野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

真夏、多摩川源流を遡る

2018-08-28 20:29:57 | トレッキング

 久しぶりに笠取山山麓の多摩川源流部を歩いてきた。天気予報では曇り

昼過ぎからは崩れるとあったので、朝早く出たのだが……。

 

 登山口の作場平についたのは午前8時を回ったころ。すでに3台の車が止められていた。

午後からの天候を考えて急いで準備をして歩き出す。

  今のところ、天候の崩れる気配はない。

 

 稜線に出るまでは何度も小沢に架かる橋を渡っていく

 

 タニタデの花はミズタマソウの仲間。繊細な花だ。

 

 シナノオトギリの花も咲いている。

 

 ヤブ沢から右に折れ、登ること一時間半やっと笠取小屋が見えてきた。

 

 

 この辺からはキク科の小さな花が見られるようになってきた。淡紫色のこの菊はノコンギクで

いいのだろうか、うーん自信がない。

 

 丈高い草むらから顔をのぞかせているのはワレモコウだ。

 

 小屋からは僅かの登りで分水嶺につく。道標は左が雁峠から雁坂峠を経て甲武信ケ岳方面

右は水干、笠取山、唐松尾山を通って雲取山へと至る縦走路が待っている。

20㎞を超える奥秩父縦走路だ。

 右上の小高い丘にあるのが小さな分水嶺の碑。

 

 

 その下には三角柱の形をした石柱がある。左に落ちた雨滴は多摩川へ、右に落ちると荒川

向こう奥に落ちた雨の雫は富士川へと注ぐ一滴となる。

 

 切り出した木材の運搬に使われたものらしい、使われなくなって久しい今は

趣のあるオブジェとなっている。

 

 この辺りはニホンジカの食害が深刻のようで、両側が鉄製の網でおおわれていた。

 

 シカの鳴き声がした。逃げ去っていく音がしたが一匹だけとどまってこちらを見ている。

 

 水干の標識が見えてきた。

 

 上には水神社

 

 ミヤマダイモンジソウやヤマトリカブトの花が見られる。

 

 

 

 枯れかけたツリガネニンジン

 

  色づき始めたマムシグサの仲間の実

 

 下に降りて今夜の水割りの元をいただく。

 

 いつもは笠取山の頂上を踏んでから、雁峠方面に行くのだが、雲行きも怪しくなって

来たので頂上はやめて雁峠へ向かう。

ハート型のキノコ

 

 笠取山山麓の高原にはこの時期、マルバタケブキとハナイカリが多かった。

 

 

 シナノオトギリ

 

ツルリンドウ

 

 コウリンカ

 

 一輪だけ見つけたヤマオダマキ

 

 ヤマホタルブクロ

 

 笹の葉の上で休んでいたジャノメチョウ

 

 山麓の草原から少し下っていくと、今は廃屋となって使われていない雁峠小屋

が見えてきた。登り始めて10年以上になるが、その時から廃屋状態だった。

 

 雁峠までやってきた。 左の稜線を行くと日本三大峠の雁坂峠までは5km、

右は雲取山までは17kmとある。この縦走路の大半は歩いたことがあるのだが、

通して歩きたいと思っていて、今まで思いは叶わなかった。

 

 

 

 風がよく通り、見晴らしもよく気持ちの良い峠だ。昼食をとった後、私は何度もここで

ベンチや草むらに寝転がり 一時間以上も風に吹かれてきた。

 

 この日もいい風が吹いていたのだが、小半時ほどで雨が降り出して来たので

荷物を片付け急いで山を下りることにした。思ったよりも強い雨の中を下山し、

登山口へと戻った時は1時半を超えていた。

 

 この辺で。

 


夏の赤城自然園

2018-08-24 10:11:37 | 植物園

 夏の甲子園が終わった。決勝、準決勝はあいにく仕事と重なりテレビ観戦は

出来なかった。が、結果は前評判通りで大阪桐蔭の勝ちに終わった。

 30年来甲子園好きの私は毎年、週刊朝日の甲子園特集号を購入し

時間を見つけてはテレビ観戦をする。この冊子は、見開き1頁の中に

地方大会の成績、メンバーの出身中学や予選成績、校歌、監督のプロフィール

など必要最小限の知識が載っていて、それで500円とかなりお得なのだ。

 この冊子を見ると決勝を戦った2校のうち、大阪桐蔭はレギュラー9人の出身県が

6県、登録メンバー20人では13県にも達する。対する金足農業は20人全員が地元

秋田出身で、紛れもなくスター軍団vs雑草軍団という構図の決勝だったということが分かる。

 私としては無論金農に勝たせたかったのだが、残念ながら13対2で大阪桐蔭

の勝ちとなって終わった。来年以降大阪桐蔭は大阪という狭小な地名を捨てて

日本桐蔭と改名したらどうかと秘かに思っているのだが……。

 

 森林の妖精レンゲショウマ

 

 さて夏の盛り、赤城自然園を訪ねた。何度も訪ねている自然園だが、

真夏には今まで来たことがなかった。

 

 この季節の売りは何といってもレンゲショウマ。平日にもかかわらず、

それを目当ての来園者も多かった。

 

 私が訪ねたのは8月の中旬、まだレンゲショウマは3,4分咲き程度だった。

 

 植えられているのは一か所ではなく、広い園内に数か所の群生地がある。

 

 レンゲショウマはキンポウゲ科の多年草。分布は福島県から奈良県までの本州

太平洋側の山地。なお東北では宮城や岩手でも記録はあるというがごく稀。

 私の住んでいる近くでは奥多摩の山でわずかながら見られる。

 

 花の時期は7~8月で和名は蓮華升麻。花が蓮の花に似て、

葉はサラシナショウマに似ていることから名づけられた。

 

 園内で出会った花たちを紹介しよう。

ツリガネニンジン。

 

コバギボウシ

 

 コオニユリ

 

 マツムシソウ

 

 これは珍しいシキンカラマツ

 分布は本州の福島、群馬、長野の三県の山地とある。私はまだ野生の姿を見たことはない。

 

 オミナエシとマツムシソウの群生

 

 まだ咲き残っていたヤマアジサイ

 

 何とか撮れたミズヒキの花。

 ミズヒキの名は。花色の紅白から

 

 林床では夏の終わりに咲くキツネノカミソリが盛りだった。

 

 

 ワレモコウは吾亦紅

 

 咲きだしたばかりのクサボタン

 

 大きな花を広げて夏の日差しを浴びていたシシウドの花

 

 カワミドリ

 

 実を二つ。ヤマシャクヤクとルイヨウボタンの実

 

 

 白いアザミはノアザミの白花種

 

 キセワタの花

 

 キセワタにはセイボウやルリモンハナバチなどの青い蜂や虻が寄ってくる。期待して

暫く待ったのだがついに現れなかった。代わりに現れたのは腰に花粉団子を付けた

マルハナバチ。

 

 アザミの花にも

 

 ヒメアカタテハ

 

 羽の縁紋が赤い、アカトンボ

 

 アサギマダラ。ここ赤城自然園では9~10月にかけて数千頭が飛来し

生態調査のためのマーキングが行われる。

 

この辺で。

 

 


大菩薩峠から石丸峠へ

2018-08-15 16:25:49 | トレッキング

  

  笹の葉の上で勇ましいポーズを決めたゴイシシジミ

 

 大菩薩峠に着いたのは昼少し前。まだ体力には余裕があったので、

そのまま石丸峠に向かった。

 

 

 石丸峠までは半時間ほどで着く。眼下に見えるのが石丸峠。

 

 朽ち果てて文字も見えなくなった峠の古い標識

 

 左折すると牛ノ寝通りの稜線を経て松姫峠、鶴峠、小菅村に至る。右に行くと

小金沢連嶺。日本一長い名前の山と言われる牛奥ノ雁ガ原摺山、滝子山をへて

大月へと至る長い稜線だ。

 

 少し戻って右折。すぐに落葉松の林を下っていく。

 

 樹の間から覗くのは大菩薩湖

 

 このあたりの日当たりの良いところでは、フシグロセンノウ、カワミドリ、

コオニユリ、ヤマホタルブクロなどが咲いていた。

 

 

 

 

 見たことのないキイチゴ? 食べられるのだろうか。ちょっと食指が動いたのだが

以前、コウゾの実でえらい目にあったことがあるので自粛した。見た目は

ブラックベリーのようで美味しそうだったのだが……。

 

 日陰ではたくさんのキノコが見られた。

 

 

 小屋平(石丸峠入り口)から下ると、ちょっとした水辺の公園となっている。

 

 ここにはマルバタケブキやヒヨドリバナなど植栽されていて、この時期

多くのチョウを見ることができる。

 ヒョウモンチョウの仲間

 

 笹の葉の上で休んでいたクジャクチョウ

 

一見チョウのように見えるがイカリモンガ。テングチョウによく似ている。

 

 ここで弁当を広げていたらセセリチョウが寄ってきた。チャバネセセリだ。

こちらは蛾のようだが、立派な?チョウの仲間だ。

カメラバッグの上で暫く遊んでいるのを眺めていると飽きることがない。

 

 弁当を終えて歩き回ると、ヒヨドリバナで吸蜜中のアサギマダラを見つけた。アサギマダラは

言わずと知れた渡りチョウ。 この地域で、この季節ではお帰りなさいなのか、

それとも良い旅をなのだろうか。

 

 羽の後ろに黒斑があるので♂。

 

 

 嬉しいことに大きく翅を広げてくれた。

 

 

 今年も何回かアサギマダラに出会えうことができた。一体あと何年

出会うことができるのだろうか。これを最後と思って感謝しよう。

 

 笹の上にはもう一頭、小さな妖精が休んでいた。

 

 

 何度か近づいては逃げられて、やっと疲れたのか接近を許してもらった。

 でも皆さん、可愛らしさに騙されてはいけない。こう見えてもこのチョウは笹や竹に寄生する

アブラムシ類を食べる肉食のチョウなのだ。

 

 この辺で。


大菩薩峠を歩く

2018-08-11 09:03:20 | 散歩

 登ろうと思った山が天候の悪化や林道閉鎖などで登れないことが

結構ある。そんな時はどうしても山に登りたい気持ちが抑えきれず

近くの山を探すことになるのだが、大体は不満足な結果に終わることが

多いようだ。山にはある程度の準備が必要なのだから当然そうなる。

 今回、何度か登ったことのある雁ヶ腹摺山にチョウの乱舞を求めた

のだが、あと5,6㎞という地点で林道が通行禁止となっていた。過去の経験から

こんな時は素直に引き返したほうがいいのだが、諦めきれず近くの大菩薩嶺に変更した。

 が、今回はたまたまこれが正解だったようだ。前夜台風が通過したばかりとあって

いつもは騒がしい登山者で混みあう山が、閑散として静かな山行を楽しむことができた。

 コウリンカ

 

ロッジ長兵衛前についたのは九時を過ぎたところ。駐車場前には

車が一台のみ。

 

 今日のコースはロッジ長兵衛→福ちゃん荘→雷岩→大菩薩峠→石丸峠→小屋平

→出発地に戻る。大体4時間と少しのコースだ。

 

 しばらくは林道沿いのなだらかな山道を行く。落葉松林を抜けて

すがすがしい風が吹いてくる。

 

 30分ほどで福ちゃん荘前を通過すると山道らしくなってくる。

 ウツボグサの咲き残り

 

 この岩を抜けると傾斜のきつい登りが待っている

 

 高山植物には稀な花色のコウリンカ。今が旬のようでたくさんの群生を見ることができた。

 

 

 マルバタケブキ

 

 

 

 岩に隠れるように咲いているハナイカリ

 

 

 登りはきついがこの辺は花が多くみられるので苦にならない。

これはシラネニンジン

 

 タチコゴメグサは注意深く見ていないと見逃してしまう花。

 

 

 一時間足らずの登りで大きな岩が見えてきた。雷岩だ。

 

 ここからは今日一番の楽しみ、なだらかな稜線歩きが始まる。

 

 天気は申し分ないのだがガスが出てきたようだ。

 

 

 眼下ガスの切れ間に見えるのは上日川ダム。最近は大菩薩湖というそうだ。

 

 

視界はガスで遮られても花を見る分には支障がない。

 稜線に咲くウスユキソウ

 

 低山のホタルブクロに比べると色が濃い、ヤマホタルブクロ

 

 ハクサンフウロ

 

 

 ガスは稜線一帯を覆ったかと思うとさっと晴れてゆく。

 

 

 前方を行くのは先ほどまで雷岩の上にいた60代の夫婦連れ。「あの花は何て言うんですか」

とコウリンカを尋ねるので教えてやったのだが、礼も言わない。こんなことなら

知らないと惚ければ良かった。

 

 奥多摩の山々も美しい

 

 花を探している間に再びガスが出てきたようだ。

 

 賽の河原を通過

 

 ゆっくり歩いて一時間、大菩薩峠に立つ介山荘が見えてきた。

 

 今日はここまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


森林公園の一日

2018-08-10 17:41:48 | 散歩

  暑い盛り若い人は海へ行きたがるが、年を取ると海より高原がよくなるようだ。

精一杯早起きをして高速に乗ったのだが、同じ考えの人が多いと見え、

すぐに渋滞に巻き込まれてしまった。ノロノロ運転が遂に止まったところで

高速を降りて、群馬の赤城自然園から埼玉の森林公園へと泣く泣く

予定の変更を決断した。

 都市緑化植物園

 

 燃えるような暑さに負けじと大輪のヒマワリ

 

こちらはやや大人しめな

 

 ヤマユリの小径はやや終わり加減、咲き残っているのは数輪

 

 涼風が吹く森林にはキツネノカミソリが咲き始めていた。

 

 同色の花はフシグロセンノウ

 

 レンゲショウマも少しだが咲いていた

 

 

 ちょっと変わった蕊、モミジアオイかと思ったが、タイタンビカスというモミジアオイと

アメリカフヨウを掛け合わせた花と書いてあった。

 

 散水を浴びてきらめいていたナツズイセン

 

 池のほとりにはチョウトンボがゆったりと、名のように優雅に飛んでいた。ものの本によると

羽が黒く暑いのでこんな風に止まるのだというが、ホントなのだろうか。

 

 日差しを浴びると羽の色は黒から青紫へと変わる

 

 

 やっと飛んでいるところを撮れた。

 

 同じ池で見かけた、こちらはノシメトンボ

 

 胴体が真っ赤なトンボはショウジョウトンボだ

 

 枯れ枝にとまったイトトンボはアオイトトンボだろうか

 

ちょっと流し目をくれたキイトトンボ

 

 羽の模様がきれいなヒメウラナミジャノメ

 

 サトキマダラヒカゲも負けないぐらい羽色が美しい

 

  見た目はテントウムシのようなこれは?、図鑑で調べても?幼虫かな?

 

 散り始めたミソハギを見ながら、日陰でゆっくりと弁当を食べた。

 のんびりとしたいい一日だった。

この辺で。