野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

高尾山ーセッコクとイナモリソウ

2018-05-29 21:13:30 | 散歩

 もう梅雨入りしそうな5月末、この時期に高尾山では他の山では

余り見ることのできない二つの花が咲く。

 年間300万人の登山者数をほこる高尾山。平日でも登山者は多いので

静かに上りたいなら朝早くに限る。5時半には家を出て登山口に着いたのは

6時半。 さすがに登山口にはほとんど人の気配がない。

 

 右手に折れて1号路を登る。少しの登ったところでお目当てのセッコクに

出会えた。セッコクはランの仲間。日本全国の山地に分布はするが、普段の

山歩きではなかなか見ることのできない花だ。

 

 高尾山では杉の老木に着生していて毎年、5月下旬から6月にかけて

見ることができる。

 

 花の色は白色から淡紅色まで

 

 高尾山では主に1号路や6号路で見られる。下山中の6号路で見たセッコク。 

 

 6号路から見られるセッコクは見事な群生なのだが。惜しむらくはやや遠い。

300㎜の望遠でやっとといった具合。

 

 

 もっと近くで見たければ、ケーブルカーのホームで間近に見ることができる。

もっとも切符を買う必要があるが……。隣のリフト乗り場では切符を買わずに

見られるがやや花の角度が悪いのが難点だ。

 

 この時期のもう一つの目玉は山道わきにひっそりと咲くイナモリソウ。

余り群生しない花なのだが、ここでは珍しく10株ほどが密生していた。

 

 イナモリソウの名前は三重県の稲森山で発見されたことかららしい。分布は関東以西。

 アカネ科の仲間で、4枚の葉が特徴でヨツバハコベとも呼ばれる。

 花弁はふつう5弁だが、

 

 6弁や4弁の花もよく見られる。

 

 

 これは4弁の花

 

 

 同じ株から5弁と6弁の花

 

 花弁の細い星形の花も時折見られる。

 

 とても同じ花とは思えない変わりようだ。

 

 嬉しいことに花弁が5,5,6と三つ咲いていた株に出会えた。

 

 今回歩いたのは1号路→3号路→5号路→4号路→2号路→6号路の順。

花の比較的少ないこの時期でも、さすが高尾山だ、思ったよりもたくさんの花に出会えた。

その一部だが紹介してみよう。

スイカズラ

 

  湿った崖に多く咲いていたユキノシタ

 

 ウリノキは結構到る所で見ることができた。

 

  ムラサキシキブの花に似たヤブムラサキ

 

 フタリシズカ

 

 これも高尾山以外では出会ったことがない花、オオバノウマノスズクサ

 

 やっと色づき始めたヤマアジサイ

 

 毎年同じところに咲くラン科のツレサギソウ

 

 梅雨前に見るのはちょっと珍しいギンリョウソウ

 

 お終いはハナイカダの実

 山歩きを数十年にわたって趣味としている私だが、セッコクとイナモリソウは

高尾山以外では残念ながらお目にかかったことがない。タカオスミレといい

冬のシモバシラといい、他では難しい花が高尾山では割と容易く出会うことができる。

 そのことが登山者が多いにもかかわらず、多くの人を惹きつけてやまない

高尾山の魅力なのだろう。

 

 この辺で。

 

 

 

 

 

 


春の三窪高原を歩く

2018-05-26 06:41:52 | ハイキング

 

 乙女高原からは帰路、三窪高原に寄った。ここはレンゲツツジと富士山の

眺望で有名なところ。通年は6月に入ってからがレンゲツツジの見頃となるのだが、

今年は季節の進みが早いので、もしかしたらと思って寄ってみた。

 柳沢峠の駐車場に車を止めた。ここからの富士の眺望も素晴らしい。

左わきを飛んでいるのはノスリのようだ。

 

 柳沢峠からはゆっくりと針葉樹と広葉樹の混交林を登っていく。

 

 この地の標高は1500mを越えるので季節はまだ早春といったところ。

スミレもまだまだたくさん見られる。 左上からニョイスミレ、サクラスミレ、

アカネスミレ、タチツボスミレといったところか

 

 ミツバツチグリ、オウギカズラ、ニシキゴロモ、コミヤカタバミ。もっとも中の二つは

ちょいと見分けがつかず怪しい。

 

 

 ズミの木が満開だった。

 

 

ヤマツツジとズミの木の競演

 

 空はすっきりと晴れ、爽やかな五月そのものの天気だ

 

 ハンゼの頭まで登ってきた。

 

 遠くに富士山が端整な姿を見せてくれた。

 

 手前に咲いているのはミツバツツジ。雪解け一番に咲き始める

ツツジの花だ。

 

 

 

  さらに遠くには南アルプスが望める。

 

 

  先ほどから鳴き声を耳にしていたニホンジカの親子が姿を見せた。

 

 

 澄みきった五月の青空は背景にしたミツバツツジが何とも鮮やかだ。

 

 シカが多いので高山植物が食べつくされてしまった。展望台付近は植生回復のため

金網や鉄柵で覆われているところが多い。

 

 

 

 嬉しいことに日当たりのよいところではレンゲツツジも咲き出していた。  

 

 北西の方向に見えるのは奥秩父の峰々。金峰山と五丈石(ほんの少し出っ張った部分)が見える。

 

 いくつかの小湿地帯を抜けて板橋峠まで来た。峠付近は以前来た時とは

様変わりになっていて太陽光パネルが敷き詰められていた。

 

 この先は稜線伝いに幾つかの峠を越えて、多摩川の水源となっている笠取山にまで

続いていく笠取林道となっている。。

 

 板橋峠からは林道に沿って迂回しながら引き返す。

ウワミズザクラが見ごろを迎えていた。

 

とても桜とは思えない、細長い穂状の花を咲かす。

 

 林道の脇にはたくさんの種類の紅葉の花が咲いていた。

 

 

 

 林道脇に咲く花たち。オオカメノキ、ワチガイソウ、ミヤマザクラ、シロバナヘビイチゴ。

 

これはツリバナの木の花

 

 ヤマツツジも旬を迎えて彩りを添えていた。

 

 ここ数年は鳥を目当てに峠からは南方面の大菩薩、鶏冠山方面を歩くことが

多かった。久しぶりに訪ねた三窪高原は人も少なく、富士と花の景観を

心静かに楽しむことが出来た。

 この辺で。

 

 

 

 


5月下旬ー乙女高原の春

2018-05-22 21:11:59 | ハイキング

 

  ヒナスミレ

 

久しぶりに山梨県北部にある乙女高原を訪ねた。以前は小楢山登山を兼ねて

毎年のように出かけていたのだが、遠いこともあって最近は御無沙汰だった。

今回は5年ぶり、レンゲツツジを期待して訪ねたのだが……。

  乙女高原についてはこのサイトが詳しい。

 標高が1700mもあるので季節は2か月近くも遡ってしまう。

 

 駐車場に車を止めて、近くの湿地を散策。

バイケイソウ

 

 まだ早いかと思っていたがクリンソウにも出会えた。

 

 未開花の株も多いが日当たりのよいところではもう

咲き始めている。 クリンソウは日本原産のサクラソウ科の多年草。

園芸種の花かと見まがうほど、大きく美しいので随分と人気がある。

咲くのは渓流沿いの湿地帯で大きさは30cmから90cmほどにもなる。

 

 

 里ではとっくに姿を消したニリンソウがまだ咲いていた。

 

 ニョイスミレ

 

 久しぶりに来たら高原全体がシカの食害を防ぐための鉄柵で覆われていた。

ここ10年ほどで奥多摩や奥秩父の山にはこういう柵がずいぶんと増えてしまった。

 

 藁の敷き詰められた散策路を登っていく。まだ高原全体には枯草が多い。

 

 枯草の中からフデリンドウが顔を覗かせていた。

 

 同じく早春に顔を見せるシロバナエンレイソウ

 

 こちらはシロバナノヘビイチゴ

 

 現在休館中の乙女高原グリーンロッジ。

 

 満開の八重桜

 

 明るい日差しの斜面を登っていく、爽やかな風が心地良い。

 

 芽を出したばかりのゼンマイが不思議なことに円形に並んでいる。

一体どういうわけなんだろう。

 

 春の暖かな日差しを吸い込んだミツバツチグリの花が所々に咲いている。

 

 マイヅルソウも早くも咲き出していた。

 

 日本に咲くスミレの中では最も大きい花を咲かせるサクラスミレを発見。

 

 別名に「スミレの女王」の名もつけられている。

 分布は北海道から九州の鹿児島までと広い。明るい落葉樹林帯や草原を好む。

 

 桜の名は付けられているが花色は桜とはずいぶん異なる。

スミレにしては大きく、華やかさが感じられることからつけられたのだろうか。

 

 蕗の傘の下にサクラスミレが

 

 こちらはサクラスミレが「スミレの女王」と言われるのに対して

「スミレのプリンセス」と言われるヒナスミレ

 

 周囲を見回すと木々の芽生えたばかりの新緑が眩しい。

 

 遥か下にはグリーンロッジ

 

斜面を登りつめた所にズミの木があった。数えきれないほどたくさんの

花をつけている。

 

 リンゴの野生種であるズミには別名が多い。いわく

ヒメカイドウ、ミツバカイドウ、ミヤマカイドウ、コリンゴ、コナシ等々。

 秋には黄色い実をつけるが食べると酸っぱい、これから酢実となったという説もあるという。

 

 期待していたレンゲツツジだがほとんどは蕾だった。何とか道路わきの陽射しの

良いところで数株開花しているのを見つけた。

 

 

 斜面の上から見たグリーンロッジ

 

 上まで登ったご褒美はやはりこれだ。

 

 6月に入って梅雨の頃、此処では待ちかねたかのようにたくさんの花が咲き始める。

高原は緑に覆われ、花々の香りが溢れ、レンゲツツジが朱色の花を咲かせるのだろう。

 

 これから先もう一度訪れる時が、この身に巡って来るのだろうか。

 

 おまけは焼山峠の子授地蔵。この脇を登っていくと小楢山へと続く。

 

 今日はこの辺で。

 

 

 


生田緑地ばら苑

2018-05-18 06:58:08 | 散歩

 春秋の年2回だけ、限定的に開園する生田緑地ばら苑を訪ねてきた。

今年の開園は5月10日から27日までだが、季節の進みが早い今年開園から5日目の

14日に行ったのだが、もう見ごろを過ぎたバラが多かった。尚ばら苑の入園料は無料、

でも志は受けるというユニークな方式。

 

 開園間もなくの時間にもかかわらず、たくさんの人が訪れている。

 

  今回は取り急ぎ、バラの品種名をメモし忘れたので画像だけを。

 

 

 なお明日19日、ばら苑では60周年記念コンサートが開催される。

 

 

 

 私は気に入ったバラの匂いを必ず一花一花嗅いで味わう。

 

 とりわけ 、ブルーローズ系の花は気品のある芳香を持っている。

 

 

 

 

 若い人も中にはいるが、ほとんどの人は中高年。車いすに乗った人も多い。

 

 

 見た目はお菓子のような独特の雰囲気のあるバラ

 

 

 これも薔薇

 

 

 

 

この日は30度近くの暑い日差しで、日陰で休んでいる人が多かった。

 

 

 高台から見た生田緑地バラ園の全景

 

 帰りに同じ公園内にある岡本太郎の美術館に寄ったのだが

 月曜日であいにくの休館日だった。

 慌ただしくこの辺で。

 

 


5月に咲く木の花

2018-05-16 07:01:07 | 散歩

  今日は5月に咲く木の花を幾つか紹介しよう。

先ずはユリノキの花。百合の花は知らない人はいないだろうが、ユリノキの花はどうだろう。

 ユリノキ(百合の木)はモクレンの仲間。原産地は北米で日本には明治初めに

渡来したという。

 

 多くは公園に植樹されていて、20mを超える大木になる。

 

 別名に花の形から蓮華木、またはチューリップツリーがある。また葉の形が

独特で半纏に似ることから半纏木の名も付けられている。

 

 とても高い所に、葉に隠れるように咲くので花の姿を撮ることは難しい。嬉しいことに

たまたま低い所に咲いていた一輪を見つけた。

 蕊にもくれん科の特徴が良く見られるようだ。

 

 二つ目は少しお洒落なツツジ科のサラサドウダン。こちらは日本固有種。

奥多摩や秩父でも低山でよく見られる。

 

 咲いている姿からフウリンツツジの異名もある。

 

 

 葉越しの光線に透かされたサラサドウダンが輝いて綺麗だった。

 

 三つ目はハクウンボク。エゴノキの仲間で、原産地は日本、朝鮮半島、

中国。

 

 和名の由来ハクウンは白雲で穂状にたわわに咲く白い花を見立てたもの。

 

樹高は10mほど。

 

 

 4番目のトチノキの花も大木の花だ。

 

 先日はバラ苑に行ったのだが、そこで売っていたトチノミ饅頭が美味かった。

因みにもちもちの木とはこの木のことだそうだ。

 

 お終いはその時は分からなかったので家に帰って図鑑を見て

多分 マルバアオダモかもと、正直ちょっと心もとないのだが……。

 

 

 

 おまけにたくさんの花をつけたニセアカシアの大木。

周囲一帯に甘い香りを漂わせていた。

 

 この辺で。