野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

例年の如く城山カタクリの里へ

2018-03-31 17:36:53 | 植物園

 最近は祖父母のことをじいじ、ばあばと呼ぶのが普通のようだ。孫のいない私には

分からないのかもしれないが、傍で聞いているとべったりと絡みつくようなモフモフ感が

なんとも気色悪い。呼んでいるのが言葉を覚えたての幼児ならまだしも許せるが、

じき小学生になろうという孫、更にはその親が自分の父母のことをじいじ、ばあばと

呼んでるいのはどうも頂けない。おじいちゃん、おばあちゃんとしっかり呼んでほしい……

そんな風に思うのは私だけなのだろうか。蝉じゃあるまいに孫にじいじと呼ばれて

嬉しがっている姿を見ていると、何が辞意耳朶(私のPCではこう変換された)!

語順を少しいじったらじじい、ばばあじゃないかと毒づいてしまいたくなる。

 

 3月中ごろからのインフルエンザと花粉症で今年は城山かたくりの里へ行くのが

随分と遅れてしまった。その分しっかりとカタクリの群生が見られたのは嬉しいのだが、

驚くほどの人出の多さには辟易してしまった。

 

 着いたのは9時少し前だったが、もう駐車場には10数台の車が止まっていた。

 

 入園料は500円、早春のこの時期にこれだけたくさんの花が見られるのだから高いとは思わない。

 

 それにしても何株あるのだろう。緩やかな斜面一帯を覆っている。

 

 カタクリはユリ科の花。

 

 花の名は球根の形が栗の実を半分にしたような形をしていることから

 

 むかしは名の通り片栗粉として使われていたそうだが、今は馬鈴薯の粉が

片栗粉の正体のようだ。

 

 カタクリの異名には猪の舌(いのした)というのがあり、花の形が

猪の舌に似ていることから名づけられた。

 

古名としては堅香子(かたかご)。家持の歌が有名。

「もののふの 八十娘子(やそおとめ)らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花」

 

そのほかの異名。片子、初百合、片籠、傾籠など

 

 カタクリの分布は北東アジア、朝鮮半島、千島列島、日本では北海道から九州まで。

 

 早春に地上に姿を現し、開花・結実して初夏には地上から姿を消す。そういった一群の植物を

春の妖精(スプリング エフェメラル)というが、カタクリはその代表的な花だ。

 

 アルビノ種の白花も稀に見られる 

 

なお黄花カタクリもあるが、外国産でアメリカカタクリとも呼ばれ

 背丈も30cm以上と高く、咲く時期も少し遅い。

 

 食べたことはないのだが根(鱗茎)だけでなく、花や葉等もおひたしや和え物にして

食用にされているという。また漢方や滋養薬としても重宝されているという。

 

花言葉は「初恋」

 

 その他に反り返る花弁の様子から「嫉妬」という花言葉もある。早春に先駆けて咲く様子から

「寂しさに耐える」というのもあるが、これは群生して咲くカタクリにはふさわしいとは思えない。

 

 ショウジョウバカマとカタクリ

 

 アズマイチゲとカタクリ

 

 今日はこの辺で。


渓谷の女神

2018-03-27 21:57:42 | ハイキング

 花粉症なのか風邪なのかなどと思い惑ってていた先週、不意を突かれ

突然の高熱に襲われてしまった。医者にはインフルエンザA型と判定され

結局は仕事も休み、布団の中で3日間悶々と過ごす羽目になった。

 そんな個人的な体調とはかかわりなく季節は進むようで、その間節季は啓蟄

から春分へと進んだ。 やっと熱が下がり、体も動けるようになった3月下旬、

気もそぞろに例年出かける高尾山麓の小沢へと足を運んだ。

 

 やや遅れてしまったが目指すのは、渓谷沿いに咲くハナネコノメ

 

 時期が遅れてしまい、ほとんどの花が葯を落としてしまっている。

 

 ハナネコノメの花の魅力は赤と黄色の葯にあると思っている。

 

 丹念に探すとかろうじて残っているのを見つけることができた。

 

 ハナネコノメはユキノシタ科ネコノメソウ属。白花ネコノメソウの変種とされる。

 

 早春、谷川の縁に群生し、養生のような可憐な花をつける。分布は本州の福島県から京都府まで。 

 

 花弁に見えるのは萼片。先端には暗紅紫色の葯があり、咲き進むと黄色になって

やがてはそれも落ちてしまう。

 

 もう一週間早く来れば見ごろに出会えたのだが……。でも三月下旬のこの時期

何とか滑り込み間に合ったとみるべきなのだろう。

 

 仲間のヤマネコノメ

 

 名前が残念なヨゴレネコノメ、こんなに綺麗なのに誰がこんな名前を付けたのだろうか

 

 沢沿いに一番多いのはユリワサビ

 

  道々の林道にはスミレの仲間もたくさん咲き始めている

 コスミレか

 

 エイザンスミレ

 

 葉が随分細かいがこれもエイザンスミレかそれともヒゴスミレなのか

 

 ナガバノスミレサイシンは比較的判別しやすい

 そのほかタチツボスミレやアオイスミレも見られた。

 

 マムシグサの仲間、ミミガタテンナンショウか

 

 山道の上を頻りに飛び交っていたのはムラサキシジミ

 

 ニリンソウの群生がいたるところで見られた。

 

 見上げた崖には一輪だけカタクリが咲いていた、誰か株を植えたのだろうか。

 

 同じ崖の斜面には所々にヤマルリソウが見られた。

 

 稀にではあるがアズマイチゲやヤマエンゴサクも咲いている

 

 

 草薮の中にはヤブランの真っ青な実や真紅のヤブコウジの実が見える。

 

 病に伏せていた間、春は一気に開花したようだ。

 

 やや見頃過ぎの梅林

 この辺で。

 

 

 


春の芽吹き

2018-03-18 09:27:15 | 植物園

 10年以上前に発症し、以来鳴りを潜めていた花粉症がついに爆発したようだ。

数日前から、鼻水、咳、くしゃみ、目の痒みがひどくなり、初めは風邪かと思ったのだが

連続するクシャミ、目の痒さのあること、熱が出ないことからどうやら花粉症が

劇症化したもののようだ。10年来、くしゃみと目の痒みはあったものの気に

ならない位の軽症だった。春先もマスクもせずに野に遊んでいた付けが

今頃になって回ってきたのかもしれない。

 

 そんなこんなでここ二日間は外出も殆どせずに読書に勤しんだのだが、お蔭で

素晴らしい本に出会えた。原田マハ著の「奇跡の人」がそれだ。ヘレンケラーと

アニーサリバンの日本版といった本なのだが、何だ二番煎じの書かと侮らないで

ほしい。これが何とも素晴らしいのだ。ここに書評があるので興味があったら読んでほしい。

 号泣しながらも一気に読んでしまったが、私的な不満は二人の主人公の名前はそこまで

似せない方が良かったということ位。日本古来の和歌の本歌取りを思わせ、私的には原作?

よりも素晴らしく出来上がった本だと思う。著者の本は初めてだったのだが、

読み終えたその日のうちに、図書館に出かけ更に4冊借りてしまった。

そしてもう一冊デビュー作の「カフーを待ちわびて」を読み終えてしまった。

 

 さて立春以降、節季は雨水、啓蟄と進み、随分と温かくなってきた。

木の花の数も日に日に増えてきた。

 咲き出しが面白いミツマタの花

 

 

 園芸種のマンサク

 

 サンシュユも華やかな黄色を見せている。

 

 

 早咲きのケイオウザクラ

 

 これはアーモンドの花

 

 トサミズキ。暫くの間ヒュウガミズキとトサミズキをよく混同していたが、樹高の高いトサミズキは

土佐の高知で高いと覚えるようにしたらこの頭にも何とか叩き込めた。

 

 この緑色の地味な花はニシキギ科のモクレイシ

 

 ベニコブシは咲いているものはほとんど鳥に食べられていた

 

 珍しいウチワノキは朝鮮半島北部原産のモクセイ科の木。白いレンギョウの花といった趣だ。

ウチワの名は実の形からつけられたという。

 

 小さなナギイカダの花。この花は雌花。雄花は見つからなかった。地中海原産で日本に渡来したのは

戦後間もなくのようだ。

 

 これは牡丹の蕾

 

 野の草たちもだんだんと花をつけ始めたようだ。

 可憐なキバナセツブンソウ

 

 シュンランはあの豪華で派手なラン、シンビジウムの仲間。この花にはたくさんの

別名がある。ホクロ、ホックリ、ジジババ、ジイババ、ジィトバァ、オジオバア、ジィサンバァサン。

何れも花弁にある紅斑点を老人の黒子と見立てたもののようだ

 

 

御存じフキノトウだ。残念ながらこうなってはもう美味しくは頂けない。

 

 ヒロハノアマナはアマナと似ているが名の通り茎の幅が広く、白い筋があるので

識別は容易だ。分布域は関東から四国まで、アマナに比べて狭い。

 

  山に行くと雪が解けたばかりの頃、いたるところで繊細なセりバオウレンの

大群生が見られる。

 

 私の住むところでは春真っ先に咲くスミレといえばこのアオイスミレ。アオイの名は葉が

葵の御紋に似ていることから。

 

 取はやはり春先に咲く野の花のトップスター、カタクリだ。もっとも

この日咲いていたのは1パーセントにも満たない2株だけ。もう少し綺麗に

撮ってあげたかったのだが……。

 

 口直しに傍で咲いていたゴージャスなククリスマスローズを添えておこう。


春先の野鳥

2018-03-13 16:40:33 | 散歩

 最近知ったのだが、「デジタルタトゥー」或いは「ネットタトゥー」なる言葉があるのだという。

タトゥーはもちろん刺青のことで、肌に彫ってしまうと後から消すのが難しいことから、

ネット上で公開された書き込みや個人情報、写真などは一旦拡散してしまうと

後から消すことが極めて困難だという警告を含んだ比喩表現のようだ。

 一例として産経新聞の記事にリンクを張っておこう。

 

 また昨日は渋谷でユーチューブに投稿して金を儲けようとしたバニーガール姿の

女子高生とその仲間が「フリーおっぱい」と称して、不特定多数の通行人に胸を触らせる

という事件が報道されていた。結局は都の迷惑(誰が迷惑するのかな?)条例違反で書類

送検されたのだが、ユーチューブ上にはその子の顔写真がしっかりと映っている。

やがては名前と個人情報が特定され、一生消えない負のデジタルタトゥーを背負って

いくのかもしれない。若気の過ちとはいえ、将来に禍根を残すことになると思うと不憫でならない。

 それでもまぁ本人たちは至って能天気なのだろうが……。

 

 さて今日は比較的身近な鳥をいくつか撮り上げよう。

雨が続いた翌日のある河川敷の公園。シジュウカラを中心とした混群が飛び交っていた。

林の中は急造の池となっていた。

 

 シジュウカラは水の上に浮いた枯れ枝や木の枝に止まって頻りに下を見ている。

 

 このシジュウカラも水際を見て

 

 忙しなく飛び回っている。

 

こちらでも慣れない細い枝につかまって一心不乱に下を見ている。

 想像するに、水没したので普段は隠れている昆虫類が見つけやすく

なっているのではないだろうか

 

 でも普段しないことをしているせいかすぐにバランスを崩してしまう。

 

  こちらでも

 

 

 同じ群れの中にいたエナガ。

 

 エナガは普段からシジュウカラより用心深いようで、この日も水の傍には近づかない。

 上にいた仲間とアイコンタクトしている。

 

 上にいたのはこのエナガ。雌雄同体なので見分けは付かない

 

 普段はとてもすばしっこいので、こんな寛いだ姿はなかなかお目にかかれない。

 

 同じ群れには日本最小のキツツキであるコゲラもいた。

 

 

 同じ公園だが少し離れた見晴らしの良い場所に移動した。

久しぶりに最近野焼きの行われた場所にタゲリを見つけた

 

 いつもは群れでいるのだが、この日はこの一羽だけ

 

少し離れているので 美しい冠羽と美顔が良く見えないのが残念だ。

 

 本当はアリスイを期待してきたのだが、アリスイにはこの日は出会えず。

 タゲリもアリスイと同じように。焼け残った茎の中の虫(たぶん蟻?)を食べていた。

 

 もう10mも近づければ、貴婦人のような顔(かんばせ)が拝めるのだが…。

尤も♂かもしれないので貴婦人と決めつけるわけにはいかない。

 

 少し離れた枝先で休んでいたアオジ。

 

 羽色がだいぶ鮮やかになってきた。もうすぐ山地へと繁殖のため移っていくのだろう

 

 原っぱの枯れ枝の上ではホオジロが囀っていた。ホオジロの囀りの

聞きなしは「一筆啓上仕り候」というのだが、何度も聞いていると不思議に

そう鳴いているように聞こえてくる。

 

 囀って口を開けた瞬間を撮りたかったのだ、警戒されてしまった。

 

 今日はこの辺で。

 


森林公園の梅祭り

2018-03-07 15:16:50 | 公園

 3月の声をきいて一週間。この時期でもまだ梅が見られるというので

埼玉にある武蔵丘陵森林公園に出かけてきた。何度も訪ねている公園だが、

全国で初めて設置された国営公園だとは今まで知らなかった。ネットで調べたところ

国営公園は全国に17箇所あって、1974年に武蔵丘陵森林公園と飛鳥歴史公園の

2園が開園されたのが最初らしい。もう少し今回わかったことを付け加えると、

よく知られている国立公園は環境省の所管する自然公園で全国に34か所(一番新しいのは

去年3月につくられた奄美群島国立公園)ある。対してちょうど半分の数の国営公園は

国交省の管轄となっている都市公園というのが違いだそうだ

 

 知ったかぶって書いてはいるが、所詮たやすく手に入れたネットの知識なので

どうしたって危うさが付きまとう。間違いや偏見が混じることがよくあり、引用者には

なかなかそれを見抜けない。まぁよくは知らないから引用しているのだ。

眉に唾をつけながら読んでいただければ幸いだ。翻って私的には容易さの

裏返しには危うさがあるのだと常々自戒することが必要なのだろう。

 

 さて今年の天候不順(とはいうものの、正常な天候の年なんてあるのか)は春の花にも

影響しているようだ。どうにも花が咲き揃わずばらばらなのだ。

 

 先ずはここに来ると初めに見たくなる開運という梅

 

 紅千鳥は多いがこれは良く似た姫千鳥

 

 西王母

 

 少し薄紅色で大振りな花の内裏

 

 濃い赤が印象的な鹿児島紅

 

 字面はいいのだが発音すると少し興ざめ花香美(はなかみ)

 串刺しの梅団子みたいだ。

 

例年に比べ、花が疎らなので梅林としてはちょっと見栄えがしない

 

 蓮久

 

 蓬莱

 

 入日の海

 

 

  芳流閣

 

 寒さが厳しかったせいか露地に咲く野の花たちはまだこれからといったところ。

日当たりのよい所で一輪だけ開花していたカタクリ

 

 早春に先駆けて咲くオオミスミソウ(ユキワリソウの一種)

 

 キバナセツブンソウ

 

 原種シクラメン。原種といいうのは品種改良されていない野生種のこと。

 

 

 クリスマスローズもたくさんの品種が咲いていた。

 紅紫色の縁取りがある品種

 

 黄色い色のクリスマスローズは初めて。

 

 この株は何色と言ったらよいのだろう

 

 お終いに木の花をふたつばかり

黄色い花色が鮮やかな園芸種のマンサク

 

 アケボノアセビ

 

 この辺で。