野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

ツツジ咲く赤城山を登る

2017-06-22 07:01:15 | 登山

 レンゲツツジが見ごろだというので、久しぶりに赤城山を登ってきた。

「赤城山」とはいうものの赤城山は単独の山を指す名称ではない。それは

駒ヶ岳、地蔵岳、黒檜山などの外輪山の総称であって、赤城山そのものはない。

百名山の中では、那須岳や吾妻山など東北の山にそういったものが多い。

断るまでもないが今回登ったのはもちろん国定忠治の「赤城の山」ではない。

 

山道を登ったところが新坂平、レンゲツツジの名所となっている。

 

レンゲツツジはちょうど見ごろ。以前来た時にはこの白樺牧場には牛が放牧されていて

絵になったのだが、どうやら現在は放牧していないようだった。

 牛の見当たらない牧場はどうもしまらない。

 

 

  峠を越え大沼湖畔に車を停めた。暫らく車道を引き返し登山口まで来た。

 

 すぐに急坂が始まる。

 

 頭上の枝からキビタキの囀りが聞こえる。

 

ツクバネウツギ

 

 登山口の標高が1350m位、一番高い黒檜山が1828mだから標高差は500m弱。

年のせいか最近はこれ位の登りでも充分満足できるようになってきた。

一時間ほどで稜線に出た。一気に見晴らしが広がり気持ちがいい。

 

すぐ近くで鳴いていたエゾハルゼミ

 

大きな声でさえずっていたビンズイ

 

この日は天気が良かったのだが、靄で展望はいまいち。

 

下では枯れ落ちていたヤマツツジの花がまだ咲いていた。

 

 視界を遮るもののない気持ちの良い稜線だ。

 

一時間ちょっとで駒ヶ岳(1685m)。

 

 周囲を飛び回っていたヤマキマダラヒカゲ。やっと笹の葉に止まってくれた。

 

標高1700mに近いこの辺りでは早春に咲くトウゴクミツバツツジも咲いている。

下に見えるのは大沼。

 

 この時期ツツジの仲間の花が多く咲いていた。

サラサドウダンもその中の一つ。

 

 赤色の濃いこちらはベニサラサドウダン

 

もう一つあった。シロヤシオもツツジの仲間だ。

 

 振り返ると駒ヶ岳の右奥に小沼がTの字型に小さく見える。

 

 カエデの花

 

 御黒檜大神の鳥居。この日は雲が爽やかだった。

 

山道沿いにシロバナノヘビイチゴ

 

 旬を迎えていたのがズミ(こなし)の木の花

 

 駒ヶ岳から上り下りして約一時間。本日の最高点黒檜山山頂に着いた。

 

この付近で尾瀬で見かけて以来のヒロハヘビノボラズの花と出会えた。

 

 

 下山は黒檜山登山口。途中見えた赤城山神社が美しかった。

 

対岸にあった赤城少年自然の家。

 

 この辺で。

 


雨の雁ヶ腹摺山を登る

2016-09-08 09:01:46 | 登山

 この夏はそんなに暑くもなかったのに9月になると少々夏バテぎみで

8月の下旬にのぼった山を2週間たってアップするという怠慢、情けない。

 さて今日は山梨の雁ヶ腹摺山。雁が腹を擦るほど高い山というのが謂れだが

標高は1874mとさほどでもない。なお、この山の3,4km北西にある牛奥ノ雁ヶ腹摺山という

山は日本一名前の長い山なのだそうだ。

 大月から林道を走り大峠に着いたが、雨は一向に止む気配はない。

林道の先は何年も通行止めになったままだ。「シオジの森」の看板がむなしい。

 

午前9時を回ったばかり、駐車場に全く人気はない。雨の中身支度をして登り始める。

 

 少し行った先に湧水がある。最近になって「麗水 御硯水」の石版が置かれたようだ。

いつものように登り、下り(晩酌用)ともにここで水を汲んだ。うまい。

 

雨が結構降っているが、別に急ぐ登山でもないので道路わきの花を撮りながらのんびりと登っていく。

 まだクワガタソウが咲き残っていた。

 

 水場に一輪だけ気の早いヤマトリカブトが咲いていた。花のピントを外してしまったのが残念。

 

 これも水場の近くだけで見かけたタマガワホトトギス。

 

 斜面が急になってくるとシロヨメナ(おそらく)が多く見られるようになってくる。

 

 その先更に急こう配になると、崖に咲くタチコゴメグサやウスユキソウがちらほら見えてきた。

 

 雨を味わうように登って一時間と少し。頂上が近づくといつもの巨岩が迎えてくれた。

 この岩をじっと見ていると、いかつい男の横顔に見えてくる。やあ、また来たよと

挨拶をしながら傍らを通る。 

 

 薄暗い森を抜けると頂上直下の開けた草原が見えてくる。

 

 嬉しいことにだんだんと雨も小降りになってきた。黄色の大きな花はマルバタケブキの花だ。

 

頂上は1900mにも満たないながら、富士の景色の素晴らしさから山梨県一番山頂の称号を貰っている。

 

500円札の富士山はここで撮影されたのだとか。が、今日は残念ながら分厚い雲の向こうだ。

 

 頂上でちょっと休んでいる間に雨も上がり、時折日も差すようになってきた。そろそろ草原の

観察を始めるとしよう。

 すぐにマルバタケブキの大きな葉の上で休んでいるアサギマダラを発見。

 

 アサギマダラは時には数千キロをも旅するという渡り蝶だ。

 

 今回の個体には識別マークがなく、羽の痛みもないので近くで羽化した個体なのだろうか。

また羽の下の性標(黒い斑点)がないので♀のようだ。

 

飛ぶ姿も撮りたかったので、何度か挑戦した。

 

 私の腕とレンズではこれが精いっぱいのようだ。

 

草原は一帯がマルバタケブキの群生でおおわれている。

 

 

  それでもよく見ると、草原の背の高い草の中にウメバチソウの姿も見られる。

 

緑色のこの花はハナイカリ。

 

日本ではほとんど見られないオレンジ色の花コウリンカ

 

 これはノコギリソウ

 

 

 雨もすっかり上がって日差しが差しはじめると、ほかの生き物たちも活動し始めたようだ。

コガラの群れが数羽、大きなフキの葉で鬼ごっこしだした。

虫を探しているのだろうが、忍者のように素早く飛び回っている。

 

仁王立ちのヒョウモンチョウの仲間

 

 キアゲハも優雅な姿を見せてくれる。

 

 

  丈高い草の間を縫うようにひらひらと飛んでいるのはジャノメチョウのようだ。

 

木の葉の上で休んでいるこの虫は、図鑑やネットで探したのだが皆目わからず。ジョウカイ、カミキリモドキなど

が近そうなのだが、ぴったり来るものはなく??のまま。

 

 小1時間ほど遊んでいたら、再び雨がぱらつくようになったので下山をすることにした。

 

 下山は急いだので、40分ぐらいであっという間に登山口に戻ることができた。

この辺で。

 


至仏山から鳩待峠へ下る

2016-07-24 07:44:46 | 登山

 苦労して登った頂上だが、人がいっぱいで休むところが狭い。時刻はまだ9時半。

 さほど疲れてもいないので、そのまま下ることにした。

 

 頂上付近では、尾瀬ヶ原で枯れてしまっていたハクサンシャクナゲがまだ見られる。

 

 大きな岩陰にキバナノコマノツメの群生があった。正確にはジョウエツキバナノコマノツメと

言うらしく葉がやや厚く、毛が少ないのが見分けのポイントだそうだ。尤も私には

ルーペを持って比べて見ないとわからないレベルの違いはあまり興味がない。

 

 

 光を浴びたタカネシュロソウがきれいだ。

 

 

 ホソバヒナウスユキソウ、ここまで登ってきた甲斐を感じさせてくれる気品ある花だ。

 

 

タカネバラ

 

 これもタカネの名が付くタカネシオガマ

 

 ホソバツメクサは別名コバノツメクサ。タカネツメクサの仲間だが、これも私には見分けがつかない。

 

 

小至仏を過ぎるとオヤマ沢田代まではお花畑が連続する楽しい下りだ。

 日本アルプスでもよく見かけるハクサンイチゲとシナノキンバイ

 

 

 

 至仏山と谷川岳に特産するオゼソウはユリ科の花

 

亜高山帯の湿地に生えるイワイチョウは葉が銀杏に似ることから名づけられた。

 

 ウラジロヨウラクとミヤマダイモンジソウもお花畑の常連の花だ。

 

 

タンポポに似ているが高山に咲くので何故か品を感じてしまうウサギギク

 

 やや薹が立ったハクサンチドリ

 

ハクサンフウロ

 

 見ていると思わず時間を忘れてしまう高山植物たち。登ってそこに到達した者だけが

味わえる至福の時間だ。

 

そうこうしているうちにオヤマ沢田代までやってきた。

 

 この辺ではまだワタスゲが綿帽子を風に揺らせていた。

 

 

笠が岳、湯の小屋温泉への分岐を過ぎると針葉樹林帯の中をひたすら下っていく。

この日はとても暑かったので木陰の中の下山がありがたい。

登山道わきにはギンリョウソウやマイヅルソウが見られる。

 

 

 

 

ヤマブキショウマ

 

これはあとで図鑑で調べたのだが、オオバツツジのようだ。

 

 オニシモツケ、マタタビの花と見ているうちにあっという間に鳩待峠までたどり着いた。

 

 

 

 

 たどり着いた鳩待峠は昼過ぎたばかりか何時もより人が少く、また新しい駐車場が200mほど下に

設けられたせいもありがらんとしていた。帰路高速バスで立ち寄った赤城SAは茹だるような炎熱地獄だった。

 

この辺で。


尾瀬至仏山に登る

2016-07-21 08:59:11 | 登山

 <前回からの続き>

見晴から歩いて1時間半、至仏山の登山口山の鼻に着いたのは7時過ぎ。

たくさんの登山者でざめいている中、とりあえず軽い朝食をとった。

 7時半、水を補給し一方通行の登山路を登り始める。

 

暫くは薄暗い森の中の急登が続く。

ウスユキソウ

 

アカミノイヌツゲ

 

 森林限界を過ぎると一気に見晴が広がる。

まだ薄い朝もやに覆われた尾瀬ヶ原が眼下に見えてきた。

 

 一際艶やかなクルマユリ

 

高度が上がるととともに尾瀬ヶ原もくっきりと見えだした。

 

コメツツジとチチブドウダンツツジ

 

 

 

随分と登ってきた。この辺りで標高も2000mを越えた。

 

蕾をほころばし始めたシブツアサツキ

 

ミヤマダイモンジソウ

 

 蛇紋岩の急登が連続する。汗が止まらず息も切れる、胸突き八丁一番つらいところだ。

 

 辛さを忘れさせてくれるのが高山の花たち。ホソバコゴメグサ

 

 

 この花も会いたかった花の一つだ、タカネシュロソウ

 

蛇紋岩の隙間にはホソバヒナウスユキソウ。ここ至仏山と谷川岳でしか見られない花だ。

 

 

 尾瀬ヶ原の向こうには燧ケ岳

 

この辺りは高天原といわれ、高山植物のお花畑となっている。

 

イブキジャコウソウ

 

タカネナデシコ

 

 これも高嶺の名が付くタカネシオガマ

 

 

蛇紋岩特有の高山植物の一つジョウシュウアズマギク。ホソバヒナウスユキソウと同じく至仏山と

谷川岳特産の花だ。

 

笹薮の下に群生するタテヤマリンドウ

 

久しぶりに出会えたムシトリスミレ。ねばねばした根生葉で小さな虫をとらえる。

その粘液は同時に消化液ともなっていて、滋養の不足を補っている。

 

 喘ぎながら登ること2時間半、登山者でいっぱいの至仏山頂上に何とか辿り着いた。

 この辺で。

 


今日は死ぬのにもってこいの日だ

2016-05-30 21:02:05 | 登山

 今回は最近知ったこの言葉を紹介してみよう。

これはニューメキシコ州に住むタオス・プエブロ・インディアンの古老の言葉を

アメリカのナンシー・ウッドという作家が聞き書きしたものだ。

そのあとにはこう続く

「生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている

すべての声が、わたしの中で合唱している

すべての美が、わたしの目の中で休もうとしてやってきた

あらゆる悪い考えは、わたしから立ち去って行った

今日は死ぬのにもってこいの日だ 

わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。

わたしの畑は、もう耕されることはない

わたしの家は、笑い声に満ちている。

子供たちは、うちに帰ってきた

そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ」

 

ナンシー・ウッドの書いたこの本は1974年にアメリカで出版され以来、

多くの人に読み継がれ、結婚式や追悼式、成人式などで朗読されてきたという。

日本では1995年にメルクマール社からそのまま「今日は死ぬのにもってこいの日だ」

という題名で出版された。僅か2か月で6刷も出されているので結構売れたのだろうが、

わたしはつい最近まで知らなかった。なおこの本は現在でもアマゾン等で求めることができる。

 

 死は本来忌むべきものではない、輪廻の流れの中でのささやかな祝祭のようなものだ。

死は厭うべきものではなくてある意味生の完成であり、新たな生の誕生でもある。

わたしたちの体を作っている物質が、かつては他の生き物の体であったように、

我々は死によって他の生き物の体の一部となって生まれ変わっていくのだ。

 こういったところが本を読んでの私の感想だ。

 

 <以下は付けたし>

奥多摩の御前山に登ってきた。ここはカタクリの山として知られているが、

カタクリの終わった5月下旬は静かな登山を楽しむことができる。

ヤマツツジが緑一色の世界に鮮やかに映えている。

 

足元には珍しいハンショウヅルの花

 

コゴメウツギもきれいに咲きだした

 

白い花穂をつけたフタリシズカ

 

葉っぱの裏にナナフシの仲間を見つけた

 

山道をふさぐ倒木

 

標高が上がってくるとヤマツツジはまだ蕾のままだ

 

これはカマツカの花。枝が強靭なことから牛殺しともいわれる。

 

日当たりのよいところで見つけたフデリンドウ

 

 チゴユリ

 

 

時折、オオルリが近づいてきて誘いかけるように鳴く

 

頂上が近くなり、ユキザサの花が目立つようになってきた

 

 

大きな葉っぱに一本だけ花茎を延ばし、その先に数輪の星形の白い花を咲かす。

 

 

辺りにエゾハルゼミの声が重なり合うように聞こえている。これはその抜け殻だろうか

 

 いつの間に頂上に立っていた。

 静かな山行だった。

この辺で。