野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

神代植物公園の大温室

2017-10-28 08:54:58 | 植物園

 最近は休みの日毎に雨が降って、山歩きがなかなかできない。

ただの雨なら合羽を着て何とかなるが、台風だとそういう訳にはいかない。

紅葉前線が関東では標高1000m~1500m位まで下がってきているというのに……。

 家の中で読書、ネットサーフィン(最近はこんな言い方はしないのか)しててもすぐに飽きてしまう。

傘を持って散歩しててもせいぜい1、2時間程度で帰宅だ。

あーぁ大自然の中を歩ける日が待ち遠しい。

因みに紅葉前線は一日当たり50mの速度で標高を下げるのだという。

 市街地の公園まで下りてくるのは3,4週間かかって11月下旬ごろになるのだろう。

 

そんなわけで今回は植物園の温室。去年の5月にリニューアルされてからは

もう3,4回訪ねている。 

 入り口右手にある鉢には地湧金蓮という亜熱帯原産のバショウ科の植物が植えてある。

 

 涼しげなこの花はウスギコンロンカという名の熱帯アフリカ原産の常緑低木。

 

 サガリバナ。東南アジア一帯に咲く常緑高木で日本では奄美大島以南で自生。

花色は薄いピンク色から白色まであり、沖縄ではこの一夜花を見るためのツアーが

あるのだという。

 

 このちょっとグロテスクな見かけの花はウマノスズクサ科の

アリストロキア・サルバドレンシスという食虫植物。原産地のエルサルバドルが学名にも

入っている。

 

 この形どこかで見たことがあると思ったらスターウォーズに出てくるダースベイダーに似ていた。

 

 アリストロキア・トリカウダータ。こちらもウマノスズクサ科。この写真では

良くわからないが、宇宙人のような変な形の花だ。

 

 これにはナンヨウザクラという名札がつけられていたが、ネットで調べてみると

同じ名を持つシナノキ科のナンヨウザクラは白花で、こちらは別種のトウダイグサ科の花。

 

 ハトラン。花の中央にある花弁と蕊の一部がハトに似ているところから名づけられたという。

学名の一部ペリステリアも「小さなハト」という意味だとか。パナマでは国花になっていて

精霊の花と呼ばれている。花が咲くまで育てるには10年はかかるのだという。

 

 ヒコウキソウ、別名コウモリホオズキハギの名を持つマメ科の植物。

原産地は中国南部からインドシナ半島一帯。漢方薬としても利用されている。

 

 

 ラン科の花を幾つか。デンドロビウム・アレクサンドラエという名前からセッコク属の洋ラン。

デンドロビウムは東南アジアを中心に世界中に原種が1000種以上あるという。

 

オンシディウム属のダンシングドールという花。花の中央にいるのが

踊る人形なのだろうか。何時もながら造化の妙には驚かされる。

 

 同じくラン科のダイサギソウ。東南アジアを中心に広く分布するラン。日本でも関東以南では

以前自生地があったが、現在では盗掘されてほとんど見ることはできない。

  近縁種のサギソウに比べてほとんどお目にかかれない貴重な花だ。

 

 色とりどりの西洋スイレンの花を6つほど。名前は省略。

 

 

 

 

 

 

 お終いに咲き終わった(残念!)月下美人と珍しいヒガンバナ科の花を。

 咲いているとこの花はこんな感じのようです。

 これにはハマエンサス・アルビフロとブルゲリの交雑種という名札がついていた。

 

 この辺で。


公園の秋を歩く

2017-10-22 13:32:47 | 散歩

 今日は投票日。久しぶりに期日前ではなく、当日の投票に出かけてきた。

台風が接近している中、意外と多くの人が投票に来ていたのには驚いた。私は天邪鬼なので

昔からある3つの政党にはまず入れることはない。が、今回は投票先がかなり限定され

余り入れたくない党の人に入れざるを得なかったのがちょっとだけ悔しい。

 それにしても新聞によると二十歳未満の若者の投票先は現状肯定で、

自公が多数を占めるのだという。変革を望まない若者たちが大勢を占める

今の日本の社会ははたして幸せな社会なのだろうか。

 

 土砂降りの今日とは違って、久しぶりに晴れた先日は近くの公園に出かけた。

ケイトウの花壇。パンパスグラスも咲いている。

 

 すぐ近くに木立ダリア(コダチダリア)のたくさんの種類を展示していた。ダリアは中南米原産の秋に

咲くキク科の花。中でも皇帝ダリアは茎が木質化して高さが10m近くまでにもなる。10年ぐらい前から

各地の公園で見かけるようになってきたが、初めて見たときはその大きさに驚いたものだ。

 

 

現在では大きなホームセンターに行くと、たくさんの色や形の園芸品種が売られているようだ。

 

 因みに日本ダリア会というのがあるのだという。hpはこちら

 

 園内であちこちに展示されている草月流のオブジェ。

 

 みんなの広場にやってきた。

コスモスのイエーローキャンパスという品種。

 

右手からやってきた子供たちの集団。みんなの広場中央にある大きな木の下に

集まっている。

 

 

 

 やがてこの木に下に荷物を置いて散らばり始めた。

 

 こちらの方はやや終わりかけのコスモス。

 

 

 こもれびの丘では自生する季節の野草が見られる。この時期は咲いている

花は少ない。キク科の花が二つ。ノコンギクとツワブキの花

 

 

 こちらはヤマラッキョウの花。たくさんの突き出た蕊が可愛らしい。

 

 花の丘のコスモスは時期遅れと長雨による影響で残念な状態だった。

 

こもれびの里のコスモス

 

 野草の散策路まで戻ってきた。

キオン

 

 まだ咲き残っていたヒガンバナ

 

 陽だまりでじっと動かないアカトンボ

 

 

 

 大きな木の下には子供たちの荷物とその見張り人が二人いるだけだった。

 この辺で。


柳沢峠の紅葉散策

2017-10-17 09:41:45 | 散歩

 10月も中旬に入ったら、一気に寒さが押し寄せてきた。秋冬の衣替えは私の所では

9月の終わり頃にするのが通例。オーバーやセーター類は未だタンスの奥にしまったままで、

11月になってから寒さを見計らって出すのがいつものやり方だった。

今年はそうも言ってられないようで、セーターや薄手のコートを取り出して早々と着はじめている。

 

 更にここ数日の寒さと雨で、数年前から悪くなり始めた腰や膝関節も痛み出した。思い通りに

行かずチクショウメ!と罵っても自分の体なのだから、だましだましでも付き合っていくよりない。

 

 あーぁ百年もたてば再生医療が進歩して新しいパーツに交換できるそんな時代が

来るのだろうか……。

それでも結構値段はするのだろうなぁ。 まぁ生きてはいないから心配いらないか。

 

 気分を変えていち早く紅葉を愛でに出かけることにした。

 柳沢峠は青梅街道をずーっと遡って甲州に入っていく途中の峠だ。標高は1480mになる。

車を降りたのは10時過ぎ。駐車場には一台だけ車が止まっていた。雨は弱いながらも

降り続いている。思ったより寒い。薄手のジャンバーに雨がっぱを着こんでちょうど良い位だった。

 

 山道を登り始めてすぐ、出迎えてくれたのはマムシグサ(の仲間)の真っ赤な実。

 

まだ緑の多い森の中でひときわ黄葉しているのはヒトツバカエデ。

 

 

 

 山道にはそのヒトツバカエデの落ち葉が敷き詰められている。

 

 残念ながら、もうすぐ10月下旬というこの時期なのに紅葉は

 やっと始まったばかりのようだ。

 

 

 

 

 ここは大菩薩嶺や鶏冠山への登山道になっている。その一部が森林学習のための遊歩道にもなって

いて所々にベンチが置かれている。また樹種名のかかれた札が表示されていて楽しみながら歩ける。

 

 少し分け入っていくと色を付けた樹々も見えるようになってきた。

 

 

 

 この一帯は10月初めごろにツタウルシが綺麗に染まる。

 

 今年はどうやら終わってしまったようでポツリポツリとしか残されていない。

 

 

これはアジサイの仲間のイワガラミの黄葉

 

 ゆっくり山の香を味わいながら小一時間。展望台が見えてきた。

 

 ここからは雲取山から飛龍山、唐松尾山、多摩川の水源笠取山そして甲武信だけへと続く

奥秩父の縦走路が見られる。もちろん晴れてさえいればだが……。

 

 展望は濃いガスの向こうに隠れてしまって見えない。

 

 音もなく静かに雨は降っている。雨は森の匂いをいっそう濃くするようだ。足を止めて目を閉じると、

時折遠くでカケスの鳴き交わす声が聞こえてくる。

 

標高が少し高くなって1600mを超えたあたりまで来た。この辺りまで来ると色づいた樹々が増えてくる。

 

 

 落ちたばかりの色とりどりの枯葉が雨に濡れてやけに艶々と光っている。趣味もない定年退職後の夫が、

出かけようとする妻に付きまとって離れないことを「濡れ落ち葉症候群」といったのは

随分前(便利なネットで調べたら1989年年の流行語大賞の一部門を受賞していた)のことだった。

 

 こういう渋い色の紅葉は何と言ったら良いのだろうか。何かに似ていると考えていたら

広島土産のもみじ饅頭だった。

 

 

 苔むした岩にも落ち葉が降り積もっている。

 

 

 

 

 

 丸川峠までの予定だったが雨脚が強くなってきたようだ。この辺で引き返すのが

おとなの分別というものだろう。寺尾峠手前だが予定を変えて戻ることにした。

 

 この辺で。


秋バラの咲き始めた神代植物公園

2017-10-13 10:26:11 | 植物園

 最近、NHKスベシャルで放映された「シリーズ人体」はNHKにしては久しぶりに

見ごたえのある内容だった。今までの人体に関する固定観念が全く覆される思いで

驚きとともにほぼ一時間見入ってしまった。

このシリーズは全8回で半年にわたって放送する予定(詳しくはここ)。尚10月13日の

時点では既に2回分が終わっており、次回の放送は11月5日(日)9時からでタイトルは

「”脂肪と筋肉”の会話がメタボを治す」となっている。

肥満気味の私にはこれはとても見逃せない内容だ。参考までに28年前にもタモリのMCで

「驚異の小宇宙 人体」というタイトルで放映されている。これは6枚セットのDVDにもなっているが、

税込24624円とかなり高い。なおアマゾンでは19503円と少し割り引かれているが、それでも

私にはとても買えそうにない値段だ。

 今回はタモリと山中教授のダブルMCということでより一層番組の魅力を増している。

受信料を払っている人は少しは元が取れますよ。

>本題へ

 フレグラントアプリコット 米(1999)は名前がこのバラの特徴を表わしている。芳香性のある(プレグラント)

アプリコット(アンズの果実)色のバラ。

 

 

 神代植物公園では10月7日~31日まで秋のバラフェスタが催されている。

 期間内ではガイドツアーやコンサート、バラの香りを楽しむ早朝開園などたくさんのイベントが組まれている。

  1984年にドイツで作られたブルーリバーはとても香りの強いバラ。ブルーとはいうものの

もちろん青色ではない。BLUEROSEは英語では不可能を意味するという。サントリーが開発した

青いバラは遺伝子組み換え技術を利用して作ったもの。

 

 フランスのチャールストン(1965)は咲き始めていくに従って、黄色から赤へと変化していく品種。

 

バラには見えない蔓性のデンティベスは1925年イギリスで作出された。サーモンピンクの花色をした平咲きの品種。

花弁の縁が波立っているのが特徴。

 

 黄バラは数々あるがアンソニーメイアン(仏 1990年作出)は輝くような鮮明な花色で美しい。

 

 日本で作出された「かがやき」はミスターローズといわれた鈴木省三(京成バラ苑所長)が

1970年に作ったバラ。

 

同じく1973年に鈴木省三が作った朝雲(あさぐも)

 

 ムーンスプライトは1956年アメリカで発表されたフロリパンダ系のバラ。

バラの香り7種類の中でミルラ香を持つ。もちろん私には残念ながら嗅ぎ分けられない。

 

 バラ苑の中にあるオブジェ

 

 ホワイトマジック 1988年米。清楚で控えめとはこのバラのためにある言葉。香りも控えめだ。

 

1964年米 アメリカズジュニアミス。名前とバラの若々しい女性らしさがマッチしている。

 

 1983年仏 テキーラ。酒の名前の付いたバラは外にカクテル、サマーワイン、ウイスキー、ブランディー

などがあるそうだ。

 

 ファンファーレ米、1956年。

 

 このシックな色をしたバラはモナリザ、独(1980)。

 

 クイーンエリザベスはアメリカで1954年に作られ、79年に殿堂入りした名花。

 

 

 

1974年ドイツのタンタウ社で作られたジャニナ。花の表面は橙色で裏は黄味を帯びている。

 

 フリージアは。1977年独コルデス社で作出されたフロリパンダ系の芳香の強いバラ。

 

 アビゲイルは1988年独。女性名でもともとは「侍女」を意味し、アビガイルとも表記される。

ネットで見かける画像はもう少し薄いピンク色のものが多く、神大バラ苑の株は赤みが強いようだ。

 

 お終いはあのアンネフランクの名のついたバラ。1960年ベルギーで作られた。

 バラフェスタの早い時期に行ったので早咲きのバラが中心だった。

 

 この辺で。


箱根湿生花園ー秋

2017-10-09 22:27:30 | 植物園

 金時山登山の後は仙石原にある箱根湿生花園に寄った。

ちょうど昼ごろで、比較的人出が途絶えたいい頃合いだった。

 園からは仙石原のススキの原っぱが望める。やや見頃はこえてしまったのか。

 

 この時期には、私の好きなアケボノソウが湿原に咲く。

 

 アケボノソウはリンドウ科でセンブリの仲間

 

白い5弁の花弁には黄色い二つの蜜腺があり、多くの虫を呼ぶ。和名の曙草は

これを夜明けの星空に見立てたものだという。

きりりとした花弁に長い蕊が良く似合っている。花期は9-10月で、比較的湿った山地で見かける。

 

 もう一つこの時期の湿原を彩る紫色の花がある。この花を初めて見たのは20年前、

岩手山を下山している折に寄った避難小屋だった。長い山行に疲れ果て小屋の畳に寝そべって

外を見た時、沼地に凛と咲くサワギキョウに一瞬で目を奪われてしまった。

 サワギキョウはキキョウ科の花でミゾカクシの仲間。日本では北海道から九州まで

日当たりのよい山地の湿地に群生する。その後、尾瀬の湿原で何度も出会った。

 

 同じ紫色の花が湿地に生えていた、エゾリンドウだ。

 花名にエゾとは付くものの、北海道から近畿以北までの山地に広く分布している。

よく似たオヤマリンドウとは違って日が当たると花冠を開く。

 

 

 10月初めの湿生花園では秋に咲く花をほとんど見ることができる。

 ホトトギス

 

 ピンク色のアザミはミヤコアザミ

 

キク科トウヒレン属の花で本州中部以南に分布する多年草。背丈は1m半にも達する。

 

  本州の中部地方の浅間山付近に多いのでアサマフウロと名づけられた。

 フウロソウの仲間の中では最も花色が濃い。

 

 

 沼の畔に咲いていたヒヨドリバナ。よく似た花に秋の七草の一つフジバカマがある。

こちらは藤色で、現在では自生種を見かけることはほとんどできない。平安の昔からもてはやされた

フジバカマが野から姿を消したのに対して、より地味なヒヨドリバナは今でも山地でよく見かける。

 

 この面白い形をした花はレイジンソウ。トリカブトの仲間で

明るい山地や草原でよく見かける。漢名は伶人草で花の形から名づけられた。

伶人とは舞楽の奏者が被る冠のことのようだ。私には

 寄り集まったアヒルの仔の方がぴったりすると思うのだが……。

 

咲き始めたばかりのミカエリソウ。花の名の由来は人が見返るほど美しいからとか。

テンニンソウの仲間で、ソウ(草)の名はついているが木本に属する。

 

 

 ここでしか見たことがない、タニジャコウソウ。図鑑では関東から九州にかけて

山地や谷間に自生するとあるが、野で出会えたことはない。対して

ただのジャコウソウは奥多摩の低山でも秋口に良く見かける。

葉の縁にある鋸歯からかおる芳香が名の由来。

 

 イヌショウマは秋、奥多摩の山歩きではとてもよく見かける花。

 

 キバナノアキギリは良く見かけるが、この花はアキギリ。花の形からも分かるが園芸種の

サルビアの仲間。

 

 ウメバチソウ

 

 やや終り加減のミヤマダイモンジソウ

 

 キイジョウロウホトトギスは紀伊山地特産の花、私は自生種をいまだかってみたことがない。

 

 花ではないものを三つ、ハンカイソウの花後。

 

 ツリバナの実

 

 サンショウバラの実

 

 おまけは園内で見かけたキジ。人目を避けて ゆっくりと歩いていた。

 気配を察したらもう動きをやめて、藪の中で暫くピクリともしなかった。

 

 この辺で。