野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

花之江の郷 承前 

2016-08-30 16:55:01 | 散歩

 前の続きという言葉を探していたら「承前」という言葉があったので

使ってみたのだが……。ちょっと格好つけているようで??だ。

 

 さて前回歩いた花之江の郷は山ゾーンと里ゾーンだった。今回は続きの林ゾーンと湿地ゾーン。

外にも通じている小道(ということは敷地全体が区切られていない!何とおおらかかなことか)を

横切ると林ゾーン二入る。季節がらかか日本の野に咲く自然の花は少なく、西洋庭園のように

たくさんの外来種、園芸種の花がカラフルに咲いていた。

 

 園路に沿って咲く赤い花はベニバナサワギキョウといい、北アメリカ原産の花。

別名として宿根ロベリアがある。

 

園の人に聞いたら今年は異常にたくさん咲いてしまったのだとか。そのせいで日本の湿原を彩る

サワギキョウは隅に追いやられてしまっていた。本来日本の野に咲く花ではないので、自然園としては

あまり多くなると困るのだろう。花の形はサワギキョウととても似ている。

 

秋を思わせるシュウメイギクが一株だけ咲きだしていた。シュウメイギクとはいうもののキク科ではなく

キンポウゲ科の花。 どちらかというとアネモネに近い。漢字では秋明菊となり、

爽やかな印象の花に似合っている名だ。京都貴船地区の群生がしられたことから「貴船菊」の

別名や大柄の花の形から「秋牡丹」の名も持つ。

 

 シモツケはここ栃木県(下野)から名をとったバラ科の落葉低木。

 

クサキョウチクトウは別名オイランソウの名を持つ北アメリカ原産の花。花色が豊富。

 

トウゴウギクも北アメリカ原産の花。

真偽はわからないが、東郷元帥がイギリスから持ち帰ったのが名の由来だという。

 

ハナトラノオも外来種の花。4つ目になるがこの花もまた北アメリカ原産。

カクトラノオの名もあり、最近では個人の庭先や公園でもよく植えられ、

一部は道路端に逃げ出して繁殖している。

 

 ホザキシモツケは日本に元からある野の花。

この花を見ると、8月の日光戦場ヶ原や小田代が原に咲き誇る大群落を思い出す。

 

蓮池のほとりに立つ洗心亭。

 

一株だけ咲いていたシロヒガンバナ。ここはヒガンバナの群生でも知られているが、

見ごろはまだもう少し先、9月に入ってからか。

 

 ショウキズイセンは見ごろになっていた。四国から沖縄にかけて分布するヒガンバナ科の花。

 

 林ゾーンを抜けて湿地ゾーンに入ってきた。ぬかるみの上には木道が作られている。

 

 一帯はオミナエシの花が見ごろを迎えていた。

 

オミナエシは漢名は女郎花。ご存じ秋の七草のひとつ。

 

 語源は「おみな圧(へ)し」で若い女性を圧倒するほど美しいから来たと某書にあったが、本当だろうか。

 

蓮の花もまだ残っている。後ろに咲いている赤紫の花はエゾミソハギ

 

 ミズトラノオ。

 日本だけでなく、中国や韓国にも分布している。

 

 休耕田や湿地に多いミゾカクシ、アゼムシロの別名もある。名は旺盛な繁殖力を表していて

湿地でさえあれば普通に見られる。花色は薄い紫から白色。

特徴的な花の形は合弁花(キキョウ科)の二端が深く切れ込んだことから。

この形何かに似ているとしばらく考えてやっと熊手を思い出した。

 

 オグルマは田の畔に多く咲くキク科の花。タンポポに似た花はジシバリやブタナ、コウゾリナなどあるがいずれも春先に咲く。

が、オグルマは9月頃から咲き始める。小車の名は放射状の花の形から。

 

 ススキがまだ暑さの残る8月の風に揺れていた。

 

 お終いは縁で見かけた虫たちの紹介を少しだけ。

イナゴ、正式名はコバネイナゴというらしい。

 

 一つの枝を分け合ったショウジョウトンボとシオカラトンボ

 

ノシメトンボ

 

 イトトンボ。図鑑を見るとアジアイトトンボのようだ。

 

この辺で。


花之江の郷

2016-08-27 17:39:23 | 散歩

 

 

 久しぶりに栃木の花之江の郷を訪ねた。正式にはもめん弥 花之江の郷 野の花自然園という。

日本でも数少ない、自然の野花を中心にした民営の植物園である。

今まで季節を変えて数回訪ねたことがあったが、8月下旬に訪ねたのは初めて。

開園の9時10分前には到着したが、殆ど待つ間もなく入園できた。


入り口の左脇には食事処「自然荘」がある。今回は帰り、ここで大人の味かき氷を頂いたのだが

火照った体を鎮めてくれ大変うまかった。


 園内にたくさん咲いていた花。花の名を園の人に教えてもらったのだが忘れてしまった。


スズムシソウ(スズムシバナ)


 黄色いヒオウギの花は珍しい

 

4つのゾーンのうちの山ゾーンには秋の野草が咲き始めていた。

 お目当てのレンゲショウマは少し時期が早かったか

 

 

 

涼しげなコバギボウシ

 

キバナノアキギリやフシグロセンノウは低山歩きでよく見かけるなじみの花だ。

 

 

街中の公園でも見られるツルボの花。刈り込まれた芝生の上に良く咲いている。


 あっかんべえーをしたようなハグロソウはキツネノマゴの仲間。御岳川沿いや高尾山などの

林床で群生に会える。キツネノマゴほど一般的ではないが平地でも

自然のよく残された公園では見ることができる。


 初秋の花、カリガネソウやヤマジノホトトギスの花も咲きだしていた。


 雁がねの名は特徴的な花の形からきた。この花は一度見たら忘れられない。草丈は1mにもなり、一つの株に

たくさんの花をつける。分布は日本全国の山地とあるが、奥多摩や秩父の山で見かけたことはついぞない。


 それとは違い、ホトトギスの仲間の花はタマガワホトトギスやヤマホトトギスなどとともに

8月の終わりから山でよく出会うようになる。

 


 気が付いたらススキの下にナンバンギセルが顔を覗かせていた。名は花の形と

先端の赤い部分が煙管の火口(ほくち)に見えることからつけられた。


道端でも普通によく見かけるツユクサ、ヌスビトハギ。


 

 高原に咲くマツムシソウやオトギリソウ

 

 

 山地に咲くアオヤギソウ。緑色の部分は花が終わった後のガクではなく花そのもの。

 

 キツネノカミソリはヒガンバナの仲間だが、ヒガンバナよりも少し早く咲く。

名の由来となっている鋭い葉は花の咲く前に散ってしまう。

 

真っ赤に実ったトチバニンジン

 

マムシグサの仲間も間もなく赤く色づいていくだろう。


今回はこの辺で。


チョウトンボー見沼自然公園

2016-08-19 21:20:34 | 公園

  

 

暑い時には体が自然に水辺に向かう。今回訪ねたのは冬の季節にバードウォッチングでもよく訪ねる

さいたま市にある見沼自然公園。

 江戸時代の初期、荒川下流の治水と新田開発のために総延長80kmにも及ぶ見沼用水が作られた。

現在でも残る見沼代用水の一角に設けられた公園が見沼自然公園だ。

 

 今回訪ねたのはチョウトンボが見たかったから。

 

 

 チョウトンボはトンボ科チョウトンボ属のトンボで、名前は蝶のような

ひらひらとした優雅な飛び方をすることから名づけられた。

 

羽の色が黒く、光の反射によって虹色のような金属光沢を見せる。

 葦の茎などにとまるときは、お尻(腹部の先端)を上げてバレリーナのような形でいることが多い。そのわけは

 体全体が黒いのでなるべく直射日光を避けるためなのだと、うーん本当だろうか。

 

真正面から見ると俊敏な戦闘機のようだ。

 

 横に回って見ると、お尻は下がっている。

 

 後ろから

 

 池の上を旋回していることが多く、止まったと思って慌ててレンズを向けると

仲間のチョウトンボやシオカラトンボなどにちょっかいを出されてすぐ飛び立ってしまう。

結構素早い飛び方もできるのだ。 

 

 チョウトンボの生息地は北海道を除いた本州から九州まで。国外では朝鮮半島、中国。

 私の周りでは、自然の残された公園や池などで比較的容易に見ることができる。

 

 飛んでいるところを撮るのはなかなか難しい。何度も挑戦してやっと撮れた一枚。

 

この日は風が強かったので、チョウトンボたちは飛ばされないようにしっかりと枯れ枝につかまり、

4枚の羽根を上手に使ってバランスを取っていた。

 

 大きさはシオカラトンボより一回り小さく、4cmに満たない位。

 

4枚の羽根のうち、前の2枚は両端が透明になっていて個体差が多い。

 

真後ろからだと何かの記号のように見える。

 

 チョウトンボの雌雄の区別は私には難しい。いったん捕獲してしっぽの付属器の有無を

調べるのが一番確かなのだが、採集網を持たない主義の私には無理。

 

 青紫色の金属光沢をしているのが♂で♀は全体的に黒っぽいとか、羽の付け根が黄緑色に見えたら♀だ

とか、いろいろ見分けのポイントがあるようだ。

 それによるとこれは♀?

 前翅の透明部分に黒点(縁紋)があるのが♂という説もあるリ、確かに上の♀と思われる個体には

縁紋が見られない。

 

 こちらの個体には縁紋が見られるので♂ということか。

 

 いずれにしても忙しなく動き回っていることの多いチョウトンボ。実際には番って飛んでいるときにしか

確かな雌雄の見分けは難しそうだ。

 

 

 この池で見かけた他のトンボたち。

一番多いのは何と言ってもシオカラトンボ

 

次に良く見られたのが、コシアキトンボ。こちらは飛び回っていることが多くなかなか止まってくれない。

 

こちらの赤とんぼはショウジョウトンボの♂。

 

 これがショウジョウトンボの♀

 

 以下は図鑑による。

ベニイトトンボ

 

 アジアイトトンボ

 

ギンヤンマの番

 

 腹部の先端うちわのような突起があるウチワヤンマ

 

 

トンボを追いかけていたらすっかり暑さを忘れ、時間の過ぎるのも忘れて熱中してしまった。

あーぁできることなら、トンボ釣りをしていた少年の頃に一度だけでも戻りたい…。

 

この辺で。


北本自然観察公園のルリモンハナバチ

2016-08-12 15:25:26 | 散歩

 

 

 仕事先でも、家にいるときでもつい暑い、暑いと愚痴っているのだが、

心の底では去年ほどではないなぁと思っている。そうは言っても

2000mを超える高い山(出かけたいが金がない)ならまだしも

この時期奥多摩や秩父くんだりの低山歩きをする元気はとてもない。

 

 というわけで最近はもっぱらトンボ、チョウ、その他の虫を撮って

カメラを遊ばせている。 今回は埼玉県北部にある北本自然観察園にでかけてきた。

冬には探鳥で良くいく所だが夏は殆ど訪ねたことがない。

 

 園内を歩き始めると草いきれと熱気でむんむんとしている。早くも汗が噴き出した。

濃厚な香りを撒き散らしているのはクサギの花

 

 池の縁を歩いているのだが、日向に出るとくらくらするほど暑い。

なのでなるべく日陰を求めて歩く。日陰は涼しく、風も吹いていて心地よい。

 

タコノアシの花が咲いている。タコノアシ科の多年草で日本をはじめ

東アジアに広く分布している、河原や田んぼで見られる花で準絶滅危惧種。

 

 水辺にはシオカラトンボが多い。コシアキトンボもいるが悠々と飛び回っていて

なかなか止まってくれない。辛抱強く待っていたらやっと止まってくれた。

 

産卵中の♀は腰の部分が少し黄色みがかっている。

 

 こちらは木陰でたくさん見かけるハグロトンボ。もっとも♂はアオハダトンボとも似ているので

私ごときではどちらなのかは見分けられない。

 

 あれ?!アサギマダラかと思ったら、アカボシゴマダラだった。 アカボシゴマダラは蝶マニアが

中国から持ち帰ってゲリラ放蝶して増えるようになった蝶で国立環境研究所では侵入生物とされているようだ。

 

キリギリスの仲間

 

 コガネムシ

  虫たちにとっても暑さは堪えるの科、日陰じっとしていて動かない。つまり写真には撮りやすい。

 

 1㎝にも満たないコフキゾウムシ

 

 もっと小さいショウジョウバエ(だと思う)

 

 2時間近く歩き回っても大した収穫がないので、帰り際自然学習センターに寄った。

 運が良いことにセンター前に植栽されたメハジキに群れていたルリモンハナバチを見つけた。

やっと汗が報われた。

 

普通のハチはミツバチやスズメバチのように黒と黄色の縞模様をしている。

 こちらはミツバチ

 

 

 ルリモンハナバチは名の通り瑠璃色の模様を持つ美しい蜂だ。

左がミツバチ、右がルリモンハナバチ

 

 

 

 

 人によっては「幸せを運ぶ青い蜂」とも言うらしい

 

 大きさは1cmを少し超えるほど、図鑑によると夏から秋にかけて草原で見かけるという。

見られるのは北海道と沖縄諸島を覗いた日本全国とあるが、でも私が見たのはわずか2回だけ。

 絶滅危惧種とまではいかないが結構珍しい種類のハチだ。

 

 

 

 これで少しは私にも少しは幸運が向いてくれればいいのだが……。 この辺で。


薬用植物園の花

2016-08-08 21:21:37 | 散歩

暑さにばててなかなか更新ができない。出かけて写真を撮ってはいるのだが、

その写真を整理して、文章を書くというのが億劫なのだ。

まぁ年を取ったということか。

 

今回は近所の植物園で目に付いた花を。

 夏はやっぱりヒマワリが一番似合う。

 

しかもハナアブ付きだ

 

鉢植えだがレンゲショウマも咲いていた。

 

 

これはヘビウリの花

 

ハーブのような香りを持つカワミドリは丹沢や奥多摩の低山でも

自生していて割とよく見かける。

 

 トモエソウはある程度の標高を持った山に登らないとみられない。

 

  これは珍しい。スズカケソウという花。筑波の植物園などで見かけたことはあるが。

野で見かけたことはまだない。ネット情報によると(眉に唾を付けてください)

どうやら中国原産で日本では本来自生しない花のようだ。

 

 

 夏の高原でよく目にするマツムシソウ

 

センニンソウは手裏剣のような十字状の花をたくさん咲かす

 

 これはトウガンの花。トウガンはたくさん花を咲かすのだが、実を付けるのはほんの一部だけ。

 今まで夏野菜なのに何故冬瓜なのかと不思議に思っていた。図体が大きいので

冬まで乾燥せずに貯蔵できるからだとか…。

 

 色合いが可憐で、俯いて咲いているので思わず視線が行ってしまう。

 この可憐な花の名はゴジカ。名前はあまり可憐でないが、

昼ごろ咲いて夕方には凋むことから、漢字では午時花と書く。

熱帯アジア原産でアオイ科の多年草。

 

 これもアオイ科の花のようだが?な花。蕊の形がとても面白い。

 

 スギモリケイトウは2m近くにもなりとても大きい花だ、ヒエ科の花。

 

 金網にへばりついて咲いているのはアメリカホドイモの花。

ちょっと見ではブローチのようにも見える。

 

 この造花のような花はノヒメユリという。九州から沖縄にかけて自生している草だが、

 残念ながら私はまだ見たことがない。

 

 山羊顔をした花はオオボウシバナという。ツユクサの栽培品種で青花ともいわれる。

染料をとるために岐阜県草津市近辺でのみ栽培されている。

 

 ナツズイセン。夏に咲くスイセンのような花。彼岸花の仲間で有毒植物。

別名裸百合。

 

 イチビはアオイ科の一年草。かつては繊維をとるためにあちこちで栽培された花だが、

今では使われなくなり雑草と化している。それでもたくさんある和名ーボウマやキリアサ

、ゴサイバ、ヒナハギリ、ホクチガラ……から化繊のない時代に重宝されたことが伺える。

 

  トケイソウのなかま。

 

 お終いは縁起の良い名を持つコガネバナで締めくくるとしよう。

コガネバナはシソ科タツナミソウの仲間、原産地はロシアから中国北東部あたりだという。

 

おまけは今回も出会えたルリボシカミキリ。

この辺で。