのような蜘蛛の糸

 

山から陽が昇り始め、一段と朝靄が濃くなった。

 

再び振り返ると、燧ケ岳の頂から夏の太陽が顔を出している。

 

六兵衛掘を過ぎて竜宮十字路に差し掛かる辺りが、福島と群馬の県境になっている。

 

 去年泊まった竜宮小屋がみえてきた。尾瀬ヶ原の中央に一軒だけある山小屋だ。

 

この辺りでショウキランが咲いているはずと暫らく探したのだが見当たらず、

去年に引き続き今年も縁がなかったようだ。求めなくても出会える花がある一方、何度探し求めても

出会えぬ花もある。

 

 中田代の湿原に立つシラカバ

 

いったん朝靄が濃くなって至仏山が隠れてしまった。

 

 咲き始めたオオマルバノホロシ

 

 

 

イボタの花も朝露に濡れている。

 

牛首分岐を過ぎて再び拠水林へ

 

クガイソウ

 

逆さ燧

 

 池塘にはもう気の早いオゼコウホネの花が咲いている。

  

 

池塘の縁に咲くカキツバタ

 

日が射すにつれて朝靄もだんだん晴れ上がっていく

 

 でもまだこの時間ではヒツジグサは目覚めない

 

 

木道で愛嬌のある顔をしたホオアカが出迎えてくれた。

 

さてもう少しで山の鼻。これから一休みして軽い朝食を食べ

そのあとは至仏山に登るつもりだ。

 

 

 


尾瀬に泊まる2

2016-07-18 10:31:34 | ハイキング

 沼尻を後にして尾瀬ヶ原方面の見晴らしに向かう。まもなく白砂田代が見えてきた。

 

尾瀬沼と尾瀬ヶ原を結ぶこのコースを歩くのは日帰りでは無理なので、

どうしてもというか嬉しいことに歩いている人は少なくなる。

 

オオバタケシマランが実を付けている。

 

 湿原にはナガバノモウセンゴケが見られる。

 

 

 この季節には白い小さな花を咲かせている。

 

 

数はそれほど多くはないがトンボもいる。ちょっと遠いのでわかりにくいが、

正面から見ると顔の一部が白いカオジロトンボ。この写真でわかるだろうか。

 

すぐ近くの木道に止まった。何とか廻って白い顔を写そうとしたら飛ばれてしまった。

 

オゼイトトンボとエゾイトトンボは非常に似ていて紛らわしいのだが、図鑑で調べると

 これはどうやらオゼイトトンボのようだ。

 

白砂峠を越えたあたりに差し掛かると、ギョウジャニンニクやルイヨウボタンも実を付けていた。

 

 

ここからは沼尻川を左手に見て、緩い段小屋坂を下っていく。

マルバタケブキが大きな花を咲かせていた。

 

 沼尻から一時間半思ったより早く見晴らしに着いた。今晩泊まる原の小屋で

受付を済ませ荷物を置いた。

 

 まだ3時半前。カメラバッグだけ抱えてさっそく付近を散策することにした。

コバノギボウシが咲き始めていた。

 

 ニョイスミレの一種ミヤマツボスミレ

 

ヒオウギアヤメ

 

 付近を飛び回っているのはノビタキ

 

こちらは♀

 

 アキアカネやチョウも多い。

 

 

 

 宿に戻って5時半からの夕飯を済ませ、再び尾瀬ヶ原へでた。

 

中ほどのやや上あたりに三日月がかかっている。

黄昏時、イワツバメやハクセキレイが虫を求め頻りに飛び交っていた。 

 

陽は陰り始めた。

 

木道脇の花たちも微かに茜色に染まりはじめた。

サワラン

 

キンコウカ

 

トキソウ

 

 これはトンボソウ

 

 綻びはじめたノアザミの花

 

山の端に陽が沈んだのは6時半過ぎ。期待していた夕焼けは

さほどのことはなく残念。

 

燧ケ岳、麓は見晴らしの山小屋集落。

 

この辺で。

 

 

 

 

 

 


尾瀬に泊まる1

2016-07-17 08:39:41 | 散歩

 今年も一泊二日の旅程で尾瀬に出かけてきた。

スタートは大清水口。去年から運行開始された低公害車で時間稼ぎを

しようと考えていたのだが、生憎出たばかり(30分毎)なので、いつも通り歩くことにした。

一之瀬までは旧道歩き。クマよけの鈴が道標にぶら下がっている。

こういうのを見ると思わず鳴らしたくなるのは私だけだろうか。

 

登山口入口には種落としのマット。この上で靴底を扱いて外来種などの種子を落とす。尤もこれでは落とした種が残るだけ、

効き目があるのかどうかはやや疑問が残る。

 

小沢に沿って登っていく。ツクバネウツギが緑色の種をつけ始めている。

 

ヤマブキショウマは咲はじめ。

 

 カラマツソウ

 

 そして花期の長いゴゼンタチバナはあちらこちらで見かけた。

 

一之瀬から標高差350mを登っていく、ほぼ一時間で三平峠に到着した。

 

 幹に結ばれた赤いテープの高さが冬季の雪深さを物語る。

 

 下り始めて間もなく尾瀬沼が見えてきた。中央には大江湿原の三本落葉松。

 

 三平下までは下りだと15分ほどあっという間についてしまう。

ちょうど昼時だったのでここで持参してきたおにぎりを頂いた。

 

尾瀬沼東岸からの燧ケ岳。嬉しいことに天気には何とか恵まれたようだ。

 

 再び歩き出して小半時、尾瀬沼ビジターセンターが見えてきた。

 大勢のハイカーが休んでいたが、あまり時間に余裕がないのでそのまま通過することにした。

 

7月中旬のこの時期、大江湿原はニッコウキスゲの黄色い絨毯で覆われるのだが、

 シカの食害の影響なのか、どうも年々キスゲの株数が少なくなってきているように思える。

 

 それでもこの辺りが比較的多く咲いていたところ。

 紫色の花はカキツバタ。

 

 

 

 尾瀬沼北岸を沼尻(ぬしり)に向かう。途中には幾つか小湿原が点在している。

ワレモコウ

 

 沼尻に近づいてきた。湖岸にはフトイが多く生えていて、独特の風景を作っている。

 

 今日は見当たらなかったが、水鳥を見かけることも多い場所だ。

 

イワナシの実

 

 沼尻平まで一時間足らずで着いた。湿原の中サワランが点々と咲いている。

 

花を終え綿穂をつけたワタスゲ

 

 

 数人のハイカーが休んでいるのはかつて沼尻休憩所があったところ。

 

去年9月の出火で現在は焼け跡が残されているだけ。

かつてはこんな感じ

 

ここから見る風景は尾瀬の中でも1,2を争うところ(私的には)だっただけに本当に残念なことだ。

 

今回はこの辺で。