野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

秋の浅間嶺を歩く

2018-09-29 10:41:31 | ハイキング

 まだ4年しか使っていないカメラ、ペンタックスのk5-Ⅱが壊れてしまった。

生来の不器用とおっちょこちょいで雑に使ってきたのだから、やむを得ないと

は思っている。が、経済的にゆとりがあるとはとても言えない、貧しい

当方としてはやはり痛い。それでもカメラが使えないとやることがなく、暇に

なってしまうので、早速ネットで物色して買う機種を決めた。今度の休みの

日にでも中野のフジヤに買いに行くつもりでいる。

 

 最近は膝の調子が悪いので、山歩きはなるべく往復4時間内に収めようと考えている。

そんなこんなでハイカーも少なく、高低差も500mほどと手ごろな浅間嶺に行くことに決めた。

払沢の滝入り口駐車場に車を止めて歩き出したのは午前8時前。

暫くは舗装された林道を歩く。

 道路わきにひっそりと咲くカラスノゴマ。旧来はシナノキ科だったが、新しくアオイ科に

分類されている。分布は本州、四国、九州で8~9月に道端で咲く。

 

 アザミの花、種類まではわからない。

 

 この時期よく見かけるツユクサとミゾソバ

 

 

 ノギク、ミズヒキ、ツリフネソウとぎっしりと詰め込まれて咲いている。

 

 ツリフネソウは依然山行中に白花種に出会ったことがあったが、それ以来探しているが

 今なおお目にかかれないでいる。

 

林道から少しショートカットし山道に入る。斜面に立つ半鐘小屋

 

 人家の裏手に咲くヒガンバナ

 

 キバナアキギリも多い。

 

 再び林道へでた。

コマツナギ

 

これはイヌコウジュだろうか

 

アザミの花には虫たちがひっきりなしに訪れる。花の蜜が枯れる

ことはないのだろうかと要らぬ心配をしてしまう。

 

見晴らしの良いところに出た

 

 中央に見えるのが檜原村立檜原小学校で今回の登山口付近になる。

 

オクモミジバハグマ

 

 見上げるとツリバナが赤い実をつけている

 

 林道を登り切ったあたりが時坂(とっさか)峠。この林道は車がほとんど通らないのだが、

舗装されているせいか自転車乗りが結構多くみかける。

 

 斜面に咲くクサボタン

 

 ヤマハギも多い。

 

 枯れかけたツリガネニンジン

 

 アキノキリンソウ

 

 林道の終点は峠の茶屋。何回か通っているが営業中なのは見たことがない。

今日はここで檜原村の人たちがアンケート調査をしていた。

 

 ここを左手に下り、山道に入っていく。

シラヤマギク

 

 薄暗い沢筋を登りきると稜線に出た。

 

 ヤマジノホトトギス

 

 ツルリンドウの白花(普通は淡紫色)

 

 たくさんのキノコたち

 

これも薄暗い林床でよく見かける。

 

 これはツチグリの幼菌だろうか

 

  歩くこと一時間弱、やっと明るい草原に出た。

 

 ススキの向こうに奥多摩三山のうちの大岳山、御前山が望める。

 

 アサギマダラが夢中でアザミの花に取りついている。結構近づいても

とどまってくれている。きれいな個体なのでこの辺りで羽化しこれから南の

地に渡っていくのかもしれない。

 

 本当にきれいな個体だ。

 

 こちらは後翅に暗色の斑紋があるので♂の個体。

 

 この日は曇りがちだったが天気が崩れることなく、頂上には爽やかな秋風が

吹いていた。晴れていれば標識の向こうに富士山が見えるのだが……。

  帰りは上川乗に下って、バスで払沢の滝入り口まで戻った。

 

 この辺で。

 

 

 


雨の高尾山を歩く②

2018-09-23 17:51:31 | 散歩

 >前回からの続き

 懐かしいジイソブを見つけた。キキョウ科の花で別名ツルニンジン。同じ科同じ属に

バアソブもあるが、バアソブは少し小さく、花の外側が紫色になる。

 

 

 雨に濡れて一際美しい赤紫色を見せていたナンテンハギ。

 

 ナンテンハギはマメ科ソラマメ属の多年草。北海道から九州まで広く山地に分布する。

 

 別名フタバハギ。高尾山では裏高尾、奥高尾に多く見られる。

 

 同じくマメ科の花を二つ。ヤブマメとノササゲ。どちらもこの時期、多摩の低山では

出会うことの多い、お馴染みの花だ。

 

 

 アキカラマツが頼りなげに花粉を風に乗せている

 

 城山が近くなって来たら、ガスがかかってきた。

 

  この辺から咲いてる花の数が増えてくる。

 ツリフネソウ

 

 今日のお目当ての花の一つ、シモバシラにやっと出会えた。

 

 シモバシラはシソ科の多年草。9~10月ごろ咲き、関東地方以西の本州、四国

九州が分布地。花の色形からつけられた名前ではなく、冬季枯れた茎に

霜柱のような氷の結晶ができることから

 

 花が片側だけに咲く花は珍しい。

 

 同じような花がこの時期、同じような場所で咲く。こちらは

キンポウゲ科のオオバショウマ。

 

 これも似ているが花の付き方からイヌショウマだろう

 

 

 ススキのトンネルをくぐっていく

 

 今の時期にみられるのはシラヤマギクとシロヨメナか

 

 

 

 キバナアキギリも至る所でみられる

 

 

 薄暗い林床でギンリョウソウを見つけたのだが、9月の中旬の時期からすると

アキノギンリョウソウ(ギンリョウソウモドキ)なのだろうか

 

 ヤマボウシの実が鈴なりになっていた

 

 視界が急に開けたら、立ち込めるガスの中にヒガンバナの群生が

 幻想的に浮かんできた。

 

  頬にまとわりつくのは汗かそれともガスなのか、風もなく全く人気もない

城山の頂上についた。

 

 久しぶりに雨の中を一日歩いた。高尾山のような人の多い山を静かに楽しむには

雨の日に出かけるに限ると、良い教訓を得た一日だった。

 この辺で。

 


雨の高尾山を歩く

2018-09-21 08:57:50 | ハイキング

 暑さは収まったものの、最近は雨が降り続いてすっきりと

した青空を見ることがない。今日も朝から雨、こんな日はさしもの高尾山でも

登山者が少ないに違いない。と思って8時過ぎに家を出高尾山口駅の傍に

ある交通安全祈祷殿の駐車場へ。ここは8時半から開いていて一日駐車料金

が500円と安いのでいつも利用している。

 

 ロープウエイ駅までは小さな田んぼの脇を通る。

 

 ヒガンバナが咲き始めている。

 

 雨の日の登山は鬱陶しいと敬遠されがちだが、装備をきちんとすれば問題はない。

ただ欠点は展望がきかないことと虫や鳥たちが見られないこと。それでも人は少なく、

雨に濡れた花も普段と違って美しいのだから良しとしよう。

 

田んぼの畔に小さな花が見える。

 

 この熊手のような形をした花はミゾカクシだ。別名アゼムシロともいう。いずれも繁殖力の

強さが名となっているのだろう。キキョウ科の花で色は白色から淡紅紫色まであり、

6~10月と花期は長い。

 

 5分ほど歩くとロープウエイ駅の入り口についた。天気の良い日は登山客でごった返す

駅前も今日は閑散としていて気持ちがよい。

 

 ロープウエイから降りて5分ほど歩くと浄心門。最近はここを通らず、左わきの小径を

下りて三号路を歩くことが多い。

 

 山道脇にはノブキが群生している。

 

 時折日当たりの良いところにはアザミの花も見かける。

 

 草藪がガサゴソしたと思ったらコジュケイの家族だった。

慌ててカメラを出したのだが……。

 

普段から人通りの少ない三号路だが、この日は行きかう人が殆どいなかった。

 

 この日一番よく見かけたヤマホトトギスの花。

 

 

 ちょうど今が見ごろのようだ。

 

 小一時間程の歩きで6号路と出会った。

 

 右斜めの小径に入ると5号路だ。

 足元に珍しいものを見つけた。ツチグリだ。東北地方南部では幼菌が食用とされると

いうがどんな味がするのだろうか。

 ツチグリには「晴天の旅人」 や「星の湿度計」などというロマンチックな呼び名もある。

雨が降らず乾いた日が続くと内側に丸まって、風に吹かれころころと転がり移動するのだという。

 

 五号路に入るとヤマハギが目立ってきた。

 

 

  白色の強い株

 

 

 標高500mぐらいのこの辺りではまだタマアジサイもみられる。

 

 ノダケの花

 

  キク科の多年草カシワバハグマ

 

 よく似た花のこちらは同じキク科だが木本のコウヤボウキ。

 

 ヒヨドリバナ

 

 アサギマダラの好きなこの花も雨の今日は虫も乏しい。

 

 展望台付近までやってきた。ススキが雨に打たれている。

 

 真っ赤な実はガマズミの実。こちらも雨に濡れてルビーのように輝いている。

 

 ちょっとねじれたオオバウマノスズクサの実

 

 枯れかけていたシラヤマギク

 

 ツリガネニンジンもまだしぶとく咲き残っていた。

 

 セセリチョウが雨の中必死にとりついている。

 

 アキノキリンソウ

 

 少し長くなったので今日はこの辺で。

 


荒川沿いを歩く

2018-09-17 20:21:02 | 散歩

 9月も半ばを過ぎ、節季は白露の第三候玄鳥去。燕も南の国へと

去っていく季節となった。暑い暑いと零していたのだが、最近は嬉しいことに

朝夕だけはめっきり涼しくなってきた。

暑苦しい蝉の鳴き声は何時とは知れず途絶え、代わって夕暮れには涼やかな

虫の鳴き声が聞こえるようになってきた。

 

 今日やって来たのは秋ヶ瀬公園。運動公園だけがやけにが目立つ公園だが、

やってきたこの一角では自然があふれ、花々や虫たちが跋扈していた。

 いったんは途絶えた河原の自然が最近ボランティアの地道な活動のお陰で

だんだんと復活してきたのだという。

 

  小さな花はツルマメ。

 

 日当たりにはツルボの花を多く見かける。

 

 キツネノマゴは至る所で目に付く。花期の長いこの花も

もうそろそろ終わりのころか

 

 中には白花種もある

 

 メハジキも咲いている

 

 お馴染みのツユクサもよく見ると可愛い

 

  嬉しいことに草やぶの中にナス科のヒヨドリジョウゴを見つけた。

 

 このオカトラノオのような花はヌマトラノオだろうか

 

 ガガイモにはたくさんのハナムグリが群がっている。

 

 ガガイモだけでなく花を求めて、たくさんの虫たちを見ることができる。

 最近よく目に付くアカボシゴマダラ。

 

 このチョウはヒメジャノメだろうか

 

 よく見かけるのはヤマトシジミ

 

  ベニシジミもよく見かけるチョウだ。

 

 

 このシジミチョウはツバメシジミだろうか、自信がない

 

 

 

  ヒメウラナミジャノメ

 

 

 ヒメアカタテハも庭先でよく見かけるチョウだ。

 

 イチモンジセセリ

 

   この人面型の虫はヒメホシカメムシというのだそうだ。こんなひげ面のおじさんのような、

 虫の色形は想像を超え実に面白い。

 

 

  シロハラビロヒヘリカメムシに似ている

 

 

  これは図鑑を調べても?

 

  ハエトリグモのようだ

 

 ヒシバッタ 

 

 虫たちの世界は奥深い、私にはまだまだ分からないことばかり。

それにしても何と世界は豊饒なんだろう。

 この辺で。

 

 

 

 


初秋、乙女高原に咲く花たち

2018-09-11 06:16:59 | ハイキング

 猛烈に暑かった夏の疲れがなかなか取れない。いわゆる夏バテなんだろうと、

試しにウイキペディアで検索してみたら

「夏の暑さによる自律神経系の乱れに起因して現れる様々な症状」そして

暑気中り(しょきあたり)、暑さ負け、夏負けと呼ばれることもある。 」とあった。

 ああ私は夏に負けたんだ……と素直に得心した。思えば今年の夏は随分と

強かった、負けてもしょうがないだろうと。

 さらに「おもな症状は、全身の倦怠感、思考力低下・食欲不振・下痢・便秘など。」とあり

道理でこの頃だるくて、物分かりも悪くなった……これは年のせいではなかったんだ、単なる

夏のせいだったのかとすり替えて……。彼岸が過ぎ涼しい風が吹いたら、ぼけた頭もすっきりする

のかもしれない……と一時の気休めに逃げ込んだ。

 

 乙女高原に咲くマツムシソウ

 

 

 夏から秋にかけて高原を代表する花と言ったらコスモスより

私はマツムシソウを思い浮かべる

 

 吾亦紅と書いてワレモコウ。こんなにいっぱい咲いているのにはなかなかお目にかかれない。

 

 ツリガネニンジン

 

  タチフウロ

 

 蕊を彩る赤い筋がきれいな花だ。

 

 背丈の大きいシラヤマギク

 

 シシウドはもっと大きい。

 

 

 クガイソウ

 

 似ているが葉の付き方からこちらはヒメトラノオのようだ

 

 ウスユキソウも咲いている

 

 花と実を同時につけていたホタルサイコはセリ科の花

 

 アザミの仲間、ノハラアザミだろうか

 

 同じキク科のオケラの花。この花名前はさえないが、若芽は食用とされ

根は胃の薬、さらには燻して防カビ材として用いられた。

 

 

 たくさん咲いていたアキノキリンソウ

 

 シモツケは少しだけ咲き残っていた

 

 一株だけ見つけたトモエシオガマの花。一般にシオガマギク属の花は

深山でしかお目にかかれないので、出会えただけで嬉しくなる。

 

  うっかり見過ごしてしまいそうなタチコゴメグサの花

 

 ヤマトリカブトも咲きだした。

 

 この時期の乙女高原は夏の花と秋の花が競い合うように咲いていた。

そんな花たちのコラボレーションを見ていただこう。

 オヤマボクチとヤマハギ

 

 オミナエシとツリガネニンジン

 

 意外な花たちのコラボが何とも賑やかで楽しい

マツムシソウ、オミナエシ、ヤマハギ

 

 アザミの仲間とシラヤマギク

 

 シラヤマギクとオミナエシ、

 

 

 ワレモコウとちょっと盛りを過ぎたツリガネニンジンが絡まりあっている。

 

 ヤマハハコとアキノキリンソウとワレモコウ

 

 秋を代表するオミナエシとススキとノアザミ

 

 シシウドとススキもなかなか配色の良い組み合わせだ。

 

  虫たちも残り少ない命を輝かしていた。マルハナバチ

 

 クジャクチョウ

 

 至る所に群れ飛んでいたアキアカネ

 

 ナミアゲハ

 

 イチモンジチョウと思うのだが……あっという間に飛んで行ってしまった。

 

 初秋の乙女高原の植相の豊かさ、素晴らしさに圧倒され、暫し風に吹かれ

至福の時を過ごした。

 

 この辺で。