野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

今年も城山カタクリの里へ

2019-03-16 06:31:09 | 植物園

 例年のように今年も3月の上旬、神奈川県にある城山カタクリの里を

訪ねてきた。訪ねたのは開園したばかりの3月9日、今年から入園料が

500円となったようだが、この日はカタクリの開花数が少ないという

ことで100円だった。

 入り口すぐ近くで咲いていた八重咲のクリスマスローズ

 

 カタクリは数株程度咲いていて、それを見つける楽しみがあった。

 

 

 

 

 

 まだ早いとはわかっているのにこの時期に来るわけは二つ。人が少ないことと

花期が少し早いユキワリソウが旬でみられること。

 

 

 

 

 

 これだけ花の色形が違っているのに同じ種の花とは不思議なものだ。しかも

この花は野にある状態でも様々な色合いの花を咲かすのだ。

 

 

 

 この日はまだ直通バスが運行されていないので、とても空いていた。人のいない

園内をゆっくりと散策するのは何というぜいたくな時間なんだろう。

 

 ユキワリソウ以外にもぽつぽつと花が咲き始めていた。

 いつもの場所に一株だけ咲いていたコバイモ

 

 キバナセツブンソウ

 

 とても花とは思えないコチャルメルソウ

 

 入園した時には花を閉じていたが、帰り際に開いてくれた

キクザキイチゲ

 

 木の花のほうが種類が多かった。ミツマタとマンサク

 

 

 

ボクハンツバキ

 

 アケボノアセビ

 

 

梅の花2種。ブンゴウメと唐梅

 

 

とても山茱萸に似ているダンコウバイ

 

 この後は城山湖まで一時間ほどのハイキング。城山湖の

本沢梅園ではちょうど梅まつりが開かれていて、出店で赤く

ない赤飯とアユの塩焼きを買ってお昼とした。

 この辺で。

 

 

 


植物園に咲く花

2018-10-02 06:18:10 | 植物園

 この時期、外を歩いているとあの匂いに出くわす。思わず周囲を探してしまう、

それほどあの匂いは強烈に鼻孔をくすぐる。人によってはトイレの匂いと失礼な

ことを言うのだが、そんなに品の悪い香りではない。甘く香ばしい香りの正体は

深い緑色の葉の陰にオレンジ色の小さな花をつけた金木犀だ。

 中国南部が原産で江戸の頃に日本に伝えられたというキンモクセイ。

モクセイ科モクセイ属の小高木で日本には雄株しか伝えられず、そのせいで

実をつけないのだという。花言葉は「謙虚」、「謙遜」。

 ところで私の近所には銀木犀の樹が二本あって、どちらもギンモクセイだと

思っていたが、つい最近うち一本はウスギモクセイだと分かった。葉に鋸歯がある

ギンモクセイとは違い、葉には鋸歯がなく細長い。しかも他のモクセイとは異なり

実をつけるのだ。なおモクセイ科の花はちょっと専門的なここで。

 

 先日の台風でキンモクセイもギンモクセイも花が散ってしまったのかと案じて

いたが、今朝方様子を見ていたら大きな葉に守られて花も香りも健在だった。

 

 近所の野川観察園の彼岸花は散ってしまった。

 

 まだ咲き残っていた若い花

 

 同じ頃ススキの株の根元にナンバンギセルが姿を見せる

 

 それにしても今年の9月は雨が多かった。ガガイモの花の傍にいたカタツムリ

 

 タデ科の花の中では少しだけ豪華絢爛なサクラタデ

 

 シモバシラの花も今年は山歩きでよく出会った。

 

 

 この星型の花はコバノカモメヅル。日本固有種で本州の中央部が分布地。

でも自生している姿に出会えるのは山歩きしていてもごく稀だ。

 

 ヒヨドリジョウゴはナス科の多年生のつる植物。林のふちで咲きマント群落を作る。

 

 コムラサキシキブとシロシキブ

 

 ここからは東大和市にある都立薬用植物園で見かけた花

 縁取りのきれいなコスモスなのだが品種名は分からず。

 

 熱帯アメリカ原産のトウワタ。この花も江戸期に渡来したという。

 

 オオセンナリはセンナリホオズキともいわれるナス科の一年草。野で見かけることは

殆どない。

 

 ノゲイトウも園芸植物で、ろうそくの炎のような形をした花が特徴的。

 

 オオケタデ。先に載せたサクラタデよりさらに大きく豪華な花。中国原産だが

結構野生化した花も見かける。オオベニタデという別名にはうなづける。

 

 ゴジカはアオイ科の花で、平安時代にインド、インドシナから移入され観賞用として

栽培されたが、野生化はしていないという。名は昼頃から花を咲かす午時花。

 

 クマツヅラ科の花でタイワンレンギョウ

 

 ここからはカラフルな実を三つ。ウオトリギの実

 

 山椒の実

 

 思わずよだれの出そうなアケビの実

 

 今日はこの辺で。

 

 

 

 

 

 

 


夏の赤城自然園

2018-08-24 10:11:37 | 植物園

 夏の甲子園が終わった。決勝、準決勝はあいにく仕事と重なりテレビ観戦は

出来なかった。が、結果は前評判通りで大阪桐蔭の勝ちに終わった。

 30年来甲子園好きの私は毎年、週刊朝日の甲子園特集号を購入し

時間を見つけてはテレビ観戦をする。この冊子は、見開き1頁の中に

地方大会の成績、メンバーの出身中学や予選成績、校歌、監督のプロフィール

など必要最小限の知識が載っていて、それで500円とかなりお得なのだ。

 この冊子を見ると決勝を戦った2校のうち、大阪桐蔭はレギュラー9人の出身県が

6県、登録メンバー20人では13県にも達する。対する金足農業は20人全員が地元

秋田出身で、紛れもなくスター軍団vs雑草軍団という構図の決勝だったということが分かる。

 私としては無論金農に勝たせたかったのだが、残念ながら13対2で大阪桐蔭

の勝ちとなって終わった。来年以降大阪桐蔭は大阪という狭小な地名を捨てて

日本桐蔭と改名したらどうかと秘かに思っているのだが……。

 

 森林の妖精レンゲショウマ

 

 さて夏の盛り、赤城自然園を訪ねた。何度も訪ねている自然園だが、

真夏には今まで来たことがなかった。

 

 この季節の売りは何といってもレンゲショウマ。平日にもかかわらず、

それを目当ての来園者も多かった。

 

 私が訪ねたのは8月の中旬、まだレンゲショウマは3,4分咲き程度だった。

 

 植えられているのは一か所ではなく、広い園内に数か所の群生地がある。

 

 レンゲショウマはキンポウゲ科の多年草。分布は福島県から奈良県までの本州

太平洋側の山地。なお東北では宮城や岩手でも記録はあるというがごく稀。

 私の住んでいる近くでは奥多摩の山でわずかながら見られる。

 

 花の時期は7~8月で和名は蓮華升麻。花が蓮の花に似て、

葉はサラシナショウマに似ていることから名づけられた。

 

 園内で出会った花たちを紹介しよう。

ツリガネニンジン。

 

コバギボウシ

 

 コオニユリ

 

 マツムシソウ

 

 これは珍しいシキンカラマツ

 分布は本州の福島、群馬、長野の三県の山地とある。私はまだ野生の姿を見たことはない。

 

 オミナエシとマツムシソウの群生

 

 まだ咲き残っていたヤマアジサイ

 

 何とか撮れたミズヒキの花。

 ミズヒキの名は。花色の紅白から

 

 林床では夏の終わりに咲くキツネノカミソリが盛りだった。

 

 

 ワレモコウは吾亦紅

 

 咲きだしたばかりのクサボタン

 

 大きな花を広げて夏の日差しを浴びていたシシウドの花

 

 カワミドリ

 

 実を二つ。ヤマシャクヤクとルイヨウボタンの実

 

 

 白いアザミはノアザミの白花種

 

 キセワタの花

 

 キセワタにはセイボウやルリモンハナバチなどの青い蜂や虻が寄ってくる。期待して

暫く待ったのだがついに現れなかった。代わりに現れたのは腰に花粉団子を付けた

マルハナバチ。

 

 アザミの花にも

 

 ヒメアカタテハ

 

 羽の縁紋が赤い、アカトンボ

 

 アサギマダラ。ここ赤城自然園では9~10月にかけて数千頭が飛来し

生態調査のためのマーキングが行われる。

 

この辺で。

 

 


森林科学園

2018-08-03 21:37:56 | 植物園

  台風が来て去っていくまでの間、暫しは暑さが和らいだのだが、それもほんの束の間

だったようでまたじりじりと灼けつくような陽射しそして寝苦しい熱帯夜が戻ってきた。

8月6日までは節季が大暑だということで、まぁやむを得ないかと……。

 さて休みの日もなるべく近場の涼しいところを求め、今回は桜で有名な高尾の

森林科学園を訪ねた。桜の時期は恐ろしいほどの人の混みようだが、桜が散って

しまうと人気(ひとけ)もすっかり去ってしまい、のんびりと歩くことができる。この時期、

花や鳥はほとんど期待できない、珍しい虫にでも出会えたらいいのだが……。

 

 入り口すぐ近くのモクゲンジの花は散り始めていた。

 

 これはあまり見たことがない、カクレミノの花。

 

 葉っぱの下で日差しと人目を避けているのは芋虫、フクラスズメの幼虫

 

 虫に詳しくない私は、誰もがするようにもっぱら広い葉っぱの上やコナラ・クヌギの幹を探す。

 カメムシまではわかるのだが、その先はクチブトカメムシというのに似てはいるが…

自信がない!そのことだけは自信を持って言える。

 

 これは何度か出会っているのでわかる、蛾の仲間だが日中でも花を訪れ動き回る

マドガ。羽を広げても2㎝弱の小さい蛾だ。小さい割には派手な模様、この模様にも

 何らか生きていく上での利点があるのだろう。

 

 東屋の椅子の上にはカナヘビ。よく見ると表情があるようで結構愛らしい。

 

 園内でよく見かけたシオカラトンボ。これはしっぽの黒い部分が小さいから

オオシオカラトンボかもしれない。

 

 近くにいた♀

 

 セセリチョウの仲間。珍しく翅を大きく広げて止まっていた。

 

  大繁殖していたマメコガネ。花はヤブカラシの花。

 

 小さな虫ばかり探していたら、バサバサっと鳥が藪に逃げ込んだ。

上に上がれず二羽のコジュケイが残されていた。

 

 バッタの仲間を数種

 名前はショウリョウバッタだが、たくさん見かけた。

 

 イナゴの仲間としかわからない

 

 ツチイナゴ

 

 こちらはその幼虫のようだ

 

 こちらは恐らく別種のバッタ

 

 ミヤマアカネ

 

 ヒメウラナミジャノメ

 

 一番よく見かけたのはヤマトシジミ

 

 

 アサギマダラの食草、キジョランが花を咲かそうとしていた。

 

 コウヤボウキの花

 

 ヒヨドリバナ

 

 まだ色づいてはいないノブドウの実

 

 30度を超える猛暑の中、2時間ばかり園内をほっつき歩いたのだが、

思ったより日陰が多く、素人なりの虫探しを楽しむことができた。

 この辺で。


夏の箱根湿生花園

2018-07-01 15:15:01 | 植物園

 6月29日に梅雨明けが宣言されて以来、猛暑と熱帯夜が続いている。

平年より3週間も早い梅雨明けなのだが、6月中の梅雨明けは1951年の

観測以来初めてのことだという。参考までに気象庁の梅雨入り梅雨明けの

1951年~2017年までの確定値がここにある。尚、これによると1993年は

梅雨明けが確定されなかった唯一の年となっている。

 

 さて去年の10月以来の箱根湿生花園。過去の記事は同じgooブログ内の

2017年10月9日と2016年の4月23日にあるので宜しかったらどうぞ。

何時もは春先か紅葉の時季に行くのだが、今回は初めて夏の訪園となる。

 湿生花園の湿原、奥には仙石原のススキの原っぱが見える。

 

 この時期の湿原はノハナショウブが咲いていた。

 

 真っ赤な花が見える。

 

 マツモトセンノウというナデシコ科の花だ。分布は九州阿蘇の草原。花色が美しいので

江戸の頃から庭に植えられてきたという。

 

 すぐ隣にはノコギリソウが咲いている。こちらは北海道と本州の

山地、高原などで多く見られる。

 

  珍しい花に出会った。ガガイモ科のフナバラソウ。葉の脇ごとに

数個の暗紫色の星形の花をつける。時期がやや終わりだったようで

殆どが名前の由来となっている船形の実をつけていて、花は

この株に一輪残されているだけだった。

 

 園内で一番多く見かけたのはオカトラノオ

 

 花の形が似ているこの花はクガイソウでゴマノハグサ科の多年草。

分布は本州の山地。尚、オカトラノオはサクラソウ科の花だ。

 

 あまり見慣れない花だが、これはアナベル(アメリカアジサイ)の赤花種。

 

  シャジクソウ、この花にも久しぶりに出会った。以前浅間山の近くの池の平を

ハイキングしたとき見かけて以来だから、もう何年ぶりになるのだろうか。

 分布は北海道と本州は宮城、群馬、長野の三県とある。和名は車軸草で

小葉の並び方からきた。

 

  ハヤチネウスユキソウの花後。

 

 シナノナデシコ

 

 少し離れは草原に群生していたクサフジだろうか

 

 まだ開園から一時間(10時頃)、人が少なくゆっくりと見られる。

 

 咲きだしていたニッコウキスゲ

 

 ハラビロトンボが懸命に葉っぱにつかまっていた。

 

 湿地帯に咲く花を幾つか。

 キツリフネ

 

 クサレダマ。和名は腐れ玉ではなく、マメ科の低木レダマに似ている

草ということから。明るい黄色の花をたくさんつけて随分と見栄えの

良い花だ、イオウソウの別名もある。

 先ほどあげたオカトラノオとは近縁。

 

 この辺で咲いているはずだと探して、やっと見つけたカキランの花。

周囲の丈高い草に埋もれて見逃すところだった。ラン科の花は

特に野生ランは見つけにくいのが一般的で、その分見つけた時の

嬉しさには格別のものがある。

 

 ハンカイソウは大きな花だ。和名は樊噲草で樊噲は中国の歴史上の人物。

詳しくはここ。尤も何故この花にそのような人物の名がつけられたのかは分からない。

 

 

 池に群生しているのはアメリカミズアオイ

 

 

 お終いにフォトジェニックな写真を二つ。

 イワタバコの花

 

 高山でしか見られないセンジュガンピ

 

 今日はこの辺で。