野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

多摩川源流の地を歩く

2019-06-20 06:45:59 | トレッキング

 

 笠取山山頂付近に咲くアズマシャクナゲ。


 多摩川源流の地にある笠取山を歩いてきた。

ここは公共の交通アクセスが全くない地。その分人の入りが

少なく静かな山歩きを楽しむことができる。

 作場平に着いたのは午前9時少し前。ウツギの花だろうか。


 入り口の看板。熊注意にはいつもハッとさせられる。


 暫くはカラマツの多い平坦な道を行く。この針葉樹林は100年ほど前に

東京の水源林保護を目的として植えられたもの。


 登山道にはシロバナヘビイチゴの花。


 綻び始めたばかりのクワガタソウ。


 標高が高く、初夏のこの季節でもタチツボスミレが見られる


 だんだんと傾斜がきつくなる


 おや珍しいキノコを見つけた、食用ともなるアミガサタケだ。


 沢沿いに進む道。沢は水を細くし小一時間で小沢となる。何度か橋を渡る。

 ワチガイソウ


 ニリンソウもまだ咲き残っている


 見上げた先にはオオカメノキの花


 湿地帯ではクリンソウも咲きだしていた。


 一時間半で稜線に出た、ヤブ沢だ。


 ここからは大菩薩ラインの柳沢峠からの林道となる。


 まもなく笠取小屋が見えてきた。人影は見当たらない。



 木材の搬出に使われたのだろうか


 笠取山頂上直下の急斜面。


 斜面にはぽつんぽつんとキバナノコマノツメが見られる。


 息を切らしながらもなんとか頂上にたどり着いた。

 あいにくの曇り空で富士の姿は拝めない。


 その代わりといっては何だが、このシーズンはアズマシャクナゲが

見ごろを迎えている。



 ツツジ科に属するアズマシャクナゲは花期が4月から6月にかけて。

山では5月下旬から6月にかけてが最盛期を迎える。



 漢字では石楠花とかき、分布は本州の中部地方以北。青森と秋田、岩手では

見られないそうだ。




 

 

 

 石楠花を堪能してから下山に向かう。

多摩川源流の碑がある水干。


 源流部ではペットボトルに今夜の水割りの元を仕入れる。

いつもの昼食の地、雁峠に向かった。

 この峠は奥秩父縦走を目指す人しか訪れないので、吹き過ぎる

風に浸りながらゆったりとした時を過ごすことができる。


 小一時間ほど過ごして再び笠取小屋に戻ってきた。


 下山時に見つけたマタタビ

 

 下山するにつれ水量を増す多摩川源流。

 

 帰りはあっという間だった。

 

 ではこの辺で。


真夏、多摩川源流を遡る

2018-08-28 20:29:57 | トレッキング

 久しぶりに笠取山山麓の多摩川源流部を歩いてきた。天気予報では曇り

昼過ぎからは崩れるとあったので、朝早く出たのだが……。

 

 登山口の作場平についたのは午前8時を回ったころ。すでに3台の車が止められていた。

午後からの天候を考えて急いで準備をして歩き出す。

  今のところ、天候の崩れる気配はない。

 

 稜線に出るまでは何度も小沢に架かる橋を渡っていく

 

 タニタデの花はミズタマソウの仲間。繊細な花だ。

 

 シナノオトギリの花も咲いている。

 

 ヤブ沢から右に折れ、登ること一時間半やっと笠取小屋が見えてきた。

 

 

 この辺からはキク科の小さな花が見られるようになってきた。淡紫色のこの菊はノコンギクで

いいのだろうか、うーん自信がない。

 

 丈高い草むらから顔をのぞかせているのはワレモコウだ。

 

 小屋からは僅かの登りで分水嶺につく。道標は左が雁峠から雁坂峠を経て甲武信ケ岳方面

右は水干、笠取山、唐松尾山を通って雲取山へと至る縦走路が待っている。

20㎞を超える奥秩父縦走路だ。

 右上の小高い丘にあるのが小さな分水嶺の碑。

 

 

 その下には三角柱の形をした石柱がある。左に落ちた雨滴は多摩川へ、右に落ちると荒川

向こう奥に落ちた雨の雫は富士川へと注ぐ一滴となる。

 

 切り出した木材の運搬に使われたものらしい、使われなくなって久しい今は

趣のあるオブジェとなっている。

 

 この辺りはニホンジカの食害が深刻のようで、両側が鉄製の網でおおわれていた。

 

 シカの鳴き声がした。逃げ去っていく音がしたが一匹だけとどまってこちらを見ている。

 

 水干の標識が見えてきた。

 

 上には水神社

 

 ミヤマダイモンジソウやヤマトリカブトの花が見られる。

 

 

 

 枯れかけたツリガネニンジン

 

  色づき始めたマムシグサの仲間の実

 

 下に降りて今夜の水割りの元をいただく。

 

 いつもは笠取山の頂上を踏んでから、雁峠方面に行くのだが、雲行きも怪しくなって

来たので頂上はやめて雁峠へ向かう。

ハート型のキノコ

 

 笠取山山麓の高原にはこの時期、マルバタケブキとハナイカリが多かった。

 

 

 シナノオトギリ

 

ツルリンドウ

 

 コウリンカ

 

 一輪だけ見つけたヤマオダマキ

 

 ヤマホタルブクロ

 

 笹の葉の上で休んでいたジャノメチョウ

 

 山麓の草原から少し下っていくと、今は廃屋となって使われていない雁峠小屋

が見えてきた。登り始めて10年以上になるが、その時から廃屋状態だった。

 

 雁峠までやってきた。 左の稜線を行くと日本三大峠の雁坂峠までは5km、

右は雲取山までは17kmとある。この縦走路の大半は歩いたことがあるのだが、

通して歩きたいと思っていて、今まで思いは叶わなかった。

 

 

 

 風がよく通り、見晴らしもよく気持ちの良い峠だ。昼食をとった後、私は何度もここで

ベンチや草むらに寝転がり 一時間以上も風に吹かれてきた。

 

 この日もいい風が吹いていたのだが、小半時ほどで雨が降り出して来たので

荷物を片付け急いで山を下りることにした。思ったよりも強い雨の中を下山し、

登山口へと戻った時は1時半を超えていた。

 

 この辺で。

 


大菩薩峠から石丸峠へ

2018-08-15 16:25:49 | トレッキング

  

  笹の葉の上で勇ましいポーズを決めたゴイシシジミ

 

 大菩薩峠に着いたのは昼少し前。まだ体力には余裕があったので、

そのまま石丸峠に向かった。

 

 

 石丸峠までは半時間ほどで着く。眼下に見えるのが石丸峠。

 

 朽ち果てて文字も見えなくなった峠の古い標識

 

 左折すると牛ノ寝通りの稜線を経て松姫峠、鶴峠、小菅村に至る。右に行くと

小金沢連嶺。日本一長い名前の山と言われる牛奥ノ雁ガ原摺山、滝子山をへて

大月へと至る長い稜線だ。

 

 少し戻って右折。すぐに落葉松の林を下っていく。

 

 樹の間から覗くのは大菩薩湖

 

 このあたりの日当たりの良いところでは、フシグロセンノウ、カワミドリ、

コオニユリ、ヤマホタルブクロなどが咲いていた。

 

 

 

 

 見たことのないキイチゴ? 食べられるのだろうか。ちょっと食指が動いたのだが

以前、コウゾの実でえらい目にあったことがあるので自粛した。見た目は

ブラックベリーのようで美味しそうだったのだが……。

 

 日陰ではたくさんのキノコが見られた。

 

 

 小屋平(石丸峠入り口)から下ると、ちょっとした水辺の公園となっている。

 

 ここにはマルバタケブキやヒヨドリバナなど植栽されていて、この時期

多くのチョウを見ることができる。

 ヒョウモンチョウの仲間

 

 笹の葉の上で休んでいたクジャクチョウ

 

一見チョウのように見えるがイカリモンガ。テングチョウによく似ている。

 

 ここで弁当を広げていたらセセリチョウが寄ってきた。チャバネセセリだ。

こちらは蛾のようだが、立派な?チョウの仲間だ。

カメラバッグの上で暫く遊んでいるのを眺めていると飽きることがない。

 

 弁当を終えて歩き回ると、ヒヨドリバナで吸蜜中のアサギマダラを見つけた。アサギマダラは

言わずと知れた渡りチョウ。 この地域で、この季節ではお帰りなさいなのか、

それとも良い旅をなのだろうか。

 

 羽の後ろに黒斑があるので♂。

 

 

 嬉しいことに大きく翅を広げてくれた。

 

 

 今年も何回かアサギマダラに出会えうことができた。一体あと何年

出会うことができるのだろうか。これを最後と思って感謝しよう。

 

 笹の上にはもう一頭、小さな妖精が休んでいた。

 

 

 何度か近づいては逃げられて、やっと疲れたのか接近を許してもらった。

 でも皆さん、可愛らしさに騙されてはいけない。こう見えてもこのチョウは笹や竹に寄生する

アブラムシ類を食べる肉食のチョウなのだ。

 

 この辺で。


ゴイシシジミ舞う湯ノ丸山

2018-07-17 20:48:46 | トレッキング

 

 ゲレンデに咲くニッコウキスゲ

 

 >前回からの続き

 この日は天気予報は曇り。こんな予報のときには山では、ガスが出て雨に見舞われる

ことが多い。雨具は当然用意してきたのだが、雨が降っては目的のチョウたちには出会えない

のが何とも残念。

 悪い予感が当たり、頂上には次第にガスが立ち込めてきた。

 

 下山は周回コース、ゲレンデ方面に降りていくルートだ。

 岩肌に風をよけてへばりつくように咲いているイブキジャコウソウ、けなげな花だ。

 

 頂上付近でたくさん見られた、ゴマノハグサ科でクワガタソウの仲間とは思うが……。

 

 独特な花の形をしたシャジクソウ

 

 

 白花のタカネニガナ

 

 腕組みをしたような 面白い形の木

 

 サラサドウダン

 

 アズマシャクナゲもまだ咲き残っている

 

 ゴゼンタチバナ

 

 ウスユキソウの群生

 

 鐘分岐までおりてきた

 

 登山道は広くなって歩きやすくなった。

 

 辺りをひらひらと優雅に舞っていたミスジチョウ

 

 近くでカッコウが鳴きだした

 

 高原にはガスが立ち込めたり、かと思うと一瞬に晴れ視界がきいたり

 

 笹の葉の上にゴイシシジミを見つけた

 

 開いた表翅は真っ黒

 

 何とか近寄ることができた

 

 

 白い手足に靴を履いたように先端だけが黒い

 

 この辺りはつつじ平というらしい。少し前だったらレンゲツツジの咲く素晴らしい光景が

おそらく見られたのだろう。

 

 ジャノメチョウの仲間

 

 トンボソウ

 

 

 

 スキー場のリフトが見えてきた

 

  結構急なゲレンデをジグザグにゆっくりと下っていく。

ニッコウキスゲが咲き、チョウたちが飛び回っている

 

ミヤマモンキチョウかと一瞬ぬか喜びをしたのだが、どうやらただのモンキチョウだったようだ。

 

 夏バテ気味なので今日はこの辺で。

 


湯ノ丸高原に遊ぶ

2018-07-15 21:48:55 | トレッキング

 石牟礼道子は言わずと知れた水俣病をテーマとした「苦海浄土わが水俣病」の作者だ。

今年の2月に亡くなられたのだが、最近著者のエッセー「花いちもんめ」に触れることができた。

その中の一節に「無常の使い」という文章がある。無常というのはほかならぬ縁者の死を意味する

言葉であって、それを近隣の人に伝えるのが「無常の使い」。

メールはおろか、電話すらない時代には身近な人の死を伝えるには、直にその家を訪ねて

対面し、口頭で伝えるしかなかった。

 仏様の出た無常の日に、一軒一軒縁者の死を知らせるーそれが無常の使い。そこで初めて

人の死はその人の生涯とともに認知され、死者の生きてきた社会の規模に応じて分かち合われる。

そこで交わされるのは他ならぬ体温のある死であり、何とも言語化しようのない

無常そのものなのだ。

 

  高原で多く見られるシュロソウ

 

 連日の暑さに悲鳴を上げて、休みの日に高原に出かけてきた。軽井沢の少し先にある

湯ノ丸高原までは車で2時間余りそんなに遠くはない。朝4時前(安いから)に高速に乗って

着いたのは6時を少し過ぎたばかり。

 烏帽子岳まで足を伸ばしたいところだが、今回は湯ノ丸山を周遊するコースを選んだ。

 

 駐車場には人気はほとんど見当たらない。広い駐車場に止まっている車は数台。

ここに来たのは涼を求めてなのは勿論だが、ここでしか見られない蝶に会いたいという

のが本来の目的。 ベニヒカゲだけは8月にならないとみられないが、残りの二つの

チョウには天候と運?さえあれば見られるはずだ。

 

 身支度を整えてキャンプ場方面のコースを歩き始めた。

咲きだしたばかりの艶やかなヤナギラン。

 

 ヤマブキショウマ

 

 ウツボグサもたくさん見られる

 

 

 山道に沿って灯明のように咲くヤマオダマキ

 

 シナノオトギリ

 

 キャンプ場までは15分、すぐだった。

 

 この付近にはアヤメが多い

 

 木道の周回コースが設けられていて、ニッコウキスゲやアヤメの群生を見ることができた。

 

 林道はここまで。この先は緩やかな登山道に変わった。

色づき始めたクガイソウ

 

 この辺りに多いシャジクソウ。分布は限られた本州の山地でしか見られない。

 

 時折大きな葉を付けたギボウシの花に会う。

 

 中分岐までは30分少々。この辺で標高は1825mになる。

 

 ウスユキソウが目立つようになってきた。

 

 イボタノキはモクセイ科の低木、たくさんの虫を集めていた。

 

 オミナエシの仲間、コキンレイカ

 

 まだゴゼンタチバナも咲き残っていた。

 

 

 中分岐から40分、見晴らしの良い鞍部までやってきた。

 

 左折すると烏帽子岳。右に曲がって湯ノ丸山に向かう。登りが少し

急になってきた。 シシウドの立派な花

 

 笹やぶの中の花はコオニユリかと思ったら、クルマユリだった。

 

クルマユリは数が少なく、山行中見かけたのは二株だけだった。

 

 

 ハクサンフウロ

 

 この花はたくさん群生していて、至る所で見られた。

 

 サラサドウダンツツジは終わりかけ。

 

 ランの仲間のテガタチドリ、深山に来ないとお目にかかることはできない。

 

 これも2000mを超える山の頂上付近でしか会えないイブキジャコウソウ。

 とても小さな花で山の斜面に這いつくばるように風を避けて咲いている。

 

 鞍部から登ること一時間足らず、木々の背が低くなり

一気に稜線に出た。風が強くなった。広がった視界はみるみるうちにガスに覆われた。

 

 2101m湯ノ丸山の頂上の標識が見えてきた。まだ8時16分、朝が早いせいか人影は

全くない。

 

 今日はここまで。